みなさんご機嫌いかがですか?

 

9月は長雨でしたが、10月は一転、好天が続いています。

 

行こう行こうと思っていたフィールドへ出かけたいところですが、これまた微妙に忙しい日々で…

(「時間は捻出するものだ!」との声もアリ)

 

悩ましい今日この頃です。

 

そして、気になることも。

 

じつは、せっかく捻出した時間で出かけても、思うようにハナアブに出会えていないのです。

 

とくに伊那谷の東側、南アルプス山系とその前衛の伊那山地がてんでダメ。

ダメダメダメなのです。

 

以前から薄々感じていたのですが、この地域で爆発的に増えている「シカ」が影響しているのでしょう。

 

とにかく林道という林道、道端という道端に花が咲く草が見当たらないのです。

 

これが私の家の近所である中央アルプス沿いの山々では、ちょっと歩けば野菊の群落がちらほらと見られるのですが、伊那谷の反対側の山々にはそれが全くありません。

 

本当に、行けども行けども裸地か、せいぜいチカラシバやススキの群落だけ。

そんな不毛な光景が延々ダラダラと続く道を歩いていると、虚無感からひどい疲労を覚えます。

道端を埋め尽くすチカラシバの群落。

 

一方、中央アルプス側であっても状況はあまり良くはありません。

 

じつは、中央アルプス山系は私が子供の頃はほとんどシカがいませんでした。

このため、シカの影響は南アルプス側ほどではないのが現状なのです。

(将来的には似た状況になってしまうことも考えられますが)

 

では何が悪いかというと、それは潔癖なる現代人の無知と無関心です。

 

人による管理が行き届いた山道は、行けども行けども路肩の草が刈られています。

当然、花は見る影もありません。

 

かろうじて、草刈り機の届かない場所から伸びた花が、虫たちのよりどころとなっているのです。

草刈り機が届かない擁壁の上の花園

 

いまや道端の草花は通行の妨げや審美性に欠けるなどの理由から、現代人にとっては「邪魔」で「意味のない存在」となってしまいました。

 

かつて山里の生活に彩りを与えていた種々の花と、その花々をよりどころとしてきた里山の昆虫たちは、いま、そうした美しさを見る目を、自然美を感じる心を失った現代人の所業により、静かに消えつつあるのです。

 

ユウガギクを訪れたナミハナアブ。

心和む秋の光景も、もはや過去のものになりつつあるのかもしれません。

 

日本各地で生き物の減少や絶滅が取り沙汰される昨今、現代人の無知・無関心という「意図しない悪影響」によって、どれほどの生き物が「知らぬ間に」消えているのでしょう?

 

あなたは、それに気が付いているでしょうか?

 

 

 

 

 

みなさまご機嫌いかがですか?

 

長い長い秋雨で、身も心もジメジメしていた今日この頃。

伊那谷@信州は先日、久しぶりの日の光に恵まれました。

 

虫たちも、日の光を待ちわびていたようです↓

タラの木レストランを訪れた無数の虫たち

30.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

何より、この私も、この光景を待ちわびていたわけで・・・

気持ちいい(少し汗ばむ)日差しの下、タラの木のそばに脚立を立ててハナアブウォッチング開始~♪

 

(以下、ハナアブハンドブックを片手にお楽しみ下さい♪)

ケホソオビヒラタアブ Epistrophe sp.C. ♀. (ハナアブハンドブック p.55)

30.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

自宅のタラの木レストランで、この時期、最も個体数が多いのがこのケホソオビヒラタアブ。

腹部に1・1・1型の斑紋をもち、額が広いのが特徴的なヒラタアブです。

 

ウチの庭に秋の涼しい風が吹く頃、突如として多数が現れます。

まだ正式には記載されていない種と考えられますが、ウチにはいっぱいいます~8

 

ホソヒラタアブ Episyrphus balteatus. ♂. (ハナアブハンドブック p.58)

30..2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

長距離移動の代表選手、ホソヒラタアブ。

君はどこから来て、どこまで行くのでしょうか?

 

マルヒラタアブ  Didea fasciata ♂.(ハナアブハンドブック  p.39)

30.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

平たい腹部にエメラルドグリーンの斑紋が美しいマルヒラタアブ。

よく似ているヘリヒラタアブとの識別は、ずばり”顔を見る”こと !

 

オオヒメヒラタアブ Allograpta iavana ♂.(ハナアブハンドブック p65)

30.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

ヒメヒラタアブ類に似ていますが、腹部は平たく、派手な色彩をもつオオヒメヒラタアブ。

複眼や胸に花粉を付けて、ポリネーターとしても大活躍のようです。

 

ツマグロキンバエ(左下)とホシメハナアブ Eristalinus tarsalis ♀.  (ハナアブハンドブック p.98)

30.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

複眼に不思議な模様を持つホシメハナアブ。

その目には、そのような世界が見えているのでしょう?

 

キゴシハナアブ Eristalinus quinquestriatus ♂. (ハナアブハンドブック p.98)

30.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

こちらはホシメハナアブのようですが体に黄色い縞模様をもつ種。

そこまで沢山いるものでもなく、前種とともに、見かけるとちょっと嬉しくなるハナアブ。

 

イイダヒゲクロハナアブ Cheilosia iidai ♀.(ハナアブハンドブック p. 80)

30.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan

 

クロハナアブの仲間は種数も多く、識別はじつに難しいもの。

でも、この種は羽毛状の触角刺毛をもつため容易に識別できます(要拡大)。

 

と、あれあれ? うっそー!!! ↓

ツマグロキンバエ(左)とオオヨコモンヒラタアブ Leucozona glaucia ♀. (ハナアブハンドブック p.35)

30..2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

このハナアブを見た瞬間、自分の目を疑いました。

ふだんは2500mを越える高山にいる本種が、な、なんと、標高700mの自宅の庭にいるではないですかっ!!

 

涼しい秋の風に誘われて、麓まで降りてきてしまったのでしょうか?

思いがけない「高山の貴婦人」の登場に、私の興奮は最高潮に達したのでした~8

 

この日は、これら以外にもサッポロヒゲナガハナアブ(p.28)、ナガヒラタアブ(p.36)、ヨコジマオオヒラタアブ(p.37)、ツマキオオヒラタアブ(p.38)、フタスジヒラタアブ(p.42)、ナミホシヒラタアブ(p.44)、オオオビヒラタアブ(p.48)、オオフタホシヒラタアブ(p.50)、ヒラタアブ属の仲間、オビヒラタアブ属の仲間、シロスジベッコウハナアブ(p.89)、ナミハナアブ(p.95)、シマハナアブ(p.96)、キョウコシマハナアブ(p.97)、オオハナアブ(p.100)、アシブトハナアブ(p.101)など、色とりどりのハナアブに出会うことができました♪

 

みなさまもハナアブハンドブックを片手に、秋の花に来るハナアブを観察してみてはいかがでしょうか?

 

 

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 

台風接近の中、昨日は無事にイベント(アサギマダラこども広場 @ 長野県宮田村)が終了しました。

〔スタッフの皆様、お疲れ様でした。参加された皆様、ありがとうございました!〕

 

幸い、一日雨は降らず、曇りで過ごしやすい天気でした。

 

このイベント、「旅をする蝶」として有名なアサギマダラについて広めるため、村が毎年開いているもの。

 

今年は参加者によるカウント調査や自然観察会、マーキング調査が行われました。

 

アサギマダラについては、知っている方も多い(?)と思いますのであまり詳しくは書きませんが、季節的に長距離移動(いわゆる渡り)をすることが知られている大型の蝶です。

フジバカマを訪れたアサギマダラの♂(息子が撮影).

20.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

この蝶の渡りの生態については、全国各地の熱心な調査者による地道なマーキング調査が実施されており、これまで数々の事実が明らかとなってきています。

 

このイベントが行われている「アサギマダラの里」(長野県上伊那郡宮田村)でも、長らくマーキング調査が行われてきました。

これまでに当地でマーキングされた個体の中には、最も遠い場所で沖縄県中城村まで飛んだものがいるそうです。

 

直線距離にして約1,400km!!

 

立派な羽をもつとはいえ、小さな昆虫です。

ここまでの長距離を移動するというのは、驚くべきことだと思います。

 

アサギマダラはその可憐な見た目もさることながら、「渡り」という驚異の生態を通して、命の不思議や自然の奥深さを人々に教えてくれています。

アサギマダラにマーキングをする娘.

20.Ⅸ.2026. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

じつは、アサギマダラと同じように「渡り」をする昆虫の一つに「ハナアブ」があります。

 

日本ではあまり知られていませんが、海外では熱心な観察や調査により、少しずつその生態がわかり始めています。

 

詳しくは拙著「ハナアブハンドブック」を参照して頂きたいのですが、ナミハナアブやホソヒラタアブなど日本でもよく見られるハナアブについて、海外では長距離移動に関する報告がなされています。

 

日本でも近い将来、ハナアブを見る人が増えて、マーキング調査なども実施できるようになれば、知られざる日本のハナアブの渡りについても少しずつ明らかになっていくのでは…と、期待しています。

フジバカマに飛来したオオハナアブ♀.

渡りが示唆されているハナアブの一つ。

 

オオハナアブは東アジアにのみ分布しており、地元民による根強い研究が求められます。

 

求む!調査協力者!!

な~んて(^^;~8