奈良公園の南西位置、ならまちの東側入口あたりにあたる「福智院北」交差点の案内板。

 

こっちも文化財、そっちも文化財を指し示す圧巻の案内板で、奈良に来て初めてこの案内板を見たときはかなりびっくりしました。

 

©tsudakko

Googleマップで地図を見る

 

 

ここからすぐ近くにある「福智院」さんには、宝冠を被られた美しいお顔の十一面観音様がいらっしゃいます。

春と秋の短い期間だけ開帳される秘仏で、素敵な御朱印が頂けますのでならまち散策の折にはぜひ行ってみてください。

 

@tsudakko

 

 

アイ・ピー・ファイン/奈良まほろばソムリエ検定 奈良通1級

tsudakko

先日、伊藤若冲の花鳥画など、新たに5点の絵画・書籍が国宝指定されることになったニュースがありました(令和3年7月16日 文化庁発表)ので、今回は奈良の国宝について。

 

国宝とは、文化財保護法で分類される有形文化財(美術工芸品、建造物)のうち、“重要なもの”を「重要文化財」、なかでも“特に価値が高いもの”

 

国宝の数、この5点を加えて1,130件となるそうです。

 

そして、都道府県別の国宝保有数で、奈良県は堂々の1位!

と言いたいところですが、実際は東京、京都に続いて3位の指定件数となっています。

令和3年7月1日現在(重要文化財の件数は国宝の件数を含みます)

引用:文化庁「文化財の紹介」

 

奈良の国宝といえば、「奈良の大仏」こと東大寺の銅造廬舎那仏坐像をはじめ、阿修羅像で有名な興福寺の乾漆八部衆立像、12年にもわたる史上初の全面解体修理を今年終えた薬師寺東塔など、一度は写真や映像で、または現地で見たことのあるものも多いかと思います。

 

その中でも私のおすすめは、新薬師寺

 

東大寺の銅造廬舎那仏坐像(奈良の大仏)で知られる聖武天皇、大仏造立の途中で体調を崩されます。天皇の病気平癒を祈り、お后の光明皇后によって創建されたのが新薬師寺で、東大寺ととても結びつきがあるお寺です。

 

創建当初は、金堂など七堂伽藍や東西両塔が建ち並ぶ大寺院でしたが、落雷、台風で多くの堂宇が失われてしまい、

現在は、鎌倉時代の再建である鐘楼・地蔵堂・南門・東門(いずれも重要文化財)、

そして天災の被害を唯一逃れ、奈良時代から残る数少ない貴重な建造物として国宝に指定されている本堂を残す伽藍配置となっています。

 

写真:十二神将像から「伐折羅(バザラ)大将」 まさに怒髪が天を衝く様です!  ©新薬師寺

許可をいただき新薬師寺様のHPから転用させていただきました

 

その国宝の本堂内には、やはり国宝の木造薬師如来坐像※1 を中心に、伐折羅(バザラ)大将で有名なこれもまた国宝の塑像十二神将像※2 が、お薬師様の周囲を守るかのように取り囲む荘厳なお姿を間近に拝むことができる、とても貴重なお寺なのです。

 

※1 木造薬師如来坐像は、体の病、心の病などすべての病を治す霊薬の入った薬壺(やっこ)を左手に持ち、病気を治す仏として信仰されている新薬師寺の本尊で、平安時代初期ごろの制作とされています。頭から胴体は一本のカヤの木から彫り出され、木芯部分が使われているため元の木は胴体の幅の2~3倍の直径を持つ樹齢1000年を超える巨木であったと考えられています。

穏やかで力強く、圧倒的なボリューム感のある姿は、我が国屈指の仏像彫刻とされ国宝に指定されています。

 

※2 薬師如来は、修行時代に人々を救いたいという思いから十二の誓いを立てます。この十二の誓願がそれぞれ神格化したのが「十二神将」です。一躯で7,000、合計84,000の部下を持つ大将で、薬師如来の眷属として十二の方角を守っています。
新薬師寺の十二神将立像は奈良時代に制作された、最古にして最大の十二神将像で、塑像彫刻の傑作として国宝に指定されています。

 


写真:薬師如来と十二神将 ©新薬師寺

許可をいただき新薬師寺様のHPから転用させていただきました

 

 

東京に国宝が多いのは、国宝所蔵数日本最多の東京国立博物館をはじめとして、美術館や博物館に収蔵されている美術館工芸品が多いのが理由です。

もちろん、文化財の保護と公開という意義は非常に大きいといえますが、

 

奈良には新薬師寺のように、あるべき場所に、あるべき姿のまま存在する国宝や文化財がたくさんありますので、機会あれば是非奈良に来てみてください!

 

 

令和3年7月28日現在、東京国立博物館にて、奈良とゆかりのある特別展が開催されていますので、なかなか奈良には行けないよ、という関東の方も東博で奈良に触れてみてください。

  • 特別展「国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ(令和3年9月12日まで)
  • 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺(令和3年9月5日まで)

 

 

近くの国宝を探してみよう:

文化庁「国指定文化財等データベース」や、奈良文化財研究所「文化財総覧 WebGIS」などで文化財の検索ができますので、皆さんの近くの、また所縁の土地の国宝を調べてみてはいかがでしょうか。

 

 

アイ・ピー・ファイン/奈良まほろばソムリエ検定 奈良通1級

tsudakko

奈良県は、北に京都府、西に大阪府・和歌山県、そして東は三重県に囲まれた「海なし県」です。

かつて、県民ネタバラエティー番組での奈良県民が砂浜の熱さに悶絶するというエピソードに『どの県民でも砂浜は熱いだろ!』と家族で突っ込んだ記憶があります。

 

そんな海なし県ですが、南北に長い形をしていて、その真ん中に「中央構造線(メディアンライン)」と呼ばれる境界線があります。

この「中央構造線」は、九州・四国~紀伊半島を横断し、その北と南で、地形や気候、植物などの自然環境の違いを生み出している境界線なのです。

 

奈良県ってこんな形

 

この境界線の南は、深い谷と急な山岳からなり、夏でも比較的涼しく年間をとおして雨の多い地域です。特に「大台ケ原」は1日の降水量が1200mm(大正時代)、冬には気温-25度というすごい記録があるそうです。

 

一方、境界線の北には、温暖で少雨の奈良盆地が広がります。

この奈良盆地を中心に、原始の時代から古代・中世・近代と長い歴史、多くの文化が展開していくのですが、われわれアイ・ピー・ファインもこの地を拠点に歴史ある会社になるよう頑張っていきたいと思っています。

 

 

奈良を感じるテレビ番組:

BS-TBSで毎週水曜日、吉岡里帆さんキャストで「奈良ふしぎ旅図鑑」という番組が放送されています(よる8:54~9:00)。6分という短い番組ですが、奈良の『素敵なふしぎ』をぎゅっと凝縮して紹介されている番組です。機会あればぜひご覧ください。

 

 

 

アイ・ピー・ファイン/奈良まほろばソムリエ検定 奈良通1級

tsudakko

アイ・ピー・ファインの活動拠点である「奈良」についていろいろと知っていただきたいと思い、「奈良ってこんなところ」をテーマに執筆させていただくことになりました。

 

奈良は、鹿と大仏だけじゃない!というところを、「奈良検定」1級合格の筆者が担当させていただきます!!よろしくお願いいたします。

 

題名:いちゃいちゃしか ©tsudakko

 

さて、その「奈良検定」について少しお話しを。

 

奈良検定、正式には「奈良まほろばソムリエ検定(主催:奈良商工会議所)といい、3つの受験資格があります。(筆者は真ん中の「奈良通1級」)

  • 奈良まほろばソムリエ・・・・奈良県の歴史や文化について専門的な知識レベル
  • 奈良通1級・・・・・・・・・・・・・奈良県の歴史や文化について高度な知識レベル
  • 奈良通2級・・・・・・・・・・・・・奈良県の歴史や文化について基本的な知識レベル

 

最上位資格の「奈良まほろばソムリエ」は観光ガイドができるレベルで、奈良の社寺拝観料の一部免除など、(少なくとも筆者にとっては ^^;)魅力的な特典がありますが、出題が小論文形式になるなど1級までとはレベルが違うので、チャレンジは仕事をリタイアしてからですね。

 

1級ではありますが、歴史、自然、神社仏閣、史跡・名所、年中行事、伝統文化、伝統工芸、観光見所など、奈良県の歴史や文化、観光に関する事項全般について勉強しました。このブログで奈良の魅力についてお伝えできればと寄稿いたしますので、よろしくお願いいたします。

 

 

なお、奈良検定は毎年1月、奈良と東京でも受験できますので、興味のある方は

「奈良まほろばソムリエ検定(奈良商工会議所)」ホームページをご覧ください。

過去問も掲載されていますので是非腕試しを!

 

 

アイ・ピー・ファイン/奈良まほろばソムリエ検定 奈良通1級

tsudakko

インド知財庁ではInPASSと称する特許検索データベースを運営しています。ほとんどの新興国ではデータベース上で開示される情報が要約どまりであり、請求項も詳細な説明も開示されていません。このような諸国では、特許の権利範囲を確定させるためには、現地事務所に依頼して知財庁で包袋を閲覧する等の面倒な手続きが必要になります。オンラインでどんな情報でも取得できると思われる現代社会において、ひと昔・ふた昔まえの時代の話のように思えます。


しかし、さすが「IT先進国」とも呼ばれるインドは違います。前記のデータベースInPASSでは、収録されたほぼすべての案件について、請求項も詳細な説明もオンラインで検索することも可能、もちろん査読することも可能です。インドの場合は特許文献が英語で記されているので、多くの日本人も直接読むことができますが、データベースで開示されるテキスト情報が画像情報ではなく電子テキスト情報であり、Google翻訳等で機械和訳させて査読の効率を上げることも可能です。

ところがやはりインドはインドです。全面的に信頼していると、大きなどんでん返しが・・・。

インド特許調査についての私のセミナーでは以前よりご紹介しているように、InPASSのIPC検索には大きな問題があります。たとえば出願番号201621043245の案件には、図のように3個のIPCが付与されています。

 

このような案件は、複数のIPCを区切るカンマや半角スペースを含んで、書誌画面の表示と完全に同じ文字列を検索しないとヒットしません。個々のIPCのそれぞれを検索してもヒットせず。区切り記号をカンマだけにしても、半角スペースだけに変更してもヒットしなくなります。いろいろな文字列を検索してみた結果を表にまとめました。表の△は半角スペースを表しています。

 


特許を検索したことがある人が作ったデータベースとは思えない動作です。

最近になって私も気がつきました。この酷いIPC検索がさらに「進化」してしまったようです。2021/07/12時点では、「G06K17/00,△G07G1/12,△G07F7/02」を検索しても、この案件をヒットさせられません。今や、複数のIPCが付与された案件はIPC検索することができないという、どこの新興国よりも調査性能が劣るデータベースになってしまったようです。

ところでこの1~2年に公開された案件では、IPC文字列がA61K0033380000の形式で表記されることが多くなっています。10桁の連続数字の、前4桁がメイングループを、後ろ6桁がサブグループを表しているようです。この形式のIPCが使用された案件では、大多数の案件には5個のIPCコードが付与されています。

 



複数のIPCが付与された案件を検索できないデータベースに、5個もIPCが付与された案件ばかり収録されているということは、「このデータベースはIPCを検索できない特許データベースだ」と言わざるを得ません。

しかたがないので中西は、InPASSに収録された全ての案件の書誌情報を参照して、各案件に付与されたIPCを洗い出し、IPC検索が可能なデータベースを構築しました。勘弁してもらいたいものです。

 

アイ・ピー・ファイン株式会社/アジア特許情報研究会
中西 昌弘

知財講演のお知らせです。

 

株式会社 技術情報協会様主催のセミナー

「AI技術を活用した知財業務の効率化と運用の仕方」がオンラインで開催されます。

 

日時:2021年9月10日(金)10:30〜12:00

料金:1名につき60,500円(消費税込み、資料付) 
  〔1社2名以上同時申込の場合1名につき55,000円(税込)〕

 

このセミナーには、アイ・ピー・ファイン副社長の平尾が登壇します。

 

セミナー詳細については、下記のリンクよりご覧いただけます。

 

LIVE配信セミナー「AIによる知財業務の効率化と 効果的な使い方、運用のポイント」

 

なお、このセミナーへのご参加は「講演者紹介割引き」があります。

お申し込みは講演者、平尾啓までお電話ください。

携帯:090-9884-8953

 

ご興味のある方は是非、ご視聴を。

 

 

この記事は「Voice of Indonesia」というインドネシアの公共ラジオ放送局が運営するサイトで2020年の12月にアナウンスされたものです。以下は記事の抜粋です。

 

・・省略・・
このコラボレーションは、アフリカ大陸から19人のメンバーがいるARIPOが、DGIPによって作成されたシステムを採用するのを支援するためのものでした。ARIPOは、インドネシアが作成したシステムがこれらの国で実施するのに非常に適切であると考えています。
・・省略・・

 

少し話がずれますが、東南アジアではアセアン知財協力作業部会(AWGIPG)により、アセアン地域全体の組織的な知財分野の活動が行われています。このAWGIPCではASEAN PATENTSCOPEというアセアン各国の特許等を収録するデータベースが運営されています。このデータベースもARIPOと同様に、WIPOが開発したIPAS版のエンジンをローカライズしたデータベースです。これを実質的に開発したのがインドネシア知財庁のDGIPです。

DGIPはASEAN PATENTSCOPE開発の経験を活かしてARIPOのデータベースの開発を支援することになったようです。しかしこの記事を読んで、アジア特許情報研究会内部ではARIPOサイトの今後を少々心配していました。

・・・・

 

先日、このブログで「アフリカにもWIPO IPAS版データベースが」と紹介したように、ARIPOにWIPO IPAS版のデータベースがお目見えしました。

 

このデータベースから取得した出願番号AP/P/2018/010441の案件のXMLファイルには、

<classification-ipcr sequence="1">
    <ipc-version-indicator>
        <date>2006.01</date>
    </ipc-version-indicator> 
    <section>G</section> 
    <class>G0/</class> 
    <subclass>R</subclass> 
    <main-group>21</main-group>
    <subgroup>/0</subgroup>
    <symbol-position>R</symbol-position>
    <generating-office>
        <country>ID</country>
    </generating-office>
</classification-ipcr> 

のように、付与されたIPCの情報が記されています。

 

<generating-office><country>ID</country></generating-office>
とあるように、やはりインドネシア(ID)知財庁DGIPによりXMLデータが生成されたようです。

過去のDGIPのシステムでは、色々とIPCに関する問題が発生していました。筆者が受ける印象では、インドネシアの知財庁はあまりIPCについて詳しくないようです・・・。

ご存じのようにIPCは、セクション・クラス・サブクラス・メイングループ・サブグループの「5パーツ」で構成された国際特許分類です。XMLの規定上では、IPCの5パーツそれぞれを前記のようなタグを使用して表現します。今一度XML文字列をご覧ください。

クラスとサブグループが
<class>
G0/</class>
<subgroup>
/0</subgroup>
のように記されています。本来ならばIPCのクラスは2桁の数字、サブグループは2桁以上の数字です。

 

こんな妙ちくりんなXMLデータを作ってしまうと、データベース画面上でも


のようになってしまいます。ARIPO案件の技術分野が全く分からなくなってしまいました。

ちなみにARIPOでは従来から使用されていたデータベースにも、このURLから入ることができます。

この「旧データベース」で同じ出願番号AP/P/2018/010441の案件を表示させるとこのように。


 

こちらで表示されるIPCが「正解」のようです。

 

WIPO IPAS版の「新データベース」の運用が開始されたこのあと「旧データベース」がどのようになっていくのか全く分かっていません。「旧データベース」にも新しい案件が収録されるのかどうかわかりません。「新データベース」のデータの修復を心待ちにするしかありません。

ところでここでは

もちろんモザンビークで発行され、所定のIPCが付与された案件を調べてくれなんていう要請もアイ・ピー・ファインではお受けします。
なんて書いてしまいました。前言撤回します。今はARIPO諸国の案件をIPCで検索することができません。ごめんなさい。データベースがまともになるまでお待ちください。
 

アイ・ピー・ファイン株式会社/アジア特許情報研究会
中西 昌弘

さすが国連機関のWIPOです。アフリカ広域知的財産機関(ARIPO)でもWIPO IPAS版のデータベースが採用されていることを知りました。「ARIPO Regional IP Database」をクリックすると図のようなデータベースが開きます。特許だけでなく意匠・商標も収録されているようです。

 

 

ARIPOとはアフリカの英語圏諸国の広域特許庁、言わば欧州特許庁のようなものです。ESPACENETにはEP特許だけでなく、DE特許・FR特許等、加盟各国で発行された特許が収録されているのと同様に、ボツワナ・ガンビア等、アフリカ大陸のどのあたりに位置するのかも知らない国名が並んでいます。今マスコミを賑わせているウガンダも・・・。

 

正加盟国はボツワナ・ガンビア・ガーナ・ケニア・レソト・マラウイ・モザンビーク・ナミビア・シエラレオネ・ソマリア・スーダン・スワジランド・タンザニア・ウガンダ・ザンビア・ジンバブエ・リベリア・ルワンダの18か国のようであり、収録されていない国もあるようです。

 

いずれどんな案件が収録されているのか、日本企業がどこにどの程度出願しているのかを調べてみたいと思います。

 

もちろんモザンビークで発行され、所定のIPCが付与された案件を調べてくれなんていう要請もアイ・ピー・ファインではお受けします。

 

ちなみにアフリカにはフランス語圏諸国の広域特許庁のアフリカ知的財産機関(OAPI)もあります。OAPIのWEBサイトも探してみたのですが、ここでは特許検索データベースを見つけることができませんでした。

 

アイ・ピー・ファイン株式会社/アジア特許情報研究会
中西 昌弘

今期の知財AI活用研究会メンバーから、Deskbeeは同義語や類似語をどのように扱うのかとの質問をいただきました。Deskbeeは同義語なんて一切気にしてくれません。彼にとっては「二酸化炭素」も「CO2」も「炭酸ガス」も全く別物です。精度の高いAI判定を目指すには、自分で同義語を揃えるための処理が必要になります。今日は、この「同義語辞書」についてご紹介します。

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)では、科学技術用語形態素解析辞書サイトを運営しています。このサイトは所定の利用許諾に基づいて無償で利用することができます。

 

このサイトを開いて、図の赤枠のように入力・選択し、Searchボタンをクリックしてください。

 

図のように発光ダイオードの同義語が7種類表示されました。

 

Deskbeeに判定させる教師特許および被判定特許の名称・要約・請求項文字列内に、表の7種類の単語が存在する場合は、これらをすべて「発光ダイオード」に変換することで、AI判定の精度を高めることができます。

 

上記はデータベースを対話操作する方法をご紹介したものです。ウインドウ上部に表示される「ダウンロード」をクリックしてください。

 

開かれたダウンロード画面から、「mecab_thesaurus.zip」をダウンロードし、このファイルを解凍するとデータベースに収録された情報がCSVファイル形式で現れます。Excelで開いてオートフィルタを設定し、「Base Form」列で「発光ダイオード」を選択するとA列の「Surface form」列に、前記の7種類の同義語が表示されます。

 

この情報を活用することで、Deskbeeに判定させる前に同義語を統一することができます。お試しください。

 

アイ・ピー・ファイン株式会社/知財AI活用研究会アドバイザー
中西 昌弘

 

 

今日は知財AI活用研究会のメンバーのみなさんを対象とした話題を提供します。もちろん第1期から第3期に研究会に参加していたOBの方や、研究会には所属していなくてもDeskbeeをお使いのみなさんにも有益な話題だと思います。

 

今期の研究会メンバーから、「Deskbeeで特許分類を判定させることはできますか?」との質問がありました。そこで検討してみた最新の結果をご紹介します。

あらかじめ人手による読み込みを行い、所定の条件を満たした集合(サーチ集合)と、条件を満たしていない集合(ノイズ集合)に分けられた日本特許群を用意しました。サーチ・ノイズともに、約300件という規模の集合です。申し訳ありませんが、母集団の詳細は明らかにはできませんが、ご容赦を。

この集合を件数が1/4の子集合になるようにランダムに分割して、そのうちのひとつを教師特許群として、残りの3つの集合を被判定特許群として扱いました。K分割交差検証法と呼ばれる検証方法です。「交差検証」の詳細はこの文書をご覧ください。

続いてこの特許群を、DeskbeeでAI判定してみました。最初は名称+要約+請求項の文字列を「使用項目」に指定しました。

得られた判定結果を確率差の高いもの(最もサーチ教師に近いと想定される案件)から降順にソーティングし、所定の境界値より上をサーチ案件、下をノイズ案件とします。ここでは適合率・再現率のF値がピークになるポイントを境界値として扱いました。適合率・再現率・F値については、この文書を参考にしてください。

 

結果をご紹介します。

左のグラフが、縦軸:サーチ確率×横軸:ノイズ確率を表した散布図です。赤のドットがユーザ評価によりサーチ案件だと判定された案件、緑のドットが同じくユーザ評価ノイズ案件を表しています。

 

サーチ確率からノイズ確率を減算した「確率差」による閾値を黒線で示しています。黒線の左上に配置された案件が、DeskbeeがサーチだとAI判定した案件、右下がノイズとAI判定した案件群です。

 

右のグラフは、確率差降順に並べ替えた案件群を、何件査読した時に何パーセントのサーチ特許を読むことができるかを表した再現率飽和カーブです。この例では全621件のうち245件を読むことで91%のサーチ特許を読み終わることになります。

 

この結果を混同行列で表すと次表のようになります。混同行列の詳細はこの文書をご覧ください。前記のように求めた境界値を基準としてDeskbee判定させると、あらかじめユーザが評価したサーチ特許のうち205件がDeskbeeによりサーチと判定されたことを表しています。

 

続いて特許明細書内の文字列を判定するのではなく、各案件に付与された特許分類、ここではIPCをDeskbeeに判定させるとどうなるかをご紹介します。

 

IPCは特許庁や工業所有権協力センター(IPCC)の「有識者」が、人工知能ではなく「人間知能」を駆使して分類したコードです。囲碁や将棋は別として、特許の査読についてはまだまだ人間知能に軍配が上がります。この人間知能が付与した分類を人工知能で解析するという合わせ技にトライしてみました。

 

教師特許と被判定特許とでIPCの表現形式が異なると正しい判定ができなくなるため、IPC文字列の形式は上図の形式に統一しました。

 

Deskbeeで、このIPC列だけを「使用項目」に設定してAI判定させました。名称・要約・請求項の文字列は使用せずに、IPCコードだけの判定です。

 

散布図・再現率飽和カーブは次のようになりました。

 

混同行列を計算してみると次のように、名称・要約・請求項テキストを判定した時と大差ない結果が得られたことがわかります。

 

Deskbeeでは入力された文字列を、まずはmecabを使用して形態素単位に分割します。mecabはあくまでも日本語を解析するためのシステムであり、たとえば「G06F 21/34」のIPCコードを入力すると、次のように分断してしまいます。


G       名詞,一般,*,*,*,*,*
06      名詞,数,*,*,*,*,*
F       名詞,一般,*,*,*,*,*
21      名詞,数,*,*,*,*,*
/       名詞,サ変接続,*,*,*,*,*
34      名詞,数,*,*,*,*,*

 

これでは、せっかく特許庁・IPCCの有識者が「G06F 21/34」と判断したIPCコードが壊されてしまいます。このためDeskbeeで特許分類を判定させるためには、「カプセル化」が必須であるというのが、これまでの研究会での通説でした。しかし「カプセル化」することなく、「生のIPCコード」をそのままAI判定させても、十分な結果が得られているようです。

 

Deskbeeでは形態素に分割されたタームを、1個ずつ使用して教師群との近似性を判定するだけではなく、最大5個までの連続タームの近似性を判定する仕掛けが備わっているようです。さらにターム1個の一致よりも、連続ターム5個の一致の方に重み付けされている様子です。この文書にも記されたように、AIツールを使用していると、このブラックボックスに悩まされます。

 

Deskbeeで特許分類IPCをAI判定させることが可能、このアプローチもそこそこ有効であるというご紹介でした。

 

・・・・

 

ところで、このブログでご紹介した例では適合率・再現率のF値により境界値を設定しました。しかしこれはAI判定の目的によって、ご自分で決めるべき値です。

 

たとえば重要特許を絶対に漏らさないことを狙うときには、散布図上での黒の境界線をより右下に位置させる必要があります。また本来の業務に忙しい研究者・開発者に対して、特許査読に要する時間を削減するために、重要な案件だけに絞りたいときには、境界線を左上に上げるべきでしょう。境界値の設定はApplication Specificであることにご注意を。

 

アイ・ピー・ファイン株式会社/知財AI活用研究会アドバイザー
中西 昌弘