前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第146話:損益分岐点とは
倉持は飲食店で使える数値管理の為に
全員にエクセルPL表を渡しました。
そして、
この帳票を使いこなす為の知識を
これから講義で話していく事に
なります。
収益の構造の基本を理解した所で、
利益についての理解を深める為の
話を倉持は話し始めて行きました。
【損益分岐点】
損益分岐点とは、
簡単に言うと赤字と黒字の
境界線の事を言います。
言うなればこの境界線を下回ると
赤字になると言う事です。
掘り下げると
売上=費用となるので
費用回収の最低限の売上となります。
営業開始して間もない時には
売る為に仕入れた商品代や
先払いした家賃など色んな費用が
掛っていて損益はマイナスから
始まります。
そして営業を続けるうちに
売上が上がって来てプラスに
転換していくと思います。
この分岐点が損益分岐点と言う事に
なります。
この事を解り易く表したものが
次の表です。
商売というのは錯覚しがちですが、
50万円の商品を仕入れて
100万円の売り上げがあると
50万円の儲けになるという
訳ではありません。
100万円の儲けから人件費や
家賃・諸経費・手数料などの
いろいろな費用を引かれて
残ったものが儲けになるのです。
だから、
儲けを50万上げようと思ったら
自分の店でいくらの売上げを売れば
プラス50万の利益になるのかを
知らなければなりません。
つまり家賃やロイヤリティ、
個人の給料額などがお店によっても
差額があって違うので、
たとえ
・商品が同じ
・価格も同じ
・家賃も同じ
と言うチェーン店の場合でも
雇っている人件費が違えば
目標売上も違ってくると言う訳です。
次に理解しておく事は、
【固定費と変動費】についてです。
損益分岐を理解する上で
必要な事なのですが、
費用には大きく分けて固定費と
変動費があり、
売上から固定費と変動費を引いた時
残るものが利益になります。
つまり何も残らなかった場合が
赤字と黒字の境界線、
損益分岐点という訳です。
では固定費と変動費とは
何でしょうか?
固定費:
売上とは関係なく必要で
たとえ売上がゼロでもかかる
固定の費用を言います。
例)社員給与や家賃など数値が
一定期間変動しない費用
変動費:
売上と共に増減する費用を言います。
例)人件費や商品購入費など
必要になると消費や、販売して
数値が変化する費用
前田
「要するに家賃とか月額固定で
決まってる費用は固定費で
バイト給与とかの毎月変化する
費用は変動費って事ですよね?」
本田
「そうだな」
「じゃあ、社員給与は残業とか
ボーナスで変化するのになんで
固定費なんですか?」
「PL表などでは社員の基本給与を
固定費に含めて、
残業や特別報酬を変動費に
当てて計上するんだよ」
「なるほど、そう言う事ですか」
倉持
「損益分岐点は毎月変わるので
その月の損益分岐点をを知っている
と言う事は
いくら以上売れば黒字になるか
営業開始前に解ると言う事です」
前田
「どうやって損益分岐点を
計算すれば良いんでしょうか?」
「では、次に損益分岐点の
計算方法と目標売上の設定方法を
解説していきます。」
そう言うと倉持は
次の話を進めて行きました。
つづく