空へのあこがれ
フライトトレーニング一日目(~着陸)
訓練初日、
とりあえず飛ぼう!という事で、インストラクターが離陸させてくれた.
離陸上昇中に、You have control! と言われ、操縦輪を握りしめ、機長席で生まれて初めて(飛んでいる)飛行機の操縦をした.
緊張と混乱で、何をしているかわからない位舞い上がってしまう状態だったが、時間と共に、落ち着いてきて、様子が分かるようになる.
ベースターンが終わり、滑走路が左前に見えてきた
現在の飛行状態は、
エンジン回転数:1500rpm
フラップ: 30°
速度: 80KIAS
という状態.
既に降下が始まっているので、この時点での高度は1000ft位(700ftAGL位)
base turn直後には左前方(45°位)に見えていた滑走路が、段々と後ろ(左側)に移動して行き、左70°位に見え始めたら、右側からの進入機がないかを確かめてから、さらに左に90°旋回(Final turn).
これで滑走路が正面に見える状況となった(これをOn final或いは単にFinalという)。
エンジン回転数:1000~1200rpm
フラップ:45°
速度:70KIAS
にセットしてアプローチ.
さらに多めの降下率でアプローチを続ける。
この状態が、旅客機で言うところの最終進入の状態。
正面には滑走路が近づいてくる.
正面を見据え、滑走路の見え方の変化を、よーーーーく観察する.
滑走路の、滑走路番号(ビーム番号)を見つめながら、それが視野の上に動くか、下に動くかをしっかりと見極める。
操縦席からの滑走路の見え方は、こんな感じとなっている
もし、
ビーム番号が上に動いてゆく場合:
自分の降下率が高すぎで、滑走路までたどり着けない事を示しているので、パワーを少し上げて降下率を下げ、高度を維持しする.
ビーム番号が下に動いてゆく場合:
飛行機が高く飛びすぎで、滑走路も着陸帯を飛び越えてしまう事を示しているので、パワーをさらに絞り、降下率を大きくする.
<余談:アプローチ角度>
基本的に、飛行機を着陸させる時のアプローチ角度は、2°前後に設定されている.
それ以上だと、接地の時、衝撃が大きくなるし、それより浅いと、アプローチに長い時間がかかってしまう.
それより、空港より手前の立木や建物にぶつかる可能性が出てくるのでとても危険。
航空法では、アプローチする角度を含む面を「転移面」と定義しており、その面には障害物がないということを空港の設置基準に明記している。 つまり、この転移面より上を飛んでいれば、何にもぶつからず、空港まで到達できるということ.
この値は、空港やその時の運用により異なっている.
多くの場合は、2〜2.5°に設定されている.
しかし、昨年から運用が始まった羽田空港の都心周りのアプローチの角度は3.5°となっている.これは、都心上空をできるだけ高く飛び、空港近くで急激に高度を下げるという飛び方を余儀なくされているので、このような設定がされている.
また、この角度は、「着陸まで3.5°の降下率で飛ぶ」という意味ではなく、「アプローチ転移めんの角度が3.5°」だということ.
着陸の際は、操縦輪を引き、飛行機の沈下率を下げ、ゆっくりと接地するように微妙な調整を行う.
この操作をフレアと呼ぶのだが、どのタイミングで、どの程度フレアを使うかがパイロットの腕の差となって出てくる.
着陸操作での一番難しい操作でもある.
フレアをかけないで、3.5°で接地したら、ガガンッというすごい衝撃での着陸となってしまう.
正面に見える滑走路の左脇には、赤・白のランプが4つ並んでいるVASI(ランプが3つ或いは2つの空港もあるPAPI).
そのうち2つが白、2つが赤に見えれば、適正なグライドパス(2°の着陸進入コース)に乗っている事を教えてくれる.
3つが赤だったら、高度が低すぎなので、パワーを入れて、2つが赤になる所まで高度を維持する。
4つ共赤だったら、(かなり深刻)相当高度が低いということなので、かなりパワーを上げて、高度を上げる必要がある(進入路上に障害物がなければ良いが、かなり危険な状況).
3つが白だったら進入高度が高すぎるので、エンジンを絞るか、そのまま(滑走路は必要量の3倍の長さあるので)進入しても問題ない.
4つが白だったら、かなり高すぎなので、パワーをアイドルに絞り、フォワードスリップなどで高度を処理する必要がある.
出来ない時は、着陸やり直し(着陸復行:Go around)を行う.
ファイナルを適正な進入角で滑走路に入ってきて、飛行機が滑走路の端(スレッシュホールド)を超えたら、スラストレバーを一番手前に引いて、エンジンをアイドル(Power to Idle)にする.
高度が20ft位になったら、操縦輪を少し後ろに引いて、飛行機を水平やや上むきに戻す(それまでは、飛行機は頭下げの状態).
機首が上がると空気抵抗も増えるので、速度が落ち、機体が沈んでくる.
おおよそ、10ft位まで沈んできたら、沈み具合に合わせて、さらにもう少しだけ操縦輪を後ろに引き、失速ギリギリ(失速警報が鳴っている場合も多い)で速度を維持(40〜45KIAS)すると、飛行機はさらに沈んでゆく.
そのうち、穏やかに主脚(メインギア)が接地.
機首上げ姿勢なので、まだ、ノーズギア(前脚)は上がったまま.
飛行機が、滑走路をそれないように、ラダーやエルロンなどで、滑走路の真ん中を走っている状態に維持しておく.
速度が落ちてくると、自然に機首が下がってきて、穏やかに前輪が接地する.
まだ、速度が40KIAS(時速70km程)出ているので、滑走路を外れないように、ラダーペダルで(前脚)コントロールする.
全ての車輪がしっかりと地面を走り出したら、ゆっくりとラダーペダルの上側についているブレーキを踏む.
右足は右側、左足は左側の主脚につながっているので、左右を同時に、同じだけ踏まないと滑走路を外れてしまうので、注意が必要.
速度が、30km/h程度に落ちたら、近くの出口から、タクシーウェイにでる.
接地寸前の速度が大きすぎると、地面効果(Ground effect)が生じてしまい、飛行機は、それ以上沈まなくなり、地上1.5〜3mほどの高さを維持したまま、飛び続けてしまう現象フローティング(浮いて、なかなか沈んでこない)に陥っしまう。その時は、その姿勢を維持したまま我慢していると、(フラップが開いているので)空気抵抗も大きいので、次第に速度が落ち、そのうちに接地してくれる。決して焦らない事だ。そして、その間中、飛行機を滑走路のセンターライン上に正しく維持しておくことが肝心.
Flortingの状態で、滑走路の1/2や2/3を通り過ぎてしまったら、すかさずパワーを全開にし、着陸復行(Go around)をすればよい.
Go-aroundの判断をしたら、迷うことなく、躊躇なく、エンジンを最大出力にし、飛行機が高度を得るための最大の努力をする.
Go-aroundの時には迷ってはいけない.やると決めたら、必ず、安全な高さまで上昇させることが肝心.
一旦、パタン高度や、計基進入でのミストアプローチ後のホールディングの高度などの高さまで、上がってしまえば、飛行機は安全に飛んでいられる.
その後、再度、仕切り直しで、着陸手順を踏めば良い.
接地時、飛行機の前後軸を滑走路のセンターラインに一致させておくことが非常に重要。
主脚が接地後、機首が、センターラインに合うようにラダーで微妙に調整する。
(接地時、速度が80~150㎞/h位あるので、軸がずれていたら簡単に滑走路から飛び出してしてしまい危険)
前輪が接地したら、(主脚の)ブレーキをかけ、(再び浮き上がらない速度まで)速度を落とし、地上滑走しながら、適当な出口から、タクシーウェイに出る.