本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田は前田からコロッケの
レシピを学ぶ理由を聞かれ、
以前知り合ったお店の店長の話を
例に話していました。
第194話:値下げはホントに最後の手段
本田はあるお店の事例で店長と
エリアマネージャーの対立の話を
部下の前田にしていました。
対立の原因は取り皿点数を上げろ
という作業コストが上がる施策で
現場の意見を無視した事で
業績が下がった為です。
昔から飲食店ではお店の
価格変更で値下げをすると
意識が変化してお店の価値観が
下がると言われます。
セールやキャンペーンなどの様に
期間限定では無く、
今回の様に急に価格を下げると
逆効果になりかねません。
例えば、
普通のお店だった飲食店が
売上が上がらないからと言って
店長が急に
「メニューを食べ放題にすれば
お客さんも来てくれるだろう」
と言って急に食べ放題を
やってしまうとお店は潰れます。
理由は色々ありますが
一番はお客様にとっての
自分のお店の価値が下がる事が
原因だと思われます。
さらに、
大手チェーン店の様に流通や
効率化の設備やノウハウの
無いまま実行するとロスや
作業コストだけが増えてしまい
赤字になってしまうのです。
これを続けると、
絞った人件費で作業量だけが
増えてしまうので従業員は
疲弊してしまいます。
売上が上がればそれでも
モチベーションは続きますが
売上も低いのに作業量だけが
多い状態が続くと
不満や離職者を生み出します。
前田
「なるほど~。
単純に価格を下げるって
そう言う流れになるんですね」
店長などお店を預かる人間を
管轄する上司なら
技術や経験は持っていなくとも
現場の意見が正しいのかを
判別するだけの知識は
持っていなくては
ならないと言う事なのです。
前田
「つまり結局上司が悪いって
事になるんですか?」
本田
「部下の能力不足は上司の責任
という見解ではそうなるな」
「店長も努力が足りないって
事なんでしょうか?」
「対立するだけで終われば
多分業績は上がらないだろう。
まして対立する事も無く
引き下がってしまうと今回の
事例の様に最悪の結果になる」
「じゃあメニューを戻せば
良いんじゃ無いでしょうか?」
「一度下げてしまった価格を
戻したとしても、
お客様の目には
値上げしたとしか映らないし
客離れは更に進んでしまうかも
知れないから最悪なんだよ」
「じゃあ値下げはホントに
最後の手段なんですね」
「価格帯がニーズと
合っていないと言う場合は
変更が必要だけど、
オープンする前のリサーチや
変更前のリサーチが不十分だから
そう言う事態になった事は
否めないだろう。
ではその役割は複数店舗を
管轄するマネージャーや
オーナーが行って精査しないと
無駄にお店を潰す事になって
しまうから重要なんだよ」
「なるほど解りました~。
ところで結局の話
クリームコロッケのレシピと
どう関係あるんですか?」
「だから、
現場のスキルは無くても知識は
充分に備えておく必要があると
言う事だよ」
「あ、そう言う事ですよね。
スイマセン~。
最後に一つだけ良いですか?」
「なんだ?」
「私にもクリームコロッケの
レシピ教えて下さい」
前田は本田の話を理解したのか
していないのか解りませんでしたが
本田からクリームコロッケの
レシピを聞き出す事に
なったのでした。
つづく