医学部大学等事件4、高評価の担当授業40コマ以上から不正通報後3コマに、患者死亡通報後ゼロに | 医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

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医療事故死は年間2万-4万人と推計されており(厚労省資料)交通事故死の約4-8倍です。医療問題やその他の事件が頻発している金沢大学の小川が、医療事故防止と事故調査の適正化や医学部・大学等の諸問題と改善を考えます。メール igakubuziken@yahoo.co.jp(なりすまし注意)

医学部大学等事件4、高評価の担当授業40コマ以上から不正通報後3コマに、患者死亡通報後ゼロに


今日の金沢は雨が降ったり止んだりで寒く、最高気温は10℃に届かなかったようです。
皆様のところはいかがでしょうか?

 最近は3回にわたって、医学部におけるデッチアゲ関係の民事訴訟群のうちの1件から、被告3名の本人尋問調書などをご紹介してきましたが、今回は、医学部の授業や研究の不正などの話題です。

 私は、金沢大学で、90分授業を年間約40コマ以上担当してきて、研究室の常勤教員中で授業の評価が最も高かったのですが、上司Y教授(当時)による不正経理を通報した後に3コマに減らされ、大学病院での患者急死を通報した後にゼロにされました。


1、学生による授業評価結果~研究室の3名中で最高、医学部延べ79名中で10位前後

 金沢大学の医学部・医学類では、教員ごとに学生による授業評価を行っており、下の画像4枚は、2008年(平成20年)1月に、前月までの授業について医学部が集計した結果です。

 これは、Y元教授との裁判(金沢地裁平成19年(ワ)第305号事件)など幾つかの裁判群で、実名のままで証拠提出して公開法廷などで使用されているものを、今回、氏名部分を黒塗りにしたものです(裁判所がこの事件の文書を使用していない日に、裁判所へ収入印紙150円分と印鑑、身分証を持っていくと、どなたでも証拠や主張書面などを閲覧できます)。

 この証拠の赤印を付した部分を追って頂きますと、4枚目の教員番号73~75の3名が、Y教授(当時)や私の研究室の教員で、3年生「薬物治療の基礎」科目を分担していました。

 評価は、Y教授が3、5点と平均をやや下回るくらい、私が4、6点と平均をかなり上回り、もう1人の教員(当時)は1、6点とかなり低い点数でした。すなわち、研究室教員3名中で、私が最高の評価でした。

 また、この評価対象の授業は、前年にY教授が不正経理で出勤停止2ヶ月になったため、私が通常担当している講義10コマと実習などの他に、Y教授が担当予定だった講義5コマも急に代行担当した分を含めての評価でした。

 加えて、この時の延べ79名の教員中でも、私は概ね上から10位くらいの高い評価であり、これらはテレビでも報道されました(2014年12月18日夜、TBS系 NEWS23)。


●授業評価結果(上記訴訟の甲第15号証に、一部黒塗り)
授業評価1/4
授業評価2/4
授業評価3/4
授業評価4/4
2、授業が79名中で最高評価だったハラスメント相談員の医学部教授が裁判初日に急死

 この時の評価の最高点は、教員番号19番のST教授でしたが、私とは無関係の金沢大学内の事件の裁判初日に、このST教授(ハラスメント相談員を長く務めておられた)は若くして急死なさいました。
 金沢大学医学部の同窓会誌に、学長(ST教授死亡当時)や教室員、学生からの追悼文が掲載されたのですが、死因は明らかにされませんでした。

 私とは無関係のこの事件は、医学部以外のD教授(提訴当時)が大学院生の論文を盗用したとされ、金沢大学がD教授を出勤停止1年の懲戒処分にし、D教授がその懲戒処分の無効などを求めて提訴したものです(金沢地裁平成25年(ワ)第555号事件)。
 これらについては、公益通報ブログに掲載しました。

金沢大学研究盗用事件で検察審査会が不起訴不当議決
http://ameblo.jp/jpmax/entry-12054906540.html

金沢大学ハラスメント相談員の医学部教授が研究盗用裁判の初日に急死
http://ameblo.jp/jpmax/entry-12051638167.html

 盗用だとされた発表論文(Health, 2, 1377-1381 (2010))は撤回されたのですが、金沢大学は懲戒処分を半年以上経ってから公表したものの、撤回された論文等の情報の公表は見つからないのです。懲戒処分自体よりも、撤回された論文を金沢大学が公表するほうが、関係者に生じる混乱を最小限にできるようにも感じるのですが。

 また、STAP細胞騒動などで、一般の方々にも、研究論文についての不正や不適切行為が広く知られるようになりましたが、こちらの医学部長・医学類長(現在)が責任著者をお務めになった発表論文(受賞もしている、J Clin Invest, 120, 3979-3995 (2010))が撤回されたことも、別の方のブログで紹介されており、私が原典を確認するとその紹介の通りでした。
http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/59f2d31960677a9ff686dd9a35b86736

 これも、金沢大学が論文撤回を公表したという情報は、見当たりません。

 他大学の研究不正で死者が出た例としては、公益通報ブログに、次を掲載しています。
教授の論文不正に巻き込まれて不正を指摘した大阪大学助手の遺体が研究室で発見され、服毒自殺だとされた件
http://ameblo.jp/jpmax/entry-12079467581.html


3、この科目は授業評価中止、デッチアゲ群を訴訟で証明する中、担当授業が3コマに

 私の授業担当の話に戻ります。

 上記の授業評価は2008年(平成20年)1月集計で、古いと感じられた方も多いと思いますが、この翌年度からこの科目についてはこの授業評価が中止されたため(他の殆どの科目は授業評価を継続した)、これが現在でも最新の評価になっているのです。

 この2008年1月の評価が出た2ヶ月後(Y教授の不正経理での懲戒処分からは約1年後)に、「殴られた、見たね、YT君」の暴行傷害デッチアゲが始まり、翌年(2009年)11月に、被告の部局長(当時の医学系長)が教授会などで私の名誉回復措置を行うことで、訴訟での和解が成立しました。
 しかし、その直後に、「『殴られた』と叫ばれたため精神的ダメージで労災」などの新たな組織的デッチアゲが始まり(前回までの3回シリーズで訴訟文書の一部をお示ししました)、2012年4月に、被告側が原告の私に解決金を支払い、労災請求を取り下げることなどで、裁判での和解が成立しました。

 これらのデッチアゲ群の初期~中期まで、私は、上記の3年生「薬物治療の基礎」科目の講義10コマ、同科目の実習約20コマ、研究室配属の演習関係の科目数コマ(ここまでは、研究室が担当している、医学科・医学類の授業。多くの学生は卒業後、医師や医学研究者になる)、保健学科・保健学類の看護学専攻1年生(多くの学生は卒業後、看護師などになる)の「臨床薬学論」科目を約7コマ担当してきました。

 こうして年間40コマ以上の授業を担当していたわけですが、裁判でデッチアゲであることを次々に証明していった時期(つまり、デッチアゲを繰り返しても起訴や懲戒処分にできない状態になってきた頃)に、研究室が担当している医学科・医学類の授業が3コマのみに激減されました。そして、この3コマの状態がしばらく続きました。


4、少女急死で刑事告訴を厚労省に通報したが、翌日に勤務先へ漏洩され、その直後に授業ゼロに

 金沢大学附属病院において、骨肉腫の原発巣が手術で除去でき、画像で遠隔転移が認められない少女の心機能が大幅に急落して「アドリアマイシン心筋症でしょうか」と検査結果報告に明記されました。しかし、心機能異常では禁忌(投与してはいけない)と添付文書(医療者向けの薬の取り扱い説明書)に赤で囲って初めに記してあるアドリアマイシンという抗がん剤の投与を再開して、投与の約11日後にアドリアマイシン心筋症で死亡し、遺族が教授らを刑事告訴したことを、私は知り、2013年10月、私はこの事実などを厚生労働省に通報しました。

 この死亡は、有効性と安全性が確立されていない、カフェイン併用化学療法(抗がん剤にカフェインを併用するもの)として投与されたものです。私の通報から1年近くが経ち、私が国賠訴訟(後述)を提起した約1週間後になってやっと、厚労省はカフェイン併用化学療法の先進医療認定を取り消し、通報から1年半以上が過ぎた今年(2015年)6月の厚労省先進医療会議では、カフェイン併用化学療法の治療成績に誇大報告があり、金沢大学病院の全ての先進医療を停止するに相当する悪質さだと指摘されました(悪質な場合は全停止するというルールが後に出来たため、遡及実施はされず)。

 これだけ悪質な事案であったにもかかわらず、私の通報を担当したN先進医療専門官は、翌日、私の実名や職などを付してこの通報があったことを、私の勤務先へメールで漏洩しました。

●被告Nの漏洩メール(国賠訴訟で被告国提出の乙第1号証に、一部黒塗り)
中谷漏洩メール
 そして、この通報漏洩の直後から、担当授業はゼロ(皆無)にされました。


5、通報漏洩とその後の対応で国賠訴訟を提起、今週金曜(11月27日)弁論

 前記の厚労省N先進医療専門官による上記漏洩とその後の対応などについて、翌年(2014年)9月1日に、国とN(同年6月に、厚労省から、この漏洩が国家公務員法第100条(守秘義務)違反だとして戒告処分を受け、提訴時は国立O大学病院循環器内科に戻っていた)を被告として、国家賠償訴訟を提起しました。
 その弁論が、今週金曜(11月27日)に東京地裁で開かれます。

東京地方裁判所平成26年(ワ)第22761号事件
弁論期日:平成27年11月27日(金)午前10時30分
場所:東京地裁第709号法廷
原告:小川和宏(金沢大学医学系准教授)
被告:国およびN(漏洩当時、先進医療専門官。現O大学病院循環器内科准教授)


 先週金曜(11月20日)にこの裁判で原告小川が提出した文書の一部などを、公益通報ブログの最新記事に掲載しています。
http://ameblo.jp/jpmax/