■記憶の自動再生
パソコンやスマートフォンなどの画面を見ていたときに操作していないのに動画が再生されたりメールが送信されたりし止めようとしても操作不能になっていたらどう思うでしょうか。コンピュータウィルスの感染やハッキングによるリモート操作または故障と思うのではないでしょうか。このような現象を人間に置き換えて考えると睡眠中の夢では馴染みのあることですが目を覚ましているとき自分で思い起こそうとした記憶よりも無意識な記憶の再生や想像が頻繁に起きていることに気が付きます。
この記憶や想像の再生は、映像、音、感覚、思考、感情、欲求、環境(登場人物、天候、場所)などのコンテンツが含まれ強い印象のものは、止める操作が不能になることも多々あります。自分で操作もしていない記憶や想像が再生され止めようとしても操作不能になるのは、どうしてなのでしょうか。
■記憶の再生
無意識な記憶や想像の自動再生が頻繁に起こるのは、五感から入る情報量と潜在記憶の再生スイッチが複雑なことが一因です。五感(視・聴・触・味・嗅)から潜在意識下に入る情報の帯域幅は、1100万bit/秒で顕在意識で意識化できるの帯域幅は、77bit/秒とされています。潜在意識は膨大な五感情報の中から潜在記憶の再生スイッチと類型情報を比較し一致した時に潜在記憶プログラム(習慣)を起動し再生していると考えられます。この再生スイッチは、自由度が高く前記した記憶のコンテンツの中にあれば何れも再生スイッチとして機能する可能性があります。
例えば、ある場所に行くと関連した人物を思い出し過去の出来事を連想し感情を呼び起こすように場所が再生スイッチとして機能しています。
この例では、場所→人物→出来事と連想されていることから人物の記憶が出来事の記憶の新たな再生スイッチとなることを示唆しています。記憶とは、単なる静的情報ではなく複雑な再生スイッチとコンテンツを含む潜在意識下で実行される動的プログラム(習慣)と考えられます。
■記憶の停止
強い印象の記憶や想像の再生を停止するのが困難になるのは、潜在意識下で各中枢(知性、感情、消化、性 :「心の機能参照」)の優勢的欲求や興奮状態に心の集中が移動し固定されるためでこれを解除できれば記憶の再生を停止できると考えられます。また五感から入る情報で潜在意識が記憶を自動再生しているのならば五感の入力を制御できれば記憶の自動再生もある程度抑止できそうです。しかし五感をON/OFFに近い形で行えるのは、視覚の目を閉じたり味覚の口を閉じることだけですし日常生活をするうえで常にOFFすることはできません。記憶の自動再生を停止するには、根本的に潜在記憶プログラム(習慣)自体の再生スイッチやコンテンツの更新が必要と考えられます。
■他者からの再生
他者から記憶の再生スイッチを巧妙に利用されることがありますが別枠で書く予定です。
次回の記事「心の集中の特性」