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今回は、投資家の方向けに半導体業界を、出来るだけ分かりやすく解説します。

 

 

日経平均もダウも上昇を続けています。


日経平均は、38,720円
ダウ平均は、38,712ドル
(いずれも執筆の日本時間、2024年6月13 日時点)


株価が過去最高値を記録的する中で、

半導体関連株が注目されています。

日本では、検査装置のレーザーテック社。
米国では、AIのエンジン、エヌビディア社。

半導体は、製造工程が多岐に渡ります。ですから、半導体銘柄も沢山あります。

そこで、今回のコラムでは、半導体業界を幾つかに分け、主要企業をリストアップしてみます。

読者の皆さまが、投資する銘柄を選ぶさいの参考になれば、と思います。
 

 

 

  結論、半導体は米国株。

 


先に結論を申し上げます。
 

半導体関連の株を買うなら、米国株です。


市場占有率や成長性から考え、やはり米国企業が、圧倒的な存在感があります。


日本人としては、円高に振れると為替の損が出るのを気にする方もいるかもしれません。でも、半導体の成長性は、為替の変動など吹き飛ばすほど大きなものです。

それでも、日本株が良いという方は、特化した専門企業を狙うことになるでしょう。

以下、順を追って、説明します。
 

 

 

  改めて、「半導体」とは?

 


半導体企業を理解するためには、どうしても半導体そのものの理解が必要です。出来るだけ大雑把にまとめてみました。

半導体とは、半分電気を通し、半分電気を通さない性質を持ちます。半分電気が通るから、「半」導体。

」の字は、電気が通ることを意味します。

金、銅など電気を良く通す物体は、「導体」

と言います。逆に電気を通さない物体は、

絶縁体」と言います。

半導体は、電気を通すときは電流が流れ
電気を通さないときは、絶縁体となります。
 

 

 

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シリコンなど絶縁体の材料に、少しだけ不純物を混ぜると、半導体になります。

 

 

(基板にくっつけられた半導体)

 

 

  半導体業界を5つに切ると?

 


下の図は、半導体業界を幾つかに分けたものです。四角の大きさは色々。個々の四角形は、市場規模に比例した大きさになっています。

 

(半導体の各分野)

(2020年〜2022年の各種統計から筆者が作成しました。)
 
 

圧倒的な市場規模を持つのは、

デジタル半導体

 


電気が通るか、通らないか、を10で表現するのがデジタル半導体。

1か0か2つの数値しかない2進数で計算を行います。ハイかイイエで論理を組み立てるので、ロジック半導体とも呼ばれます。(ロジックは論理の意味)


それに対して、1と0の中間の電気量を表現するのがアナログ半導体です。温度や圧力といったアナログ情報の処理にはアナログ半導体が用いられます。

市場規模を見ると、デジタル半導体5800億ドルアナログ半導体250億ドル程度。その差は20倍以上です。
 

 

デジタル半導体 5883億ドル

アナログ半導体 250億ドル

 


それ以外には、
半導体を作る

装置、組立て、材料(シリコンなど)

のメーカがあります。

 

 

装置 1000億ドル

組み立て 350億ドル

材料 727億ドル

 

 

 

  デジタル半導体のトップ企業

 

コンピュータ、パソコン、スマホと言った機械の計算にはデジタル半導体が使われました。

最近のデジタル半導体の世界ランキング上位には、

・インテル(米国)

・サムソン(韓国)

・エヌビディア(米国)

・クアルコム(米国)

・TSMC(台湾)

などの会社があります。

 

 

多くは米国企業。


日本企業は影も形もありません。
今世紀に入り、敗れ去ったのです。
 

 

 

  アナログ半導体のトップ企業


 

画像、音声、温度、湿度、圧力、電波。


様々なアナログ情報を、コンピュータが理解出来る電気信号に変換するのが、アナログ半導体回路です。


アナログ半導体の主な企業とシェアは次の通りです。

 

 

 

TI(米国) 19%

アナログデバイセズ(米国) 12%

スカイワークス(米国)  8%


アナログ半導体にも、上位3位やシェア10%以上に日本企業の姿は有りません。

 

 

 

  半導体を作る装置メーカーのトップ企業

 

 

半導体を作るには、専用の製造装置が必要です。材料のシリコンから、ウエハーと呼ばれる円盤形を作り、円盤を四角形に切ってチップ(「破片」の意味)と呼ばれる半導体を作ります。

 

ウエハーはこんな形をしています。

 



ウエハーまでを前工程、そこから完成品までを後工程と言います。

主に前工程を担当する製造装置メーカのシェアは次の通りです。
 

 

(製造装置、前工程)

アプライドマテリアル(米) 28%

ASML(蘭)24%

ラムリサーチ(米) 22%


日本の東京エレクトロン

は4位で19%のシェアを世界市場で持っています。昨今の円安で、シェアの順位は落ちました。

 


とはいえ、製造装置市場には、かつて優勢を誇った日本企業の形跡が残っています。

次に、チップからパッケージと呼ばれる容器に入れる後工程の、代表的企業です。
 

(組立、後工程)

ASE台湾 19%

Amkor韓国 15%

JCFT中国 11%



ここでも、日本企業の形跡はありません。

 

※半導体パッケージは、こんな形をしています。
箱の黒い部分は絶縁体(電気を通さない)

 

 

  日本が強い半導体の材料メーカ

 

(材料)

信越化学工業 31%

SUMCO 23%

台湾グローバルウェーハズ 15%



信越化学SUMCO で、50%超のシェアです。日本企業の存在感があります。


シリコンなど半導体を作る材料の分野は、日本の半導体企業の最後の砦かもしれません。

(経済産業省のウェブサイトより)

 

 

 

 

  それでも日本株が良いと言う人は、

 


半導体のビジネスは多額の先行投資を必要とします。先を読む知力と、投資する体力の両方が必要です。

一般論としては、世界市場で存在感を示せない企業は、長期の成長性を確保するのが難しいと言えます。

短期トレーディングならともかく、このブログのメインテーマである長期投資の対象にはなりにくいのです。

日本の半導体企業に投資するのは、余り良い選択とは言えないでしょう。

それでも、日本株が良いと言う方は
市場規模が小さい特化した分野で存在感がある会社を選択されると良いと思います。

例えば、次のような会社です。

 

・ICパッケージで5割のシェアを持つ

イビデン

ICパッケージとは、半導体の入れ物のことです。後工程の組立では、半導体をパッケージの中に入れます。

・ディスコ
ウエハの切断(ダイシング)を行なう機械を作ります。

元々は包丁などを砥ぐ砥石を作る会社でした。ダイサーとしてはトップ企業です。


 

・レーザーテック

ウエハーの検査を行なう会社。
EUVと呼ばれる紫外線の技術で、優位性があります。

 

 

  注目される新分野、画像センサー

 


監視カメラやスマホのカメラに使われるCMOSセンサー。レンズ越しに得たアナログの画像情報をデジタルに変換して、カメラ側に伝えます。

一位は、日本のソニーです。

 

ソニー 45%

サムソン 26%

オムニビジョン 11%


今後、クルマの自動運転の眼として期待されます。

 

 

  パワー半導体

 


パワー半導体とは、電流や電圧の制御を行なう半導体です。

電車、工場、発電所、飛行機など、大きな電力を制御に使われてきました。

 

パワー半導体、

インフィニオン(独) 48

オンセミコンダクター(米) 20

STマイクロ(欧) 17

 
今後、たくさんのモーターを制御する電気自動車などで、使われることが予想されます。
 

日本企業もある程度のシェアはありますが、世界の3位には入っていません。

 

 

三菱電機(日本) 14.76

富士電機(日本) 11.73

東芝(日本) 9%


三菱と富士電気が一緒になれば、25%となり、競争に入れる可能性は残っています。


バラバラでは、おそらく世界競争では勝てないでしょう。
 

 

 

  結論

 

 

半導体業界は競争が激しい業界です。


世界シェア上位に入っている外国企業に投資すべきです。

国内企業の場合は、世界でのシェアを良くみて銘柄を選びましょう。



(ファイナンシャルプランナー、日本FP協会CFP認定者、介護職員の実務者研修を修了)


【関連記事】
コチラ⇓もあわせてお読み下さい。

長期投資銘柄その2、半導体企業 

 

 


 

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ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

最後に、

※ここに書かれているのは、筆者の知見に基づく一般論です。例にあげている実際の金融商品の原稿作成時点のデータです。実際の投資で同様のリターンが得られることを一切保証しません。投資は、ご自身の判断に基づいて行って下さい。また、このブログでは特定の金融商品を推奨、勧誘することは一切ございません。