転がるお前に『苔』は生えない

Chemical Brothers

「Surrender」 1999

Music: Response
Influenced
Out of Control
Orange Wedge
Let Forever Be
Sunshine Underground
Asleep from Day
Got Glint?
Hey Boy Hey Girl
Racing the Tide
Dream On



よく ケミカルブラザーズ の音をして表現にされるのに

「チープ [ cheap : 安っぽいなど ] な電子音を巧みに使う」 と言われることがしばしばあるが、

この 3rdアルバム 『 サレンダー 』 では

正にチープな電子音の真骨頂ともいえるトラック1の "music : response " はあまりにも有名。


 今回も参加のoasis ノエル (Tr.5 "let forever be" ) を筆頭に

NEW ORDER のヴォーカリスト、Bernard Sumner

PRIMAL SCREAM のボビー・ギレスピー (Bobby Gillespie)がコラボレートした、

トラック3の "out of control " など、豪華アーティスト陣の参加も見物。



 [ surrender ] … 降伏する、放棄するなど。 

思わず今までのブレイクビーツを完全に捨ててしまったかのようなタイトルですが、

彼等は、まだまだやり尽くした感が微塵も感じられないし、

ファースト及びセカンドの成功のプレッシャーなどまるで無いし、

世の中、流行廃りは目まぐるしいが、

彼等の音楽性において、この時点ではまだまだ、

煮詰まるとか殻を破るとか、

ある種の(ファン以外の)聞き手にとってどうでも良いことが、まるで無い。


俺なんかは、ファーストが大好きで、

セカンドが全然ダメだったから、

その次の作品と言う事で、購入はまず無いと思っていたけど・・・


世紀末を迎えた’99年、ケミカル兄弟達からの最高のプレゼントが、この「Surrender」だ。

先行シングル「Hey Boy,Hey Girl」では、ド渋のエレクトロ・ブギーが爆発、

これを耳にしたときは、

間もなく出されるアルバムに、誰もが期待に胸を膨らませた訳だが、

収録時間53分の世界は、

ケミカル特有の太っといベースラインとエレクトロに、完璧にノック・アウト。

ビッグ・ビートが単なるブームだと言うメディアに化学反応。


木村拓哉出演、LEVI’S TV-CFソング「Music: Response」収録。

2002年6月~ ソニーVAIOノートNV CF曲、


オアシスのノエル・ギャラガーがヴォーカルで参加の「Let Forever Be」収録。


プライマル・スクリームのボビー・ギレスピーが参加した、


『サレンダー』からのサード・カット「Out of Control 」、曲ももちろんPVも秀逸。


クリップの監督はオイル・ファクトリーのWIZ。




世界的な大ヒットとなった2作目『ディグ・ユア・オウン・ホール』から2年余り、


今日紹介するこの作品は、ひとことで言ってしまえば、問題作である。


デビュー作『さらばダスト惑星』で作り出した


ブレイクビーツ・テクノ、ヒップホップ、ロックなどが混然一体となったスタイルは、確かに新鮮だった。


しかしその後訪れた“デジタル・ロック”のブームの中でそのスタイルは即座に消費されてしまった。


その後ビッグ・ビートのブームと衰退を経て、英テクノの地盤沈下が囁かれるなか、


かつてのトップ・ランナーがどう出るか。


それがケミカル兄弟の新作に向けられる最大の注目点だったといっていい。


リニアで攻撃的なビート一色で押しまくっていた前作に比べ、いわば“引き”の感覚。


はるかにバラエティに富んだ作りだ。


エレクトロ、ヒップホップ、ニューウェイヴ、フォーク、サイケ・ポップ、ハウスなど、


曲調は一曲ごとに異なる。


それを“柔軟で懐が深くなった”と見るか、“散漫で焦点が絞りきれてない”と見るか。


おそらく両方とも正しいと思う。


それが本来矛盾に満ちた人間という存在そのものだからだ。


というのも、今作はこれまで以上に彼ら自身の生身の感情や肉体性といったものが


色濃く焼き付けられているように思えるのだ。


新奇なテクノロジーや方法論に依存するのではなく(それはそれで面白いのだが)、


足もとを見つめ直し、自らの内に湧き立つ文学的なモチベーションを優先しようという姿勢は、


たとえばマージー・スターのホープ・サンドヴァルが参加した


ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを思わせるフォーク曲にうかがえる。


全体に中期ビートルズを思わせるポップ感覚が興味深い。


シーンの変転で風化することのない古典を、という試行錯誤が、


英国ポップの原点に彼らを立ち戻らせたのかもしれない。


重層的で奥の深い、再三の鑑賞に堪えうる力作である。




そんな話






転がるお前に『苔』は生えない

AEROSMITH

「DRAW THE LINE」 1977

Draw the Line
I Wanna Know Why
Critical Mass
Get It Up
Bright Light Fright
Kings and Queens
Hand That Feeds
Sight for Sore Eyes
Milk Cow Blues


前作『ロックス』は倉庫で録音されたものだったが、

1977年発表のこちらは城(修道院)でレコーディング。

ロック版ウォール・オブ・サウンドともいうべき趣きを有している。

表題曲の”ドロー・ザ・ライン”がヒット。

”ブライト~”ではジョー・ペリーが初のリード・ヴォーカルをとっている。



本作は77年度作品。5thアルバム。

全米最高位11位/200万枚突破。

77年1~2月の待望の初来日公演の直後にレコーディング開始。

しかしドラッグやアルコールなど最悪の状況の中、半年以上もの長い制作期間を経て完成。

シングルカットされた「Draw The Line」(最高位42位)はジョーのスライドが唸る

今もなおライヴでのジョーの見せ場になっているエアロの代表曲の一つ。

とはいえ「Kings And Queens」(最高位70位)はジョー抜きで録音されるなど、

確実にバンドは悪い方向へ向かっていき、危機感と緊張感が全編を漂う作品。

エアロ曰く”NY州アーモンクの修道院で収録した。

このアルバムがなぜこんなにファンクっぽくなったのか・・・。

勿論宗教とはなんの関係もない。


前作までの成功で手に入れた巨万の富を全部鼻から吸う「クスリ」に換え、

その勢いで作ったアルバム。

前作を超えなければならないプレッシャーから、メンバーが正常な精神状態ではなかった。


Kings And Queens」の壮大な構想は、

それまでのただ荒削りなだけの音ではなく、計算されつくした音であるように思われる。

タイトルトラックの「Draw The Line」のリフはある童謡の歌い出しに似ている(各自で想像して下さい)と、

当時の一部の音楽評論家に酷評されたりもしたが、アルバム全体としては完成度が高い。


ジョー・ペリーは、次作の「Night In The Rats」に数曲参加しただけで一旦脱退してしまったが、

結果的にはクスリ漬けのエアロがそこで終わったことで、現在のエアロが存在することになる。


このアルバムはもっと評価されていい。

前作「ロックス」を経て、音楽的なアーティストパワーにおいて正に、

限界ギリギリまで彼らが当時来ていた事が、今聞き直してみてよく分る。

スティーブンの歌声は、時に地面を這い回り、時に天を突き抜ける。

その粘り強くかつ破壊力のある歌声は、エアロの全アルバムの中で、断トツの凄さである。

ジャック・ダグラス・プロデュースのサウンドは、ニューヨーク近郊の古城で録られ、

自然のエコーが生かされたその神秘的な響きと共に、

ジョーのギターを中心とした灼熱のグルーブに、当時のエアロの凄さが、はっきりと刻まれている。

全曲、ヴォルテージが高く、

音の塊りがスピーカーからどっと迸り出る。



そんな話




アルバム・タイトル、

限界ギリギリ=DRAW THE LINE


ノリやテンション、ボルテージが半端ない・・・って意味ではない


正気の維持の限界

或いは、バンドの存続維持の限界


そんなDRAW THE LINE。


(ま、結局はその一線を越えてしまって、タイラーとペリーは一線を越えてしまって、


一旦、喧嘩別れする事になるのでした。)


そんな、怨念じみた執念が込められた名盤中の名盤。



この作品に関しては、レゲエ盤紹介するよりテンション上がってしまうわ、俺。






転がるお前に『苔』は生えない

ASIAN DUB FOUNDATION

「COMMUNITY MUSIC」 2000

Real Great Britain
Memory War
Officer XX
New Way New Life
Riddim I Like
Collective Mode
Crash
Colour Line
Taa Deem
Judgement
Truth Hides
 Rebel Warriors
Committed to Life
Scaling New Heights


いきなりですいませんが、4曲目の“New Way,New Life”は、

私的ソウル・ソングかなり上位です(現時点において)



在英インド・バングラディシュ系2世の面々が
.
音楽教育センター「コミュニティ・ミュージック(中心人物Dr.DASが主宰)」で出会い、結成される。

既存のダンス・ミュージックの快楽主義に真っ向から対峙しながら、

人種差別や階級闘争に対し強烈なメッセージを発しつづける政治音楽集団だ。

ドラムンベースやラガ、ヒップホップなどを、東洋的な土臭い雰囲気をもったメロディとグルーヴで昇華。

そして、クラウドを興奮と歓喜のるつぼに誘い込むライヴ・パフォーマンスは、

社会派パーティ・バンドとしての確固たる地位を築いている。

攻撃的な厳しさと共に、共存意識のような幸福感も有している姿勢は

彼らのライフ・スタイルを如実に表しているといえるだろう。


 '94年夏、アキ・ナワズ(exサザン・デス・カルト、ファン・ダ・メンタル)のレーベル"Nation Records"から

E.P.をリリース。

翌年10月にNationから伝説の1stアルバム"FACTS AND FICTIONS"をリリースする。

(日本盤はBad Newsよりリリース)

 その後ヨーロッパ・ツアーを行い、特に好評であったフランスで2nd"R.A.F.I"を

限定でヴァージン・フランスよりリリース。

この2ndは日本にはわずかな数しか輸入されなかったが、外資系レコード店を中心に話題を集める。


その後、プライマル・スクリームとの全英ツアー、

ATARI TEENAGE RIOTとのスプリットシングルをリリース、

日本でも知られる存在となった。


 '98.4月に日本先行で"R.A.F.I"に手直しを加えた"RAFI'S REVENGE"をリリース。

日本でもブレイクし、様々な音専誌、ファッション誌で紹介された。

欧米のツアーを大成功させ、初来日は"フジロックフェスティバル"のステージで、

日本のオーディエンスを大熱狂させた。


来日公演も全国大入りでライヴ・バンドとしての本領を発揮、

様々な層からのリスペクトを集めている。


'98年のフジ・ロック・フェスティヴァルに参加し、

出演アーティストの中でも最高のパフォーマンスと絶賛されたAsian Dub Foundationの

大ヒット・アルバム『Rafi's Revenge』以来2年ぶりとなる

 2000、3/8にアルバム"COMMUNITY MUSIC"をリリース。

時代、人種、国境を超えた圧倒的なインパクトでミュージック・シーンに衝撃を与えた彼等だが、

Primal Screamにも大絶賛されたその東洋パワーは、本作で更に充実を見せている。

“Real Great Britain”、

“New Way,New Life”などがシングルヒットした。

前作までと比べると、彼らの特徴のひとつであるラディカルな政治意識は少し弱まり、

低音がいい具合に軽くなっているのがわかる。

しかし、それが結果として逆に軽やかに跳ねるようなサウンドづくりにあらわれており、

ADFサウンドの新たな展開を見せている。

政治闘争よりも、タイトルにもあるように身の回りの仲間=「コミュニティ」とともにあがっていこうという

ポジティヴな意識が強く感じられる作品。

今作をもってヴォーカル/McのDeederが脱退。


Deederの声は、ジョン・ライドンを彷彿させる(私的に、そんな風に感じるのですが・・・)。


CDとジャケ違いなところも、好印象。

盤のジャケの方が全然かっこいい。


無論、以降の作品も、Voが変わっても、色褪せることなく、かっこいいんですが、

Deederへリスペクトの意を込め、この作品を推します。



そんな話。




日記のタイトル、ちょっとバカっぽくぼけてみましたが、なかなか秀逸・・・・かな。


“New Way,New Life”は、私的ソウル・ソングかなり上位です(現時点において)