第158話:原価とは | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第158話:原価とは

倉持部長はここまでお店の予算作成と
出来た予算からシフトを作成する
ポイントについて話を進めてきました。

倉持
「皆さん予算作成とシフトの関係性は
理解できたでしょうか?」


講義に参加した全員が理解できて
いるわけではないようでしたが
今後帳票を使って少しずつ慣れて行き
マスターするようにと指示して
倉持は次の話を進めていきます。


倉持
「予算の中で人件費以外の
割合が大きい変動するコストとは
何か解るでしょうか?」

学生
「原価でしょうか」

「正解です。
原価とは商品の原材料費の事ですが
飲食店なら食材の購入費用と
買ったあと保管している分の
費用も含めて原価と言います」


少しややこしい話ですが
予算の上での原材料費と原価は
違います。

原材料費は食材を購入した金額
原価とは一定期間の実際に使った
材料費の事
を指します。

つまり、

原材料費は仕入れで買った金額で
先月からの残りの在庫や次の月まで
使わない材料も含まれると
言う事です。


原価の場合、損益計算書で
ひと月の予算を作成するなら
ひと月の内に実際に販売した商品の
材料費の事を売上原価と言います。


前田
「良く考えると飲食店とか
年中無休のお店や月またぎだと毎月
食材が全部なくなる訳じゃないから
その月に使った材料は予想でしか
解りませんよね?」


倉持
「では、原価の求め方を
説明していきます。」


原価とはその月の間だけで使った
食材の金額なので

先月から残っている食材や
今月買った食材で使わなかった
食材は含めません。

これを計算で求めると
この様な式になります。


先月の在庫+今月の仕入れ
-月末に残った在庫=
今月使った材料費


今月の初めから月末までの
使った材料費を求めるので

実際の営業では月初めに
残っている食材とその月に
買い足した食材で営業を
進めて行きますよね?

そして月末まで営業して
最後に在庫が残ると思います。

これを先ほどの式に当てはめて
計算するとその月の使った
金額が解ると言う事になります。

その為には、

その月の最後に
「残った在庫」がどれだけ
残っているのか計算しなくては
ならなくなります。

この、残った在庫を数える作業が
一般的に「棚おろし」と言われる
作業です。

飲食店なら冷蔵庫の食材や
冷凍食品、倉庫の乾き物、缶詰や
飲料に至るまで全て数えて金額が
いくらになるのか計算します。

「先月残った在庫」とは、
先月の棚おろし作業をして
割り出した金額の事を言います。

つまり、

先月の棚おろし作業で出た金額と
今月仕入れた仕入れ額を足して
今月の棚おろし作業で出た金額を
引くと今月使った材料費が
正確に割り出せるのです。

この計算で割り出した金額
「売上原価」をその期間の
売上で割ると「原価率」
算出できると言う事になります。

この数値がお店の規定通りの値で
毎月平均的な数値であれば
材料費に問題は有りませんが

この数値の変動が激しく、
頻繁に変化する場合は様々な点で
問題が起こっていると
考えて下さい。



食材のロスが多かったり
予定の盛り付けよりも多く
材料を使っていたりすると
原価率は高くなりますし

商品原価率の割合が高い商品が
偏って多く売れても原価率は
変動していきます。


原価は利益獲得において大きな
影響があるコストとなります。

予算の中で変動する費用
つまり変動費になりますが
売上に対する決められた
割合を目指すのである程度
目測が付く変動費
となります。



あるお店の売上が毎月平均で
100万円だったとします。

原価率は毎月大体30%が
平均値で変動は0.5%以内で
収まっていました。

すると次の月に
予算を作成する時点で
材料費に30万円掛っていると
解る訳です。


この様に数値を把握していくと
お店の状態が色々と見えて
来るのだと倉持は言いました。


つづく