こんにちは。
字を書くのが楽しくなり、もっとお稽古したくなるペン字・書道教室の太田真采世です。
38都道府県で緊急事態宣言が解除されましたね。
私の住む埼玉も、銀座教室のある東京も、まだ解除されませんが・・・。
新聞の4コマ漫画でも、空き缶を太鼓のようにたたく場面で、ものすごく連打しているのを見て「ストレスたまってるんだねー。」とつぶやく1コマがありました。
たとえ緊急事態宣言が解除されても、今まで通りの生活に戻れるのか不安が募りますよね。
そこで今日は、ホンダの創業者 本田宗一郎氏の言葉をガラスペンで書いてみました。
竹にはフシがある
そのフシがあるからこそ
竹は雪にも負けない強さを持つのだ
詩の内容にちなんで竹のガラスペンで、インクも松露という緑のインクで書いています。
写真でみると黒っぽく見えるかもしれませんが、部分拡大すると緑なのがわかりますか?
何故ガラスペンを選んだかというと、ガラスペンて余裕がないとうまく使えない筆記具だと思うからです。
写真を見ておわかりかと思いますが、ガラスペンはガラスの先をねじり上げてペン先としています。
このねじる際にできた溝に、インクが入り込んで、1回インクをつけると600文字くらいは書けちゃいます。
きれいに字を書くには、次の3つに気を付けると良いでしょう。
1.普段よりも少しペンを寝かせ気味に使う
2.紙とペン先のこすれ具合を感じながら書く
3.1度インクをつけたら、ある程度はインクを付け直さずに書くまず1つ目の角度ですが、
インクが紙に落ちていくのをスムーズにするためです。
次に2つ目のこすれ具合を感じるというのは、この3つの中でも最も重要なポイントです。
これが余裕がないとうまく書けないと言った最大の理由です。
ガラスペンは先ほども言ったように、ペン先のねじった部分にたまったインクが少しずつ紙に落ちていって字が書けます。
このときに、筆圧を強くかけるとガラスでできている繊細なペン先が欠けてしまいます。
また、先が欠けなくても、紙をガリガリとひっかいては線が汚くなります。
また力を入れすぎてスムーズにペン先が動いていかないと、線自体に硬さが出て、字がぎこちないというか自信がないような字に見えます。
したがって、ペン先が紙にどう触れ合っているのかをしっかりと感じながら、ペン先の動きは大きく、ある程度のスピードをつけて、筆圧はかけずに紙の上を滑るように書くのが一番です。
そうですね、イメージで言うなら氷上をスケート靴を履いてゆったり滑っていく感じです。
そして最後の3つ目は、インクを何文字かごとに付け足してしまうと、インクの濃淡が出ないので、もったいないと思います。
これは万年筆にも共通して言えることですが、ガラスペンで書くと、文章にインクの濃淡が出ます。
それは実際にペン先から紙に移るインクの量や、書いているときのスピードによって濃い部分と薄い部分が生じ、それが呼吸をしているような起伏になってカッコいいのです。
私も先ほどの文章は最初に1回つけただけで、付け足しはしておりません。
それでもこの程度の字数では、濃淡が出にくいです。
もっと濃淡を出すには、途中で紙でインクを拭き取るなどして、調整する必要がありますね。
普通に文章を書くには、そこまでしなくても、インクを付け足す回数を制限するくらいで良いでしょう。
この文章は「松露」という濃い緑色のインクを使用しています。
今は色んなメーカーさんが、色インクを販売していますから、黒とかブルーブラックなどの定番インクだけでなく、変わった色のインクに挑戦するのも楽しいですよ。
ただ、カードなどをポップに書きたい場合は、カラフルな色合いがきれいですが、一筆箋や便箋などにちょっと文章を書くのであれば、濃い色合いのインクをお勧めします。
濃い色なら、青でも緑でも茶色でも赤でも、凄くシックで落ち着いた印象になりますから、まずどのような色でも失敗しません。
とかく余裕がなくなりがちな今だからこそ、ガラスペンであえて心に余裕を持つ時間を持ってはいかがでしょうか。
そして、この本田宗一郎さんの言葉のように、人生の節目節目で不安になったり、苦しい思いをしたりすることも多いですが、そこを乗り越えていくからこそ、強くもなれると信じて、竹のようにこの苦しい時期を乗り越えていきたいと思います。