RN1ステラカスタムRS “SHINO”では、これまで車体周辺の空気の流れを確認するため、アンダーフロア周辺にタフトを取り付けて走行テストを行ってきました。

 

40km/h、60km/hでは比較的整った流れが確認できた一方、80km/h付近になるとリヤ側の流れに乱れが増える傾向が見られました。

 

 

 

※アンダーフロア周辺の流れを確認するために行ったタフトテスト。車速によって流れ方が変化する様子を確認しました。

 

 

そこで、その結果をもとにアンダーフロアの一部へ整流対策を行っています。

※この対策については現在も検証を続けているため、具体的な施工位置、寸法、形状については公開を控えます。
 

 

 

※なお、この対策については現在も検証を続けているため、具体的な施工位置、寸法、形状については公開を控えます。

 

 

ここでは「何を付けたか」ではなく、その結果として車両全体に何が起きているのかを見ていきます。

施工後に最初に感じたのは、

「おお!効いた!」

というような派手な変化ではありませんでした。

 

むしろ車体後半の動きが穏やかになり、リヤが遅れて付いてくるような感覚が減った。

速度感も少し薄くなり、同じ道路でも車体が落ち着いて進む印象があります。

 

このあたりについては、以前みんカラの整備手帳にも書きました。

ただ、その後もSHINOを観察しているうちに、別のことが気になり始めました。

アンダーフロアの流れを変えたということは、床下だけを見ていて良いのだろうか?

ということです。

 

■エンジンルームへ入った空気は、どこへ行く?

走行中、車両前方からは多くの空気が入ってきます。

ラジエーターを通過する空気。
エアコンのコンデンサーを通過する空気。

そしてSHINOには上置きインタークーラーがありますから、そこにも外気を導入しています。

しかし、空気は入れて終わりではありません。

 

ラジエーターもコンデンサーもインタークーラーも、すべて熱交換器です。

それぞれが熱を受け取った後、その空気をどこかへ排出しなければなりません。

 

そこで私の関心は、

「どうやって冷たい空気を入れるか?」

から、

「熱を受け取った空気を、どうやって車外へ出すか?」

へ移っていきました。

 

冷却を考える時、入口ばかりを見ていても仕方がありません。

入口があるなら、出口も必要です。

 

■インタークーラーも同じ

SHINOでは以前から、上置きインタークーラー周辺の温度を測定してきました。

単にダクトから外気を入れるだけではなく、エンジンルーム側の熱気がインタークーラー周辺へ回り込まないようにする対策も行っています。

 

ここで「冷却効率」という言葉を少し考えてみます。

「温度が下がったから冷却効率が上がった」

という使われ方をすることがありますが、本来、効率という言葉はもう少し慎重に使うべきものだと思っています。

 

インタークーラーの場合、過給によって温度の上がった吸気から熱を受け取り、その熱を冷却側の空気へ移動させています。

ならば見るべきなのは、単純な温度の高い・低いだけではありません。

 

入口側と出口側の吸気温度。

冷却側へ入ってくる空気の温度。

そして、その空気がコアをどれだけ通過できるのか。

 

つまり、冷たい空気をインタークーラーへ導くだけでは不十分です。

コアを通過した熱を奪った空気が、その先へ抜けなければならない。

ここでも結局、入口と出口の問題に戻ってきます。

 

■そして、もう一度アンダーフロアを見る

では、エンジンルームで熱を受け取った空気は、どこへ抜けているのでしょう。

その経路の一つとして考えなければならないのが、車体下側です。

ここで最初のアンダーフロアの話へ戻ります。

 

床下を流れる空気の状態が変われば、エンジンルームから下側へ排出される空気にも何らかの影響が出る可能性があります。

もちろん、私はエンジンルーム内と床下の圧力分布や通過流量まで測定しているわけではありません。

したがって、「アンダーフロアを整流したから排熱量が増えた」と断定することはできません。

 

ただし、車体の下を流れる空気と、エンジンルームから排出したい空気を、まったく別のものとして扱うのも違うのではないか。

そう考えました。

 

■そこでエアコンの吹き出し温度を測ってみる

SHINOでは、ほぼ毎日、所用で走る固定コースがあります。

同じ車で、ほぼ同じ経路を繰り返し走る。

 

これは実験設備ではありませんが、車両の変化を観察するには意外と便利な条件です。

そこで、そのコースを利用してエアコンの吹き出し温度を継続して見てみることにしました。

 

※外気導入モード・信号待ち停車時の吹き出し温度

 

 

※外気導入モード・一定時間走行後の吹き出し温度

 

 

当然ながら、外気温、湿度、日射、交通状況、車速などは毎回同じではありません。

ですから、吹き出し温度だけを見てアンダーフロア対策の効果だと判断するつもりもありません。

 

ただ、普段から同じコースを走っているからこそ、

・どのあたりで温度が変化するのか
・車速が変わった時にどうなるのか
・停止と走行でどう違うのか

そうした傾向を見ることはできます。

 

ここでまた、最初の疑問へ戻ってきました。

車速が変われば、車体周辺の空気の流れも変わります。

床下の流れも変わる。

エンジンルームから熱気を排出する条件も変わる可能性がある。

 

そうなれば、ラジエーター、コンデンサー、そしてインタークーラーといった熱交換器が置かれている環境にも関係してくるはずです。

 

■冷却は「冷たい空気を当てること」ではない

今回の確認だけで、

「床下を整流したからエアコンが冷えるようになった」

などという結論を出すことはできません。

そんな単純な話ではないと思っています。

 

むしろ今回面白かったのは、アンダーフロアの流れを追っていたはずなのに、

エンジンルームの排熱

インタークーラー

コンデンサー

エアコン吹き出し温度

まで話がつながってしまったことです(笑)。

 

でも私の中では、これらは別々の話ではありません。

熱は突然消えてなくなるわけではありません。

 

どこかから受け取り、別のところへ移し、最終的には車外へ捨てる。

だから冷却を考えるなら、

どこから空気を入れるのか。
どこで熱を受け取るのか。
そして、その熱をどこへ運び出すのか。

そこまでを一つの流れとして見なければならないと思っています。

 

SHINOのアンダーフロアを見ていたら、いつの間にかエアコンの吹き出し温度まで測っていましたよ(笑)。

でも、こうやって一つずつ現象を追っていくと、車はやはり、一部分だけでは成立していない。

 

そんな当たり前のことが、また見えてきます。

SHINOの検証は、まだ続きます照れ

 

 

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