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本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
前田は美味しいクリームコロッケの
本田が学んだコツを聞いていました。


第196話:海老クリームコロッケのコツと注意

クリームコロッケ

本田はクリームコロッケの
本格的な作り方を前田に説明して
コツや注意点を話していきます。


クリームコロッケのタネは、
基本的に海老や玉ねぎを大量に
炒めて自然な甘みの味を出すので
玉ねぎを炒めて茶色にするだけで
3時間掛るそうです。

そこから潰して叩いた大量の
海老を入れて白ワインで煮込む事で
ベースが出来ます。

クリームコロッケを食べた時の
食感として残す為にある程度の
大きさに刻んだ海老も別で仕込み
ベシャメルと混ぜた時に加えます。

牛肉は脂の多い旨みのある肉を
ひき肉にします。

合い挽き等のミンチでは無いのは
牛だけで良いからです。


クリームコロッケの具は
メインの海老やカニ以外は
マッシュルームなども全て
細かく刻んで加えます。


コーンはそのまま入れると食感が
嫌いな人もいるのでペーストで
少しだけ甘みを加える為に
入れます。

基本的に味付けは塩・コショウで
フォンドボーなどのブイヨンを
加えて伸ばせば良いですが、

ベシャメルソースの量が
タネの5倍以上になるので
この種の味がこの時点で
かなり濃い味付けになるはずです。

しかも油で揚げると風味と
味が多少飛ぶのでそれも考慮して
通常では味見出来ないくらい
「濃い」味付けをしておくのです。

無事タネが出来ると
ベシャメルソースに加えて食感の
具を入れて煮込んでいきます。

火が通れば良いのでここでは
あまり煮込まず加熱が終われば
火を止めます。

ベシャメルソース作成の注意点でも
ありましたが、

ホワイトソースは焦げた時点で
全部が失敗なので

「絶対に焦がしてはいけません」

ソースを作る時、具を混ぜる時、
加熱する時全てにおいて
ヘラでなべ底が焦げない様に
混ぜ続けて仕込んでいきます。

途中に作業が入る場合は
火を止めて中断する位注意しても
再開時に余熱で焦げ付く事も
あるのです。


全体をなじませると
最後の仕上げに「卵黄」を
加え素早く混ぜ合わせます。

※入れなくても良いです。

完成したソースは全て
バットやたっぱの様な幅の
広い容器に入れて冷やします。

荒熱が取れたら冷蔵庫で完全に
冷やして寝かせます。

クリームコロッケ作成のコツは
ベシャメルソースの練りによって
冷やした時に固まる度合いが
変わることです。

練りが弱いと冷やしても
ゆるいタネになってしまい、
パン粉が付きにくく形も
揚げた時に崩れやすくなります。


冷やし固めたタネを
お玉やディッシャーの様な
すくい易いもので団子にして
小麦粉を散らしたシートの上に
並べて行き、

小麦粉をまぶしながら
俵状や一般的なコロッケの形に
整形していくのです。

クリームコロッケは大きく
作り過ぎると揚げた時に
浮かんでこなくなるので
適度なサイズで作ります。

成型時にハンバーグを作る時と
同様に中心を少しヘコませると
膨らんでも破裂しにくくなるのが
ポイントとなります。

小麦粉で整形したタネにとき卵
パン粉を付けて油で揚げれば
完成です。

油は180度でカラッと
揚げるのですが、
衣の付けが甘いと具が
はみ出てくるので注意です。

揚げ加減はもともと
中身のクリームソースに
完全に火が入っているので
外側の衣に火が通れば良く、
中身が冷たくならない程度に
揚げる事が破裂させないコツです。

手頃なサイズで作ると揚げた時
浮いてくるので気泡が
大きければ揚がっています。

前田はここまで細かい
海老クリームコロッケのコツと
注意点を初めて聞いたので
驚きました。

食べる際にはソースで
食べるのですが家庭では
好みになるでしょう。

このお店ではトマトソースが
メインになっていましたので
次はトマトソースのレシピを
前田は聞いていきました。



つづく

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田は前田とあるお店で
美味しいクリームコロッケに出会い
レシピを学んでいました。

第195話:クリームコロッケの材料

「私にもクリームコロッケの
レシピ教えて下さい」


前田にそう言われた本田も
このお店のレシピを知っている
と言う訳ではありません。


本田は今回学んだ知識で
詮索出来たレシピを前田に
教える事にしました。


クリームコロッケの作り方
ここまでに話していた
ホワイトソースの作成方法に
続いて味付け部分の工程です。

ベシャメルソース
(ホワイトソース)は
コロッケのタネと別に作りますが、
最終的には混ぜるので
同時進行で作っていきます。

本田の調査では重要なのが
味を決めるこの部分。

前田
「そもそもこのクリームコロッケ
めっちゃ美味しいんですけど
カニの味あんまりしませんよね?」


前田の言うとおりこのコロッケは
カニクリームではありません。

本田が聞き出した
クリームコロッケの材料は
以下の通り。

・ブラックタイガー(海老)
・マッシュルーム
・ポルチーニ茸
・コーンペースト
・玉ねぎ
・牛肉
・白ワイン
・ブイヨン
・塩
・コショウ
・生クリーム
・砂糖
・ナツメグ


こちらがベースのタネと
なるそうです。


ここにカニやらオリジナルで
具を入れて行くのもアリだそうで
他にも秘密の調味料が加わる
との事でしたがこれだけでも
充分プロの味になるので
美味しく出来上がるそうです。

・粉チーズ
・卵

など少し仕上げに加えるレシピも
あるようです。


前田が安易にレシピを聞いた事で
クリームコロッケの作り方を
話す事になった本田は
話していくうちに驚くほど細かい
作り方のコツと注意点があった事に
自分でも気付いたのでした。


つづく

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田は前田からコロッケの
レシピを学ぶ理由を聞かれ、
以前知り合ったお店の店長の話を
例に話していました。


第194話:値下げはホントに最後の手段

本田はあるお店の事例で店長と
エリアマネージャーの対立の話を
部下の前田にしていました。

困惑



対立の原因は取り皿点数を上げろ
という作業コストが上がる施策で
現場の意見を無視した事で
業績が下がった為です。

昔から飲食店ではお店の
価格変更で値下げをすると
意識が変化してお店の価値観が
下がる
と言われます。

セールやキャンペーンなどの様に
期間限定では無く、

今回の様に急に価格を下げると
逆効果になりかねません。

例えば、

普通のお店だった飲食店が
売上が上がらないからと言って

店長が急に
「メニューを食べ放題にすれば
お客さんも来てくれるだろう」


と言って急に食べ放題を
やってしまうとお店は潰れます。


理由は色々ありますが
一番はお客様にとっての
自分のお店の価値が下がる事

原因だと思われます。

さらに、

大手チェーン店の様に流通や
効率化の設備やノウハウの
無いまま実行するとロスや
作業コストだけが増えてしまい
赤字になってしまう
のです。

これを続けると、
絞った人件費で作業量だけが
増えてしまうので従業員は
疲弊してしまいます。


売上が上がればそれでも
モチベーションは続きますが
売上も低いのに作業量だけが
多い状態が続くと
不満や離職者を生み出します。


前田
「なるほど~。
単純に価格を下げるって
そう言う流れになるんですね」


店長などお店を預かる人間を
管轄する上司なら

技術や経験は持っていなくとも
現場の意見が正しいのかを
判別するだけの知識は
持っていなくては
ならない
と言う事なのです。

前田
「つまり結局上司が悪いって
事になるんですか?」

本田
「部下の能力不足は上司の責任
という見解ではそうなるな」

「店長も努力が足りないって
事なんでしょうか?」

「対立するだけで終われば
多分業績は上がらないだろう。

まして対立する事も無く
引き下がってしまうと今回の
事例の様に最悪の結果になる」

「じゃあメニューを戻せば
良いんじゃ無いでしょうか?」

「一度下げてしまった価格を
戻したとしても、

お客様の目には
値上げしたとしか映らないし
客離れは更に進んでしまうかも
知れないから最悪なんだよ」


「じゃあ値下げはホントに
最後の手段なんですね」

「価格帯がニーズと
合っていないと言う場合は
変更が必要だけど、

オープンする前のリサーチや
変更前のリサーチが不十分だから
そう言う事態になった事は
否めないだろう。

ではその役割は複数店舗を
管轄するマネージャーや
オーナーが行って精査しないと
無駄にお店を潰す事になって
しまうから重要なんだよ」

「なるほど解りました~。

ところで結局の話
クリームコロッケのレシピと
どう関係あるんですか?」

「だから、
現場のスキルは無くても知識は
充分に備えておく必要があると
言う事だよ」



「あ、そう言う事ですよね。
スイマセン~。

最後に一つだけ良いですか?」

「なんだ?」

「私にもクリームコロッケの
レシピ教えて下さい」



前田は本田の話を理解したのか
していないのか解りませんでしたが
本田からクリームコロッケの
レシピを聞き出す事に
なったのでした。


つづく