城 繁幸
内側から見た富士通「成果主義」の崩壊

富士通が1993年に、他社に先駆けて成果主義を導入してから、社内がボロボロと崩れていくさまを、成果主義の「現場」ともいえる人事部に属していた筆者が詳細に描いています。


成果主義の一番の誤算は、「成果主義をまったく理解していない上司が、部下を採点する」ということに尽きると思います。

考えても見てください。先日の「下流社会」の回でも書きましたが、今何らかの管理職についてる人々というのは、まさに年功序列、それなりに働けば特に優秀じゃなくても給料が上がっていった時代の申し子なんです。

部下の成果を評価なんて、まともにできるわけがありません。だから、自分の評価に響かないように、部下の成績を「材料」に、保身を考える。


これとは直接つながりませんが、私が働いている会社でも、成果主義は一部ですが、導入されています。数年前、上司と面談したら「キミはうちの部で、一番年下だから、一番下の評価でいいね」といわれたことがあります。わけがわかりません……。管理職なんて、そんなものです。

平たく言えば「徳がない」。上に立つ資格なし。


会社員を、そしてその会社をも、生かすも殺すも管理職次第ということですね。いい上司が多い会社は、活気付く。


若者はもちろんですが、管理職といわれる立場の人に、手にとってもらいたい一冊です。


もしこのブログを読んでる管理職の方がいましたら、ぜひご意見を伺いたいです。

ひら社員のみなさまも、うっぷんを一言ぜひ!

きょうはちょっと、愚痴っぽくなっちゃいました…。

いまの上司はきちんとした人なので、不満はないですが、ひどい上司って、ほんとどうしようもないですよね。

三浦 展
下流社会 新たな階層集団の出現

ご存知ベストセラーです。


現代の若者の就職、消費行動、結婚観などが「上」と「下」二極化が進んでいる、という話です。

山田昌弘「希望格差社会」や、小倉千加子「結婚の条件」に通じる内容。


この本でもっとも印象的だったのは、

「下流であるほど、『自分らしさ』を求める」という論理。


「自分らしく働く」ことにこだわるから、就職先がうまく見つからず、いやな仕事をするぐらいならフリーターで…ということで、いつまでたっても社会経験がつめず、結果として「下流」に属することになる。


マンガ「ドラゴン桜」の有名なせりふ

「ナンバーワンにならなくていい、オンリーワンになれだぁ? ふざけるな。オンリーワンていうのは、その分野のナンバーワンのことだろうが」

も引用されています。


そんな、厳しいこというけど、

団塊の世代だったら、どんな仕事についたとしても、ある年月働けば、それなりに出世し、収入も増え、家が買え…となっていましたが、今はいつリストラされるかわからないし、成果主義で、収入が将来増える保障はどこにもない。

あとは、他者とのかかわりよりも、「自分がどうするか」にしか、希望は持てないと思うのです。

それが結果としてうまくいけば、「上」に、そうでなければ「下」と言われてしまうのかも。


みなさんはどう思われますか?


こちらも参考に↓


山田 昌弘
希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く
小倉 千加子
結婚の条件
三田 紀房
ドラゴン桜 (10)



食品と暮らしの安全基金, 小若 順一
使うな、危険!

シャンプー、歯磨き粉、抗菌グッズ……。どこにでもある家庭用品や家電に潜む、人体に対する決定的な危険性を指摘する本です。

たとえば、


「ヘアスタイリング剤には、生殖器に障害を与えるフタル酸エステルが入っている」

「電気毛布を使うと、電磁波の影響で異常出産の確率が高まる」

「入浴剤の有毒な化学成分が、ぜんそくやかぶれの原因に」

などなど。



そんなこと、気にしてたら生きていけないよーといえば、そうかもしれませんが、

いつの時代も、「本当に危険なこと」は、マスコミもきちんとは報道しないし、もちろん国も発表しない。

いまのアスベスト騒動なんて、まさにその典型ですよね。


この本を読んで、どういう行動をとるかはともかくとして、「こんな危険性が、日常に潜んでいる」ということを認識することは、決して無駄にはならないと思います。


デトックス(解毒)が大流行のいま、もっと注目されていい内容だと感じるのですが…

みなさんはどう思われますか??

伊藤 理佐
やっちまったよ一戸建て!! (1)

漫画家の伊藤理佐さんが、「居間が3階」「壁がナナメ」「2階のトイレが吹きぬけ」という、個性あふれる一戸建てをたてるまでのドキュメント(?)です。

土地を買うとき、マンションを売るとき、銀行から融資を受けるとき、大手ハウスメーカーと個人の建築士どちらに任せるか悩むとき……マンガなので多少脚色はあるでしょうが、「家を建てる」という今まで経験のない出来事に翻弄される姿は、「もし近いうちにオレが家を建てるときも、きっとこんなかもな…」と、思わず自分に重ねてしまうこと請け合いです。

「このマンガを決して家を建てる際の参考にしないように」と、著者からの注意書きがありますが、読んだ後は確実に、「家…建ててみたいな」と思ってしまいます。だって、登場する不動産屋さん、設計士さん、著者の家族などなど、みんな個性的で温かく、何よりも、家を建てるのは楽しい!という、著者の気持ちが伝わってくるのです。

今すぐ実際に家を建てる予定がある人はともかく、「いつかは家を建ててみたい!」という、おぼろげな夢のある人は、きっと楽しめる一冊です。


②はこちら↓

伊藤 理佐
やっちまったよ一戸建て!! (2)

吉本 佳生
金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか

「オーストラリアドル定期預金、今ならキャンペーン金利で年利10%!」
「リスク分散に最適!外貨・投資信託・円預金の投資セット、40万円から始められます!」


銀行のパンフレットにあふれている、こんな甘~い言葉に隠されたからくり、金融のどどどど素人にもわかりやすく説明してくれる本です。


超低金利のご時勢。なんとなく、普通預金だけじゃだめ、積極的に投資してお金を増やさなきゃ…という雰囲気であふれていますが、その前に、消費者としてきちんと知識を持っておかないと、いかに銀行のカモで終わってしまうか、よくわかります。


大切なお金をもって銀行に行く前に、読んでおいて損はないです。金融商品の広告を見る目が確実に変わると思います。

というか「あっ、こういう表現のときは、ここで大損をする可能性があるってことだよね」という感じで、広告のカラクリがわかるようになるので、銀行のパンフを読むのが、ある意味楽しくなりますよ。