どんな場所でも自分の音を聴きながら練習できるシステムを考えました。 | iPhone De Blog

iPhone De Blog

2009年12月7日からスタート
iPhone3GSからiPhoneユーザのLEONがiPhoneやAndroidなどを中心にしたデジタル系ガジェット、IT関連ネタ、趣味のコントラバスやチェロを中心としたクラシックネタ、2022年から始めた自家焙煎に関する話や日常の話まで幅広く書いてます。

以前からチェロ(楽器)の練習で、やってみたい事があったので必要な物を集めてみました。
 
目的は2つあって、
 
1)環境に左右されずに自分の音や伴奏を聴きながら練習する。
 
2)自分の音を客観的に聴く環境を作る。
 
環境と言うのは、例えば家で夜等静かな場所、又は、オーケストラの練習場等のうるさい場所の両方で、何れも場合も自分の音は小さくとも良いと言う事です。
 
このうち静かな場所と言うのはAirPodsPro等の外部音をコントロール出来るイヤフォンを持っていれば実現可能で、自分が以前やっていたのは外部音取り込みのモードにしてチェロにはミュートを付けて弾くと言うものです。
 
これだと、チェロの音もイヤフォンから聴くKitterやMetronaut(後述)を聴きながら練習できます。
 
但し、外の音が全て聴こえるのですから、うるさい場所では使えません。
 
まあ、これらの目的が必要かどうかは人それぞれだと思いますが、以下にこの実現方法を紹介します。
 
先ず、1つ目には必要ですが、2つ目には必ずしも必要では無いのがこれです。
 
1)楽器の音をモニターする為のMixer
メーカーでは「ギター用モバイルオーディオインターフェース」と言ってますが、詳しく書くと、楽器の音の入力(LINEレベルの入力)とイヤフォン出力とLINE出力がある物で、これをiPhoneへ接続して楽器の音をiPhoneで加工。その音をイヤフォンや外部アンプへ出力する事が出来るMixerです。
 
基本的な接続は3つで、楽器入力側(エレキギターの出力が標準ですがコンタクトマイク等も使えます)、モニター出力側×2(イヤフォン、アンプ)、本体から直接出ているL端末(iPhone)へ挿すINEジャックの3箇所です。
 
但し、これはiPhoneにイヤフォンジャックがあった頃に開発されている製品の為、現在の機種だとLightningやType-Cの変換コネクタが必要となります。
 
 
この為?になるのか分かりませんが、後継機種としてイヤフォンジャックでは無くUSB接続のタイプの物も出ています。

 

ただ、何れもそこそこの値段がするんですが、実はこれのバッタモン?で価格の安い物もあります。

 

機能的には同等でしょうし、最初はこちらを使うつもりでしたが、運良くiRig2をヤフオクで送料無料2,999円で手に入れたのでiRig2を使っています。

 

 

 

私の使っているiPhoneSEはLightningなので変換アダプタが必要です。これは注意点があるので後で説明します。

 
2)楽器の音を入力するコンタクトマイク
 

楽器側の入力用として、これを手に入れたのですが、安かったのとチェロの表板に取り付けるのにカッコ良かったものの、結論から言うと、表板にダイレクトに取り付けると、やや音がリアルで高音寄りになるのと、不要なノイズも拾いやすく、チェロの表板に取り付けるにはサイズがギリだったので取り付けと取り外しに注意が必要で面倒だった為、結局、手持ちのチューナー用コンタクトマイクを使ってますが、これは楽器や用途によって変わるでしょう。

 

 

ジャックはiRig2の入力コネクタはエレキギターのシールドケーブルを想定していますが、その大きさに対応しているのでそのまま使えます。

 
実際に使っているのは、以前使っていたチューナー用のコンタクトマイクで、ミニジャックタイプなので、手持ちの変換プラグを使ってます。
多分、コンタクトマイクは楽器をやっている人なら一つは持っていると思いますが、そのまま使えます。
 
これはクランプ部分がゴムなので、音がややフィルターされて音色が丸くなりますが、不要な接触ノイズが減って、イヤフォンで聴くのには丁度良い感じがしました。
 
3)低遅延タイプのBluetoothトランスミッターとイヤフォン
 
コンタクトマイクは取り敢えず何でも良いのですが、これが一番重要で、2番めの目的にも必須です。
 
勿論、一般的な有線のイヤフォンをiRig2へ挿して使えば問題ないのですが、実際にやってみると、楽器からiRig2へのケーブル、iRig2からスマホへのケーブルと有線イヤフォンの3本となるので線が増えすぎますし、結局、楽器と自分もケーブルで繋がる状態となって身動きが取れなくなり非常に不便です。
 
恐らく、これは通常のエレキギターで使う場合も同様だと思いますが、これを解決するにはBluetoothです。
 
但し、一般的なBluetoothでは遅延が発生しますので、これが少ない製品が必要となります。
 
この低遅延と言うのはBluetoothの規格(コーデックと言われる無線化してデータとする技術)によるのですが、現在主流の規格の製品では殆どが「いっこく堂」状態で、楽器を弾いても遅れて聴こえて気持ち悪くて使えません。
 
一方、Qualcommと言う会社が技術を持っている「aptX-LL」と言うコーデックに対応した製品を使うとこの「いっこく堂」状態が解消されます。
 
LLとは人によってはお馴染みの服のサイズでは無く笑、Low Latency(低遅延)と言う意味で、この技術を使ったBluetoothヘッドフォンは主にゲーム用等で利用されています。
 
iOSで使われている(iPhoneや自分も使っているAirPods)「AAC」と言うコーデックで、遅延時間が0.12秒ですが、aptX-LLは遅延時間が0.04秒未満です。
※ちなみに、LLの無い「aptX」も存在して、こちらは遅延時間が0.07秒なので注意して下さい。
 
高々「AAC」とは3倍、aptXとは2倍程度の差ですが、実際に使ってみるとその差は劇的で、人間の脳では0.1秒以下の遅延は感じ難いそうで、実際に装着して比較してみるとAACやaptXとaptX-LLでは雲泥の差があります。
 
勿論、普通に音楽を聴いている場合はこれらの低遅延は全く関係ありませんが、自分の弾いている楽器の音をリアルタイムでモニターすると言うのは一般のBluetoothイヤフォンでは難しいのです。
 
この場合、一般的なスマホ等はaptX-LLに対応していませんし、今回はiPhoneと通信するのではなくiRig2と通信する為、イヤフォンの音をBluetoothで送信する為のトランスミッター(送信機)が必要となり、これがaptX-LLのコーデックに対応している必要があります。
 
このaptX-LLに対応する中でコンパクトで低遅延で低価格と言うと限られて来るのですが、自分が選んだのはこちらです。
 
iRig2のイヤフォンジャックへケーブルを挿せば、Bluetoothで低遅延で送信してくれます。
 

 

 

元々このLaza-Vallyと言うのはGlazataと言うブランドのAmazonブランドですが、ネックバンドでは無いタイプあります。

 

これだと手持ちのイヤフォンが使えるので音質まで拘れますのでこちらの方が良いかもしれません。

 

 

自分がネックバンドにしたのはネックバンドタイプを今まで使った事が無かったのと、aptX-LLの実力がイマイチ不明だったので、上手く行かない場合はジムでの運動用として使っても良いかなと思った為です。

 

 
中々立派な箱に入って、収納ケースも付属してました笑
 

実際の接続は以下の様な感じです。

 

 

先ず、シンプルな方から。自分が持っているMikmeのイヤフォン出力にBluetoothのトランスミッターを接続して使います。

 

 
 
Mikmeは単体でも動作する為、Mikmeを離れた場所に置いて電源を入れるとすぐにイヤフォンジャックへ挿したBluetoothトランスミッター経由でBluetoothイヤフォンへ音が流れ出し、楽器を弾くと、離れた場所でMikmeを通した音が聴こえてきます。
 
この場合、Mikmeを録音状態にする必要は無いのですが、録音状態とすれば、そのまま録音している音がモニター出来ると言う事です。
 
こうする事で、離れた場所で自分の楽器の音がどの様に聴こえる(言い換えれば、録音している音がどう聴こえているか)かが分かる訳です。
 
これは簡単そうで、実現しようと思うと結構な機器が必要となりますが、これだけでホール(まあ、あまり広いホールはBluetoothが届かない可能性もあります)等で、実際、弾いている音のモニターがリアルタイムで出来ると言う事です。
 
例えば、自分の声を録音して聴くと普段聴こえている声と違う。と言う印象がしますが、実際にやってみると自分の楽器にも同様の事が言えます。
 
普段は楽器の直接音を聴いて、客席側の音を想像して弾いていますが、例えば、ビブラートやクレッシェンド、デクレッシェンド、刻みやテヌートのニュアンス等が遠くで意図通りに聴こえているのかと言う事を客観的に聴くことが出来ます。
 
思ったよりもビブラートが速い方が良い、音は短い方が良い。もう少し長めでも大丈夫等、後からモニターしないと分からない事が、実際に弾きながら判断出来る訳です。
 
良く「ホールの音を聴いて弾け」と言われますが、正に、離れた場所でどう聴こえるかを意識して弾くのは中々出来ない経験で、面白いと思いますし、Mikmeはマイクとしても高性能ですから、かなり正確に再現されているのでは無いかと思います。
 
この2つ目の目的は練習と言うよりも実験的なもので、メインの目的は1つ目でiRig2を使う場合の使い方ですね。
 
写真はこの場合の接続ですが、iPhoneへアダプタを使ってiRig2を接続して、コンタクトマイクを挿して楽器に取り付け、イヤフォン側へ繋いでいるBluetoothのトランスミッターを繋いで同じくBluetoothのイヤフォンで音を聴きます。
 
楽器とiRig2はコンタクトマイクのケーブル、iPhoneはiRig2とイヤフォンケーブルで繋がれていますが、自分はBluetoothで独立していますので、ちょっと楽器を置いて席を外すと言う事も手軽に出来ます。

 
この場合、自分の楽器の音だけを聴きたいと言う場合なら、既に書いている様に、静かな場所であれば、ミュートを楽器に付けて練習すれば良いだけですが、このシステムなら、静かに練習したいと言う場合や、他の楽器が鳴っているうるさい場所でも練習したいと言うケースでも、iPhoneで使っている練習用のアプリやメトロノーム等を同時に使って、イヤフォンで楽器の音と一緒に聴きながら練習出来ます。
 
イヤフォンを付けてない人から聴くと、ミュートを付けた楽器の音(うるさい場所ならミュートは必要ありません)しか聴こえませんし、イヤフォンからはアンプのアプリで増幅や加工した楽器の音と他のアプリの音が聴こえてきます。
 
例えば、上の写真のアプリはTEチューナーと言うアプリで、任意の音やメトロノームの音が出ます。
 
練習場へ来てウォームアップしたいと言う場合に、既に金管楽器が来てバンバン練習していたら何をやっているのか分からないと言うのはオーケストラあるあるですが、このシステムを使えば、自分の音に集中してメトロノームやチューナーを使って練習が出来ます。
 
実際、コントラバス等は練習場の休憩時間等で音出ししても、チェロよりも何を弾いているか分からない楽器なので休憩時間に楽器を弾いても疲れるだけなので触らない様にしているのですが、試しに使ってみるとイヤフォンにより周囲の管楽器の音が低減され、コンタクトマイクからアンプを通した自分の楽器の音が聴こえるので集中して練習できます。
 
ちなみに、iRig2は電源不要です。
これはiPhoneからのイヤフォンを通じて得られる電力で動作している為で、逆に言えばiPhoneへ接続していなければ電力が供給されないので単独では動作しません。
 
又、iRig2が動作するアプリをインストールしておく必要がある上、これが動作していないと楽器の音がイヤフォンから音が出ません。
 
これを理解していない人が多く「音が出ない」から不良品と思う人が多い様です。
 
私も最初は挿すだけで動作するのだろうと思ってましたが、対応しているアプリの起動が必要です。
 
このiRig2で使えるアプリは様々あって、無償のものから有償のものまであります。
 
自分はこの無償の物を使っていますが、このアプリはバックグラウンドで動作させる事が出来ますので、一度立ち上げて動作させた後、上記のTEチューナーの音を聴きながら(TEチューナーを動作させながら)、同時にこのアプリを動作させて自分の楽器の音を聴くことが出来ます。
 
image
 
セッティングさへ出来れば使うアプリを変えるだけで様々な練習が出来ます。
 
これはKitterと言って、YAMAHAの出している練習用アプリで、読み込んだ曲を適当に分割して、任意の速度で再生できるアプリですが、これを聴きながら練習できます。
 
こちらはMetronautですが、伴奏音源を鳴らしながら練習できます。
 
最後に注意点が3点、先ず、音質に関しては期待しないで下さい。
 
1)音色の問題
 
iRig2を通して聴くとエレキギターの様な音になります。
サイレントチェロは使った事がありませんが、恐らくサイレントチェロの音だと思います。
これは、最初の方に書いている様にコンタクトマイクの機能にも左右されます。
 
ただ、基本的に、慣れてくると若干エコーが掛かったエレキギターの様な伸びのあるサウンドは生音よりも気持ち良いので、こっちの方が楽しくて病み付き注意ですし、ミュートを付けると右手が楽になるので上手くなった様な気がするのも危ないです。
 
良く、ミュートを付けると楽器が鳴らなくなると思っている人が居ますが、あれは間違いです。
物理的に鳴らなくなるのでは無く、身体(右手)が楽に音が出る状態に慣れてしまって、ミュートが無い状態の楽器をしっかり鳴らせなくなる為です。
逆に、オケの本番の後等で楽器が良く鳴る様になったと言うのも、広い場所で大きな音を出す時間が長かった為です。
 
狭い場所ばかりで練習せず、広い場所でちゃんとミュート無しの生音でも練習しましよう。
 
2)イヤフォンの問題
 
紹介しているネックバンドタイプのBluetoothイヤフォンそのものの音響特性はAirPodsProと比べてもAirPodsProの方が良いので、その程度と認識して下さい。あくまでも練習用です。
 
もし、もっと良い音で聴きたい場合は有線イヤフォンを接続するタイプがおすすめですが、このaptX-LLは大元のaptXと比べるとサンプリング等のレートが低いので、そもそもがそれ程音響は優先していない様です。
 
ただ、このBluetoothイヤフォン、遅延が無いので良いのですが、イヤーピースがイマイチ自分の耳に合わない感じで、長時間着用すると疲れそうなのが気になっている点です。
 
※結局、これは運動用となりました笑
これに関しては次の記事で紹介します。
 
3)iPhoneの変換コネクタの問題
 
iPhoneへ接続する変換ケーブルコネクタですが、使える物と使えない物がある様です。
 
当初、このタイプの電源が同時に供給出来る物を使っていたのですが、入力へ繋いでいるコンタクトマイクの音がイヤフォンから聴こえませんでした。
※私が購入した物は既に無くなってたので違う物なのでこれが使えなかったと言う訳では無く、この様な方式の物と言う事です。
 
接続して、アプリを立ち上げて設定画面を確認すると下の様にInputがBuilt-in microphoneとなっていましたが、この状態だとiPhone本体のマイクから音が入る為、コンタクトマイクで拾う音は聴こえません。
最初は原因が分からずに「うん?不良品?」と思いました。
 
※ちなみに、このアンプアプリをバックグラウンドで動作させたい場合は、下の様にMonitoring during PlaybackをONで使います。
 
image
 
取り敢えず、変換アダプタの問題かどうか確認する為、ちょっと高かったですが、Appleの純正品を手に入れて使ってみると、この様にinputがHedset Jackとなって、あっさりコンタクトマイクからの音がイヤフォンから聴こえて来ました。
 
image
 
後で調べてみると、どうやらこの手の変換ケーブルにはマイクへ対応していない物がある様で、一応確認したつもりでしたが、そこは確認する必要があります。
 
自分自身は自宅でミュートなしで練習できるのですが、例えば、日曜に家族が居る時にガンガンチェロを鳴らして練習するのは気が引けますし、こう言うセットがあれば気兼ねなく練習できます。
 
又、ビジネスホテル等で練習したり配信で利用したり等、用途は色々あるのでは無いかと思います。