Fri 220506 暴飲暴食のクライマックス/クマ鍋/文楽/ビーフワン/明治屋 4207回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 220506 暴飲暴食のクライマックス/クマ鍋/文楽/ビーフワン/明治屋 4207回

 こうして諸君、4月14日から16日にかけて、今回の10日にわたる「4月大旅行」前半のクライマックスがやってきた。どうクライマックスかといえば、言わずと知れた関西うまいもん食べ歩きのクライマックスである。

 

 13日の京都祇園ランチの唐揚げカレーうどんから、同13日ディナーの「きんなべ」のスキヤキ、14日ランチの京都府立植物園お隣り「In the Garden」のマルゲリータ、そのあたりが助走というか前哨戦というか、本番に向けて一気に駆け上がる、しなやかなハバタキの飛翔感覚に、すでにワタクシの欲望は破裂しそうになっていた。

(4月14日夕刻、翌日の文楽の前夜祭として、大阪・玉造「小原庄助」でクマ鍋を貪る)

 

 とりあえず目次みたいに一覧表にすれば、

14日ディナー:大阪玉造「小原庄助」のクマ鍋

15日ランチ:大阪道頓堀「はり重」のビーフワン

15日ディナー:大阪天王寺「明治屋」

15日追加ディナー:京都駅「味味香」のカレーうどん

16日ランチ:京都大原「野むら山荘」のシャモ鍋

16日ディナー:秋田「とっぴんぱらりのぷ」

17日ランチ:山形県酒田の酒田ラーメン

17日ディナー:再び秋田「とっぴんぱらりのぷ」

18日ランチ:秋田大館「ダリーズ」のランチB

18日追加ランチ:秋田大館「花善」の鶏めし

18日ディナー:函館「赤レンガ倉庫」のいろいろ

19日ランチ:函館「本家 小ざわ」のハンバーグカレー

19日ディナー:函館「赤レンガ倉庫」の「波止場焼」

20日ランチ:長万部「グラス」の名物・無水カレー

(4月14日夕刻、翌日の文楽の前夜祭として、大阪・玉造「小原庄助」でクマ鍋を貪る。野菜もたっぷりだ)

 

 いやはや、食いも食ったり、これでますます我が肉体はパンパン、4ヶ月伸ばし続けているボーボーのヒゲも加わって、「こりゃどう見ても山賊でござる」「木曾義仲って、こんな感じ?」「今井四郎兼平って、まさしくこんなオジサマ?」という恐るべき相貌になってきた。

 

 まず14日のディナーであるが、JR大阪環状線の玉造と鶴橋の中間あたり、しかもその大阪環状線ガード下に店を構える「小原庄助」にて。たんまり日本酒をいただきながら、ちょっと季節外れのクマ鍋を満喫した。

 

「小原庄助」は、この10年で6回目か7回目の訪問。もうすっかりお馴染みさんであって、ワタクシが顔を出すと店の人たちがみんな、人なつっこく挨拶に現れる。

Tue 130319 午後4時の大阪・鶴橋で熊肉を食らう 声をかけてくれたまえ お染&久松

 

Wed 161026 広島 ☞ 大阪、列車の旅/文楽を思う/今ごろは半七さん/クマ鍋を貪る

 

Wed 180321  ワタクシも日本も10年で様変わり/大阪・南船場で日本酒/玉造でクマ鍋

 

 こんなふうに毎年毎年ワタクシは「クマも赤身のほうが好き」と店の人に無理を言い、「本来クマは真っ白な脂身を賞味するものですよ」という忠告も無視して、クマの硬い赤身をワシワシ、木曽義仲も今井兼平もビックリ仰天の野蛮な食欲を、大阪の人々に見せつけてきた。

 

 しかしさすがに今回のクマ鍋は、ちょっと季節を外しすぎた。1枚目の写真を見ても分かる通り、いつもの年に比較して赤身のゴツさが段違い。まあ諸君、1枚目が今回のクマ、下の写真は今年2月中旬に別の店でいただいた模範的クマ。その違いは一目瞭然じゃないか。

 

 やっぱりワタクシもそろそろ常識的に生きて、店の人の忠告なりアドバイスなりに素直に従ったほうがいいのかもしれない。「クマは脂身を」「イノシシも脂身を」という忠告を無視して、乱暴に「肉肉しいのがいい」と絶叫して突き進むと、店の人に迷惑をかけるだけで終わってしまう。

(脂身中心、模範的な人たちのための白く美しいクマ鍋 @ 2月の京都)

 

 こうして14日のディナーは、古い古い恐竜時代からの友人と、目いっぱいゴツゴツ硬いクマ肉に四苦八苦し、折から降り出した雨の中を、寂しく京都まで帰ってきた。

 

 何しろ翌日は午前11時から、大阪で人形浄瑠璃を見ることになっていた。だから

「ハシゴはやめような」

「必ず1次会だけで帰ろうな」

「どんなことがあっても『もう一軒』とか『立ち飲み屋ぐらいいいじゃないか』とか言い出さないように気をつけような」

と、前々日ぐらいから固く誓いあっていた。

 

 その甲斐あって、マコトに品行方正に1次会で終了。京都のホテルの部屋で午前2時ぐらいまで単独の酒盛りはしたけれども、やっぱり単独なら、さすがの今井君だってお酒を過ごすことはない。クマ鍋屋で日本酒6合、ホテルの単独酒盛で3合、まあ何とかその程度にとどめた。

   (クマ鍋の〆は、中華麺。おいしゅーございました)


 だから翌日も、ちゃんと午前9時にはお部屋を出たのである。考えてみれば前日は植物園「In the Garden」でもワイン3杯を飲んだのだから、まあ合計すれば酒量はそれなりだったが、その程度で人形浄瑠璃が見られなくなるような情けない今井ではない。

 

 30年もひたすら眺め続けた人形浄瑠璃だが、いやはや舞台に立つ人たちが、みんなすっかりオジーチャンになっちゃった。というか、30年前に大スターだった人間国宝級の人々が、気がつけば多く天国に旅立ってしまった。

 

 今回、浄瑠璃を語る太夫が一気に3人、最高位「切語り」「切場語り」に出世なさった。お相撲で言えば横綱&大関、野球なら○本柱の一角となるエース級のピッチャー、まあ予備校の「4天王」みたいな存在だと思えば、諸君にも分かりやすいだろう。

 

 30年前には、竹本越路太夫と竹本津太夫 → タイプの違う絶対の横綱格が2人、厳しく周囲を睥睨していて、滅多なことでは追随を許さない威厳があった。その後にも竹本住太夫・豊竹嶋太夫・竹本源太夫などの名人が頑張って、何とか文楽の屋台骨を支えてきた。

 

 しかしこの5〜6年は、とうとう「切語り」が豊竹咲太夫お一人だけとなり、ふと客席を見渡しても、前方はともかく後方の半分はほぼガーラガラ、この世界の先行きが心配で心配でならなかった。

 (大阪・国立文楽劇場。桐竹勘十郎の狐忠信が大活躍だった)

 

 今回いきなり大関クラスに出世を果たしたのは、竹本千歳太夫・豊竹呂太夫・竹本錣(しころ)太夫のオ3カタ。いやはや30年も文楽に通って、このオ3カタの若い頃というか修業時代を間近に眺めてきた者としては、やっぱり感慨が深いのである。

 

 我が予備校の世界では、むかしむかしまだ業界に勢いがあった頃、「人気講師の奪いあい」なんてのが横行した。ま、要するにスカウト合戦。あんまり売れていなかったセンセが、スカウトされて移籍した予備校で「スター」「エース」「カリスマ」の肩書きをもらい、いきなり大売り出しになったりするのは珍しくなかった。

 

 ポスターや新聞広告なんかで、そういう彼に突然「カリスマ」「伝説」の肩書きがついたりすると、「これって、誰?」「誰も知らねーよな、この男。がはははは」と、講師仲間の飲み会の絶好のサカナになったりもした。つい10年前ぐらいまでは、我々の世界もマコトに景気がよかった。

(珍しく、公演チケットをシワクチャにしてしまった。やっぱり暴飲暴食のせいか)

 

 そういうことを思いながら、居眠りすることもなく、睡魔に襲われることもなく、11時から14時までビシッと文楽を満喫した。次に最高位「切語り」に出世するのは誰だろう。若手の中では、この4〜5年絶好調の竹本織太夫が有力だろうけれども、ワタクシなんかは、むしろ落ち着いた語りの豊竹呂勢太夫を推したいのである。

 

 まあいいか。そんな話をここに書いたって、そんなに興味を示してくれる読者は多くないだろう。そんなことより、腹が減った。文楽劇場から大急ぎで目指したのは、道頓堀「はり重」。「はり重 本店」の方は、スキヤキ&しゃぶしゃぶの名店として大正10年からすでに100年、道頓堀で押しも押されぬ存在だ。

(道頓堀「はり重カレーショップ」のビーフワン。おいしゅーございました)

 

 しかしワタクシが闖入したのは、その「はり重」のカレーショップ。カレーショップという名がついているが、トンカツもあれば親子丼もあって、決してカレーの専門店ではない。昭和レトロな雰囲気が今井君にピッタリ。こりゃこれからも、何度も通わなきゃいかん。

 

 注文したのは、この店の名物「ビーフワン」。「他人丼」というか「牛丼の玉子とじ」というか、ビーフがお椀に入っているから「ビーフ椀」で「ビーフワン」と言ふことになったらしい。

 

 親子丼はニワトリとタマゴだから親子、他人丼は牛肉とタマゴだから他人。

「関西は、関東と違って牛肉文化や。関東みたいに他人丼にブタは邪道や」

「関西で『肉』言うたらギューやけど、関東で『肉』言うたらブタやで」

と、愛すべき大阪のオジサマたちが大いに盛り上がる所だが、ホントにスミマセン、東京も関東も、『肉』と言ったら普通は牛肉なんじゃございませんか?

 

 まあいいか。とりあえずビーフワン、マコトにおいしゅーございました。こりゃ近いうち、ここにカレーも食べに来なきゃいけないし、どうしてもトンカツ定食、貪りに来なきゃいかん。お酒を飲む前に、まずは胃袋を少し膨らませるのに最適だ。

 (大阪・天王寺の名店「明治屋」。久しぶりの訪問だった)

 

 ここからワタクシは、地下鉄で天王寺に向かった。ホントは難波の地下街で飲んでいたかったのだが、残念ながらまずちょっと入ってみた難波の飲み屋の雰囲気がイマイチ。しかも「喫煙OK」のお店だった。

 

 天王寺の名店「明治屋」にカシをかえてみると、おお、これはグイッと客層がいいのである。店を切り盛りしているのは、50歳代後半から70歳代と思われる落ち着いたオバサマたち。「落ち着いたオバサマ」と言っても、何しろ大阪のオバサマたちだから、客あしらいも積極的で、軽い会話も楽しいことこの上ない。

 (大阪から京都に戻り、「味味香」のカレーうどんで〆とする)

 

 明治屋でワタクシが選んだのは、「山形正宗」という名前の濁り酒。グラス1ショットで100mlぐらいの白い濁り酒を、「カルピスみたいだ」「ジョアみたいだ」「ヨーグルトみたいだ」「むかし冬の秋田でヤクルトを凍らせて飲んだもんだ」と、マコトにくだらんことを言いながら2時間、山形正宗の一升瓶がカラッポになったところで店を出た。

 

 しかし諸君、最近の今井はますます絶好調、これでもまだ終わらない。何しろ昨夜の「1次会だけでガマン」という悔しさが残っている。新大阪まで地下鉄、新大阪から京都まで新幹線自由席、そうやって品行方正に京都に帰ってきても、何かまだもう1軒立ち寄っていきたい。

(まだ足りない。鶏のチューリップ揚げと竹輪揚げをテイクアウト。ホテルのお部屋で酒盛を続ける)

 

 そこで闖入したのが、またまた京都駅地下街の「味味香」。まずは油揚げのたっぷり入ったカレーうどん。昨日の植物園を思い出しながら、「チューリップ」という名の鶏の唐揚げも追加。うどんを高速ですすり終えた後は、テイクアウトで唐揚げチューリップと竹輪揚げ。いやはや余りに楽しい日々は、延々とどこまでも続くのだった。

 

1E(Cd) Lucy van DaelBACHSONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 1/2

2E(Cd) Lucy van DaelBACHSONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 2/2

3E(Cd) HolligerBACH/3 OBOENKONZERTE

4E(Cd) RichterBACHWELL-TEMPERED CLAVIER 1/4

7D(DMv) INFERNO

total m33 y388  dd27416