富士見市は空き家特別措置法の施行を受けて、いわゆる「空き家条例」制定に向けて準備が進められています。
今月は市の主催で市内3カ所(水谷公民館、鶴瀬西交流センター、市役所)で上田真一氏(特定非営利活動法人 空家・空地管理センター理事長)をお招きして、講演会が開催されます。今日は鶴瀬西交流センター。
40名近い方が参加されていました。
講師が取り組まれている所沢市は全国初の空き家条例を制定。民間での取り組みをしようと結成されたのがこの特定非営利活動法人です。
講師のお話で印象に残っていたポイントをいくつか。
「空き家の問題を知ってもらうため、メディアに積極的に出るようにしているが、メディアは間違って伝えている。空き家は本来、個人の所有なので、民・民の問題になる。メディアは行政の課題だと強調するが、それではこの問題は解決しない。」
「空き家は所有者(の主観)は、「倉庫として使っている」「年に何回か行っている」と「空き家ではない」となっているケースが多い。しかし、隣の人にとっては人が普段住んでない家は「空き家」。その認識の違いがある」
「空き家は思い出がつまっており、なかなか処分に踏み切れないケースが多い。だが、どこかで踏ん切りをつけないといけない。日本は遺言を残さないケースが多いが、遺族が困らないよう残った家の処分について意思を示しておくことも必要」
特に所有者の今の住まいが遠隔地で、空き家の現状を知らないケースが多々あるそうです。また所有者は不動産会社に売却を委託していたつもりでも、媒介契約の有効期限は3カ月で更新が必要なのですが、その更新がされておらず、所有者は売りに出しているつもりだったというケースも。
また市からも富士見市役所内部での検討についても報告がありました。
質疑応答では具体的な相談から、「空き家解体への補助金についてどうか」というものがありました。
講師からも「危険空き家の解体に補助金を出しているケースもあるが、補助金があるから解体しようとはなっておらず、解体しようと思ったら補助金があったというのが現状。(放置して危険になった方が得をするという事がないよう)モラルハザードの問題も考えないといけない。隣の家が土地を買って駐車場等に利用してくれるケースには補助金を出す等、工夫が必要。」というお話がありました。
講師のお話を伺って、改めて「単に条例をつくって終わりではない」という事がよくわかります。
富士見市には現在、「特定空き家」に該当するような事例はまだ見られませんが、そうした事例を生まない、町会などによる空き家見守り、また不動産関連団体による空き家の活用の取り組み等いかに民間の受け皿をつくるかが課題と思いました。しっかり注視していきます。