前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。
第232話:什器開発で人員削減を行う
「什器開発で人員削減を行う」
最近噂で聞く
飲食店のある業態ではこういった
人手不足の打開策として
工数削減に力を入れている
企業があると言います。
業態力があっても人員不足では
業績は思う様に上がりません。
ある業態の飲食店で最近は
機材投資に力を入れ人件費を
30%引き下げたお店がありました。
30%というと人件費に
100万掛るお店であったら
30万が毎月浮く訳です。
投資費用の原価償却があるので
「30万儲かる」訳ではありませんが
それでもかなりのプラスでしょう。
PL上の損益計算では
アルバイト10人くらい削っている
事になるかもしれません。
社員ならまるまる1人
削っていても問題ない事になります。
この機材投資が何かと言うと
様々あります。
回転すしやマクドナルド等は
皿が回ったり
ポテトが勝手に揚がったりして
有名ですが
最近は中華でも韓国料理でも
カレーでもラーメンでも
効率化の為の専用設備が
導入されているお店があるのです。
例えばカレーなら何個も同時に
鍋が温められ時間や温度で止まる
仕組みのコンロや
チャンポン麺のお店では
IH式で温められる鍋が回転し
具材が均等に温まり、
調理時間が大幅に削減される
システムを開発したお店も
あるのです。
フランチャイズの店舗で
大幅な事業拡大をする場合
「誰でも出来る」と言う事が
焦点になってきます。
なぜなら急激に人員を増やしたり
経験が浅い人材でも戦力として
使っていくからです。
誰でも1分で出来るラーメンの
レシピとシステムがあれば
後は経営と管理の部分になるので
その分教育時間も研修も
大きく減少します。
そういった限界に思える
人員削減を飲食業界は什器開発で
行っているのです。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。
第231話:深刻な人手不足
本田達の研修先のお店では
元々、割烹の修行でお店に入店する
若い層の料理人がいますが
昔から先輩の板前が付いて
指導する事はありませんでした。
その為そういう仕事をする様になると
先輩の板前は自分の格が落ちた様に
感じるのだそうです。
本来なら何年も修行して技術を
習得して自分で学ばなければ
ならない立場なのに
手取り足とり教えて貰って
自分達が修行した期間より早く
良い仕事にありつけるというのは
当然面白くありません。
何より技術が甘い経験不足の内に
そのポジションに付ける事は
自分がやってきたプライドが
許さないというものです。
調理技術の世界では当然
そうなってくるでしょうが
会社は短期間に多くの人材を
効率的に育てる事が目的なので
こういった意識の違いが
現場と経営陣との間に
隔たりを生んでいるのでした。
しかし
社会情勢では人手不足が
深刻な状況の中
景気が回復していくと更に
深刻な人手不足が加速すると
言われています。
もともと人員不足の声が多い
外食産業も人の取りあいとなる
サービス合戦が起きていると
ニュースでも報じられています。
例えば大手居酒屋チェーンが
アルバイト一人を確保するのに
禁止していた車通勤を許可し
駐車場を借り入れる経費を
予算に組み込むと言っていました。
そこまで譲歩してまで
人員一人を抱えたいという
表れなのでしょう。
需要があるという事は
利益が生まれるという事なので
そこまでして人を雇っても
おつりがくるはずなのです。
でも資金が無いお店や業体力が
乏しいとそうもいきません。
いまさら労働力を酷使して
お店がブラック化するのも
いただけないでしょう。
そんな中最近は違う路線の
お店も増えてきました。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田と前田は会長のツテで新たに
業務提携した飲食店経営の会社に
研修へ来ていました。
第230話:目で盗んで覚えろ
本田承太郎は研修店舗と自社の
合同会議で店舗内での
「仕事を覚えるまでの工程」
について意見していました。
飲食店で特に和食などは
昔から厳しいイメージがあって
仕事もろくに教えてくれず、
「目で盗んで覚えろ」
なんて言うのが普通でした。
しかし
昔ながらの方法では時間が
掛り過ぎる現実があります。
仕事を覚えるのに3年
持ち場を極めるのに2年
役職が上がるのに10年から
30年と言う様に
比較的長い期間下積み期間が
あるのが今でも同じです。
社会情勢的には少子化や不景気
飲食店の飽和で人手不足に
ゆとり世代の教育困難さや
厳しくした時の離職率の高さに
定職離れなど
飲食店には不利な状況が
年々続いています。
更に
アルバイトに至っても
深刻な人手不足と言え、
「良い人材はアルバイト内には
いないと思え」
と言う様な風潮もあるそうです。
本当に良い人材なら契約して
社員に引き入れるという意味で
言っているのでしょうが
そうなるとアルバイトは
「残り物」とでも言いたいので
しょうか。
本田の意見ではそう言う状況の中
店舗数を増やし人員を増やし
事業を拡大していく為には
教育訓練は不可欠で今までの様な
仕事をしながら本人の努力次第で
仕事スキルを学んでいく手法では
個人差が大きく時間も掛ると
言う事なのです。
そして今回はOJT
(オン・ザ・ジョブトレーニング)の
形式での研修となり
教育係が付いて仕事を効率的に
教えて行く事が課題となりました。
教える側にとっては普段の業務が
自分にはあるのでそちらを
重要視してしまいます。
お客様に影響するので当然ですが
それを踏まえ自らの役割を
分割して部下に役割分担し
任せる事で仕事量を減らして
その分監視や教育の時間を増やす
という方向に切り替えていきます。
これは本田達の会社の方が
得意とする所でした。
しかしこれには
色々と問題が生じて来るのでした。
つづく