Tue 220524 お相撲の話でスミマセン/今も昔も大関は弱いもの/大関はつらいよ 4224回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 220524 お相撲の話でスミマセン/今も昔も大関は弱いもの/大関はつらいよ 4224回

 お相撲の話なんか書いても、若い諸君はあんまり興味を持たないかもしれないが、何しろワタクシのお相撲観戦歴は「日本を代表する」と言っても過言ではない。マコトにすみませんが、今日はお相撲の話、まあ我慢して読んでくれたまえ。

 

 NHK解説の北の富士サンが激怒していらっしゃる。ホントに面白いオシャレな人で、遠いむかし(確か20年近く前)どこかの劇場でお見かけした時のダンディなカッコは、まさにカッコイイの一言。コドモのころ彼の横綱相撲が大好きだった今井君は、ホントに「カッケー♡」と絶叫しそうになった。

 

 いやはや、大関が弱すぎるのである。北の富士サンが激怒していらっしゃるのは、「大関が弱すぎる」ということを含め、むしろ取り組み編成のことであって、クライマックスの13日目・14日目・千秋楽に、弱すぎる大関たちと優勝争い中の横綱との取り組みを続けたことにある。

  (函館本線の車窓に、ついに羊蹄山の勇姿が現れた 1)

 

 北の富士サンが「中日スポーツ」に執筆を続けていらっしゃる大人気コラムを読むと、京都「大市」のすっぽんスープがお好きだとのこと。その「大市」(だいいち)、何を隠そう今井君も大好き。2018年6月25日、「ブログ10年・連続更新達成記念」の夜にも、私は「大市」で祝杯をあげたのだった(Sun 180603 炎熱の京都/授業で筋肉痛/すっぽんを食す/さあ2次会へ M1)。

 

 勝手に言わせてもらえば、言わば「大市仲間」ないし「大市兄弟」であって、仲間や兄弟であれば、取り組み編成や「弱すぎる大関」に関する意見はほぼ同じ。いやはやさすが北の富士サン、その直言ぶりは文句なしにカッケーのである。

 

 横綱・照ノ富士の見事な横綱相撲については、すでにこのブログにも書いた通り(Thu 220519 玄人はだし♡寸止め人生の妙味/世界3大→函館夜景/波止場焼き 4220回)。5月場所12日目、満身創痍でありながら、膝と腰の痛みをこらえて新鋭・若隆景を豪快にキメ出した横綱のあり方についての絶賛を、ぜひもう一度お読みくだされ。

  (函館本線の車窓に、ついに羊蹄山の勇姿が現れた 2)

 

 ついでに、その新鋭・若隆景が「福島高校出身」であることも、いやはや文武両道、素晴らしいじゃないか。福島高校って、郡山の安積高校、いわきの磐城高校、会津若松の会津高校と並ぶ福島4天王。東北大学あたりにバンバン合格していく名門高校だ。

 

 いや別に、ワタクシは学歴ウンヌンの話がしたいのではない。しかし14歳&15歳の頃に、数学でも理科でもあんな込みいった問題をスラスラ解いて、満点近く取らないと福島高校には入れない。そういう精密さが、相撲の取り口にもスカッと現れているところがスゲーと思うのだ。

 

 それに比較して3人の大関、最終的な成績はともかくとして、相撲内容に豪快さも精密さも欠けている。ただブワーッと突っ込んで、ただバタッと倒れこむか、ただ押し込まれてモロッと土俵を割る。お相撲には何か1本ビシッと筋が通っていなきゃダメなのに、筋も何にもありゃしない。

  (函館本線の車窓に、ついに羊蹄山の勇姿が現れた 3)

 

 お相撲の話、退屈ですか? すみませんね、あと少し我慢して読んでみてくんろ。8年前に「豪風」と「宝富士」について書いて以来(Thu 140904 「呼び出し」になりたかった 豪風、大活躍の日々 三役そろいぶみを目撃せよ)、相撲ファンであることを告白し続けてきたんだから、大関の弱さについても、やっぱりしっかりここに書いておきたいのだ。

 

 諸君、大関が弱いのは、何も今に始まったことではない。大関って、むかしむかしのそのむかしから、ずっと弱かったのだ。この半世紀、新聞でも雑誌でも「弱い大関」は延々と批判の対象。今井君の記憶の中で、大関が強いという件で絶賛されたことはほとんどない。

 

 それこそ北の富士サンの現役横綱だった時代、大関だったのは大麒麟(だいきりん)・清国(きよくに)・前の山・大受(だいじゅ)。大麒麟についてはこのブログでも一度書いたことがあるが(Thu 210415 名大関・大麒麟のこと/ウィーン初日(ウィーン滞在記4)4029回)、いやはや、今ほどではないにしても、カド番・8勝7敗。9勝6敗の連続、まさに「クンロク」(9勝6敗)批判の対象だった。

(車窓からニセコアンヌプリと思われる雪山を発見。もし違ったら、スミマセン)

 

 だって諸君、もし批判されない強い大関なら、スカッと&トットと横綱になっちゃうのだ。「大関どまり」ということはつまり、何か決定的な弱みがあって、そこを研究されて行き詰まる力士だったということじゃないか。

 

「大受」、彼はどこまでも押し相撲の力士。その押し相撲も、当時は「ねちねちタイプ」と言われたが、立ち合いから力ずくでドカンと当たって砕けるタイプではなくて、相手に押されても引かれてもイナされても、何だかしぶとく頑張ってネチネチ、気がつくと勝っていた。

 

 この辺はよく分からないかもしれないが、今で言えば「志摩の海が、ちょっと太ったかな?」な感じ。志摩の海という力士、うーん、あんまりピンと来ないだろうが、彼も「なかなか負けないタイプ」。ねちねち&ネチネチ、何だか粘っているうちに、気がつくと何とか帳尻を合わせてくる。

      (国定公園切手 ニセコ 積丹 小樽海岸)

 

 昭和の名大関に、「清国」という力士がいた。優勝は1回だけだが、その安定感は抜群。とにかく「下の力士に取りこぼさない」という安定感は凄かった。

 

 つまり諸君、お相撲が始まって、8日目か9日目まではずっと連勝するのである。初日から8連勝、9連勝、そういうのは当たり前。ところがそこから上位陣との取組が始まると、大関戦や横綱戦では全く勝てない。「7連勝した後、7連敗、気がつくと負け越し」なんてのもあった。

 

 それがどうして名大関かというと、「仕切りが美しい」「大関としての所作が模範的」というのが理由だった。あの相撲中継の長い長い退屈な仕切りの間、昭和の厳しい解説者は延々と「清国の仕切りはホントに美しいですなあ」と慨嘆し続けた。そういう大関が1人ぐらいいてもいいのである。

 

 あえて「あいつ、横綱に昇進できなかったけど、すげー強かったな」という大関がいたとすれば、ワタクシの記憶が確かならば「旭国」1人を思い出せるだけである。

 

 現在大流行中の「小兵力士」を絵に描いたようなホントの小兵。小兵なんだけれども、相撲の取り口には「はたき」とか「変化」とか、その種のケレン味はない。低く当たって、下から粘り強く手をあてがって、どんな強力な押し相撲の力士ても、逆に押し出しで勝利してしまう。どんな男だったか、諸君もぜひググってその相撲を眺めてほしい。

        (函館本線、ニセコ駅)

 

 まあそういうふうで、大関どまりだった力士たちに絶対的な強さはなかった。だからワタクシの知る限り「大関が弱すぎる」という批判や非難は延々と続いていて、さすがに2022年5月場所はひどすぎたにしても、これはこれで致し方ないんじゃないか。

 

 確か1度、相撲協会がグイッと乗り出して、弱い大関たちにカツを入れようとしたことがあった。初日から「大関どうしの対戦」を組んだのである。

 

 本来ならクライマックスに組まれるべき大関どうしの対戦なのに、初日・2日目・3日目、まだ盛り上がらない序盤に組んじゃう。もちろん、それは屈辱だ。屈辱をショック療法のようにして、弱い大関たちの奮起を促した。

  (函館本線の車窓に、ついに羊蹄山の勇姿が現れた 4)

 

 どうだろう、次の場所あたり、同じことをやってみては。特に北の富士サンが「史上最弱」と嘆いている某大関は、あんまり弱すぎて横綱照ノ富士との対戦がずっと省略されてきた。

 

 どうだろう、来場所の初日、いきなり照ノ富士との対戦を組んでみたら。こう毎場所&毎場所、終盤になってからドラマティックな取り組みにするために横綱 vs 大関の対戦が省略されるんじゃ、ファンだって興ざめだ。横綱 vs 大関の対戦が、初日から序盤の数日でもうオシマイというのも、決して刺激剤として悪くないじゃないか。

 

 ま、考えてみれば、大関というのは損な役回りだ。最強じゃないのに、いろんな弱みを抱えているのに、番付だけは目立って目立ってたいへんな位置。われわれ予備校講師だって、「四天王」みたいな横綱なら楽しいけれど、もし大関の位置に置かれたら、そりゃ諸君、きっとたいへんでござるよ。

 

 アイドルの世界だってそうだ。はるかな大昔、郷ひろみ・西城秀樹・野口五郎の3人が横綱だったのは間違いないが、若い諸君の知らない大関クラスがナンボでもいた。女子アイドルも同じこと。賞味期限の極端に短い業界で、どれほどツラい思いをなさったことだろう。

        (函館本線、ひらふ駅)

 

 ロシアの作家の横綱は、ドストエフスキーとトルストイ。大関は? ゴーゴリ・ゴーリキー・ツルゲーネフ・プーシキン。異論はあるだろうが、昭和の「世界文学全集」なら、だいたいそんな扱いだ。チェーホフは? そこが諸君、さっきの話の「旭国」なのであるよ。

 

 近代日本の作家なら? 横綱は、森鴎外と夏目漱石に決まっている。そこに異論をさしはさむ人はいないはず。すると大関は? 島崎藤村・川端康成・芥川龍之介。旭国の立ち位置に、谷崎潤一郎と太宰治と三島由紀夫か。こっちはたっぷり異論があるだろうが、まあこれはあくまで「ブログの世界」。許してくれたまえ、許してくれたまえ。

 

 では、今日の記事と写真との関係は何? もちろん、何の関係もない。許してくれたまえ、許してくれたまえ。しかし北海道、数多くの名力士の出身地だ。大鵬・北の富士・北の湖・千代の富士。そこんところに免じて、北海道の山の勇姿とお相撲の話、何とか諸君のほうで整合性をつけてくれたまえ。

 

1E(Cd) Solti & ChicagoBEETHOVENSYMPHONIES 5/6

2E(Cd) Solti & ChicagoBEETHOVENSYMPHONIES 6/6

3E(Cd) Kempe & MünchenerBEETHOVENSYNPHONIE Nr.6

4E(Cd) Karajan & WienerBEETHOVENMISSA SOLEMNIS 1/2

5E(Cd) Karajan & WienerBEETHOVENMISSA SOLEMNIS 2/2

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