本田承太郎 -26ページ目

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第166話:飲食店のロス一覧

倉持は全員に飲食店における
ロスの種類について質問しました。

グループ毎に提出された考えられる
飲食店のロスとはこのように
なりました。


・調理ロス(失敗)
・配膳ミス(落下・席のま違い等)
・管理ロス(腐敗・消費期限切れ等)
・試食・試作
・まかない(スタッフの食事支給)
・サービス品
・仕込みロス(提供数との誤差)
・不正(食材盗難・つまみぐい)
・盛りつけ量(分量が基準より多い)


基本的に食材に関わるロスなので
色々なケースが考えられますが
営業上必要なロスも中には
ある事が解ります。


原価率を計算する時に
ロスがどれくらいあるのかを
計算に入れて商品の価格を
考えなくては
利益が少なくなる事も
考えられます。

スタッフがミスをする事は
あり得る事なので想定しなくては
ならないでしょう。

しかし、食材の盗難や
つまみ食いなどの不正、
管理ミスによる食材の廃棄等は
教育や管理で未然に防げる項目と
なります。


食材のロスは飲食店では
意外と多くの費用が掛っていますが
実はそれほど注目されていません。

なぜなら

目に見えない金額で
ちゃんと数値を把握している店長
だけしか解らない数字だからです。

理論原価や実績原価を比較して
問題点を抽出し問題改善施策まで
行って初めて管理していると
言えますので

大雑把に考えて費用を垂れ流しに
消費している店長やオーナーが
実際には多いのが現状です。

問題は手間が掛る事や
専門的な知識、パソコンなどの
特別なスキルを勉強しなくては
ならない事がネックとなります。

ですが仕組みを作ってしまえば
簡単に管理できますし
そう言ったソフトやシステムも
販売されています。

簡単な物で無料で管理できる
帳票も作成できるので
個人経営で小規模のお店等は
費用を掛けずに
管理能力を向上させる事も
可能となります。


現実的に考えて例えてみます。


理論原価と実績原価を把握して
原価率の設定値から売上の
1%の誤差があるとしましょう。

たった1%の誤差と思うかも
知れません。


でも、お店の売上が月間で
800万の売上があるお店なら
どうでしょうか?

1%で7~8万円のロスです。

これはかなり大きな額です。


原価で8万のロスだと
売上で20万以上取れる場合が
あるのでそれだけ損している
と言う事になりますし

8万円分広告を出す事だって
出来たはずですよね。


実際にロスを計算して自分の
お店が損をしているかどうかを
把握する事は売上の
販売促進施策を考える前に
必要な事なのかもしれませんよね。


倉持はそう言うと全員に
ある帳票を紹介します。



つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第165話:歩留まりとは何ですか?

倉持の講義で出た話について
参加していた前田から
こんな質問がありました。

「歩留まりとは何ですか?」

講義の中で出た「歩留まり」という
一般には聞き慣れない言葉は

飲食の世界ではよく使われる
「材料のロス部分」の事を指します。

普通に使われるこの言葉の意味では

「生産された製品の不良品では無い
出荷できる製品の割合」

という考え方です。


商品を工場などで生産すると
中には不良品や不具合から
出荷できない状態の物も
中には出てきます。

それに掛る費用を差し引いて
計算された物を歩留まりと呼びます。

要するにロスを計算された
状態の事ですね。

しかし飲食業界では
この「歩留まり」をロスとは
考えない場合が多いようです。

例えば、

お寿司屋さんでマグロの握りが
メニューにあると1匹から取れる
すしネタの量を計算して
購入価格と売価を決めますが

この時にマグロの身の部分だけで
原価計算が行われ販売価格も
ここから決まります。

つまり残った部分は計算に
入りません。

残るのは骨や頭や内臓なので
当然だと思う方もいるかも
しれませんが

「マグロの兜焼き」とか
「マグロの目玉」とか
「マグロほほ肉ステーキ」
というメニューを

お店で見た事は無いでしょうか?

実はこういった商品は歩留まりに
含まれず費用0円で作られる
原価率0%のボロ儲け商品
だと言う事なのです。

ただし、

その商品を販売する計算で
メニュー構成やメイン商品の価格が
決まっている場合があるので

「ボッタくり」と言う事では
無いので注意して下さい。


飲食店ではこの様に
歩留まりをお金に変える事も
工夫され施策になっている事を
知ると他にも色々な所で

原価率0%商品が世の中には
ある事が解ります。

例)
鯛の潮汁
荒煮
ブリカマ塩焼き
大根の葉の漬物
おから


大きな企業ではそう言った
ロス部分でも計算に入れて
考えらたり

そう言った部分を買い取って
専門的に販売する場合もありますが
個人店では売上の大きな助けになる
儲けの部分となります。

前田
「なるほど~。
0円で商品になるってお得ですね」

倉持
「聞くと得なように感じるかも
しれないけど、
普通に計算される売上だから実際
それほどボロ儲けではないのよ」

倉持の言うように
儲けにする事も出来る場合は
僅かでそれなりの工夫も必要に
なってきます。

実際の販売する商品以外での
使い道は、

スープの出汁に野菜の皮を
使ったり、

スタッフの「まかない」に
食材のヘタを利用したりします。


現在の飲食店は
営業努力で工夫され利益やロスを
考えて対策を取っているお店も
多くそれでも価格で負けたりする
激戦の時代なのです。

倉持
「皆さんに聞きますが実際のお店で
考えられるロスの種類は何があるか

あなたが店主なら把握して
おかなければなりませんよね?」

そう言うと倉持は
ロスの種類をグループで
挙げるように指示しました。


つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。


第164話:理論原価を把握出来る方法

倉持の講義ではレシピの原価計算を
行って原価率を簡単に把握する方法
エクセルシートを使い説明しました。

そして、

商品一つ一つの原価率を出せるように
なると実際に商品が何個売れたか
集計するだけで

「理論原価」が把握できるように
なります。

理論原価については
前に説明した通り

理論上

「売上げた商品の個数に応じた売上額」

の事なので実際の売上金額とは
誤差が出るものです。


全く完璧にロスなく営業できる店や
商品などでも試作や味見、まかない、
商品開発・サービス品などで
食材を使った瞬間に

理論上の原価率とは誤差が出ます。


つまり、

飲食店における
実際の売上に対してどれだけ食材で
商品以外のロスがあるのかを
把握出来ると言う事です。

ではどのように理論原価を管理して
把握するのか表を作って
説明していきます。

メニュー原価

エクセルにこの様なシートを
作ります。

メニュー一覧で
メニュー名、価格、原価、原価率、販売数
販売数売上、販売数合計原価の欄を
作成します。

ここにメニュー毎の売れた個数を
入力していくと商品に実際掛った
金額や平均原価率が解ります。

この金額や原価率が理論上の
売上と原価になります。


PL表で計算された原価や
原価率と誤差がある場合は
その差し引かれた数値が
ロスとなります。


ここで、正確に把握したい方は
PLの勘定科目に
商品開発費やサービス金額、
まかない費用などの各項目を
追加して経費として計上すると
それ以外のロスがより
現実的に見えてくると思います。

飲食店などでは
人的ミスによるロスや
歩留まりなどのロスも
考えられるので不確定要素が
大きく把握し辛いかもしれませんが
この様に帳票を整理すると
より分析し易くなるので

ロス計算表などの準備をして
対策を立てられるようにする事

必要かもしれません。

棚おろし表などにこの様な
理論原価を把握出来る方法
加えておくと便利です。

前田
「歩留まりって何ですか?」

前田は倉持に質問しました。

倉持
「それでは次はロスについて
考えて行きましょう」



そう言うと倉持は
飲食店のロスについて
話し始めて行きました。



つづく