本田承太郎 -25ページ目
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田達は人事部の倉持部長の
講義を終え倉持の部下の柏木から
人員採用についての話を
聞いていました。
第169話:店長として失格
倉持部長の部下柏木は飲食店等の
アルバイト採用に関して軽視する
店長やオーナーが多いと言います。
飲食店におけるアルバイトは
実際に社員と同等の仕事をする
お店もあるので他のアルバイトとは
違ったスキルが要求されます。
パート勤務や工場勤務では
与えられた仕事をこなせば良い
という職場が多いのですが
飲食店では接客スキルやメニューの
知識、仕事のオペレーション
(営業形態)を学ばなければ
なりません。
若い学生等のアルバイトは
学習能力も高く仕事にも意欲的な
ケースが多いのでそれほど
人員選別に意識が向かない事が多く
目の前の人員不足の方が重要な
課題なので多少問題があっても
人が足りなければ採用される
と言う事も多いのです。
それ以前に
アルバイトの離職率が高い店は
職場に問題があるケースが多く
・時給が安い
・スタッフとの人間関係が悪い
・仕事が厳しすぎる
・負担が大きい
・シフトの融通が利かない
・いじめがある
こういう事例も多く聞きます。
その為アルバイトに辞められて
人手が足りなくなったから
採用募集して、
多少問題があっても採用すると
また店内で問題が発生していく…
と言う様な悪循環に陥って
お店は衰退していきます。
アルバイトの場合面接1回だけで
採否が決まる事が多いので
問題は最低限しか見極めが
出来ない事が多いです。
ですがその最低限も行っていない
店長が多く法的にも不正的な
募集を行っている店もあります。
アルバイトが戦力になる為には
現場の環境が最も大事で
働く現場が悪ければいい人材も
どんどん腐っていきます。
人手が足りなくなって補充しても
すぐに辞めて行くのは現場が
腐っている事が原因だと
店舗責任者は自覚しなくては
何も解決せず同じ事を
繰り返していくでしょう。
もし、オーナーがこういう店舗を
見つけたなら店長を入れ替え、
スタッフも全員入れ替えた方が
お店を立て直せるチャンスが
あります。
よく店長だけのせいにされて
入れ替えが行われる事を聞きますが
店長の人間性や能力だけで
改善されるのは微々たるものです。
一度お店が腐ってしまった場合
スタッフもアルバイトも全員
入れ替えを行わないとお店の体力は
どんどん奪われていくでしょう。
オーナーはこの、非情とも言える
決断をしなくてはいけない立場です。
現場責任者である店長は
この事を理解して営業しなくては
自分の立場だけでなくスタッフ全員
クビする羽目になり、
その時になってオーナーに
反発しても手遅れなのだと知って
おかなければいけません。
自分の事しか考えていない人は
「そんなこと考えて仕事出来るか」
と言いますが、
自分がオーナーなら利益や会社の
存続が第一でそれが社員を守る事に
なるので当然こういう決断を
されるケースも出てくるのです。
つまり、
人員採用の意識やお店の営業形態を
店長の権限で好き勝手にやった挙句
お店を腐らせて離職者を頻発させた
場合ならそれは、
店長として失格だと言う事です。
もしあなたが
飲食店を営業していたり
お店の店長をしている立場で
人員採用と現場の環境が人を育てる
と言う事に対して
「そんなこと考えて仕事出来るか」
と思っているなら
店長失格だと思って下さい。
柏木はそう強い口調で話し、
次に採用計画についての
話を始めて行きました。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第168話:人員採用について
倉持部長の講義では数値管理の
基礎部分を話していて
参加者には数値管理で必要な
帳票を渡していました。
今回の講義はここで終了しましたが
本田承太郎と前田には追加講義で
聞いておくべき事があると
倉持は言います。
そして
本田と前田は倉持にある人物を
紹介されました。
その人物は倉持の直属の部下で
人事部の柏木という人物です。
本田は後輩に当たる人物で
年齢も近いので面識はありました。
柏木の仕事は「人員採用」です。
企業において採用は重要な事で
その成果によって会社の業績や
風土も変化するほど影響があります。
倉持
「本田君は解っていると思うけど
これから話す項目は採用に関する
知識になります」
柏木
「それでは倉持部長に代わりまして
これから人員採用に関して
話をしていきたいと思います」
柏木は挨拶もそこそこに
人員採用について話し始めました。
採用と言っても社員を採用する
という訳ではなく
お店のアルバイト採用に対して
基礎知識を学んでおく必要が
お店の責任者や店長にはあるのです。
社員の採用と違い、
アルバイトを採用しているお店では
店長が採用の可否を決める事が
ほとんどです。
その為偏った知識や経験の無い
店長がスタッフ採用を行うと
満足な人員が揃えられず
教育で能力を引き上げる事が
必須の作業となります。
柏木
「それでは採用のスケジュールを
説明していきます」
柏木はそう言うと一連の流れを
説明していきました。
・年間予算に計画を加える
・採用計画
・募集方法の決定
・募集費用の計画
・面接準備
・必要人員
・面接(手順)
・合否通知
・採用と契約
この様に計画的に人員を
採用するプランをあらかじめ
予算に組んでおいて想定外の
経費とならないように
予算を組んでおく必要もあります。
学生のアルバイトが多い店だと
春の3月4月は退職者や新規採用が
必然的に多くなりますし、
学生が休校の期間は人員も
帰省や遊び・長期旅行・部活などで
人員不足するケースが多くなります。
そうった採用した人材の都合も
考えて計画しておかないと
いざその時になって
「人員が足りない」と嘆いても
それは店長の責任となります。
だからと言ってすぐにアルバイトを
募集してしまったり、
既存のスタッフに無理を言うと
その場は乗り切れても後々
新たな問題が発生してきます。
例えば、
夏にバイトの学生が夏休みなので
遊びに行ってしまい人員が足りなく
なってしまったので店長は
バイトを募集して補いました。
すると夏休みが終わって
戻ってきたバイトが多くなり
シフトに入れず満足に稼げない
と言う事になってきます。
既存のアルバイトは夏休みに
遊んでしまったのでお金も無く
これから頑張って取り戻そうと
しているのに
バイトも出来ずお金も無いとなると
モチベーションも下がります。
これを放置すると店内の雰囲気は
悪くなっていき、店長に反感を
持ったりスタッフ同士のいじめの
原因ともなります。
別のパターンの例で、
夏休みに遊びに行こうとする
アルバイトを引き止めて
人員が足りないから無理やり
バイトのシフトに入ってくれと
頼み込むとアルバイトも無下には
断れずストレスを抱えた状態で
働き続ける事になります。
かといって人員が増えてきた所で
急に休みを貰っても友人や
学校の都合もあるのであまり
意味がありません。
この様に学生を雇う場合
様々な相手の状況を見据えて
採用していかなければ
自分のイメージするお店には
ならないので
軽視しがちな採用の段階の
プランが重要となると
柏木は話しました。
つづく
前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第167話:日報一括管理表
倉持は講義の参加者に渡していた
PL(損益計算書)の他に
営業管理で必要な物をセットで
渡しました。
・日報
・損益計算書
・棚おろし表
・仕入れ価格表
・諸経費管理票
・人件費管理票
こう言った管理が出来る
帳票がそろっていました。
他にもPL表の実績と予算の比較や
施策の企画書、ロス管理票など
追加機能も加えていました。
特に便利な物が
「理論原価管理票」でした。
これはエクセルにレシピ作成表が
入っているのですが
自分が使っている購入先の
食材購入価格と重量単位を
データで入力しておくと
レシピと売値を入力するだけで
原価率や費用が算出される
物でした。
更に別のページで
メニュー一覧を作成しておくと
売れた個数を入力するだけで
理論原価が算出され原価率も
解ります。
このセットがあれば
飲食店を営業する事においての
必要な帳票は揃っている事に
なります。
今回は数値に関しての
帳票管理と言う議題で講義を
行ってきた倉持でしたが
参加者にとって一番の
得た物とは
この帳票セットだったのでは
無いでしょうか。
実際にお店を開く時に
管理費用無料で使えるので
費用を掛けずに数値管理するなら
有利です。
大型店のレジシステムの様に
大がかりで莫大な初期投資と
ランニングコストや
メンテナンス費用を考えると
かなり格安と言えます。
ただし、
数字を入力するだけとはいえ
数値を理解しなければ
使いこなしているとは
言えないので
今後も個の管理票の講義を
定期的に行っていくそうです。
本田承太郎と前田の部署で
どの様なシステムを導入するのか
まだ決まっていませんでしたが
数値において非常に
勉強になった日となったのでした。
つづく
倉持部長の管理票セット
日報一括管理表を
近日無料配布予定

