第161話:長年の修行がモノを言特殊な仕事 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第161話:長年の修行がモノを言特殊な仕事

倉持部長は講義で
こんな話を始めました。


ある和食のお店で働く二人の弟子が
互いに切磋琢磨して将来自分の
お店を持つ夢を持って
働いていました。

お店で修行する中で二人の関係は
同期と言う事もあり比較される
存在
でした。

A君はもともと優秀で料理のセンスが
人よりも優れて
いました。

B君は毎日の修行で少しずつ学んで
成長するタイプ
でした。


徐々にA君の頭角が現れて評価されて
B君とは差が出来て行きます。

A君には美味しい料理を作るセンスが
あって更に、真面目に取り組んで
どんどん成長している
からです。

そうして二人がベテランの域に
なった時に料理の腕はかなりの差が
生まれていました。

A君はセンスで料理を作る才能と
長年の経験で目分量・目測が完璧
です。

一方B君は舌も鈍く才能は無い事を
自覚しているので計量とレシピを
欠かさず記録する事で何とか
ライバルに対等出来る力を身に付けて
いた
のでした。

やがて二人がお店を卒業して
互いに自分のお店を持つ時が
やってきました。

そして

二人がお店を開店する為に作成した
レシピには作り方に、
ある根本的な違いがあった
のです。

A君は目測でどれくらいの
分量を使えば美味しい料理が出来るか
理解している為目分量でレシピを
完成させていきます。

B君は長年の経験で溜めてきた
レシピのデータを利用して自分の店の
レシピを完成させました。

二人は無事自分のお店を開業出来て
しばらく営業が続きます。

もともとA君のレシピは材料の
大雑把な種類とおおよその分量を
メモしておくだけの簡易的なレシピを
自分で作成していたので
何の問題意識も持たずに営業を
続けていました。

そして、ある時
久しぶりに会ったA君とB君は
お互いの近況を話します。

すると

A君は自分の店とB君のお店に
利益の差がある事に気が付きました。


A君の料理は評判で美味しく
お客様も常連が付くほど
繁盛していましたが

利益はB君のお店の方が
多かったのです。

A君は何故だろう?と疑問に
感じていました。

B君が行っていてた事は
特に何の特別な事も無く普通に
真面目に営業していただけなので
なおさら理由が理解
できませんでした。

ここでA君とB君の店の
利益の違いについて紐解きます。


A君の店は店主であるA君が
レシピを作成してメニューにして
買った食材・前月の在庫、
今月の在庫をそれぞれ集計して
原価率を求めていました。

原価率の数値は33%でした。

B君は正確に計量したレシピの
商品原価率をちゃんと割り出して
売れ筋商品と目玉商品の
割合まで解るようにデータを
取っていたのです。

原価率は28%でした。

昔の料理人たちは大雑把な
所があってよく目方で測って
言い値で売る事がありました。

板前なんかは刺身を注文を
受けてから切り分けいちいち
刺身一切れのグラム数など
計ってから売ったりしないと
言う事です。

だから目測や目方のスキルが
必要な長年の修行がモノを言う
特殊な仕事でもある
訳です。

確かにA君のお店は間違った
やり方をしている訳では
有りません
でした。

長年の修行から確かな物を提供し
利益を得ているので

成功していると言えるでしょう。


ただし、B君は分析して
計量をしっかりと行い
確実に営業する事で

「A君よりもっと成功している」

と言う事になります。


倉持はこの話の答えを
次の様に話して行きました。

つづく