前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第157話:シフトを人件費率から作成する
倉持部長は飲食店などのお店で
シフトを考える時に人時売上から
必要人員を割り出す方法を
説明しました。
次にシフトに掛る費用を人件費率の
設定に合わせて作成する手法を
前田たちに説明し始めました。
倉持
「損益計算書の時に人件費率で
予算を作成したと思いますがシフトも
その人件費率通りに設定した数値に
合わせて予算を組んでいきます。
グループで組んだ損益計算書を
再度確認してみて下さい」
前田
「私たちのグループの損益計算書では
人件費率は25%以内に設定して
利益を出すモデルにしています」
「ではそのモデルからシフトを
組んでいきましょう」
倉持はそう言うと
人件費を日割りで計算して割り振る
方法を説明しました。
社員人件費は固定給なので
一定額で決まっています。
例えば社員給与が30万のお店なら
30万プラス福利厚生費や雑給与
(残業費)や交通費なども掛ります。
その合計を営業日数で割ります。
社員に掛る人件費が35万で
営業日数が31日なら
35万÷31=11291(小数点繰り上げ)
になります。
これが何もしなくても
1日に掛る社員の人件費となります。
社員の人件費は、ほぼ固定なので
休日があっても1日に掛る金額は
含めて換算します。
次にアルバイトの人件費ですが
アルバイトの場合は時給によって
同じ時間働いても差額が出るので
少し計算が難しくなります。
各グループで損益計算書から
作成した月間予算を季節指数で
日割りにして1日ごとの予算を
作成しましたが、
その日割り予算と
お店の規定の人件費率と
各アルバイトの時給が分かれば
シフトを組んだ時に人件費率で
調整できる状態になります。
例えばある日の例ですが
時給900円のバイト1人が3時間働き
時給850円のバイトが2人で9時間
働くシフト構成だったとします。
この時点でアルバイト費用は
(900円×3時間=2700円)プラス
(850円×9時間=7650円)
合計10350円となります。
ここに先ほど計算した
1日の社員人件費11291円を足すと
21641円となります。
この金額21641円がこの日の
人件費になります。
そして、
日割りで算出したこの日の予算は
90000円となっていました。
この日の人件費21641円割る
予算の90000円を計算すると
24%(0.2405)
という数値が出ます。
この店の人件費設定が25%なので
この通りのシフトを組んで
売上が9万以上売れれば
目標を達成している事になります。
逆に売上げが9万円に届かない場合
人件費は大きく超過するので
売れなかった時の事も考慮して
考えなければなりません。
シフト作成がひと月に2回
(15日単位)のお店なら
予算もそれに合わせて2回で組むか
各週の4回で組むと計算が
しやすくなります。
シフト作成がひと月に3回の店は
予算も3回に分けたりして
予算作成とシフトはなるべく
合わせる方が良いでしょう。
中間で予算を決算する業態なら
シフトも中間で区切れるように
組むほうが理想的となります。
そうする事で今のお店の現状が
把握出来て人件費が予定より
オーバーしているとか
売上が予定より足りていないとか
毎日チェックする事が
出来るのです。
こうやって日々の人件費率と
にらめっこしながら営業を
続けて行く事が
予算達成の道となると
倉持は説明したのでした。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第156話:手間を惜しまない事が赤字回避の条件
倉持部長は、
お店や仕事のシフトを作成している
管理者や店長の中で
上手くシフト作成出来て人は
数値を把握していて現場の状態も
適正なのか判断できる人だと
説明しています。
数値面では計算して出した
上限をオーバーして使わないから
売上が上下しても人件費が
予定どおりに設定値に合います。
現場では人員の無駄を見抜き
絞れる箇所を常に探していて
何より人のケアが出来ます。
人件費にも影響するのが人材の
コストパフォーマンスなので
この部分は外せない要素ですが
シフト作成だけに焦点を当てるので
今回は後回しにして話すと
倉持は言いました。
前田
「倉持部長、申し訳ないのですが
具体的な作成方法がさっぱり
解りません」
倉持
「解りました。
ではもう一度振り返って
計算してみましょう」
そう言って倉持が話すのは、
ひと月の売上が100万円のお店の
事例でした。
「1000万円の店の人時売上は
4500円に設定されています。
この時に
100万円を人時売上の
4500円で割ります。
ここまで大丈夫ですか?」
2000000÷4500=
答え444.44(時間)
「はい」
「次にこの444時間を
ひと月のシフトで割って
いきます。」
「ここでどうやって割るのか
解らないのですが」
「季節指数で年間予算から
ひと月毎の傾向を出しましたね?」
「はい」
「同様にひと月の中で
売れる日と売れない日の傾向を
季節指数で割り振っていきます」
「これってかなりの手間じゃ
ないのでしょうか?」
「そうですね。
帳票で計算できるように
まとめておけば簡単です。
以前の売り上げを
入力するだけで自動算出される
物もありますので使ってみて
下さい」
そう言って倉持は
日割りで季節指数を算出できる
エクセル帳票を渡しました。
「個人経営のお店などでは
長年の勘で営業している店主も
多いのではないでしょうか?」
「そうでしょうね」
「週末は結構売れるし
平日は大体これくらいの売上だ
という予測はお店を続けていると
なんとなく読めるように
なって来るものだと言います。
ただし、
これは安定しているお店の
売上傾向なので問題が起きている
時にはこの予測はブレてきます」
「問題が起きてからじゃ
遅いって事ですね」
「そうやって日割りで出した
傾向の割合をひと月の目標売上に
反映させるとその日ごとに
1日の予算が出ます」
「それをどうやって1日ごとに
時間を割り振るのでしょうか?」
「まずは
その日の予算が出ているので
売上○○円ならこれくらい人員が
必要だと予測が出来ますよね?」
「はい」
「その人数で計算してみて
時間数が合わなければ削れる箇所を
探していくと言う作り方です」
「なるほど。
では、どうしても絞れない場合は
どうすれば良いのでしょうか?」
「その場合は予算自体に
問題がありますので一から
作り直しですね」
「え~」
「そのまま営業すると当然ですが
人件費はオーバーして予定より
赤字になる事は営業を始める前から
解ってしまう訳です」
「直すしかありませんね…」
「こういった手間を惜しまない事が
赤字回避と利益確保の条件と
なってくるんです」
「新規開店とかで人時売上が
解らない場合はどうすれば
良いのでしょうか?」
「では次に人件費率から
シフトを作成する方法を
説明していきましょう」
そう言うと
倉持はシフトを人件費率から
作成する手法を前田たちに
説明し始めました。
つづく
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第156話:手間を惜しまない事が赤字回避の条件
倉持部長は、
お店や仕事のシフトを作成している
管理者や店長の中で
上手くシフト作成出来て人は
数値を把握していて現場の状態も
適正なのか判断できる人だと
説明しています。
数値面では計算して出した
上限をオーバーして使わないから
売上が上下しても人件費が
予定どおりに設定値に合います。
現場では人員の無駄を見抜き
絞れる箇所を常に探していて
何より人のケアが出来ます。
人件費にも影響するのが人材の
コストパフォーマンスなので
この部分は外せない要素ですが
シフト作成だけに焦点を当てるので
今回は後回しにして話すと
倉持は言いました。
前田
「倉持部長、申し訳ないのですが
具体的な作成方法がさっぱり
解りません」
倉持
「解りました。
ではもう一度振り返って
計算してみましょう」
そう言って倉持が話すのは、
ひと月の売上が100万円のお店の
事例でした。
「1000万円の店の人時売上は
4500円に設定されています。
この時に
100万円を人時売上の
4500円で割ります。
ここまで大丈夫ですか?」
2000000÷4500=
答え444.44(時間)
「はい」
「次にこの444時間を
ひと月のシフトで割って
いきます。」
「ここでどうやって割るのか
解らないのですが」
「季節指数で年間予算から
ひと月毎の傾向を出しましたね?」
「はい」
「同様にひと月の中で
売れる日と売れない日の傾向を
季節指数で割り振っていきます」
「これってかなりの手間じゃ
ないのでしょうか?」
「そうですね。
帳票で計算できるように
まとめておけば簡単です。
以前の売り上げを
入力するだけで自動算出される
物もありますので使ってみて
下さい」
そう言って倉持は
日割りで季節指数を算出できる
エクセル帳票を渡しました。
「個人経営のお店などでは
長年の勘で営業している店主も
多いのではないでしょうか?」
「そうでしょうね」
「週末は結構売れるし
平日は大体これくらいの売上だ
という予測はお店を続けていると
なんとなく読めるように
なって来るものだと言います。
ただし、
これは安定しているお店の
売上傾向なので問題が起きている
時にはこの予測はブレてきます」
「問題が起きてからじゃ
遅いって事ですね」
「そうやって日割りで出した
傾向の割合をひと月の目標売上に
反映させるとその日ごとに
1日の予算が出ます」
「それをどうやって1日ごとに
時間を割り振るのでしょうか?」
「まずは
その日の予算が出ているので
売上○○円ならこれくらい人員が
必要だと予測が出来ますよね?」
「はい」
「その人数で計算してみて
時間数が合わなければ削れる箇所を
探していくと言う作り方です」
「なるほど。
では、どうしても絞れない場合は
どうすれば良いのでしょうか?」
「その場合は予算自体に
問題がありますので一から
作り直しですね」
「え~」
「そのまま営業すると当然ですが
人件費はオーバーして予定より
赤字になる事は営業を始める前から
解ってしまう訳です」
「直すしかありませんね…」
「こういった手間を惜しまない事が
赤字回避と利益確保の条件と
なってくるんです」
「新規開店とかで人時売上が
解らない場合はどうすれば
良いのでしょうか?」
「では次に人件費率から
シフトを作成する方法を
説明していきましょう」
そう言うと
倉持はシフトを人件費率から
作成する手法を前田たちに
説明し始めました。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第155話:シフトを人時売上から作成する手法
倉持は働く人員のコントロールと
シフト作成の難しさを説明した所で
講義に参加した全員に
実際のお店のシフトを予算に合わせて
作成してみるように指示しました。
実際にシフトを作成するときに
気をつけるポイントは何でしょうか?
普通忙しさの状況に合わせて
必要な人員を配置していくだけの
シフト構成を作って
暇なら絞り、忙しいなら補充するか
一人当たりの負担を増やして
対応する感じなのでしょう。
現場責任者であればこの程度で
構いませんが
オーナーや管理職の人間は数値で
現状を分析しなければ問題点が
ハッキリ見えてきません。
店長が現場責任者を担う様な
現場であればその両方を
一人で管理しなくてはいけない
ということになります。
シフトの予算を作る場合、
人時売上を把握して作成する方法と
人件費率から作成するという
場合があります。
人時売上とは1時間当たりで
スタッフが売り上げる
売上金額の事を言います。
スタッフが10人いて
1時間に10万円売上があると
人時売上が1万円有ると言う事です。
この数値でお店の忙しさや
コストパフォーマンスを図る
指標にしてシフトを作成します。
過去の傾向からお店の忙しさと
状態を把握して理想的な人時売上を
把握しておきます。
普通の居酒屋などは
~5000円くらいで儲けの状態が
良いお店が多いとされます。
例えば、
この5000円を基準に人時売上から
シフト予算を考えてみます。
手順
①
年間予算から1カ月単位に割り振った
月間予算を人時売上の5000円で
割ります。
予算400万の場合
4000000÷5000=800
②
出た数値がシフトに使える労働時間
なので800時間を1カ月の中で
割り振ってシフトを作成する。
シフトを1カ月単位で作成しない
というお店はシフトを作成する
期間で売上を割って考えます。
シフト=1カ月に2回作成
予算400万を2回に分けて
人時売上で割り、
出た時間数で使えるシフト時間を
割り出します。
この時の注意点は予算400万を
単純に2回に分けて200万
と言うのではなく、
1日ごとに割り振った予算を
半月なら半月分足した額を
半月分の予算とします。
これは、
週末や月末などで通常の売上と
誤差があり予測できる売上の
上下を考えると
1カ月の中で上旬と下旬の
売上額に差が出る事が
あるからです。
1カ月の後半に売上が高くなって
行くお店は当然予算の割合が
後半高くなりますし
使える労働時間数も増える
と言う訳です。
考え方
1週間単位でシフトを作る店なら
1週間で売り上げる金額が予算で
決まっています。
その1週間分の予算に見合う
労働時間を割り出します。
出た時間数を1日の予算に合わせ
割り振ります。
1日の使える時間数が出ます。
その時間内でスタッフの
シフト作成を行っていきます。
簡単に言うとこの様な感じに
なりますがこの中には
休憩時間やアルバイトの時給など
細かい計算をしていく
必要があるので
専用の帳票を用意して
計算し易い態勢を作っておく事が
シフトと予算作成時に
悩む時間を減らす事になります。
人件費を合わせる作業が出来る
という人は
売上の予測が出来ていて、
スタッフを使える時間数を
把握していて
上限をオーバーして使わないから
売上が上下しても人件費が
予定どおりに設定値に合うのです。
倉持はシフト作成を人時売上から
作成する手法をこの様に
説明したのでした。
つづく
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第155話:シフトを人時売上から作成する手法
倉持は働く人員のコントロールと
シフト作成の難しさを説明した所で
講義に参加した全員に
実際のお店のシフトを予算に合わせて
作成してみるように指示しました。
実際にシフトを作成するときに
気をつけるポイントは何でしょうか?
普通忙しさの状況に合わせて
必要な人員を配置していくだけの
シフト構成を作って
暇なら絞り、忙しいなら補充するか
一人当たりの負担を増やして
対応する感じなのでしょう。
現場責任者であればこの程度で
構いませんが
オーナーや管理職の人間は数値で
現状を分析しなければ問題点が
ハッキリ見えてきません。
店長が現場責任者を担う様な
現場であればその両方を
一人で管理しなくてはいけない
ということになります。
シフトの予算を作る場合、
人時売上を把握して作成する方法と
人件費率から作成するという
場合があります。
人時売上とは1時間当たりで
スタッフが売り上げる
売上金額の事を言います。
スタッフが10人いて
1時間に10万円売上があると
人時売上が1万円有ると言う事です。
この数値でお店の忙しさや
コストパフォーマンスを図る
指標にしてシフトを作成します。
過去の傾向からお店の忙しさと
状態を把握して理想的な人時売上を
把握しておきます。
普通の居酒屋などは
~5000円くらいで儲けの状態が
良いお店が多いとされます。
例えば、
この5000円を基準に人時売上から
シフト予算を考えてみます。
手順
①
年間予算から1カ月単位に割り振った
月間予算を人時売上の5000円で
割ります。
予算400万の場合
4000000÷5000=800
②
出た数値がシフトに使える労働時間
なので800時間を1カ月の中で
割り振ってシフトを作成する。
シフトを1カ月単位で作成しない
というお店はシフトを作成する
期間で売上を割って考えます。
シフト=1カ月に2回作成
予算400万を2回に分けて
人時売上で割り、
出た時間数で使えるシフト時間を
割り出します。
この時の注意点は予算400万を
単純に2回に分けて200万
と言うのではなく、
1日ごとに割り振った予算を
半月なら半月分足した額を
半月分の予算とします。
これは、
週末や月末などで通常の売上と
誤差があり予測できる売上の
上下を考えると
1カ月の中で上旬と下旬の
売上額に差が出る事が
あるからです。
1カ月の後半に売上が高くなって
行くお店は当然予算の割合が
後半高くなりますし
使える労働時間数も増える
と言う訳です。
考え方
1週間単位でシフトを作る店なら
1週間で売り上げる金額が予算で
決まっています。
その1週間分の予算に見合う
労働時間を割り出します。
出た時間数を1日の予算に合わせ
割り振ります。
1日の使える時間数が出ます。
その時間内でスタッフの
シフト作成を行っていきます。
簡単に言うとこの様な感じに
なりますがこの中には
休憩時間やアルバイトの時給など
細かい計算をしていく
必要があるので
専用の帳票を用意して
計算し易い態勢を作っておく事が
シフトと予算作成時に
悩む時間を減らす事になります。
人件費を合わせる作業が出来る
という人は
売上の予測が出来ていて、
スタッフを使える時間数を
把握していて
上限をオーバーして使わないから
売上が上下しても人件費が
予定どおりに設定値に合うのです。
倉持はシフト作成を人時売上から
作成する手法をこの様に
説明したのでした。
つづく