第8回 「ドリーム・クラッシュ」?
ベテランの人材紹介会社のカウンセラーの方から、「ドリーム・クラッシュ」という言葉を聞いた。
転職相談の第一ステップは、「彼らが夢みたいなことを言っている幻想を砕かないと、紹介は成立しにくい」とのことであった。
確かにそういう一面も必要なのかもしれない。しかし、キャリアデザインを考え自らの価値を高め、自己実現をしてゆくといった、当社ポリシーとは、まったく違ったアプローチだ。
人は何の為に仕事をするのだろうか。生活の為、幸せになりたいから頑張れる。人の役に立ち、人に認められたいから頑張れる。モチベーションの源泉はここにあると私は思う。
2000年2月20日、伝説の男長嶋茂雄の「背番号3の時代」というビデオが発売される。この企画プロデューサーS君は、かつて共に仕事をした部下だった。
彼は、営業マンをやりながら、アメフトの選手でもあり、目立った選手、トップ営業マンでもなかった。
ただ一つ、入社以来ずっと10数年、会社へスポーツビジネスに関する提案をしつづけた。その度に「事業領域」が違うので無理だと、実現には至らなかった。
しかし、彼は14回駄目でも、再度「長嶋茂雄」という20世紀の大ヒーローをコンテンツにした企画をプレゼンテーションし、経営とのコンセンサスを得て、商品化して売り出そうとしている。
夢は叶うということ、叶えるからこそ夢というものがある。夢を抱くから、機会が創れる。チャンスの神が見えるのは、夢を持った人だから見える。追い求めつづければ、機会の窓(WOOS)が、開く。
第7回 サイバー社会でのインキュベーション
「いま」「ここ」は、ITの進化により、迎えたことのない、新たなサイバー社会への入口に立っている。
これまでのプロダクトアウトのマーケットの終焉により、マーケットインの幕開けの時代を迎えた。
1998年米国でのクリスマス商戦が、いわゆるBtoC(企業が個人に)のEコマースビジネスがきっかけとなり、ネットビジネスに火がついたといわれている。
このところ、当社に「インターネットを使って、商取引きをしたい」との、Eコマースインキュベーション案件が多い。
クライアントに確認していることは、利用するというスタンスなのか?利用するということであれば、BtoC、BtoB、CtoCのどのポジションで勝負するか。自社のコアになる優位性は何かを確認、設定した上で進める。
既存のビジネスとEコマースとのバランス。社内コンセンサスとその支援体制はとれるのか?以上をクリアーにした上で、ターゲット顧客に対しての仕掛けを共に考えている。
オンラインはもちろん万能でなく、特質を理解した上で、儲かる為のビジネスモデルが求められる。
ビジネスのパターンとして
① オンラインでショップを作り、商品を売るか。
② 場のコミュニティの提案か。
③ 個人に向けてのサービスか。
④ 企業向けか。
⑤ 仲介なのか。
を設定し、ビジネスモデルをデザインすることが大切だ。
「アイボール」(顧客)を連れてくるところと、どう組むか、といったアライアンスも成功のポイントとなる。全て自前でやっていたのでは、スピードに負けてしまう。
米国のベンチャーキャピタルは、トランザクション「売買取引」があるかどうか、コンシューマーが喜ぶか、そして誰がやるのか、経営チームは、といった目線での投資判断基準となっている。
サイバー社会でのビジネスを成長させてゆくには、従来の発想でない、自社の強みを生かし、マーケットインでメンターをつけ、スピード感を持って立ち上げてゆくことが重要だ。
第6回 「出逢い」
2000年1月中旬、証券市場初の一株(―5万円額面)1億円の株価ヤフーが話題となった。
前職で、共に仕事をしていたメンバーが4年程前、知名度のない小さなポーター企業に転職した。今は、役員として活躍している。大手人気企業を辞め、無名の数億にも満たない企業へ参加する決断基準は、いったい何だったのか。
「未来」のありかをイメージの中に見つけたのだろうか。
サイバー社会の到来の予兆の中に、この会社のポジションを見たのだろうか。
数十億の資産を未来の自分が手にすることを想像し、思わず微笑んだのだろうか。
経営者の皆さんの創業時の会話をしていると必ずそこに誰かとの「出逢い」がある。
ヤフージャパンの社長の井上さんは、第一次ベンチャーの雄と言われたソードで、会社の第一歩をスタートした人だ。
当時ソード社長の椎名さんは、よく井上さんを連れ、海外に出張して歩いていたと伺ったことがある。アメリカのマーケットを知る機会が多かったのかもしれない。
その後、ソードは東芝の傘下に入り、それを機にソフトバンクの孫さんとの出逢いでソフトバンクに入社し、今日に至っている。
また、今年は多くのネット関連ベンチャー企業の公開が予測されるが、彼等は、必ず「誰か」との出逢いを口にする。
人との「出逢い」は、人生を根底から変える。その人の存在がなければ、今の自分の存在もないことがある。人が物事を考えるきっかけや、行動するきっかけは、人との出逢いによって起る。人と人との出逢いは、大きな出来事であり、意識の進化はそこから始まる。
出逢いは簡単なようでなかなか複雑でもある。
人と人には出逢うタイミングがあり、早すぎても遅すぎてもうまくいかないこともある。人は一人では何もできないが、良き仲間同志ができると、いろんな事を実現することができる。
皆さんと、良き出逢いをしてゆきたい。
第5回 「チャンスの神様」がやってきた
「チャンスの神様」のことを皆さん知ってますか?風貌は前髪だけあって、キューピーのような顔で、時々私たちの前にすがたを現し、スッと通り過ぎてしまう神様です。
小職が小学生の頃の、先生から伺った話です。
「クラブ長は6年生がやることになるからチャンスは掴めないが、5年生から選手も副クラブ長も対象になるから掴んできなさい。小学校生活でチャンスは2回だけ。神様はクラブでは5,6年の4月だけ姿を現わす。
『神様がやってきた』これはチャンスだと思った時神様の前髪をしっかり掴み、手元に引き寄せるのです。どうしようかな、やろうかな、やめようかな、と迷っていると神様はその間に私達のそばをスウッと通り過ぎてしまいます。
よしやっぱりやろうと思って手を伸ばしても、神様は後髪がないからスルッと手がすべり、チャンスを逃してしまう」
私達のいる「いま」と「ここ」は大きなデジタルネットワーク会社へと、これまでにないハイスピードで、パラダイムが変わり、これまでのマーケットの終焉、経済システムが綻び、新しい経済システムの幕開けを迎えました。
新規事業を考える時、変わらなければならない事と、変わってはならないものがあります。
人の役に立つ商品・サービスを提供する使命は、変わってはならないものであり、そのコンテンツを伝える形態は状況に応じて変化してゆかなければならないものです。
2000年は、インターネットの広がりによって、構造を変えていく節目のチェンジの天の時だと思います。
チャンスの神様は今、私たちの目の前に現れています。
是非、神様の前髪をしっかり掴んで下さい。
第4回 ヘッド・ハンティング
ヘッド・ハンティングという言語を、このところよく聞く。
先日、若い営業マンが「いやーヘッド・ハンティングにあって、ここに転職しんたんです」と誇らしげに語った。
渡された名刺に、課長代理となっていた。
ヘッド・ハンティングという言語は、そもそもアメリカのベンチャーキャピタル、会計監査法人や、インキュベーターが、企業の経営問題の解決を図るうえで、実際に企業内で解決の実行者、特にトップとなる人材を探すために独立した業を起こしたことに端を発する。
起業のトップ(=ヘッド)を探すので、ヘッド・ハンターと呼ばれる。
最近では企業経営者、役員や部門といったトップ以外の一般の人材の獲得まで含めてヘッド・ハンティングと呼ばれるので、あえてトップ人材のヘッド・ハンティングを行うことを「エグゼクティブ・サーチ」と呼んでいるところもある。
ヘッド・ハンティングは、株主、オーナー、経営者が直接ヘッド・ハンターと、経営の課題、トップ人事の問題について相談をすることからスタートし、企業の理念、ヴィジョン、文化、方針、戦略、特質の理解、分析をヘッド・ハンターは第一ステップとして行う。
次に、その企業の持つ経営上の課題を解決に当たる実行者の職務内容に落とし込み、その人物像を明文化する。
プロフィールは、企業組織あるいは特定の事業や職能部門のヘッドとしてヒト・モノ・カネといった経営資源を獲得、配分、管理し、組織あるいは部門をリードする経営力(マネジメント能力とリーダーシップ)、特定の課題を解決するための組織遂行能力、自らの意思を明確に伝えることが出来るコミュニケーション能力、事業に関連する業界での経験や知識、人的ネットワーク、これらの能力や経験などを証明する実績、必要と思われる学歴、性格や職務遂行のスタイル、また職務への熱意などが求められる。
そしてこういった人材を様々なネットワークからサーチし、一人ひとりとダイレクトに面談し、一つ一つのプロセスをへて、依頼主とコンセンサスを取りながら進めてゆく。
これが、ヘッド・ハンティングだ。