ジャニーズ問題に関する9/30時点での雑感。10月2日会見を前にして
今年に入ってから、ジャニーズ事務所に関する話題が尽きませんね。きっかけは、イギリスBBCが製作し今年春に放送したドキュメンタリー番組にて、創業者である故ジャーニー喜多川氏が、未成年者を含む所属タレントに長年にわたり性加害を続けてきた問題を、今更ながら明らかにし、痛烈に批判したことでした。これを受けて国内では被害者の元事務所所属の人たちが次々と名乗りを上げ、被害者の会が結成される中、喜多川氏が事務所を開設する以前から当時8歳であった自分に対して性加害を行っていたと、著名作曲家である服部良一氏の実子である吉次氏が公表しました。一方、ジャニーズ事務所側は第三者委員会を設立し、外部の弁護士らに実態調査を依頼、その結果を同委員会が公表し、喜多川氏の性加害を認定、その原因を同族経営にあると断じて社長交代を勧告、さらい事務所には被害者への補償などの対策を求めた。沈黙を続けてきたジャニーズ事務所側がジャニー氏による性加害問題について9月7日に初めて会見を開き、1)ジャニー喜多川氏による所属タレントへの性加害があったこと事務所としてを認める、2)事務所の後継経営者であった藤島ジュリー景子氏が社長を退く、3)だが100%所有する株式は保持し続ける、4)これに伴い代表取締役には留任する、5)後任社長には東山紀之氏が着任・井ノ原氏も役員に就任、6)東山氏は年内いっぱいでタレント業を辞め経営に専念、7)性加害認定された創業者の名を冠した事務所名は当面変えない、8)所属タレントには今後1年間、事務所の分を取らず100%ギャラを渡す、等を広報した。ってことだったと思います。これを受けて同事務所所属タレントを広告宣伝に起用する企業各社が一斉に、継続が半ば前提になっていた契約の見直しについてさえ異口同音に言及、あまつさえ広告だけでなく、出演番組などの中止や延期が伝えられています。そんな中、10月2日に急遽事務所が再度会見を行うと一部マスコミ関係者に通達してきた・・・。BBCの番組放送以降の流れを振り返ると、ざっとこんなもんでしょうか。この中で、いくつか気になる発言が関係者や周辺から発せられたのでチョイと触れておきたいと思います。ジャニーズ「CM打ち切り」続出を「気持ち悪い」とGACKT氏。(9/10)GACKT、ジャニーズ「CM打ち切り」続出を「気持ち悪い」断罪で議論勃発「性虐待を甘く見すぎ」「ファンの気持ちは」 - Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]smart-flash.jpGACKTさんは、9/7の事務所会見を受けてジャニーズ離れを起こす企業達に対して、今まで企業側も知らなかったわけじゃないだろうに、問題が表面化した途端に軒並み「右へ倣え」とばかりに手のひらを返して、そんな横並び意識が気持ち悪い、タレントへの愛情は無いのか? というようなことをおっしゃってました(詳細は上記元記事を参照)。これについて言及すると、企業はタレントのイメージを高い金を出して利用しているだけで、そもそも広告は売り上げ増進やイメージ向上を企図した経済活動であり、タレントへの愛情で行うものではありません。ということになります。逆にお聞きしますが、そんなに企業や商品に対して身を捧げる程愛情を注いだ芸能人の方って、何人います?通常、タレントさんはCM契約を結ぶ場合、一業種一社に限定しますが、その契約が切れても、時が経てば競合商品のCMに平気で出ます。それはタレントさんも所属事務所も、愛情ではなく、ビジネスとして割り切ってやっているからできることです。因みに、とある芸能人の方が、某缶コーヒーのCM契約が切れたその翌日から、ライバル・ブランドの缶コーヒーのCMに出演するという前代未聞の掟破りをした、なんてことがありました。企業のタレントに対する愛情っていうと、タケモトピアノの竹本功一社長が財津一郎さんの大ファンで、2000年にCM起用後、財津さんが療養生活になっても2023年の今までCM契約を継続しているという事例があります。でもこれは中堅規模のオーナー企業だからできる例外であって、ジャニーズ事務所が大好きな大企業では起こりえません。また、一斉に手のひらを返した、ということについては、偏に、それまで認めてこなかった事務所が会見で公に喜多川氏の犯罪行為を認めたことに起因し、これに対応しない方が企業としておかしい。各社一斉の動きになったのは、会見後に速やかに動いたからで、示し合わせていたためではないでしょう。それに恐らく企業側は、BBCの番組放送以降、事態の推移を見守りながら対応策を検討し続けてきてどちらかというと「ちゃんと」対応してくれれば関係継続できるとの希望をもって9/7の会見を見守っていたところ、事務所の会見内容を見て、これでは付き合いを改めざるを得ない、となったはず。決して急に離反したわけではないでしょう。その後GACKTさんは、僕は手のひらを反したりしない、的なことを9/13に発言したようですが、一遊芸能人で有名なGACKTさん、その見識は一遊芸能人どころか、「聞く価値もない」ことが露呈した、そんな発言でした。それと、こんな記事もありました。ジャニーズタレントCM起用見直しで、かわいそう?ジャニーズタレントのCM起用見直し、極端では? | 熊本日日新聞ジャニー喜多川氏の性加害問題で、大手企業がジャニーズ事務所の所属タレントをCMから外す動きが相次いで...nordot.app確かにかわいそうですね、所属タレントの皆さんは。しかも、ひょっとしたら喜多川氏の被害者なのかもしれないのに。けれど、そうなった責任は誰に? それは起用見直しを決めた企業側にあるのではなく、9/7の会見で「変われない」実情を示してしまった事務所側にこそ、その責任は帰結します。企業側だって、できることなら急には変えたくないんですよ。面倒くさいし、金かかるし笑にもかかわらず、起用や契約の見直しを各社が宣言しているのは、繰り返しますが、9/7会見での事務所がゼロ回答だったからに他なりません。宣言せざるを得なくなったんです。特に、藤島ジュリー氏が3)100%所有する株式は保持、4)代表取締役は留任、7)事務所名は変えない、としたことは決定的でした。因みに、嵐の相葉さんを起用した新CMを披露したアキュラホームが話題になりましたが、同社HPを見る限り、ここはベトナムに関連会社を持つ以外は国内営業を主にしています。つまり、日本国内を意識すればいい企業と言えます。今まで大企業しか相手にしてこなかったジャニーズ事務所なのに、ぶっちゃけ、相葉くんをよくキャスティングできたなぁってレベルの企業さんです。まぁ、今の今だから、なのかもしれませぬがこれに対して、ジャニーズタレントの起用見直しを明言・言及しているのは海外売り上げが相当額に上る大企業ばかりで、BBCという外国メディアが明らかにしたこの問題が日本では考えられないくらい嫌悪感と拒絶反応をもって見られている海外市場を重視している、という点において国内メインの企業とは決定的に異なります。だから大企業はジャニタレさんたちの出演見直しをしているんです。そもそも、服部吉次氏やその他の事務所開設前から行っていたというジャニー喜多川氏の性加害の実情と彼の異常性を考えると、ジャニーズ事務所そのものがジャニー氏の性嗜好を満足させる目的で開設された、少年を毒牙にかける狩場であったのではないか、という疑念さえ抱かざるを得ません。ここを掘り下げる記事や報道は今のところ見当たらないのは、余りに闇が深すぎるからかな?ところが。話はまだここで終わりません。ジャニーズ問題はもっと根深いものがあります。『現代ビジネス』Webが9月中旬、こんな見出しの記事を発表しました。「売上の75%が事務所の取り分、残り25%をメンバー人数で配分する」「契約破棄もできない⁉」...性加害問題に続くジャニーズ事務所の「専属契約書」問題「売上の75%が事務所の取り分、残り25%をメンバー人数で配分する」「契約破棄もできない⁉」...性加害問題に続くジャニーズ事務所の「専属契約書」問題(週刊現代) @gendai_biz今まで明らかになっていなかったジャニーズ事務所とタレントの契約内容。独占入手した「契約書」に並んでいたのは、一般社会では考えられない驚きの文言だった。新たなパンドラの箱を開ける。gendai.media多くの被害者の証言から、デビューを夢見る少年たちは、自分が性被害に遭っているのだと朧げながら気づいても、スポットライトが当たるステージへ立つための通過儀礼だとある種諦念して、ジャニー氏の悍ましい行為を拒否できなかった、ということが伺えます。実際、ジャニー氏から性行為を強要された後、待遇が良くなった事例が多数あり、それが次第に所属タレント間で共有され、半ば常識化された面もあるようです。でも、デビュー出来たら出来たで、また別の地獄が待っているのでした。少年たちが文字通り身を投げて掴んだ華やかな舞台は、事務所側が用意した、奴隷ともいえる程一方的に不利な契約に縛られたものだったのです。通常、雇用やそれに準ずる契約では、雇用・発注側と、被雇用・受注側とが、一方に有利不利が偏らないように留意するのが常識。なんなら経済的・社会的に有利な企業・団体あるいは雇用・発注側より、圧倒的に弱い個人あるいは被雇用・受注側が優位になるよう配慮するのが当然とされていますよね。しかし、ジャニーズ事務所は違っていました。デビューした所属タレントに対して、余りに一方的な契約を強いていたのです。大幅なマージンカットにより制限されるギャラ、所属期間も権利範囲も事務所に有利な所属契約など、デビュー後は次元を変えて、常識外れな搾取が始まります。デビュー前はジャニー喜多川氏に体を弄ばれ、デビュー後は事務所に縛られ搾り取られ続ける、人を人とも思わぬ環境に放り込まれる。それがジャニーズ事務所に応募してきた未来ある少年の行く末だったとしたら、あまりに悲しすぎます。これはもう単なる性犯罪でなく、人権侵害そのものです。加えて言うなら、事務所の強権的な姿勢はの対象は、所属タレントのみならず、テレビ局や雑誌社など、出演対象のメディア企業にも広く及びます。そして、ギャラや企画内容など、事務所側に有利な一方的条件での出演「交渉」が徐々に強まり、それが高じてスキャンダルの握り潰しや競合タレントの排除など、メディア企業の機能不全を引き起こしてゆきます。これがジャニー喜多川氏による性犯罪をメディアが報じてこなかった理由の一つであり、日本社会の歪みの縮図ということもできます。無論、ジャニーズ事務所のそうしたプレッシャーに負けるな、という言葉をメディア側には投げたくなるし、それは正しいことでしょう。しかし、常識を逸脱した、ある種の狂気を孕んだ強制姿勢が蔓延していく中で、事務所によりメディアが無力化されていったという構造を築いた主体がジャニーズ側にあったことは疑いがなく、メディアへの批判も忘れてはいけないけれど、まず指弾すべきは、喜多川姉妹により支配されてきたジャニーズ事務所の体質の方だと考えます。この問題は、70年にわたり行われてきた性加害・性犯罪の、小児性愛や同性嗜好などの特異性に、その異常性を帰結させて終わらせてはならない。ジャニー喜多川氏とメリー喜多川氏の姉弟と、その配下の事務所による長年にわたる多量の人権蹂躙事案が本質だと捉えない限り、原因究明も問題解決も果たせることは無いでしょう。でも、今さら事務所名改名だけしても遅いと思うよ~。事務所(メリー氏と幹部タレント)が本気でこの問題に取り組む気がなく、様子を見ながらカード(対応策)を小出しにしてくることはもう既に9/7の会見でバレてるから。その時の会見で、8)事務所のマージンは1年間取らず100%タレントの所得とする、という条件を発表したのは、既にジャニー氏存命中から徐々に始まっていたタレント流出の急増を食い止めたいからでしょう。なぜならジャニーズ事務所の収益のうち、ファンクラブ会員の会費が大きな柱だからだ、と言われています。コンサートのチケット販売が基本的に会員限定のため、ファンは必ず入会、しかも熱心な人は家族の名義を借りる(これ本当はいけないのでは?)などして複数入会しているみたいです。入会金1000円、年会費4000円を払って。で、その会員総数が、ざっと延べ1300万人。単純計算で、毎年520億円の収入です。因みに、1位:嵐3,083,000人から、20位:東山紀之10,000人(笑)までの会員数を合算すると、11,927,000人です。これ対する経費(出費)って、会報の作成・送付とWebの制作・運営とか、どー考えても数十億円もかからないと思います。つまり、500億円近くが丸儲けな超おいしいビジネス、それがジャニーズ事務所のファンクラブ・ビジネスなんですね。それを実現たらしめているのが、人気タレントの所属です。これに比べたら、テレビの出演料1回数十万やCMの契約料最大数千万円なんて屁も屁、すかしっ屁でしかない訳です。でも、今や事態はタレントさんにとっても事務所にとって、もっと悪い状況に陥っているのでは?と考えます。タレントさんにとってギャラのマージン取られなくても、既に仕事が減ってるからです。この流れは止まることは無いでしょう。所属タレントの仕事が減るのを止めたいならい)事務所を解体。ろ)別資本で全創業者と無関係な名前を冠する芸能事務所に外部経営者を招聘、参加のマネジメント・育成部門にのみ現在所属の幹部タレントの在籍を許すは)一方、藤島ジュリー景子は、上記ろ)の継承芸能事務所とは別に、マスコミ各社から出資を募り補償専従会社および補償基金を設立し代表に就任、私財を含め補償の原資に充てる。巷間一人300万円の補償と伝えられているが、「裁判にしては高く、調停にしては安い」とされるこの金額をベースアップの上、個別補償に注力。保証事業終了後は基金は残し、会社は清算に)現所属タレントとの契約は全員破棄、上記ろ)の継承事務所に限らず移籍の自由を保障ほ)性犯罪の上に成り立った事業で蓄財・継承した財を藤島ジュリー景子は、ちんけな賃貸マンション一棟ぐらいを残してすべて放棄へ)補償会社の清算を待たず、事業継承に伴う諸税金を遅延金を含め納税、事業継承による「節税」は中止するぐらいやらないと、このジャニーズ離れの流れの急激な加速は止まらないでしょう(ながれそのものは決して止まらない)。そんな気持ちをもって、明日10月2日の会見を待ちたいと思います。いやそんなに待ってないケドなんて、自分がジャニーズ問題をこんなに語るとは思いませんでしたおかげで9月中に上げるつもりで書き始めたのに、日付がもう10月に追記:2023年10月2日00時20分頃余りに急いで書いたため今ちょっと読み返したら誤字脱字があったので修正しました。これに伴い、以下の内容を追加しました。A)タレントと企業のCMを介した愛情はあるか?B)ファンクラブについていずれも分量はちょっとありますが、論旨を変えることはなく、理解の一助になるのではないかと思い、追加しました。