昭和・オリンピックの東京
チャールズ・ウォルターズ監督、クインシー・ジョンズ音楽作品、アメリカ、113分
ケイリー・グラント様、サマンサ・エッガー様、ジム・ハットン様、ジョン・スタンディング様他
実業家として成功している、英国人ウィリアム・ラトランド卿が商用で、
1964年の東京オリンピック時に日本へやって来る。
東京で実際にロケが行われ、映画の冒頭、協力への謝辞がテロップされる珍しい作品。
実際のロケは、オリンピックの翌年に行われたそうです。
ケーリー・グラント様最後の出演作として有名で、
物語の主な舞台となるアパートのセットは、
グラント様のドキュメンタリー作品で見覚えがあります。
一方、ロケでの東京の街路での風景は、案外、今現在の東京より、
自分が子供の頃、母の実家として親しんだ東京に近い風景で、
しみじみと、懐かしく拝見させて頂きました。
↓ こちらでもロケ。
今回のオリンピックで、仕事で親しんだ東京の風景も、
様変わりに勢いづいているのだろうと思います。
因みに、チャールズ・ウォルタース監督の最後の監督作でも。
『イースター・パレード』『上流社会』『恋の手ほどき 』等の名作を生んだ監督も、
当作品で銀幕を去られてらっしゃるんですね。
奇しくも『泥棒成金』でご共演 ↑ された、
グレース・ケリー様とケーリー・グラント様の引退作をお撮りになった・・・
物語の狂言回しでもあり、主役でもあるラトランド卿。
ここでは、予定より早く到着したことで宿が取れず、
大使館にルームシェアの張り紙をしてあったアパートに押しかけ、
女性でないと、という若いお嬢さんを押し切って宿泊。
仕事先の建物を見学していたオリンピック選手の青年と、偶然知り合い、
同じく早くついて、選手村にも入れないでいた彼も転がり込んでの、
三人ルームシェアが。ううむ、うちのマンションで禁止されてる事項だわ。
大使館勤務の堅物と婚約している娘と、オリンピック選手の恋を取り持つ、
伊達で粋な卿。撮影当時61歳。かっこいいロマンスグレーです。
今なら、まだまだ、というご年齢ですが、当時は、
もう、自分に期待されている、ラブロマンス作品は無理、と、
きっぱりご引退を決定され、映画作品には二度とご出演されなかった。
「I could have gone on acting and playing a grandfather or a bum but I discovered 」
お若い時のスクリューボールの軽快さもよいけれど、
あのヒステリックさは影を潜めた、円熟した柔らかさ、うっとりです。
今月何かとお世話になってるローレンス・オリヴィエ様も、
「最も素晴らしい俳優」と評してらっしゃる。
お二人共に「ゲイ(正確にはバイ?)疑惑」ありで妙な説得力を持つ発言。
「お友達」でらしたのかしら?
この三年前に公開された『シャレード』の主題歌を口ずさんだりの演出。
ヒロイン役には、『コレクター』でコレクションされちゃったあのお方ですね。
電機製品を扱っている卿が、映画のオチに、リモコン装置で、
若いカップルの恋を、ロマンティックに後押しして去る、
まさに、「ケーリー・グラント」様の静かなるご退場、徹底して粋、素敵。
ずっと、自分が参加する競技が何なのか言いたがらない青年。
いよいよ競技が始まってそれが解るんですが、「あ、そうよね」という種目。
それも、上手く物語に組み込まれ、ドタバタコメディの移動舞台に。
心地よく笑えると共に、郷愁をも感じる一作でありました。
昨日頂いたアクセスの当日記事次点。やられた!まさかのご復活。
動画での記事も書きましたが、絶対にこちらなんです。