金沢大学医学部の定期試験〜点数と成績の逆転の有無、60%未満者の人数と分布、改ざん防止対策など | 医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

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医療事故死は年間2万-4万人と推計されており(厚労省資料)交通事故死の約4-8倍です。医療問題やその他の事件が頻発している金沢大学の小川が、医療事故防止と事故調査の適正化や医学部・大学等の諸問題と改善を考えます。メール igakubuziken@yahoo.co.jp(なりすまし注意)

金沢大学医学部医学類の定期試験「薬物治療の基礎」の昨年と今年〜点数と成績の逆転の有無、60%未満者の人数と分布、改ざん防止対策の有無など(医学部大学等事件74)

 金沢大学医学部の定期試験の点数が60%未満に満たなかったうちの3名のみを合格させて、それより得点率が高かった11名を不合格にした、先日の記事などについて、様々なご意見を頂戴しました。
https://ameblo.jp/iryouziko/entry-12307665268.html

 この「薬物治療の基礎」科目の昨年と今年の本試験について、少し振り返ってみます(受験者数は例年110〜120名程度で多少の増減はあり)。

 昨年(2016年)夏は、本試験の得点率60%未満者(成績判定に用いる、試験点数プラス実習点)が38名でしたが、そのうち3名をそのまま合格にしたため(点数と成績の逆転あり)、再試験は35名が受験しました。
https://ameblo.jp/iryouziko/entry-12307665268.html

 今年(2017年)夏は、本試験の得点率60%未満者(試験点数プラス実習点)が24名で、その全員を単純に再試験対象としました(昨年のような一部の学生のみを合格させるようなことはせずに)。

 その24名の得点率分布(試験点数プラス実習点)は次の通りです。

50%以上60%未満  12名
40%以上50%未満   5名
30%以上40%未満   4名
30%未満        3名


 今年(2017年)の8月31日に、これらの24名の中から、1名が代表(再試験の日程調整などの連絡役)に決まったとして、私へ連絡がありました。

 その4日後の9月4日に、高山浩接・事務部長が私へ、学生課(成績などを扱う事務部内の部署で、医学部学務係などを含む)が発信した虚報について、撤回と謝罪のメールを送ってきました。
https://ameblo.jp/iryouziko/entry-12309592412.html

 また、この9月4日には、金沢大学や安藤仁・多久和陽・両氏などを被告とする裁判が2件開かれ、多久和被告(医学部長・医学類長)は、第七準備書面の第4ページ第19行目からで、
「安藤教授が、金沢大学着任まで、基礎医学研究室に所属した経験がない事実及び本務での基礎医学の薬理学の講義経験が無い事実は認め、、、」
と、事実関係について陳述しました。

 しかし、「本人」であるはずの安藤仁被告や、原告小川や個人被告の雇用主であるはずの法人としての金沢大学(被告)は、何の主張もせず証拠なども提出しませんでした。

 それから10日近く経った9月13日になって、しばらくぶりに学生代表(連絡担当)から私へ連絡があり、やりとりが再開したところです。

 3年生の他の科目である第2病理については、再試験日程が既に(9月18日時点)電子掲示として公開されています。
http://dbweb.m.kanazawa-u.ac.jp/stu/exam/listrec.php

 医学部の主要科目は基本的に全て必修であり、この「必修科目」が1つでも合格できないと卒業できない仕組みなので(他学部でよくある、必修10科目から8科目、合計で30科目に合格すること、といったような「必修」ではなく、全科目に合格する必要ありという意味の必修)、60%未満者を対象に再試験を1回行うというのは通常のやり方です。

 一方、柴田正良・理事・副学長(教育ご担当)、金子周一・医薬保健学域長、多久和陽・医学部長医学類長、高山浩接・事務部長などの、大学組織の幹部を含む方々に、次の事項などについてお尋ねしていますが、まだご返答を頂いていません。

●点数と成績の逆転(一部の低得点者を合格にするなど)は、常態化しているのか?
●成績を扱う学生課から虚報が相次いで発信されているが、その経緯は?
●点数や成績の改ざんの防止策はとられているのか?


 このほか、実習レポートの点数(これは安藤仁研究室が担当。記述式なので100%客観的な採点というのは不可能でしょうが、納得できないという学生の声もあります)や試験結果の開示などについても、金沢大学内外からご意見などを頂戴していますが、私はこれまで開示が当然と考えてきましたし、現在の3年生だけでも何人もの学生から私へ、結果を開示して頂けるので有り難い、という意見が寄せられています。

 「説明しようとしない医師」や「カルテ類の改ざん」などが、長年問題になってきていますが、医学部学生が自分自身の成績などを確認できない環境が当たり前と感じてしまうと、患者さんへの診療内容の説明や開示について、どういう感覚を持つようになるのだろうと、考えてしまいます。