先日、伊藤若冲の花鳥画など、新たに5点の絵画・書籍が国宝指定されることになったニュースがありました(令和3年7月16日 文化庁発表)ので、今回は奈良の国宝について。
国宝とは、文化財保護法で分類される有形文化財(美術工芸品、建造物)のうち、“重要なもの”を「重要文化財」、なかでも“特に価値が高いもの”。
国宝の数は、この5点を加えて1,130件となるそうです。
そして、都道府県別の国宝保有数で、奈良県は堂々の1位!
と言いたいところですが、実際は東京、京都に続いて3位の指定件数となっています。

令和3年7月1日現在(重要文化財の件数は国宝の件数を含みます)
引用:文化庁「文化財の紹介」
奈良の国宝といえば、「奈良の大仏」こと東大寺の銅造廬舎那仏坐像をはじめ、阿修羅像で有名な興福寺の乾漆八部衆立像、12年にもわたる史上初の全面解体修理を今年終えた薬師寺東塔など、一度は写真や映像で、または現地で見たことのあるものも多いかと思います。
その中でも私のおすすめは、新薬師寺!
東大寺の銅造廬舎那仏坐像(奈良の大仏)で知られる聖武天皇、大仏造立の途中で体調を崩されます。天皇の病気平癒を祈り、お后の光明皇后によって創建されたのが新薬師寺で、東大寺ととても結びつきがあるお寺です。
創建当初は、金堂など七堂伽藍や東西両塔が建ち並ぶ大寺院でしたが、落雷、台風で多くのお堂が失われてしまい、
現在は、鎌倉時代の再建である鐘楼・地蔵堂・南門・東門(いずれも重要文化財)、
そして天災の被害を唯一逃れ、奈良時代から残る数少ない貴重な建造物として国宝に指定されている本堂を残す伽藍配置となっています。

写真:十二神将像から「伐折羅(バザラ)大将」 まさに怒髪が天を衝く様です! ©新薬師寺
許可をいただき新薬師寺様のHPから転用させていただきました
その国宝の本堂内には、やはり国宝の木造薬師如来坐像※1 を中心に、伐折羅(バザラ)大将で有名なこれもまた国宝の塑像十二神将像※2 が、お薬師様の周囲を守るかのように取り囲む荘厳なお姿を間近に拝むことができる、とても貴重なお寺なのです。
※1 木造薬師如来坐像は、体の病、心の病などすべての病を治す霊薬の入った薬壺(やっこ)を左手に持ち、病気を治す仏として信仰されている新薬師寺の本尊で、平安時代初期ごろの制作とされています。頭から胴体は一本のカヤの木から彫り出され、木芯部分が使われているため元の木は胴体の幅の2~3倍の直径を持つ樹齢1000年を超える巨木であったと考えられています。
穏やかで力強く、圧倒的なボリューム感のある姿は、我が国屈指の仏像彫刻とされ国宝に指定されています。
※2 薬師如来は、修行時代に人々を救いたいという思いから十二の誓いを立てます。この十二の誓願がそれぞれ神格化したのが「十二神将」です。一躯で7,000、合計84,000の部下を持つ大将で、薬師如来の眷属として十二の方角を守っています。
新薬師寺の十二神将立像は奈良時代に制作された、最古にして最大の十二神将像で、塑像彫刻の傑作として国宝に指定されています。

写真:薬師如来と十二神将 ©新薬師寺
許可をいただき新薬師寺様のHPから転用させていただきました
東京に国宝が多いのは、国宝所蔵数日本最多の東京国立博物館をはじめとして、美術館や博物館に収蔵されている美術工芸品が多いのが理由です。
もちろん、文化財の保護と公開という意義は非常に大きいといえますが、
奈良には新薬師寺のように、あるべき場所に、あるべき姿のまま存在する国宝や文化財がたくさんありますので、機会あれば是非奈良に来てみてください!
令和3年7月28日現在、東京国立博物館にて、奈良とゆかりのある特別展が開催されていますので、なかなか奈良には行けないよ、という関東の方も東博で奈良に触れてみてください。
- 特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ」(令和3年9月12日まで)
- 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」(令和3年9月5日まで)
近くの国宝を探してみよう:
文化庁「国指定文化財等データベース」や、奈良文化財研究所「文化財総覧 WebGIS」などで文化財の検索ができますので、皆さんの近くの、また所縁の土地の国宝を調べてみてはいかがでしょうか。
アイ・ピー・ファイン/奈良まほろばソムリエ検定 奈良通1級
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