塩分をたくさん食べるとどうなる? | 最果てなど無いと知る〜健康を本質から考えるブログ〜

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塩は生きていく上で欠かせないものですが、

反対に、過剰摂取すると問題になるという話が尽きません。

 

 

そんな塩分摂取量の目安は1日に5gというのが世界基準となっていて、

お決まりに、塩分過剰で高血圧になると言われています。

また、数多くの塩分控えめの商品が販売されています。

 

 

さて、ずっと昔に塩分をたくさん摂るとどうなるか?

という日本の研究がありました。

今回はその研究論文の中身を紹介します。

 

 

研究論文はこちら

 

 

Download PDFのところで全文が読めます。

なんと1951年に発表されたものです。

 

 

 

塩分を過剰摂取した研究論文の中身は?

この研究は、

北満州の住民が冬場に1日40g以上もの食塩を摂取しているにも関わらず、

塩分過剰の兆候が見られないことから進められた研究です。

 

 

奉天市(現在:瀋陽市)と熊本県で日本人男性を対象に実験を行なっています。

初めに毎日約20gの食塩を摂取し、

その後、1日ごとに10gずつ増やしていき、1日に50gまで増加させました。

 

 

結果は、基礎代謝が顕著に上がったというものでした。

 

 

食塩の追加を中止したところ、

基礎代謝が通常のレベルにまで戻ってしまいました。

 

 

その後、奉天市の男性へ

食塩の摂取を完全に中止すると、

筋肉のけいれん、気分の落ち込みなどが顕れ、

基礎代謝が顕著に低下しました。

 

 

一方で熊本の男性には、

食塩を毎日50g〜60gを摂取したと想定される頃に、

顔が腫れて、眼球結膜が充血し、全身の脱力感を訴えました。

そして、基礎代謝も低下してしまいました。

利尿作用のある薬を投与したところ、不快な症状が無くなりました。

 

 

この実験では、奉天市の男性には1月〜3月。

熊本の男性には10月〜11月にかけて行なっています。

 

 

奉天市は真冬に-20℃まで気温が低下します。

ここから考えられるのは、寒さと余分な塩分の排出と保持量です。

 

 

そこで、熊本の男性に対して1年かけて実験しました。

この時の1日の平均塩分摂取量は、約60gです。

それを塩分過剰の兆候が見られるまで続けました。

結果は、3〜4月の間は、基礎代謝に大きな変化が見られませんでしたが、

以外の期間は基礎代謝が向上しました。

 

 

尿中への塩分排出量は、3月〜9月に低下するものの、

10月〜2月は増加しました。

 

 

どうやら寒さと塩分排出量が関連するようです。

 

 

 

塩分と寒さの関係は?

普通の塩分の被験者Aと、塩分濃度を高めた被験者Bに

薄着で−9〜−10℃の外気に晒して体感した実験をしています。

 

 

結果は、Bの被験者には、

酸素消費量や体表温度に大きな違いがなかったものの、

Aの被験者には、酸素消費量の増加、体表温度の低下が見られました。

また、Aの被験者には四肢の末端温度の低下が大きかったとあります。

 

 

寒さに対する実験をウサギでも行なっています。

 

 

通常の餌に加えて、12gの食塩を追加したウサギaと

通常の餌を与えただけのウサギbを

-15.5℃の寒さに晒した実験です。

 

 

結果は、bのウサギは27分後に耳が凍りついてしまいました。

高温の部屋で解凍すると、耳はうっ血、翌日には腫れあがりました。

いわゆる凍傷です。

一方でaのウサギは、凍傷の影響を全く受けませんでした。

 

 

これらの結果を踏まえて、

考察では、食塩の摂取と排出のバランスが取れ、

食塩が代謝されるほど、代謝機能が全般的に活性化される印象

であるとしています。

 

 

そしてもう一つは、

体内に保持されてる食塩の量に応じて、

身体の機能が高まるのではないかとしています。

 

 

塩分は基礎代謝をアップさせる。

それがこの研究論文の結論です。

 

 

今では信じられないくらいの塩分を摂取した研究でした。

満州はかなり寒い地域ですので、

どんな味付けの料理だったのか気になるところではあります。

 

 

それはさておき、

あらゆる生命体の原点は、母なる海ですので、

塩分を生き物が利用していないということは、

あり得ないと考えられます。

 

 

サラリーマンのサラリーは塩を語源としています。

また、敵に塩を送るということわざがあることから、

古来より塩は大変貴重で重要なものです。

 

 

塩気の無い料理は美味しくありません。

反対に、塩分が濃すぎる料理も美味しくありません。

塩梅という言葉があるように、バランスが大切です。

 

 

この研究で不明だったのは、何をエネルギー源にしていたか?ということです。

基礎代謝が上がったということは、

それと交換されるエネルギー源があったことになります。

そこが明確になると、もっとはっきりとしたと思われます。

 

 

塩分と尿への排出量の関係は、

糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドが関連しているようです。

これらを作るにもエネルギーが必要です。

 

 

そして食塩投与を中止すると、基礎代謝が下がったということは、

減塩するとメタボになったり、低体温になるということでしょうか。

 

 

メタボになるというのは、関連する論文もあります。

これには前に紹介した

レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系(RAA系)が関わっています。

その論文では、アルドステロンによって2型糖尿病のリスクが上がるというものです。

1日に塩分摂取量が5gを下回ると、RAA系は発動しやすくなります。

 

 

僕としては、食塩はエネルギー代謝を上げるので、

伴って、エネルギー源を多くする必要があると考えてます。

それによって、塩分排出量も変わってくると考えられます。

 

 

エネルギー代謝に関わるのなら、

塩分過剰で高血圧になるという理屈が、

おかしなものだと考えられます。

 

 

実際、それを裏付けるような実験があり、

一般的に言われているのは、

塩気の多い食べ物を食べると喉が乾きやすいというものです。

 

 

しかし実験では喉の渇きはなく、

尿の量が多くなり、食欲が増したという結果もあります。

とすると、1日に50gは多すぎだとしても、

余分な塩分が排出されるのであれば、

結構な量を食べても、交換されるエネルギー源があれば、

身体上は問題ないというところでしょうか。

 

 

それよりも、減塩するとRAA系を刺激して血圧が上がりますので、

減塩して血圧が上がるという話なら、理屈が通ります。

もちろん、新型コロナにも関係していますね。

 

 

塩にまつわる論文はいくつもありますので、

またいずれ、紹介したいと思います。