こんにちは!れんしゅう大好き!です
KAI70参戦記録の続きです。
前回まで:
ドキュメント・KAI70(1)異界への扉編
K3・二十曲まで/夜パート 2025.04.26
本当のレースはここから
ウエアの調整をすることでいよいよ夜パートが来るのだと気合がはいる。
明神山。火山灰を思わせる黒く柔らかい土。山中湖が夕日色にきらめいて、富士山と並んでいる。さえぎるものは何もない。あまりにも雄大な風景に思わず何度もシャッターを切る。多くのランナーが口々にきれいだねえ、素晴らしいねえと讃えていた。
風の流れが速く、富士山の下からもりもりと雲がわきあがるのが見て取れた。雲海が出ていたのは一瞬で、やがてその雲がコースに流れてきて視界を曇らせた。
頂上付近にはボランティアの人がランナーを鼓舞する。
愉快な子ども音楽(たぶんこれだったと思う)をかけて音楽にあわせてジャンプしよう!と言っている。
まじか!ジャンプできるわけないじゃん!と思いつつ、掛け声にあわせてついついジャンプしてしまった。
夜がはじまった
頂上からまた次の山にむかう。二十曲エイドまでは登り下りが頻繁にあるのだ。
森の中に入ると辺りが一気に暗くなる。
ヘッドライトとウエストライトを点灯させるが、霧が出ているせいで光が反射して自分に返ってきてまぶしい。
ヘッドライトを消し、ウエストライトで地面を照らす。しかし、後続の選手のライトで自分の影が生まれて地面が見えにくい。後続選手を振り切るように前へ進む。
登り下りがあるのは辛くはない。むしろ飽きがこなくてこういう道は好きだと思った。
登りでストレスのかかった脚を、下りや平坦な道で走って疲れをとる。
走りながら疲れを取るだって?普通じゃ考えられないな。
夜が始まってから、友人たちからメッセージが頻繁にきているのがわかった。メッセージを読むことは出来ないが、応援したり心配してくれているのがわかる。ありがとう、がんばるよ。
疲れ、ランナー同士で励ましあう
足を滑らせ尻もちをついた。だいぶ疲れが出てきているのだろう。2回目の尻もちをついた時、後続の選手が引き上げてくれた。海外の選手らしい。Thank youを伝え、再び走り始める。引き上げてくれた選手は私を追い抜くことなく同じ速度で走る。
「疲れた~」「やば~」と私がひとり言をいうと、選手も何語かはわからないが口にする。「▽●q1~」「◆◎”G~」おそらく同じようなことを言っているのだろう。ひとり言同士が共鳴しあい、やがて気持ちが通じ合っていった。
「もうすぐエイドだよ!」
「**▽◎##!」
「やったぜ~!」
「|=$$%!」
二十曲のエイドが見えたところでハイタッチをして別れた。
束の間のチームだった。気持ちの上で本当に助けられた出来事だった。
二十曲エイドに到着
エイドに到着する。交通誘導をしているボランティアが、どうみても行きつけのランショップのスタッフYさんだった。二人で顔を見合わせるが、自信がなくて声をかけられなかった。
判断力が低下していたのだ。
お湯をのみ、チップスターを食べる。もう先には行きたくないな…。気持ちに余裕がなくなってきたのを感じた。
これまでの道のり、約40km。
ここからは未知の世界。