第147話:欲しい利益を取れる目標売上 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第147話:欲しい利益を取れる目標売上

倉持は経営を行う中で赤字と黒字の
分岐点である「損益分岐点」について
説明していました。

そして

自店の損益分岐点の求め方
欲しい利益を取れる目標売上
計算方法を話し始めます。


損益分岐点は、

固定費÷(1-(変動費÷売上))

という計算式で算出する事が出来ると
倉持は言います。

損益分岐点図


固定費は家賃や月額で毎月
決まった金額を払っている様な費用や
原価償却費の様に一定の費用を
分割して支払う事で毎月固定で
掛る費用などの

変動しない費用をで、
逆に変動費はその月ごとで変動する
費用を指します。

これを実際に使ってみると
次の様になります。


固定費が100万円・変動費が
180万で売上げ350万の
お店がありました。

このお店の損益分岐点は
いくらになるでしょう?

損益分岐点売上=
固定費100万÷
(1-(変動費180万÷売上350万))


という計算になります。

これを計算すると205万8824円という
金額になります。

よって、

この205万8824円という金額が
黒字か赤字かの分岐点という訳です。


つまりお店が最低でも目指す金額は
205万8824円以上と言う事に
なる訳です。



この考え方を元に目標売上を
決めて行きます。

205万8824円に+利益すれば
良いと思いがちですが違います。



これも計算式で割り出します。
計算式は、

目標売上=
(固定費+目標利益)÷
(1-(変動費÷売上))


という計算になります。

目標売上


先ほどの損益分岐点計算の
固定費の部分に利益を足すので
計算後の数値が違ってくるのです。


お店を経営しているオーナーや
店長は普段どうやって目標売上を
決めているのでしょうか?

先月売上が100万だったので
今月は先月プラス10万とか

去年は150万だったので
今年は200万という決め方では
まだ曖昧で今後の計画が
漠然としてしまいます。

オーナーや社長であれば
注視しているポイントは
売上高では無く「利益」だと
思います。

「利益が前月より、前年より、
上がったかどうか?」

目先の売り上げが上がったから
と言って赤字になったり儲けが
減るのでは意味が無い
ということなのです。

オープンしていないお店では
「売上」の部分が解りませんが
予定販売数で売上を算出します。

例えば、

売上が350万円で固定費100万、
変動費が180万のお店を想定して
目標売上を決めるとします。

「利益で50万円取りたい」

社長がそう思った時、
この計算方法で考えてみると

(固定費100万+目標利益50万)÷
(1-(変動費180万÷売上350万))


と言う式になりました。

これを計算すると308万8235円
という金額になり、

これが利益50万を得られる
売上高となります。


もし現状が赤字の店であれば、
この計算をしてみて、

あといくら売れば
黒字に転換できるかと言う事が
見えてくるので

そこで初めて、

その必要な○○万円を
どうやって売り上げるかの具体的な
プランを実行できる段階

なっていくのです。

先程の例の様に実際の売り上げと
取りたい利益の差が黒字になる
という場合は目標を達成している
事になります。


倉持
「理解するべき点として、
お店の収益が多いという事が
お客様の満足を得ている状態だと
考えて下さい。

そして支出が少ないというのが
お店として適正であります。

黒字転換に必要な金額または、
さらに上げたい利益額を超える為に
具体的な施策や営業努力を
行っていく必要があります。」


倉持はそのように話し、
その施策を実行するに当たり
必要な知識が

・収益の構造理解
・予算の立て方
・PL作成方法
・固定費と変動費の理解
・損益分岐点と目標利益
・季節指数
・原価について
・ロスの把握と管理
・コストコントロール


以上のような項目だと
言います。

この後の講義でその点ついて
説明を進めて行きました。


つづく