いよいよ、作者も待ちに待った「ハナアブハンドブック」が発売されました!

 

いろいろな方からお祝いの言葉を頂き、感謝感激です。

 

願わくば、図鑑の中だけでなくフィールドで、本物のハナアブを見つけて、愛でていただけたら嬉しい限りです。

 

―小さな昆虫であっても、しっかりとその命を見つめ、大切にできる人がひとりでも増えますように―

このハンドブックには、私のそんな願いも込められています。

 

 

さて先日、春休みも終わりが近づいた子供たちを連れて、潮干狩りに行ってきました。

海なし県からの遠征。その旅先でハッとさせられたできごとがありましたので、ここで紹介します。

 

 

―何を隠そう私は、子供の頃から年に1回は海辺の祖父母の家を訪れていましたので、体中の遺伝子にまで「海」が染みついています。

今回も「年に1回は海に行きたい!」という突然の私のワガママに、妻も子供たちも大賛成!(やった!)

いつもの行きつけの海岸へ行くことになりました。

 

海でアサリを掘っていると、アサリ以外にもいろいろな生き物が出てきます。

貝やカニ、ヤドカリ以外にも奇妙なヒモ状の生物や、よくわからない節足動物に出くわします。

 

そのたびごとに、アサリを掘る手を休めて、出てきた生き物を観察用のプラケースに入れて、しげしげと観察。

「かわいいなー」とか「うわ、面白い!」とか、ついつい驚きの独り言が出てしまいます。

 

そんな私を見てか、小学校半ばくらいの少年が声をかけてきました。

「―その中に、なにかいるんですか?」

 

「ああ、これはミミズハゼ、お魚ね。かわいいでしょ。こっちの長いのはユムシで、このもじゃもじゃはミズヒキゴカイ。あと、こっちには、ほら、ワレカラっていう生き物。面白いでしょ」

 

「うわー、ホントにいろいろいるんですね!」と、眼をキラキラさせる少年。

 

「ね!アサリがいるところには、アサリだけじゃなくていろんなオモシローイ生き物がいるんだよ~♪」

 

「ぼくもこういう生き物大好きです!でも・・・」少年の声がくぐもりました。

 

「・・・こういう生き物のこと、みんなはあまり知らないんです」

 

「・・・そっか。君はどんな生き物が好き?」

 

「いろいろ好きです。でも1番はクワガタ、ギラファノコギリクワガタとかが好きです」

 

「おお、ギラファっ!カッコいいよね!!」私がそう言うと、パッと少年の顔が明るくなったのでした。

 

 

―もし、生き物好きであることが「普通」な世の中であったら、

みんなが多様な生命に敬意を払い、愛することができる世の中であったなら、

それは、どんなに優しく穏やかで、楽しく平和な世の中なのでしょう。

 

生命を愛する者―ビオフィリア―は、目の前の命を通して、そんな世界を見ている人なのだと思います。―

 

 

じつは、「ハナアブハンドブック」にも「海」に関係するハナアブを掲載しています。

 

 

それはとても希少で、かつては「幻のハナアブ」と言われたほど。

白砂青松の日本の海辺を代表する、たいへん希有なハナアブなのです。

 

私からしたらじつに畏れ多いため、軽々しくネットに画像などあげられません。

気になる方は「ハナアブハンドブック」のp82をご覧下さい~♪

 

 

 

 

 

 

ハナアブハンドブックを作る上で、いちばん力を入れたのは「普通種の識別」です。

 

様々な種のハナアブがいる中で、普通種の識別はハナアブの入門図鑑が取り上げるべき最重要課題でした。

ケヒラタアブ♂、その名の通り複眼に毛がある

 

とくに、家の庭や近所の公園など、気楽に訪れることができる場所では、そこにいるハナアブを見分けることが日常の楽しみにつながります。

 

★愛すべき普通のハナアブたち(※ページ数は「ハナアブハンドブック」内のページです)

・ナミハナアブ p95

・アシブトハナアブ p101

・オオハナアブ p100

・シマハナアブ p96

・キョウコシマハナアブ p97

・ナミルリイロハラナガハナアブ p114

・ホソヒラタアブ p58-59

・ミナミヒメヒラタアブ p62

・ホソヒメヒラタアブ p63

・ツヤヒラタアブ p22

・フタホシヒラタアブ p45

・ナミホシヒラタアブ p44

・ケヒラタアブ p49

・オオフタホシヒラタアブ p50

・マガイヒラタアブ p51

 

ハナアブには似た種類が多く種がわかりにくい、ということもありますが、ハナアブハンドブックでは掲載種が確実に見分けられるように識別に必要なチェックポイントを示しています。

 

ルーペや顕微鏡等での観察が必要な場合もありますが、「この種を知りたい」という多くの人の願いを叶えることを目標に作成してきました。

 

ぜひ、「ハナアブハンドブック」を片手に、身近なハナアブの識別に挑戦してみて下さい~8

 

ホソヒメヒラタアブ♂。同じ場所では非常によく似たミナミヒメヒラタアブも生息している。

ハナアブハンドブックではこれら2種の識別について見開きで詳しく解説しています。

 

 

 

 

「ハナアブがハチに似ている昆虫」ということを知っている人は、ある程度昆虫がわかる人なのだと思います。

 

さて、ではあなたはこの虫を見て、どう思うでしょうか?

 

これは、ヒメヨコジマナガハナアブというハナアブの一種。

 

遠くからぼんやり眺めるだけでは、ハチとしか思えないフォルムをしています。

 

それもそのはず、彼らは体の模様をハチに似せるだけでなく、「前脚を高く掲げてハチの触角のように動かす」という特技も身につけているのです。

 

眼を全開にして、じっくり見ないと本当にハチと間違えてしまいます。

 

このように、ハナアブには精巧なハチ擬態をする者が少なからず存在しています。

 

「ハチに似ていることで鳥などの外敵から身を守ることができる」、というのが理由と考えられています。

 

「ハナアブハンドブック」にも、多くのハチ擬態者を掲載しました。

しかも、スズメバチ似やミツバチ似、マルハナバチ似など、種によってモデルとなるハチも異なります。

 

各ハナアブがどんなハチをモデルにしているのか、想像してみるのも楽しい時間です~8