心の大掃除

年末に過去の目標の達成・未達の反省をすることや、年始に未来の抱負・目標に思いを馳せる人もいると思います。一方で何事も心と体が健康で元気と意欲がなければ反省、抱負、目標も空想に終わり人生の進歩や充実を実感できないかもしれません。
今回のテーマは、心の健康・元気・意欲の増進に繫がる「心の大掃除」について考察し、その実践方法についても記載しようと思います。

●停滞

心の大掃除の前に、何故心が停滞するのかについて考察します。

停滞とは、「物事がある状態や場所に溜まり淀み、調子よく流れ進行しないことや不活発で進歩しないこと。」です。

水や空気も淀むとどんより濁り沈殿し腐敗するようなイメージがあるかと思います。

◇人の新陳代謝

人間は、消化器で食物の流れを、循環器で血流を、呼吸器で呼気の流れを生じさせ栄養と老廃物を交換することで体の健康を維持しています。もう一つ注意を払われていないのが脳を含む神経系の器官で情報の流れを生じさせ栄養と老廃を交換し心の健康を維持していることです。これらの生命を維持する流動性や質が新陳代謝による健康・元気・意欲に影響しているのは、想像に難くないと思います。

◇心の停滞

心の停滞は、情報の流動性や質が停滞し新陳代謝が不活発になることで生じると考えられます。不思議なことに知識、習慣、感情反応などの情報の流れで古く役立たない老廃情報を自動的に排出する仕組は忘却以外に無く、入ってくる情報が無秩序・大量に堆積し自己の本質を覆い隠しているのが現在の生存状態といえるかもしれません。しかも古く役立たない老廃情報を現状維持の安定・安心のため不安や怖れという感情で守ろうとする力が働きます。
(関連記事「潜在意識下の自己像の性質」)
この現状を維持しようとする力は、過去の成功や失敗の体験を学習し類似状況に遭遇した時に生存に有利になるように作用しているのだと考えられます。しかし現代社会でこの力は、機能不全に陥りマイナス方向に作用することもあります。

◇変化する今メモ

我々は、今現在も過去と異なる新しい体験をしているにも関わらず昨日と同じ何も変わらない日常に居ると錯覚し外界の何かが変わらなければ自分は、変われないと思い込んでいます。また成功者と自分を比較しマイナス感情を抱き外界の対象(社会システム・人・物事など)に問題・原因を探し出し自己の変化を拒み安住しようとします。よく考えると自分の長期的な選択と行動の結果が今の人間関係・信用・環境・衣食住・仕事・財産などであり外界の抗えない強制や社会への同化圧力は、単なる自分の言動に対する外界の反応に過ぎず自らの選択で自己変革できれば外界の反応も変化すると思われます。
(関連記事「原因の場所」)

●心の大掃除【概念編】

掃除とは、「ちり・ほこり・ごみ・しみ等を除去すること」です。

大掃除とは、「新年を気持ちよく迎えるため住居をふだん手が届かない場所まで念入りに掃除する行事」です。

老廃情報を除去することで新たな情報が入る空きスペース(虚)を作り流動性と質を改善し心の健康・元気・意欲の増進に繋げる概念を記載していこうと思います。

(関連記事「無用の用」)

◇対象と目的

人の記憶は、コンピューターの記憶と異なり映像、音だけではなく感覚、思考、感情、欲求、環境など様々なコンテンツを伴う潜在記憶内の自動反応プログラム(習慣、癖)だと考えられます。心の大掃除の対象は自動反応プログラム(習慣、癖)で再生され続ける要因となる思考、感情、欲求へのリンクを再解釈し切り離すのが目的です。注意点としては、外界の他人や物事が掃除の対象ではなく自己の内部に在る潜在記憶内の自動反応プログラム(習慣、癖)であることを忘れず外界の対象に感情や欲求で巻き込まれないことです。

(関連記事「記憶」)

◇使うもの

心の大掃除で用いるものは、イメージ力と集中力の2つだけです。

1.イメージ力

スポーツの世界では、効果を上げ認知度も高いイメージ・トレーニングで実際に体を動かすことなく、動いている自分を思い描くことで技術、戦術、正しい運動動作などを学習するトレーニング法です。心の大掃除では、仮想の体と掃除道具を使い仮想の記憶構造である潜在記憶内の自動反応プログラム(習慣、癖)を掃除します。仮想の掃除道具は、自分が最高の掃除道具だと思うものから好きなものをイメージします。

 

例:高圧水洗浄機、スチーム洗浄機、サイクロン掃除機、竹ほうき、メラミンスポンジ、業務用洗剤、消しゴム、素手など

2.集中力

物理的な記憶媒体(光学:レーザー、磁気:磁力、電子回路:電流)は、情報が記憶されている場所にエネルギーを焦点化することで情報の書き換えを行います。潜在記憶内の自動反応プログラム(習慣、癖)も情報が記憶されている場所に心の集中力というエネルギーを焦点化することで情報の書き換えが行えると考えます。

◇仮想の概念

イメージで作り上げる自分の体や掃除道具などは、コンピューター上のシミュレーションで作られる構造物(コンピューターグラフィックス)やSNSやゲーム上のアバターと似ています。違うのは、自分でキャラクター、法則、ルールを自由に決められ仮想の構造物を作り、触り、加工できる点です。このことから仮想の体は、肉体に相似し皮膚の下に重なり合っているだけではなく肉体とは別の動きをすることや肉体を透過して擬似的なイメージで体内の器官を見たり触ることも可能になります。そして神経系の器官に老廃情報として堆積している潜在記憶内の自動反応プログラム(習慣、癖)をイメージ化して大掃除します。

(関連記事「仮想が生み出すもの」)

◇静と動

潜在記憶内の自動反応プログラム(習慣、癖)は、五感から入る情報パターンが過去の類似情報パターンと比較され呼び出され再生されるため再生中に自分の習慣や癖を意識化できなければピンポイントで要不要の判断や掃除はできません。コンピューターで例えるとアプリケーションプログラムは、インストールされているが実行されていないものと今現在何らかのトリガーで実行されているものがあり今実行されているものだけが動作の挙動をピンポイントでモニタリングできるのと類似しています。更に自分自身にどのようなアプリケーションがインストールされているか全体像を把握できないほど混沌とした状態とも言えます。よって静と動の2つの状態別に実践編を分けます。

●心の大掃除【実践編】

◇環境

  • 最初は、静かで明るい落ち着く場所で行って下さい。
  • 習熟すると電車の中でも目を閉じればできるようになります。

◇実践1.静的掃除

今現在で雑念、嫌な記憶、習慣、癖などの再生がされていないと感じた場合は、こちらの静的掃除をしてく下さい。

  • 目を閉じます。
  • 肉体の手を動かさずに仮想の手をイメージし上下左右など自由に動かしてみます。
  • 仮想の掃除道具をイメージしそれを仮想の手で持ちます。
  • 肉体全体をイメージし過去の様々な老廃情報として堆積している習慣や癖を汚れや暗さとして視覚化します。
  • 仮想の手が持っている最高の掃除道具で汚れや暗さを綺麗になるまで順に足元から頭へ掃除していきます。

※仮想の体や掃除道具は、法則(空間、時間、物質)の制約を受けないので肉体の中や心の中まで透過して掃除できると自由にイメージして掃除を行って下さい。
※応用として住居や人間関係など様々なものも掃除できますが対象は、自己内部の潜在記憶です。

◇実践2.動的掃除

今現在で雑念、嫌な記憶、習慣、癖などの再生がされていると気が付いた場合は、こちらの動的掃除をしてく下さい。

  • 携帯やスマートフォンのカレンダーメモに自分の思考、感情、欲求、言動をありのままにメモします。
  • メモした内容を読み返し何故そのような反応をしたのか自分に問い書き出します。
  • 書き出した内容が自分の理想と異なり掃除したいと思う場合、自己内部の潜在記憶に対し実践1.静的掃除を行います。※

※この動的掃除は、対象がピンポイントで捕捉できているので強力です。

●まとめ

ヨーガ・スートラでは、見られるものは、見るものの気付きのために存在していると記述し心の死滅(反応の停止)により再び生まれてこないようになるのが究極的な目標であるとまで記述していますがその後には、何が残るのでしょうか。古代の内なる技術体系の共通点として参入者は、最初必ず浄化の過程を通ります。日本の神道でも祓い清めることを重要視し何故か御神体が鏡であることやハワイのホ・オポノポノでも潜在意識のクリーニングを重要視しています。西洋の錬金術でも錬成し不純物を取り除く奥義を暗喩として記述しています。浄化のプロセスは、始まりに過ぎずその先に無数の階段がまだまだ待ち受けているようです。

次回の記事「データバックアップ