今回も参加のoasis ノエル (Tr.5 "let forever be" ) を筆頭に、
[ surrender ] … 降伏する、放棄するなど。
2002年6月~ ソニーVAIOノートNV CF曲、
オアシスのノエル・ギャラガーがヴォーカルで参加の「Let Forever Be」収録。
プライマル・スクリームのボビー・ギレスピーが参加した、
『サレンダー』からのサード・カット「Out of Control 」、曲ももちろんPVも秀逸。
クリップの監督はオイル・ファクトリーのWIZ。
世界的な大ヒットとなった2作目『ディグ・ユア・オウン・ホール』から2年余り、
今日紹介するこの作品は、ひとことで言ってしまえば、問題作である。
デビュー作『さらばダスト惑星』で作り出した
ブレイクビーツ・テクノ、ヒップホップ、ロックなどが混然一体となったスタイルは、確かに新鮮だった。
しかしその後訪れた“デジタル・ロック”のブームの中でそのスタイルは即座に消費されてしまった。
その後ビッグ・ビートのブームと衰退を経て、英テクノの地盤沈下が囁かれるなか、
かつてのトップ・ランナーがどう出るか。
それがケミカル兄弟の新作に向けられる最大の注目点だったといっていい。
リニアで攻撃的なビート一色で押しまくっていた前作に比べ、いわば“引き”の感覚。
はるかにバラエティに富んだ作りだ。
エレクトロ、ヒップホップ、ニューウェイヴ、フォーク、サイケ・ポップ、ハウスなど、
曲調は一曲ごとに異なる。
それを“柔軟で懐が深くなった”と見るか、“散漫で焦点が絞りきれてない”と見るか。
おそらく両方とも正しいと思う。
それが本来矛盾に満ちた人間という存在そのものだからだ。
というのも、今作はこれまで以上に彼ら自身の生身の感情や肉体性といったものが
色濃く焼き付けられているように思えるのだ。
新奇なテクノロジーや方法論に依存するのではなく(それはそれで面白いのだが)、
足もとを見つめ直し、自らの内に湧き立つ文学的なモチベーションを優先しようという姿勢は、
たとえばマージー・スターのホープ・サンドヴァルが参加した
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを思わせるフォーク曲にうかがえる。
全体に中期ビートルズを思わせるポップ感覚が興味深い。
シーンの変転で風化することのない古典を、という試行錯誤が、
英国ポップの原点に彼らを立ち戻らせたのかもしれない。
重層的で奥の深い、再三の鑑賞に堪えうる力作である。
そんな話


