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本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第160話:商品を赤字で売ってはいけない

倉持はお店の管理者なら計算方法を
知識として覚えておく事にこそ
意味があると言います。

それは

数値から問題点を発見できる事が
管理職の役割だからです。

今回説明した理論原価の話では
実際の原価と理論上の原価を
比較するとお店のロスがいくら
あるのか解ると言います。


そこで講義に参加していた前田が
こんな質問をしました。

前田
「あのー

一つ疑問なんですけど
理論上の原価ってどうやって
計算できるんでしょうか?」



そこで倉持は
実際のメニューを例にして
理論原価とはどのような物かを
説明し始めたのです。


倉持
「ではまず、商品単体の原価率を
考える時にはどうやって
計算するのか解るでしょうか?」


原価とは商品の原材料費の事で
原価率とは商品の売値に対する
原材料費の割合の事を指します。



例として考えてみます。


450円の大根サラダという
商品があったとして

大根やドレッシングなど
全ての食材に掛った費用が
合計で150円だとします。

すると売値に対する材料費は
450円に対する150円なので
3分の1になりますよね。


これを%で表すと33.33…%

と言う数値になります。

この値が原価率で大体小数点
0.1%以下を繰り上げで
考えて行きます。

今回は33.3%として
考えましょう。


ところでこの大根サラダは
どうやって材料費を
計算したのでしょうか?


売値は店主の言い値や
会社が決めた販売価格で変動して
決まりますが材料費は
変動する訳ではありません。

料理の場合、
スーパーで100円で買ってきた
サバの缶詰を皿に出して
500円で売ると材料費が
100円だけなので500円で
割ると原価率は20%になります。

でも大根サラダだと

切り分けられた大根や
使ったドレッシングの量などが
細かくなるのでスーパーで
買った金額では計算できません。

と言う事は

商品の原価率を計算する時には
一つ一つ商品の材料と使った分量と
それに掛る金額を割り出して
計算していかないと原価率が
解らないと
言う事になるのです。

お店の新規開店前にレシピを
作成する段階でこの作業を
行っておかなければ
理論原価どころか

普段の商品の原価率さえ
把握していない数値に弱い
危ういお店
になってしまいます。


レシピ作成の時に
金額を出しておけば
日々の管理では自動計算で
把握する事が出来るので
商品を開発する時に必ず
価格を出す必要があります。


お店では

「商品を赤字で売ってはいけない」

という鉄則があるので
自分の商品の実際の原材料費が
いくらなのか知っておく事は
必須と
なります。


例えば、

某有名ファーストフードの
ハンバーガー屋さんで
価格がいくらなのか知らずに
販売するというのはありえない
行為です。

値引きキャンペーンで
お客様を集客しているので
赤字になっては意味が
無いからです。


赤ちょうちんの大将が
常連のお客さんにサービス
するのも元値がいくらか知ってて
サービスしていますし

赤字にならないように考えて
サービスをしています。


大手チェーン店などは必ず商品は
原価計算されているはずなので
レジから抽出できると言う事に
なるのです。

前田
「奥が深いんですね~。

じゃあ一からお店を作る時には
レシピで原価を割り出してから
売値を決めるって事になるって
事なんでしょうか?」


倉持
「その通りです。

売値はともかく
レシピ作成の段階で原価は
求めておいた方が良いでしょう」


棚おろしでも必要ですから
例え新規オープン前でも

全ての仕入れ先の食材価格は
レシピが出来ていれば
把握しているはずなので
予測が出来るのです。


そう言うと倉持は更に
話を進めて行きます。


つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第159話:数値から問題点を発見できる事

予算を立てる時に原価を調べて
お店の数値を把握する事が必要だと
倉持は説明していました。

そしてこの時の実際の作業としての
手順をこの様に解説しました。



お店の商品で何がいくつ売れたのか
品数・所品別売上等を集計する。


一ヶ月間でトータルを集計できる様な
システムを導入する。


月末や棚おろしを行う期間で
集計する。


その期間に使用した商品の原価を
算出して原価率を計算する。


数値が適正か判断して問題点を
洗い出して改善していく。


すると参加していた学生が
こんな質問を行いました。

学生
「レジに集計する機能とか全部自動で
計算してくれる機能が付いて
いるものなんでしょうか?」


確かにレジで会計した商品の
品数や商品別の売り上げは
一括でデータを抽出する事が
出来る様になっています。

ですが棚おろし作業は自分で実際の
在庫を数えなければいけません。


棚おろしの集計では商品の
仕入れ価格を記録しておいて
在庫を数えた時にいくら分が
在庫として残っているのか
計算しなくてはりませんので

領収書やレシートから購入金額を
毎日記録する様にする事が大事です。

毎月その作業を行っていれば
価格も簡単に解りますし
野菜や購入した材料の価格変動も
一緒に把握できるので
一石二鳥です。

それ以外の計算はパソコンなどで
自動化出来ます。


しかし、計算方法を学んで
算出できる知識を覚えておく事に
意味があります。


原価率等は商品開発や商品の
適正原価率などを調べる時にも
必要ですし

数値から問題点を発見できる事が
管理職の役割
だからです。

例えば、

レジの機能で言うと
商品を注文して清算した全ての
データが抽出できるのが一般的
なのですが

この、

「売り上げた全ての商品から
原価率を逆算する」


と言う事も計算で可能なので
実際のリアルな原価率と

「売り上げた商品数」
計算上での原価を比較する事が
出来ます。

これで何が解るのかと言うと
実際に売り上げた金額と
コスト(商品原価)
に対して

理論上のコスト(商品原価)
比較できるのでどれだけ無駄な
コストが掛っているのか解ると
言う訳です。


例えば


飲食店でお客様から注文を受けた
料理を運ぶ時に落としたり
作る時に失敗する事は
少なからずあると思います。

その時は商品を作り直すので
その分ロスになります。

実際の原価と理論上の原価を
比較するとこういったロスが
いくらあるのか解ると言う事
です。


計算の仕方は、
レジから抽出した理論上の原価と
月末に集計した実際に掛った原価を
比べるだけです。

この差額が余りにも多いようだと
何かしらの問題が起こっています。


食材管理が粗末で腐敗させたり
調理に失敗したりして原価が
上がってしまったり

売上に計上しないサービスなどを
無作為にやり過ぎてもこの差額は
大きくなっていきます。

何も思い当たる節が無いのに
この差額が大きい時は

窃盗や盗難まで考えられるので
お店の管理職の人間は
リスクマネジメントの為にも
把握しておくべき数値となります。


前田
「あのー

一つ疑問なんですけど
理論上の原価ってどうやって
計算できるんでしょうか?」



倉持
「良い所に気が付きましたね。
それでは理論上の原価が
どのように計算されているのか
考えて行きましょう」



そう言うと倉持は
実際のメニューを例にして
理論原価とはどのような物かを
説明していきました。


つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第158話:原価とは

倉持部長はここまでお店の予算作成と
出来た予算からシフトを作成する
ポイントについて話を進めてきました。

倉持
「皆さん予算作成とシフトの関係性は
理解できたでしょうか?」


講義に参加した全員が理解できて
いるわけではないようでしたが
今後帳票を使って少しずつ慣れて行き
マスターするようにと指示して
倉持は次の話を進めていきます。


倉持
「予算の中で人件費以外の
割合が大きい変動するコストとは
何か解るでしょうか?」

学生
「原価でしょうか」

「正解です。
原価とは商品の原材料費の事ですが
飲食店なら食材の購入費用と
買ったあと保管している分の
費用も含めて原価と言います」


少しややこしい話ですが
予算の上での原材料費と原価は
違います。

原材料費は食材を購入した金額
原価とは一定期間の実際に使った
材料費の事
を指します。

つまり、

原材料費は仕入れで買った金額で
先月からの残りの在庫や次の月まで
使わない材料も含まれると
言う事です。


原価の場合、損益計算書で
ひと月の予算を作成するなら
ひと月の内に実際に販売した商品の
材料費の事を売上原価と言います。


前田
「良く考えると飲食店とか
年中無休のお店や月またぎだと毎月
食材が全部なくなる訳じゃないから
その月に使った材料は予想でしか
解りませんよね?」


倉持
「では、原価の求め方を
説明していきます。」


原価とはその月の間だけで使った
食材の金額なので

先月から残っている食材や
今月買った食材で使わなかった
食材は含めません。

これを計算で求めると
この様な式になります。


先月の在庫+今月の仕入れ
-月末に残った在庫=
今月使った材料費


今月の初めから月末までの
使った材料費を求めるので

実際の営業では月初めに
残っている食材とその月に
買い足した食材で営業を
進めて行きますよね?

そして月末まで営業して
最後に在庫が残ると思います。

これを先ほどの式に当てはめて
計算するとその月の使った
金額が解ると言う事になります。

その為には、

その月の最後に
「残った在庫」がどれだけ
残っているのか計算しなくては
ならなくなります。

この、残った在庫を数える作業が
一般的に「棚おろし」と言われる
作業です。

飲食店なら冷蔵庫の食材や
冷凍食品、倉庫の乾き物、缶詰や
飲料に至るまで全て数えて金額が
いくらになるのか計算します。

「先月残った在庫」とは、
先月の棚おろし作業をして
割り出した金額の事を言います。

つまり、

先月の棚おろし作業で出た金額と
今月仕入れた仕入れ額を足して
今月の棚おろし作業で出た金額を
引くと今月使った材料費が
正確に割り出せるのです。

この計算で割り出した金額
「売上原価」をその期間の
売上で割ると「原価率」
算出できると言う事になります。

この数値がお店の規定通りの値で
毎月平均的な数値であれば
材料費に問題は有りませんが

この数値の変動が激しく、
頻繁に変化する場合は様々な点で
問題が起こっていると
考えて下さい。



食材のロスが多かったり
予定の盛り付けよりも多く
材料を使っていたりすると
原価率は高くなりますし

商品原価率の割合が高い商品が
偏って多く売れても原価率は
変動していきます。


原価は利益獲得において大きな
影響があるコストとなります。

予算の中で変動する費用
つまり変動費になりますが
売上に対する決められた
割合を目指すのである程度
目測が付く変動費
となります。



あるお店の売上が毎月平均で
100万円だったとします。

原価率は毎月大体30%が
平均値で変動は0.5%以内で
収まっていました。

すると次の月に
予算を作成する時点で
材料費に30万円掛っていると
解る訳です。


この様に数値を把握していくと
お店の状態が色々と見えて
来るのだと倉持は言いました。


つづく