前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第148話:売上予算とは
倉持は施策を実行するに当たり
必要な数値の知識で
・収益の構造理解
・予算の立て方
・PL作成方法
・固定費と変動費の理解
・損益分岐点と目標利益
・季節指数
・原価について
・ロスの把握と管理
・コストコントロール
以上のような項目において
理解しておくべきだと言います。
お店を営業していくとすれば、
「予算」を計画する必要があります。
なぜ「予算」が必要なのか?
よく例えられるのは
お店を「船」にあてはめて
考えた場合です。
あるコンサルタントが
この様な事を言っていました。
社会と言う「海」に
お店という「船」を作って
航海を開始する(開業)為には
海図「進路計画」が必要だ。
この「進路計画」に当たる部分が
予算であり営業計画の部分なのです。
世間の荒波を渡り歩く為には
目標に向かって進路を決めて、
道を逸れた時には方向を
修正しなければ
目標にたどり着くまでに遠回りしたり
道に迷って余計な時間が掛ります。
すると、蓄えておいた食料や
体力が奪われていき力尽きて
死んでしまいます。
そうならない為に進路通りに
船を進めて行く知識と計画が
必要になってくるのです。
オーナーや店長は船頭だと思って
船の舵を取らなければ乗組員である
従業員やお店である「船」そのものを
失い兼ねないのです。
つまり
「予算とは目標に進む為の道しるべ」
であり、
その日、その週、その月に軌道修正を
行ってより早く安全に目標地点に
到達できるように行動していく
重要なものになります。
だから、
予算はただの計画ではなく
軌道修正を行う為の進路図だと思って
毎日把握しておかなければ
ならないのです。
実際に予算を組んでおいて、
毎日営業して忙しく
予算との誤差を月末になって初めて
理解すると言うオーナーや店長は
仕事をしているとは言えません。
店長やオーナーの仕事は、
「誤差を見付けて軌道修正する事」
だからです。
倉持
「では実際にお店の予算を組んで
みましょう」
そう言うと大まかな予算の組み方を
説明していきました。
【年間予算】
会社などでは1年間の売上予算が
あらかじめ決まっていて
掛けられる費用や収益目標も
その数値を月ごとに振り分けて
計算されていきます。
例えば年間1億2千万円の
目標売上予算だとすれば、
毎月1千万円の目標売上に
なると考えられます。
しかし、
忙しい月もあれば暇な月もあるのが
商売と言うものですよね。
スキー場は冬場だけメチャクチャ
忙しくなりますし宿泊所や
近隣飲食店も繁盛します。
でも夏場はお客さんが激減し
閉店したりしています。
夏の海の家や焼ソバ焼いている
お店なども同じ事が言えます。
要するに季節によって
繁忙期があると言う事です。
これを踏まえて予算を
組まなくては人件費やコストの
調整が上手くいかず無駄な経費を
使ってしまう場合があるのです。
予算を組む時に漠然と、
12月は忙しいから目標2千万で
6月は暇だから目標900万と、
適当に決めて行くと
実際にその金額内でやり繰りを
しないといけないので
その時に困った事になります。
営業を続けているお店であれば
以前までの傾向が解ると
年間予算も立てやすいのでは
無いでしょうか。
前年同月で同じくらいの
増減が見られるのが通常の事だと
予測できますので
大まかにはこういうイメージで
良いと思います。
予算のブレを無くして無駄な
経費を使わずに利益確実に
取っていく為に用いられるのが
「季節指数」の計算です。
季節指数は季節の変動等によって
月ごとに増減する傾向を
予測する計算方法です。
これを利用して更に変動要因を
探り、追加していくとより正確な
年間予算を組んでいけるように
なります。
そして倉持は季節指数の
計算方法について説明を
始めて行きました。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第147話:欲しい利益を取れる目標売上
倉持は経営を行う中で赤字と黒字の
分岐点である「損益分岐点」について
説明していました。
そして
自店の損益分岐点の求め方と
欲しい利益を取れる目標売上の
計算方法を話し始めます。
損益分岐点は、
固定費÷(1-(変動費÷売上))
という計算式で算出する事が出来ると
倉持は言います。
固定費は家賃や月額で毎月
決まった金額を払っている様な費用や
原価償却費の様に一定の費用を
分割して支払う事で毎月固定で
掛る費用などの
変動しない費用をで、
逆に変動費はその月ごとで変動する
費用を指します。
これを実際に使ってみると
次の様になります。
固定費が100万円・変動費が
180万で売上げ350万の
お店がありました。
このお店の損益分岐点は
いくらになるでしょう?
損益分岐点売上=
固定費100万÷
(1-(変動費180万÷売上350万))
という計算になります。
これを計算すると205万8824円という
金額になります。
よって、
この205万8824円という金額が
黒字か赤字かの分岐点という訳です。
つまりお店が最低でも目指す金額は
205万8824円以上と言う事に
なる訳です。
この考え方を元に目標売上を
決めて行きます。
205万8824円に+利益すれば
良いと思いがちですが違います。
これも計算式で割り出します。
計算式は、
目標売上=
(固定費+目標利益)÷
(1-(変動費÷売上))
という計算になります。
固定費の部分に利益を足すので
計算後の数値が違ってくるのです。
お店を経営しているオーナーや
店長は普段どうやって目標売上を
決めているのでしょうか?
先月売上が100万だったので
今月は先月プラス10万とか
去年は150万だったので
今年は200万という決め方では
まだ曖昧で今後の計画が
漠然としてしまいます。
オーナーや社長であれば
注視しているポイントは
売上高では無く「利益」だと
思います。
「利益が前月より、前年より、
上がったかどうか?」
目先の売り上げが上がったから
と言って赤字になったり儲けが
減るのでは意味が無い
ということなのです。
オープンしていないお店では
「売上」の部分が解りませんが
予定販売数で売上を算出します。
例えば、
売上が350万円で固定費100万、
変動費が180万のお店を想定して
目標売上を決めるとします。
「利益で50万円取りたい」
社長がそう思った時、
この計算方法で考えてみると
(固定費100万+目標利益50万)÷
(1-(変動費180万÷売上350万))
と言う式になりました。
これを計算すると308万8235円
という金額になり、
これが利益50万を得られる
売上高となります。
もし現状が赤字の店であれば、
この計算をしてみて、
あといくら売れば
黒字に転換できるかと言う事が
見えてくるので
そこで初めて、
その必要な○○万円を
どうやって売り上げるかの具体的な
プランを実行できる段階に
なっていくのです。
先程の例の様に実際の売り上げと
取りたい利益の差が黒字になる
という場合は目標を達成している
事になります。
倉持
「理解するべき点として、
お店の収益が多いという事が
お客様の満足を得ている状態だと
考えて下さい。
そして支出が少ないというのが
お店として適正であります。
黒字転換に必要な金額または、
さらに上げたい利益額を超える為に
具体的な施策や営業努力を
行っていく必要があります。」
倉持はそのように話し、
その施策を実行するに当たり
必要な知識が
・収益の構造理解
・予算の立て方
・PL作成方法
・固定費と変動費の理解
・損益分岐点と目標利益
・季節指数
・原価について
・ロスの把握と管理
・コストコントロール
以上のような項目だと
言います。
この後の講義でその点ついて
説明を進めて行きました。
つづく
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第147話:欲しい利益を取れる目標売上
倉持は経営を行う中で赤字と黒字の
分岐点である「損益分岐点」について
説明していました。
そして
自店の損益分岐点の求め方と
欲しい利益を取れる目標売上の
計算方法を話し始めます。
損益分岐点は、
固定費÷(1-(変動費÷売上))
という計算式で算出する事が出来ると
倉持は言います。
固定費は家賃や月額で毎月
決まった金額を払っている様な費用や
原価償却費の様に一定の費用を
分割して支払う事で毎月固定で
掛る費用などの
変動しない費用をで、
逆に変動費はその月ごとで変動する
費用を指します。
これを実際に使ってみると
次の様になります。
固定費が100万円・変動費が
180万で売上げ350万の
お店がありました。
このお店の損益分岐点は
いくらになるでしょう?
損益分岐点売上=
固定費100万÷
(1-(変動費180万÷売上350万))
という計算になります。
これを計算すると205万8824円という
金額になります。
よって、
この205万8824円という金額が
黒字か赤字かの分岐点という訳です。
つまりお店が最低でも目指す金額は
205万8824円以上と言う事に
なる訳です。
この考え方を元に目標売上を
決めて行きます。
205万8824円に+利益すれば
良いと思いがちですが違います。
これも計算式で割り出します。
計算式は、
目標売上=
(固定費+目標利益)÷
(1-(変動費÷売上))
という計算になります。
固定費の部分に利益を足すので
計算後の数値が違ってくるのです。
お店を経営しているオーナーや
店長は普段どうやって目標売上を
決めているのでしょうか?
先月売上が100万だったので
今月は先月プラス10万とか
去年は150万だったので
今年は200万という決め方では
まだ曖昧で今後の計画が
漠然としてしまいます。
オーナーや社長であれば
注視しているポイントは
売上高では無く「利益」だと
思います。
「利益が前月より、前年より、
上がったかどうか?」
目先の売り上げが上がったから
と言って赤字になったり儲けが
減るのでは意味が無い
ということなのです。
オープンしていないお店では
「売上」の部分が解りませんが
予定販売数で売上を算出します。
例えば、
売上が350万円で固定費100万、
変動費が180万のお店を想定して
目標売上を決めるとします。
「利益で50万円取りたい」
社長がそう思った時、
この計算方法で考えてみると
(固定費100万+目標利益50万)÷
(1-(変動費180万÷売上350万))
と言う式になりました。
これを計算すると308万8235円
という金額になり、
これが利益50万を得られる
売上高となります。
もし現状が赤字の店であれば、
この計算をしてみて、
あといくら売れば
黒字に転換できるかと言う事が
見えてくるので
そこで初めて、
その必要な○○万円を
どうやって売り上げるかの具体的な
プランを実行できる段階に
なっていくのです。
先程の例の様に実際の売り上げと
取りたい利益の差が黒字になる
という場合は目標を達成している
事になります。
倉持
「理解するべき点として、
お店の収益が多いという事が
お客様の満足を得ている状態だと
考えて下さい。
そして支出が少ないというのが
お店として適正であります。
黒字転換に必要な金額または、
さらに上げたい利益額を超える為に
具体的な施策や営業努力を
行っていく必要があります。」
倉持はそのように話し、
その施策を実行するに当たり
必要な知識が
・収益の構造理解
・予算の立て方
・PL作成方法
・固定費と変動費の理解
・損益分岐点と目標利益
・季節指数
・原価について
・ロスの把握と管理
・コストコントロール
以上のような項目だと
言います。
この後の講義でその点ついて
説明を進めて行きました。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第146話:損益分岐点とは
倉持は飲食店で使える数値管理の為に
全員にエクセルPL表を渡しました。
そして、
この帳票を使いこなす為の知識を
これから講義で話していく事に
なります。
収益の構造の基本を理解した所で、
利益についての理解を深める為の
話を倉持は話し始めて行きました。
【損益分岐点】
損益分岐点とは、
簡単に言うと赤字と黒字の
境界線の事を言います。
言うなればこの境界線を下回ると
赤字になると言う事です。
掘り下げると
売上=費用となるので
費用回収の最低限の売上となります。
営業開始して間もない時には
売る為に仕入れた商品代や
先払いした家賃など色んな費用が
掛っていて損益はマイナスから
始まります。
そして営業を続けるうちに
売上が上がって来てプラスに
転換していくと思います。
この分岐点が損益分岐点と言う事に
なります。
この事を解り易く表したものが
次の表です。
商売というのは錯覚しがちですが、
50万円の商品を仕入れて
100万円の売り上げがあると
50万円の儲けになるという
訳ではありません。
100万円の儲けから人件費や
家賃・諸経費・手数料などの
いろいろな費用を引かれて
残ったものが儲けになるのです。
だから、
儲けを50万上げようと思ったら
自分の店でいくらの売上げを売れば
プラス50万の利益になるのかを
知らなければなりません。
つまり家賃やロイヤリティ、
個人の給料額などがお店によっても
差額があって違うので、
たとえ
・商品が同じ
・価格も同じ
・家賃も同じ
と言うチェーン店の場合でも
雇っている人件費が違えば
目標売上も違ってくると言う訳です。
次に理解しておく事は、
【固定費と変動費】についてです。
損益分岐を理解する上で
必要な事なのですが、
費用には大きく分けて固定費と
変動費があり、
売上から固定費と変動費を引いた時
残るものが利益になります。
つまり何も残らなかった場合が
赤字と黒字の境界線、
損益分岐点という訳です。
では固定費と変動費とは
何でしょうか?
固定費:
売上とは関係なく必要で
たとえ売上がゼロでもかかる
固定の費用を言います。
例)社員給与や家賃など数値が
一定期間変動しない費用
変動費:
売上と共に増減する費用を言います。
例)人件費や商品購入費など
必要になると消費や、販売して
数値が変化する費用
前田
「要するに家賃とか月額固定で
決まってる費用は固定費で
バイト給与とかの毎月変化する
費用は変動費って事ですよね?」
本田
「そうだな」
「じゃあ、社員給与は残業とか
ボーナスで変化するのになんで
固定費なんですか?」
「PL表などでは社員の基本給与を
固定費に含めて、
残業や特別報酬を変動費に
当てて計上するんだよ」
「なるほど、そう言う事ですか」
倉持
「損益分岐点は毎月変わるので
その月の損益分岐点をを知っている
と言う事は
いくら以上売れば黒字になるか
営業開始前に解ると言う事です」
前田
「どうやって損益分岐点を
計算すれば良いんでしょうか?」
「では、次に損益分岐点の
計算方法と目標売上の設定方法を
解説していきます。」
そう言うと倉持は
次の話を進めて行きました。
つづく
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第146話:損益分岐点とは
倉持は飲食店で使える数値管理の為に
全員にエクセルPL表を渡しました。
そして、
この帳票を使いこなす為の知識を
これから講義で話していく事に
なります。
収益の構造の基本を理解した所で、
利益についての理解を深める為の
話を倉持は話し始めて行きました。
【損益分岐点】
損益分岐点とは、
簡単に言うと赤字と黒字の
境界線の事を言います。
言うなればこの境界線を下回ると
赤字になると言う事です。
掘り下げると
売上=費用となるので
費用回収の最低限の売上となります。
営業開始して間もない時には
売る為に仕入れた商品代や
先払いした家賃など色んな費用が
掛っていて損益はマイナスから
始まります。
そして営業を続けるうちに
売上が上がって来てプラスに
転換していくと思います。
この分岐点が損益分岐点と言う事に
なります。
この事を解り易く表したものが
次の表です。
商売というのは錯覚しがちですが、
50万円の商品を仕入れて
100万円の売り上げがあると
50万円の儲けになるという
訳ではありません。
100万円の儲けから人件費や
家賃・諸経費・手数料などの
いろいろな費用を引かれて
残ったものが儲けになるのです。
だから、
儲けを50万上げようと思ったら
自分の店でいくらの売上げを売れば
プラス50万の利益になるのかを
知らなければなりません。
つまり家賃やロイヤリティ、
個人の給料額などがお店によっても
差額があって違うので、
たとえ
・商品が同じ
・価格も同じ
・家賃も同じ
と言うチェーン店の場合でも
雇っている人件費が違えば
目標売上も違ってくると言う訳です。
次に理解しておく事は、
【固定費と変動費】についてです。
損益分岐を理解する上で
必要な事なのですが、
費用には大きく分けて固定費と
変動費があり、
売上から固定費と変動費を引いた時
残るものが利益になります。
つまり何も残らなかった場合が
赤字と黒字の境界線、
損益分岐点という訳です。
では固定費と変動費とは
何でしょうか?
固定費:
売上とは関係なく必要で
たとえ売上がゼロでもかかる
固定の費用を言います。
例)社員給与や家賃など数値が
一定期間変動しない費用
変動費:
売上と共に増減する費用を言います。
例)人件費や商品購入費など
必要になると消費や、販売して
数値が変化する費用
前田
「要するに家賃とか月額固定で
決まってる費用は固定費で
バイト給与とかの毎月変化する
費用は変動費って事ですよね?」
本田
「そうだな」
「じゃあ、社員給与は残業とか
ボーナスで変化するのになんで
固定費なんですか?」
「PL表などでは社員の基本給与を
固定費に含めて、
残業や特別報酬を変動費に
当てて計上するんだよ」
「なるほど、そう言う事ですか」
倉持
「損益分岐点は毎月変わるので
その月の損益分岐点をを知っている
と言う事は
いくら以上売れば黒字になるか
営業開始前に解ると言う事です」
前田
「どうやって損益分岐点を
計算すれば良いんでしょうか?」
「では、次に損益分岐点の
計算方法と目標売上の設定方法を
解説していきます。」
そう言うと倉持は
次の話を進めて行きました。
つづく