本田承太郎 -27ページ目

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第163話:レシピ原価の表計算

倉持は原価を計算する事で
メニューの戦略が一つ増えて
コスト管理や利益の目算が出来る事を
説明しました。

今回は原価をレシピから実際に
計算してみる事にします。

例として「大根サラダ」のレシピを
エクセルシートに書いてみます。

手順

レシピを作成して分量を記入
※この時に分量はなるべくグラムで計る


隣の欄に新しく項目を作ります。


食材を購入した時の単位を袋入りや
本数など買ったそのままで記入。


食材の購入価格を記入


その食材の総重量を記入

購入した総重量の隣の欄に
「購入価格÷重量」の計算式を作成


購入価格のセルがJ列8行目で
購入重量がK列8行目の場合


セル内に
=J8/K8
と記入する。


計算通り購入価格を総重量で割ると
1g当たりの価格が出る。



1g単価の計算式=
(購入価格のセル)/(購入重量のセル)




1g単価×使用g数で
食材の使用単価が出る

使用単価の式=
(使用単価のセル)*(1g当たりの価格のセル)


まとめるとこうなる。

原価は材料費の合計


売値は任意で決める


売値を決めると原価率が出る


使った材料費を買った金額から引いて
残りの在庫金額が出る(棚おろし額)

表をまとめるとこの様に
なります。


計算式は自動計算の数式を入れて
売値を変えながら原価率を
何%に設定するか選べるという事に
なります。

この表でやる事をまとめると、

レシピを書く

表に食材の種類・使用量を書き
元の購入額と購入単位を重量で
書きます。

g単価と価格が自動算出されるので
売値を決めれば自動で
原価率が計算されます。


この様な表はエクセルで簡単に
作成できるので家庭でも
家計簿用に使えるシートです。

倉持は講義の参加者に配布した
PL管理票にこの原価の表計算も
加えたのでした。

つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第162話:FLコストとは

倉持が話すのは二人の料理人が
お店を開業して利益に差が出たと
言う事でその理由を解説しています。


A君のお店の原価率33%という
数値はお店の売上が月間1000万
有るとすると

食材に使われた額が33%に当たる
330万円と言う事になります。

B君のお店は原価率が28%なので
食材費用は280万円になります。


そうすると同じ売り上げの
二つのお店の費用の間に50万円の
が出来ていたのです。


この、

売上原価で50万円の差と言うのは
大きなもので、

原価の安いB君のお店が単純に
原価が安い事でA君のお店よりも
利益が取れる場合もあるでしょう。

同じ費用で同じ人件費なら
メニューの組み方やお店の
取り組み施策に工夫があったと
言う事になります。

そして50万円分はA君の
お店よりも余計に費用が
使えるので売上UPの為に
投資する事も出来ます。

原価率を理解する事で
これほど差が出るのには
有る理由がありました。

A君のお店の目玉メニューは
1匹2000以上する伊勢海老や
鯛等の豪華船盛りで原価率は
おおよそ理解していて

大体50%くらいで
販売していました。


B君のお店でも豪華船盛りを
目玉にしていましたが
価格と原価率を抑えて
売れ筋商品にしていました。


B君はメニューのレシピから
原価率を把握する事でお店の
売れ筋商品の原価を調整すると
利益を増やせる事や

損失の大きい原価率の目玉商品は
販売数を限定するやり方
原価が安い利益率が高い
商品ラインナップを充実
させる事

メニュー全体のバランスを
保っていたのです。


つまり、

A君のお店では傍目には
商品がバンバン売れて
お客様も多く繁盛しているように
見えますが、

メニュー構成や戦略を考えた
B君のお店には利益で
負けているのです。


大手ファーストフードでも
この様な手法が使われています。

某有名ハンバーガー店では
売れ筋の主力商品の
ダブルチーズバーガーが
一番コストが高く原価率を
圧迫していました。

人気があるので販売数も多く
この商品の品質を下げる訳には
いきません。

ここでポテトフライを
メニューに加えます。

ダブルチーズバーガー330円が
原価率45%だとしたら

148.5円となりますが
(※これはあくまで事例です)


ダブルチーズバーガーばかり
売れてしまうと原価率は
大きくなっていきます。

普通飲食店では原価率と
人件費のコストをFLコストと
呼びます。

FLコストとは

フードコスト(食材)=F
レイバーコスト(人材)=L

合わせてFLコスト。


このFLコストが売上の
55%位になるように設定される
企業が多いと言われます。

これが65%以上になると
赤字になるとも言われるので
原価率や人件費率を常に
合わせるように管理する事は
経営者として当たり前の
事になります。


では、ポテトフライを
メニューに加えると
どうなるのでしょうか?

ポテトの販売価格は250円
原価は19円です。

原価率は驚きの7.6%という
数値でほとんど利益です。

ハンバーガーショップでポテトは
人気商品ですが利益率が高く
全体の原価率も下げてくれる
メニューなのです。

ハンバーガーの例で言うと、

ダブルチーズバーガーが
100個売れたとして価格が
330円なので売上は33000円
となります。

このままだと原価率45%なので
そのままコストは45%となります。

つまり何千個売っても
売上の45%は費用として
消費する訳です。

これにポテトを加えると
単価250円で原価率7.6%
なので100個売ると売上は
25000円となります。

例えばダブルチーズバーガーだけで
200個売っても原価率は45%
なのですが、

ダブルチーズバーガーとポテトを
100個ずつ合わせて200個
販売すると、

ダブルチーズバーガー100個の原価
=14850円

ポテト100個の原価=1900円

合計16750円となり、
売上200個で58000円
になります。

原価率は28.9%になります。


比較すると、
ダブルチーズバーガーでは200個で
66000円の売上原価45%なので
29700円が費用になります。

これを差し引くと36300円
現金が残ります。

しかし、ポテトをプラスして
合計で200個売った場合は

合計の売上58000円と
少ないですが

合計費用は16750円となり
差し引くと41250円の現金が
残るのです。

つまり原価率の安い商品をメニューに
上手く組み込む事で
売上が低くても利益が大きくなると
言う事なのです。

当然売上が同じなら更に
利益は大きくなります。


倉持が説明したのは
メニューの原価率を理解する事で
戦略が一つ増えると言う事でした。



つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第161話:長年の修行がモノを言特殊な仕事

倉持部長は講義で
こんな話を始めました。


ある和食のお店で働く二人の弟子が
互いに切磋琢磨して将来自分の
お店を持つ夢を持って
働いていました。

お店で修行する中で二人の関係は
同期と言う事もあり比較される
存在
でした。

A君はもともと優秀で料理のセンスが
人よりも優れて
いました。

B君は毎日の修行で少しずつ学んで
成長するタイプ
でした。


徐々にA君の頭角が現れて評価されて
B君とは差が出来て行きます。

A君には美味しい料理を作るセンスが
あって更に、真面目に取り組んで
どんどん成長している
からです。

そうして二人がベテランの域に
なった時に料理の腕はかなりの差が
生まれていました。

A君はセンスで料理を作る才能と
長年の経験で目分量・目測が完璧
です。

一方B君は舌も鈍く才能は無い事を
自覚しているので計量とレシピを
欠かさず記録する事で何とか
ライバルに対等出来る力を身に付けて
いた
のでした。

やがて二人がお店を卒業して
互いに自分のお店を持つ時が
やってきました。

そして

二人がお店を開店する為に作成した
レシピには作り方に、
ある根本的な違いがあった
のです。

A君は目測でどれくらいの
分量を使えば美味しい料理が出来るか
理解している為目分量でレシピを
完成させていきます。

B君は長年の経験で溜めてきた
レシピのデータを利用して自分の店の
レシピを完成させました。

二人は無事自分のお店を開業出来て
しばらく営業が続きます。

もともとA君のレシピは材料の
大雑把な種類とおおよその分量を
メモしておくだけの簡易的なレシピを
自分で作成していたので
何の問題意識も持たずに営業を
続けていました。

そして、ある時
久しぶりに会ったA君とB君は
お互いの近況を話します。

すると

A君は自分の店とB君のお店に
利益の差がある事に気が付きました。


A君の料理は評判で美味しく
お客様も常連が付くほど
繁盛していましたが

利益はB君のお店の方が
多かったのです。

A君は何故だろう?と疑問に
感じていました。

B君が行っていてた事は
特に何の特別な事も無く普通に
真面目に営業していただけなので
なおさら理由が理解
できませんでした。

ここでA君とB君の店の
利益の違いについて紐解きます。


A君の店は店主であるA君が
レシピを作成してメニューにして
買った食材・前月の在庫、
今月の在庫をそれぞれ集計して
原価率を求めていました。

原価率の数値は33%でした。

B君は正確に計量したレシピの
商品原価率をちゃんと割り出して
売れ筋商品と目玉商品の
割合まで解るようにデータを
取っていたのです。

原価率は28%でした。

昔の料理人たちは大雑把な
所があってよく目方で測って
言い値で売る事がありました。

板前なんかは刺身を注文を
受けてから切り分けいちいち
刺身一切れのグラム数など
計ってから売ったりしないと
言う事です。

だから目測や目方のスキルが
必要な長年の修行がモノを言う
特殊な仕事でもある
訳です。

確かにA君のお店は間違った
やり方をしている訳では
有りません
でした。

長年の修行から確かな物を提供し
利益を得ているので

成功していると言えるでしょう。


ただし、B君は分析して
計量をしっかりと行い
確実に営業する事で

「A君よりもっと成功している」

と言う事になります。


倉持はこの話の答えを
次の様に話して行きました。

つづく