ハイオクとレギュラーの二種類のガソリンがガソリンスタンドでは売られています。
じゃあその違いは何?はい、ご存じノッキングの起きにくさを示す数字ですよね。
値段がハイオクの場合だと高価なので高品質なガソリンと思われているフシが往々にしてあるのですが、元来そういうものではないんですよね(雑誌系ライターさんも解っていないような・・・)。
アンチノッキング性能を高めるための添加剤他のコストがかかるために値段が高くなるのは仕方がないこと(まあ石油会社の都合や税制のことも絡んでくる話でもあるので価格についての論争はしません)。
じゃあエンジンノッキングとは?
単純に言えば金属を叩く(Knock)ような音がする現象の事です。点火時期よりも何らかの原因(蓄積カーボンが原因のホットスポット等)で早く燃焼が始まる早期着火(プレイグニッション)は厳密に言うと違うのですが体感的現象としては区別がつかないでしょう。
基本的にいうと、スパークプラグの火花が燃焼元となり、燃焼が始まりガスが膨張する速度でシリンダー内圧が高まりピストンを押し下げて運動エネルギーをつくり、それを回転運動に転化するのがエンジンです。
※株式会社フォトロン様のYouTubeチャンネルから
ノッキングとは、燃焼行程で混合気の規定された燃焼速度よりも早く、圧力伝播が音速に達してシリンダー壁やピストントップに伝わる現象なのです。この圧力伝播の音速に達した時の衝撃波の音がノッキング音となるのです。
この衝撃波は正常燃焼が行われる際に生成されるシリンダー内やピストン上部を保護する役割のある断熱境界層を破壊してしまいます。ノッキングがエンジンにダメージを与えるのはこの断熱境界層が破壊されるためなんですよね。
余談になりますが、GRヤリスやGRカローラのエンジンブローは、この断熱境界層の破壊現象が何らかの原因で起きているのだと推察します。
じゃあノッキングはなぜ起こるのか?それには様々な要因が結びついて起こることなので単純には語れませんが、運行時に正常燃焼する条件から逸脱した場合(M/T車で低回転時に高負荷がかかった状態等)、混合気が薄すぎる場合、圧縮比が高すぎる場合、過給圧が高すぎる場合等等。圧縮比や過給圧に係わるノッキングは気体の圧縮による温度上昇が引き起こす現象ですね(ディーゼルサイクルはその現象を応用したもの)。
ECU制御の車はセンサーでこのノッキングを感知してそのデータからのフィードバックで点火時期、混合気比率、燃料噴射量&タイミングをコントロールしています。なのでハイオク車でもレギュラーガソリンで数値制御して走らせる事ができるのです。ただしその場合は、全てが正規タイミングより遅れるので馬力は下がります(馬力=トルク×回転数)。逆にレギュラー車にハイオクを入れて全開走行を繰り返していたならばECUの学習機能により点火時期他のタイミングが進み少々のパワーアップが可能になるのです。
燃料噴射タイミング図(TDCは圧縮上死点)
※燃料噴射タイミング(TDCは圧縮上死点)
※点火時期のタイミング
アンチノッキング性とは何ぞや?ですが、自動車雑誌系でよく表現されるのが”燃え難さ”とされていますよね。私はそうとは思っていません。そういう観点でエンジンの事を考えると辻褄が合わなくなる事があるからなんですね。比出力(L換算馬力とか)の高い2輪がなぜレギュラー指定なのでしょう?
エンジンの燃焼行程で理想的な状態とは、混合気が圧縮され上死点直前にスパークプラグにより燃焼が始まり、ガス膨張が下死点直前まで続く事です。この燃焼によるガス膨張速度が速いのがレギュラーガソリン(アンチノック性が低い燃料)でガス膨張速度が遅いのがハイオクガソリン(アンチノック性が高い)です。
ガス膨張が早すぎるとどうなるか?下死点に至るまでに燃焼が終り、ガス膨張が止まるとガスは収縮(負圧発生)しはじめます。下死点に至る前にその現象が始まるとピストンの動きの反対の方向に力が生まれるのでトルクを作る妨げになりますよね。また点火タイミングよりも早い時期に燃焼がはじまるのも早期着火になるので具合悪いです。
ちなみにオクタン価とは、燃料成分中のノッキング性の高いイソオクタンとノッキング性の低いn-へプタンの比率を示すものなので最大値は100までです。100を超える数値の場合の表示は出力価で表示されるので安易な精密論での比較はできません(航空機レシプロ用燃料はこれ)。
圧縮比が高い自然吸気エンジン、過給器付エンジンは、圧縮混合気自体が燃焼室内に充填される時では既に熱を持っているので燃焼開始タイミングが早くなったり燃焼速度が機関要求速度より早くなります。なのでハイオクというオクタン価が高くて燃焼速度が穏やかな燃料が必要になるのです。
本当はボアストローク比やボア径なども火炎伝播速度に係わるのでノッキング性に係わるので今まで記した内容はあくまでも基本的な概念ということで・・・
当社の提唱する機関部チューニングは以上の事を踏まえて如何に理想的なエンジン稼働状態を創り出すか?というところに注目しています。代表的なものをご紹介。当然ながらAir Repair iQではマストに採用しています。
・燃料そのもの
【タンクタイガー/燃料活性化触媒】
未燃ガスとなる混合気を完全燃焼させるもの。発熱量増で圧力上昇率が上がりトルク増と排ガスのクリーンさが得られる。
同じ運行条件ならば混合気量は減らせるので燃費は良くなる。触媒を溶かしている媒体はアルコールなのでアンチノック性と清浄性が得られる。
【オクタスR】
シンプルなアンチノック性向上剤。他の添加剤とは違いアンチノック性向上のみの性状でタンクタイガーとの併用が出来るので採用しています。
・制御性を向上させるもの
【エレスタビヒューズ】
制御信号が通過するヒューズを改善処理する事により、制御信号の通信状況の高精度化しECU制御の本来の能力を引き出す。またセンサーや補器の相互通信能力も向上するので全体の能力の向上(本来の理論性能に)。
【カーボンナノチューブペースト】
電極接点部の強化剤です。バッテリー電極から始まりコネクタ内部に施工する事によりかなりの電力供給性能がえられるので、それと相まって通信状況が改善されます。
【アーシングシステム】
特にスロットルボディやオルタネーター、シリンダーヘッドにはやっておきたいものですよね。
・セッティングによりパフォーマンスを上げるもの
【MINICON‐PRO、同α、同DS】
1:MINICON-PRO・・・空燃比をセッティングしてやる事でパワーアップします。
2:同α・・・燃料噴射タイミングの最適化を行います。トルクに違いが生まれます。
3:同DS・・・点火時期の最適化と2気筒の同時点火システム。これもトルクに違いがうまれます。
上記3つは単独で使用できますが併用がベストですね。
他にもメニューは沢山あるのですが基本的なところは以上です。
もう少し詳細が知りたいと思われた方はメールにてご連絡をいただければと思います。
静電気除去抑制技術によって空力特性や通電特性を良くして最高のパフォーマンスを引き出すエレスタビシリーズ。燃料の改質によりエンジンの本来の力を引き出すタンクタイガーはこちら。むろん直接販売も大丈夫ですよ