先日のジムカーナ練習会で、Air Repair iQ “NAGI”を走らせてきました。

 

 

 

2026年5月6日、Lubross主催のソロアタック&スラG練習会です。
朝の入場待ちの時点では、まだ誰も到着していなく空気も少し落ち着いていて、

「今日はどこまで確認できるかな」と考えながら準備していました。

 

 

会場の雰囲気はこんな感じです。
練習会とはいえ、ジムカーナは低速域での減速、向き変え、再加速が連続するので、

車両の動きがかなりはっきり出ます。

今回のコース図です。

 


オンボード映像だけではパイロン配置や走行の流れが分かりにくい部分もありますので、

先にコース図を載せておきます。
見ていただきたいのは攻略ラインそのものではなく、減速後に車がどう収まり、

向きを変えた後にどう立ち上がっていくかです。

 

オンボード映像も撮影しましたので、YouTubeにて公開しました。
映像では、タイムや派手な操作よりも、減速後の車の収まり方、向きを変えた後の立ち上がり、

そして短いホイールベースのiQがどのように次の姿勢へ移っていくかを見ていただければと思います。

 

 

 

 

ただし、最初に書いておきたいのは、Air Repair iQ “NAGI”はジムカーナ専用に作った車ではない、ということです。

ジムカーナで速く走るためだけのセッティングではありません。
サイドターンをしやすくするためだけの車でもありません。
パイロンコースに特化して、極端に曲がる方向へ振った車でもありません。

 

NAGIで私が大切にしているのは、もっと根本的な部分です。

それは、車両運動を自然に整えること。

車が路面からの入力をどう受け止めるか。
ブレーキングで4輪がどう接地するか。
舵角に対して車体がどのように向きを変えるか。
旋回から加速へ移る時に、トラクションがどうつながるか。

そこを整えることを重視しています。

 

iQという車は、非常に特殊な車です。

超ショートホイールベースで、車体も短い。
 

だから、動き出しの反応がとても速いのです。

しかし、反応が速いことと、自然に曲がることは同じではありません。

4輪が曲がるためには、前輪の舵角、後輪の追従、荷重移動、タイヤの接地、

車体のヨーの立ち上がり方が合っている必要があります。


いわゆるアッカーマンジオメトリーの考え方から見ても、超ショートホイールベースのiQは、

4輪が無理なく旋回する条件を外すと挙動が慌ただしくなりやすい車です。

つまり、iQは反応が速い。
 

しかし、その速い反応をどう使うかが難しい。

そこを間違えると、ただクイックなだけで落ち着きのない車になります。
舵角を入れた瞬間に向きは変わるけれど、次の動きが読みにくい。
 

ブレーキングで姿勢が乱れる。
立ち上がりでフロントだけが苦しくなる。
そういう車になってしまいます。

NAGIでは、そこをできるだけ避けたいと考えています。

 

私は過去に、GC8インプレッサやCT9Aランサーエボリューションなどの4WD車で競技をしてきました。
4WD車は、単純に前輪で引っ張るだけでも、後輪で押すだけでもありません。
4輪の接地、荷重、トラクション、そして車体全体の向きの作り方が重要になります。

 

NAGIはFF車です。

しかし、私の中では単純なFF車としては動かしていません。
前輪だけで無理に引っ張って曲がるのではなく、4輪の接地と荷重のつながりを大切にし、

車体全体で曲がる方向へ仕上げています。

 

これは、ジムカーナのような低速で向きを変える場面でも重要です。

パイロンに対して無理に舵角を増やす。
フロントタイヤだけに仕事をさせる。
ブレーキで前だけを潰す。
その状態から無理にアクセルを入れる。

これでは、iQのような短い車は動きが急になりすぎます。

 

NAGIでは、できるだけ4輪が路面を追い続ける時間を作りたい。
そのために、車高調で極端に足を固めるのではなく、伸びストロークも大切にしています。
 

ブレーキも、単に強く効かせるだけではなく、車体がどう沈み込むかを考えています。
空力や電気系の処理も、単体の効果ではなく、車両全体の動きの整合性として見ています。

 

そして、ここで電子制御の話にもつながります。

現代の車は、ECUやS-VSCなどの電子制御が車両の動きを見ています。
舵角、車速、輪速、横G、ヨーレート、ブレーキ入力、スロットル開度。
そういった情報をもとに、車が危険な状態に向かっていないかを判断しています。

 

私は、電子制御を敵だとは考えていません。

むしろ、電子制御が何を見ているのかを考えることが、現代車のチューニングでは重要だと思っています。

 

また電子制御を騙すためのセッティングではありません。
電子制御が見ている車両の動きを、できるだけ自然なものに近づける考え方なのです。

 

車が自然な荷重移動をする。
4輪の接地が乱れにくい。
舵角に対してヨーの立ち上がりが自然につながる。
ブレーキングから旋回、そして加速へ移る時に、大きな破綻がない。

 

そういう車両運動を作れば、電子制御が余計な介入をする必要も少なくなります。

つまり、電制対策というより、電制を生かす走り方を要求してくる車。
それがNAGIだと思っています。

 

ジムカーナ練習会のオンボード映像を見ると、派手な操作や速さそのものに目が行くかもしれません。
しかし、私が見ていただきたいのはそこだけではありません。

 

減速した時に、車がどう沈むか。
向きを変えた後に、車がどう収まるか。
立ち上がりで、トラクションがどうつながるか。
短いホイールベースのiQでありながら、動きが急に破綻していないか。

そういう部分です。

 

なお、今回の練習会では、私自身かなり疲労が残った状態での走行でした。
ですから、操作そのものは決して完璧ではありません。

 

ただ、だからこそ見えるものもあります。

ドライバーが完璧な状態でなくても、車が大きく乱れず、次の姿勢へ自然に移っていく。
そこに、NAGIで狙っている車両運動の一部が出ていると思います。

 

ジムカーナ専用車ではない。
しかし、ジムカーナのような厳しい場面でも、車が大きく破綻しにくい。

それは、専用の小手先セッティングではなく、車両運動そのものを整えているからだと考えています。

 

速く走るためには、車をねじ伏せればよいわけではありません。
車が自然に動ける条件を整える。
自然な荷重移動、接地、ヨーの立ち上がりを利用する。
その結果として、電子制御が余計な介入をする必要がなくなる。

そして、それは結果的に、安全で、速く、楽しく、車にも負担の少ないスポーツドライビングにつながります。

 

Air Repair iQ “NAGI”は、ジムカーナ専用車ではありません。

けれど、自然な力学に沿って車両運動を整えていけば、ジムカーナのような場面でも車は応えてくれます。

電子制御を嫌うのではなく、電子制御が納得する動きを作る。
車をねじ伏せるのではなく、車が自然に動ける条件を整える。

NAGIで目指しているのは、そういう車両運動です。

 

Air Repairホームページ


Air Repairは「パワーを足す」のではなく、反応の遅れを消して“成立条件”を作る方向で整えます。
「速さ」より「怖さが消える」方向に興味がある方は、車両情報を添えてAir Repair公式HPの問合せフォームからご連絡ください。(問合せ時は「車種/年式・タイヤ・足回り・症状(どんな場面で怖いか)」を添えてください)