野宮 真貴（のみや まき、1960年3月12日 - ）は、歌手、ミュージシャン。
1960年3月12日、野宮真貴が、北海道白糠郡音別町（現：釧路市音別町）で誕生。
子ども時代は父親の仕事の都合で、札幌・東京・室蘭・千葉と引越を繰り返した。
また、歌手になりたいと思い始めたのは、NHK総合テレビの歌番組『ステージ101』を観たことがきっかけで、同番組発のグループ「ヤング101」に入りたいと思っていたという。
10歳の時、カーペンターズやセルジオ・メンデス、ミッシェル・ポルナレフなどの洋楽を聴き始め、その後グラム・ロックが好きになり、ニューヨーク・ドールズがお気に入りになっていた。
高校入学後はキッス、エアロスミスなどハードロックを聴くようになり、その頃にはハードロック系のバンドを組んで活動。しかし自分の柔らかな感じの歌声はハードロックに合わなかったため、ギターを担当していた。
1970年代末、高校を卒業する頃、ニュー・ウェイヴというムーブメントが到来し、テクノポップが流行り出した時に「やっと自分の歌いたい音楽に出会えた」と思ったという。この時にハードロックに見切りを付け、髪を刈り上げにするなど自分のファッションを髪型から変えていった。テクノポップではプラスチックスの佐藤チカに憧れており、このことがギターからヴォーカルに転向するきっかけとなった。
高校卒業後、英語の専門学校へ進学し、ニュー・ウェイヴ系のバンドを結成して活動を始めたものの、デビューには至らなかった。
専門学校卒業後、コンピューター会社に就職し、OLとして働いていた。
この頃、渋谷のニュー・ウェイヴ喫茶店「ナイロン100%」によく通っていた。
その後、スカウトされて音楽界に入り、ハルメンズのレコーディングにヴォーカルの準メンバーとして参加した。
1981年、野宮“ロマン”真貴として、シングル“女ともだち”でデビュー。同曲は資生堂「シャワーコロン」CMソングに起用された。
同年、アルバム『ピンクの心』を、ビクター音楽産業「フライング・ドッグ」レーベルから鈴木慶一プロデュースによりソロ名義で発売。デビュー・シングル“女ともだち”と当時ムーンライダーズのライヴでも演奏された“ウサギと私”、佐藤奈々子に提供を受け後にピチカート・ファイヴでセルフ・カヴァーし世界的にブレイクする “Twiggy Twiggy”を収録。1990年・1995年・2005年8月に再販。2005年版は当時の紙ジャケットを復刻したデザインで、インディーズレーベル「SS RECORDINGS」より発売。2010年10月30日ビクターエンタテインメントから秘蔵ライヴ音源2曲を加えた『ピンクの心+2』のタイトルで発売された。
22歳の時、野宮のデビュー・コンサートでバックを務めた中原信雄(B)、鈴木智文(G)とともに音楽グループ「ポータブル・ロック」を結成し、活動を続ける。
12月29日、ハルメンズの実質的な解散ライヴ「ハルメンズの伝説」（目黒鹿鳴館）に野宮は、戸川純や鈴木慶一とともにゲスト参加。
1983年、徳間ジャパン「水族館」レーベルのオムニバス・アルバム『陽気な若き水族館員たち』にポータブル・ロックが2曲のみ参加。2005年6月に再販。
1984年前後、野宮は鈴木慶一率いるムーンライダーズの資生堂CMソング“パーキー・ジーン”や、シングル“M.I.J.”などでゲスト・ヴォーカル、ラップ、コーラスを担当。
1985年、アルバム『Q.T』を発売。
同年、“すてきなラブ・パワー”をソロ名義で発表、つくば万博電力館テーマ曲。
10月、ポータブル・ロックのシングル“Tu Tu／CINEMIC LOVE”を徳間ジャパン・JAPAN RECORDからリリース。
1986年3月、ポータブル・ロックのシングル“春して、恋して、見つめて、キスして／Tu Tu”をリリース。“春して、恋して、見つめて、キスして”は鈴木さえ子作曲で、同年春にコーセー化粧品のCMソングとなったが、セールス的には成功しなかった。
5月、アルバム『サウンドマリオブラザーズ』をポータブル・ロックのメンバーが「16BIT SCROLLERS」の変名でリリース。また、同アルバムには、ピーチ姫キャラクターソング“まだ見ぬプリンセス”を野宮がソロで「プリティー“ピーチボイス”プリンセス」名義でも提供。
同年、ソロ名義で“100パーセント妖怪CAT”を発表、『ゲゲゲの鬼太郎』「猫娘」キャラクター・ソング。
1987年、ポータブル・ロックのアルバム『ダンス・ボランティア』をリリース。
1988年以降、野宮は田島貴男ヴォーカル時代の「ピチカート・ファイヴ」にゲスト・コーラスとして参加した。
8月、ポータブル・ロックのアルバム『Q.T』にシングル“春して、恋して、見つめて、キスして”を追加収録して、『Q.T+1』として再発売。
1990年6月21日、ピチカート・ファイヴの3rdシングル“ラヴァーズ・ロック”（後にTokyo's Coolest Soundに発展）にヴォーカルとして参加。
9月、ポータブル・ロックの未発表曲集『ビギニングス』をウルトラ・ヴァイヴからリリース。
同年、ピチカート・ファイヴは日本コロムビア／SEVEN GODS（後にTRIADレーベル）に移籍。移籍と同時に田島貴男がオリジナル・ラヴに専念するため脱退、レコーディングやライヴに参加していた野宮真貴が3代目ヴォーカルとして加入する。
ピチカート・ファイヴは、1990年代の日本において一世を風靡した「渋谷系」と呼ばれる系統に属し、その音楽性のみならず野宮真貴のルックス・ファッション面も評価が高かった。
1991年、高浪慶太郎が高浪「敬太郎」と改名し、「高浪敬太郎コンボ&オーケストラ」（野宮が参加、小西も2曲参加）としてフジテレビ系テレビドラマ『学校へ行こう! LET'S GO TO SCHOOL』のサウンドトラックを手がけ5月21日にリリースしたのを皮切りに、6月1日『最新型のピチカート・ファイヴ』、7月1日『超音速のピチカート・ファイヴ』、8月1日『レディメイドのピチカート・ファイヴ』とミニ・アルバムを3カ月3枚連続リリース、そして9月1日発売の5thフル・アルバム『女性上位時代』に至るまで、5か月間にわたり「5-4-3-2-1 count down to extacy」と銘打った連続リリース攻勢を仕掛ける。『女性上位時代』には、1981年の野宮のソロ・アルバム『ピンクの心』収録曲“トゥイギー・トゥイギー”、細野晴臣自身が本作レコーディングに参加、野宮とコラボレートした細野の楽曲“パーティー”のカヴァー2曲を収録。
1992年9月21日、6thアルバム『SWEET PIZZICATO FIVE』をTRIADレーベルからリリース。
1993年4月7日、ピチカート・ファイヴの4thシングル"スウィート・ソウル・レヴュー"(作詞・作曲・編曲：小西康陽)をリリース、カネボウ化粧品「REVUE」シリーズ春のキャンペーンソングという大型タイアップを掴み、オリコン19位を記録。
6月1日に発表した、元フリッパーズ・ギターの小山田圭吾との共同プロデュースによる7thアルバム『ボサ・ノヴァ 2001』は、オリコンチャートで最高7位を獲得。
12月1日、タイトルを矢野顕子の曲から引用した5thシングル“東京は夜の七時”(作詞・作曲：小西康陽/編曲：福富幸宏)をリリース、別ヴァージョンながらフジテレビ系子ども番組『ウゴウゴルーガ2号』のOP曲に採用されてさらに知名度を高め、一気に一流アーティストの仲間入りを果たす。オリコン50位。
1994年にはミニアルバム『5×5』をアメリカのマタドールレコード (Matador Records) からリリースして北米デビューを果たし、続いてリリースされたアルバム『MADE in USA』も全世界での売上げが20万枚に達した。
4月21日、6thシングル“ハッピー・サッド”リリース、オリコン66位。
7月21日、7thシングル“スーパースター”リリース、オリコン77位。
10月、高浪が脱退し、ピチカート・ファイヴは小西、野宮の二人で活動していくことになった。
10月1日、8thアルバム『Overdose』をリリース。
10月21日、8thシングル“陽の当たる大通り”をリリース。表題曲は、青山商事「CALAJA」CMソング。
12月23日に本国アメリカで(日本では1995年5月27日に)公開されたアメリカ映画『プレタポルテ』（Prêt-à-Porter）でピチカートの“Twiggy Twiggy”がイッセイ・ミヤケのコレクション・シーンで使用された。ただしサントラ盤には未収録。
1995年2月からは米国およびお欧州の14都市でツアーを行い、成功を収める。
3月1日、初のベストアルバム『PIZZICATO FIVE TYO〜Big Hits and Jet Lags 1991-1995』をリリースした。
9月30日、9thアルバム『ロマンティーク96』をリリース。
10月21日、9thシングル“悲しい歌”をリリース、オリコン95位。
11月、コンピレーションアルバム『裸の王様・王様のアイデア 小西康陽の仕事1987-1994(ソニー・ミュージック篇)』をリリース。
1996年、野宮は『ウゴウゴルーガ』で声優も務めていたフジテレビ局職員（現：音楽プロデューサー）と結婚し、同年、長男を出産。長男はその後、医学部に進学した。
3月20日発表の10thシングル“ベイビィ・ポータブル・ロック”が日産「ミストラル」CMソングに起用されたこともあり、オリコン19位のヒット。
12月21日、11thシングル“メッセージ・ソング”をリリース、本作がTRIADレーベルで最後の作品となった。オリコン68位。
1997年、小西が新レーベル「*********(readymade) records,tokyo」を設立。
3月1日、12thシングル“イッツ・ア・ビューティフル・デイ／愛のテーマ”を新レーベルからリリース。
6月21日、13thシングル“モナムール東京”と、10thアルバム『Happy End Of The World』を同時リリース。
10月10日、14thシングル“PORNO 3003”をリリース。
11月1日、15thシングル"大都会交響楽"をリリース、1998年6月25日発売のセガサターン用ソフト（後にプレイステーションへも移植）『クロス探偵物語』のテーマソングとして起用された。
12月10日、1994-1997期のベストアルバム『PIZZICATO FIVE JPN〜Big Hits and Jet Lags 1994-1997』をリリース。
1998年1月21日、筒美京平が作曲した16thシングル"恋のルール・新しいルール"をリリース。
7月18日、ミディアムバラード調の17thシングル"きみみたいにきれいな女の子"をリリース。
9月、ザ・コレクターズの加藤ひさしをフィーチャーした、実態的には野宮とのデュエットとなる18thシングル"ウィークエンド"を発売。これが日本コロムビアからの最後のリリースとなった。
10月1日、11thアルバム『プレイボーイ・プレイガール』をリリース。
11月18日、19thシングル"プレイボーイ・プレイガール"をリリース。アルバムの表題曲で、10月から小西が音楽を手掛けた新番組『サタスマ』のEDテーマに採用された。
1999年、ヒートウェーヴ(HEAT WAVE)に移籍し、「JBL maxisonic series」と銘打ちCDを連続リリース。
4月21日、初マキシシングル（ミニアルバム形態に近い）"darlin' of discotheque e.p."を通算21枚目シングルとしてリリース。
7月17日、マキシシングル第二弾“nonstop to tokyo e.p."をリリース。
10月21日、21stシングル“パーフェクト・ワールド”をリリース。
11月20日、1900年代最後のアルバム『PIZZICATO FIVE』とリリースが続いた。
2000年2月、readymade recordsのアーティストによるコンピレーション盤を発売。
7月、野宮がソロ・シンガーとして、小西のプロデュースにより『miss maki nomiya sings』をヒートウェーヴからリリースしてCDデビュー。
9月27日、シゲル・マツザキ（松崎しげる）とYOU THE ROCK★をフィーチャリングした23rdシングル“東京の合唱”を発売し、「東京」を一種のブランドテーマとしたプロデュースに傾斜して行く。
9月30日、『女性上位時代』〜『ロマンティーク96』までのSEVEN GODS・TRIADレーベル時代のオリジナル・アルバムが再発売された。
11月に公開されたアメリカ合衆国のアクション映画『チャーリーズ・エンジェル』（Charlie's Angels）にて、ピチカートの“Twiggy Twiggy”が使用される。
11月22日、オリジナル・クリスマスソング“12月24日”を24thシングルとして発売。
同日発売で、PIZZICATO FIVE初のDVDとしてPV集『readymade TV Volume.3』をリリース。
2001年1月1日、21世紀最初でオリジナルとしては最後のアルバム『さ・え・ら ジャポン』をリリース。「東京」から視野を広げて「日本」をテーマにあらゆる楽曲が詰め込まれた本アルバムでは、“東京の合唱”でフィーチャーされた松崎しげる・YOU THE ROCK★を始め、雪村いづみ、デューク・エイセス、ロケットマン（ふかわりょう）、横山剣（クレイジーケンバンド）、クレモンティーヌ、イマクニ?、ハナレグミ等の豪華ゲストをフィーチャーした。
3月14日、同年3月31日を以って「ピチカート・ファイヴを解散する」旨が所属レーベルのreadymade records,tokyoから発表。解散の理由は小西曰く、「『さ・え・ら ジャポン』の出来が、ゲストの力を借りる形で今までになく素晴らしい出来上がりで、解散するなら（最高の状態の）今かな」とのこと。野宮も小西が「ピチカート・ファイヴでやりたいことは全てやり尽くした」と言及していた。
この発表に関して、「元祖渋谷系が終止符を打つ」などの内容で、朝日新聞など全国紙の文化面でも報じられた。
3月31日、1998-2001期のベスト・アルバム『Pizzicato Five R.I.P.〜Big Hits and Jet Lags 1998-2001』をリリース。
同日、かつてのメンバーである田島や高浪、および大勢のゲストを招いてオールナイト敢行のラスト・ライヴ（通称「お葬式」ライヴ）を開催し、ライヴの終了を以ってピチカート・ファイヴは解散した。
6月21日、ピチカート・ファイヴ初のシングル・コレクション・アルバム『singles; pizzicato five in triad & readymade years』が発売。ピチカート・ファイヴが日本コロムビア内の2つのレーベル、「triad」と「*********(readymade) records,tokyo」在籍時に発表したシングル表題曲を収録。
2002年3月31日、トリビュート・アルバム『戦争に反対する唯一の手段は。-ピチカート・ファイヴのうたとことば-』が発売。曽我部恵一、ORIGINAL LOVE、キリンジ、RIP SLYME、市川実和子、夏木マリ、水森亜土（既発曲）、和田アキ子（既発曲）が参加。
7月に米国で(日本では8月に)公開された映画『オースティン・パワーズ#第3作』で、ピチカートの“東京の合唱”が流れる。
11月7日、野宮が6枚目ソロ・アルバム『Lady Miss Warp』をレディー・ミス・ワープから発売。
2004年、結成20年を迎える。日本コロムビア在籍時代の映像作品をDVDで再発売。CBS・ソニー在籍時代のベスト・アルバム、オリジナル・アルバムの再発売盤リリース。
5月26日にリリースされたm-floの3rdアルバム『ASTROMANTIC』収録曲“Cosmic Night Run”に「野宮真貴 & クレイジーケンバンド」として参加。
7月、ソロ・アルバム『DRESS CODE』をジェマティカ・レコーズからリリース。
2005年9月7日、「野宮真貴 loves m-flo」として、シングル“Big Bang Romance”をエイベックス・マーケティング・コミュニケーションズからリリース。
同年、ソロ・アルバム『PARTY PEOPLE』をリリース。
2006年4月15日、新宿LOFTで開催されたムーンライダーズをメインとしたライヴでポータブル・ロックが一夜限りの再結成。
2008年2月、ソロ・アルバム『エレガンス中毒』をタワーレコード限定で販売。菊地成孔提供曲を収録。
2011年、「30年ぶりに、もう一度デビューする、みたいな気持ち」という意識で、ROAD AND SKY ORGANIZATIONから、ソニー・ミュージックアーティスツに所属事務所を移籍した。
2012年1月25日、デビュー30周年記念アルバム『30 〜Greatest Self Covers & More!!!〜』をソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからリリース。様々なアーティストがプロデューサーとして参加し、ピチカート・ファイヴ時代の楽曲を中心に、ソロ時期の曲やポータブル・ロックの作品などを収録。小西康陽が野宮のために初めて歌詞を書いたポータブル・ロックの未発表音源“スウィート・ルネッサンス” をボーナス・トラックとして収録している。オリコン38位。
2014年11月、ソロ・アルバム『野宮真貴、渋谷系を歌う。 Miss Maki Nomiya sings Shibuya-kei Standards』をmini inc.+O.S.T.INC.からリリース。
2015年11月、ソロ・アルバム『世界は愛を求めてる。What The World Needs Now Is Love 〜野宮真貴、渋谷系を歌う。〜』をユニバーサルミュージックジャパンからリリース。
2016年8月31日、ソロ・アルバム『男と女’Un Homme et Une Femme’〜野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。〜』をリリース。
9月21日、サエキけんぞう、泉水敏郎、Boogie the マッハモータース、ジョリッツ他から構成されるプロジェクト「ハルメンズX」のアルバム『35世紀』がリリース。野宮は、鈴木慶一（ムーンライダーズ）、古川未鈴と夢眠ねむ（でんぱ組.inc）、アーバンギャルド、直枝政広（カーネーション）、テンテンコ（元BiS）、リアル3区、AZUMA HITOMIらとともに参加した。
2017年5月、ソロ・アルバム『野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。〜Wonderful Summer〜』をリリース。
10月、ソロ・アルバム『野宮真貴、ホリデイ渋谷系を歌う。』をリリース。
2018年10月、ソロ・アルバム『野宮真貴 渋谷系ソングブック』をリリース。
2019年2月20日、北海道の民放5局とNHK札幌放送局による共同キャンペーン「One Hokkaido Project」のキャンペーンソング“私たちの道”がデジタル配信スタート。野宮は大黒摩季、m.c.A・T、福原みほらとともに歌唱した。CDシングルは同年3月6日に発売された。
2022年4月20日、ソロ・アルバム『New Beautiful』をJVCケンウッド・ビクターエンタテインメントからリリース。
(参照)
Wikipedia「野宮真貴」「ピチカート・ファイヴ」
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