Sat 090131鹿児島講演会 天文館の夜 鹿児島から佐賀への移動 九州新幹線の車内アナウンス | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 090131鹿児島講演会 天文館の夜 鹿児島から佐賀への移動 九州新幹線の車内アナウンス

 早いもので1月はこれで終わり、明日は中学受験が始まり、大学受験も本番になる。鹿児島は非常によく晴れていたが強風が吹き荒れ、空港到着前の飛行機はかなり強く揺れた。宿泊先は「城山観光ホテル」、館内に温泉までついている豪華なホテルで、結婚式の団体がそこいら中で輪を作って談笑している。「鹿児島大学医学部教授就任祝賀会」などというパーティーもあって、夕方には地元医学会のお偉方と思われる人たちが続々と詰めかけ、「白い巨塔」鹿児島版みたいな世界になっていた。「教授就任祝賀会」ということは、パーティーの主人公になる方は今まで准教授でいらっしゃったのだろうから、さぞかし今夜はおエラがたの皆さんに冷やかされ、大いにいじめられるだろう。可哀想だが、今夜を乗り切れば、いよいよ教授なのである。これからは逆に、冷やかしたりいじめたりする立場に回れるのだ、是非今晩だけ見事に耐え抜いて、明日からはそういうことばかりでなくて、九州の医療充実に尽くしていただきたい。


 19時半から鹿児島「宝山会館」で講演会。宝山、というのは焼酎の「富の宝山」と何か関係でもあるのかとも思ったが、高校生対象の講演なのだから、焼酎とは無関係だろう。出席者100名弱、高校の先生方も3名ほど出席されたので、バカ話は出来るだけ控えめにして「授業タイプ」の講演にした。もともと「特別公開授業」というタイトルになっているのだから、「授業タイプ」になるのは当たり前なのだが、今回のバージョンは特に授業の割合の高いバージョンなのである。生徒諸君の反応も盛り上がりもいつも通り。あれ以上盛り上がっては困ると言うか、あれ以上盛り上がると「授業というイメージではなくなってしまう」というギリギリのところでうまく収まったと思う。校舎スタッフの皆さんも、人が少ない中でよく準備をしてくださった。大いに感謝する。

 

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(鹿児島での講演会。50分経過して、さすがにそろそろみんな飽きてきた頃)

 終了後、天文館近くの店で焼酎を大いに楽しむ。黒豚しゃぶしゃぶと薩摩地鶏の刺身をつまみながら、鹿児島の代表的な焼酎を5種類、ロックで10杯ほど。主催してくださった学校のスタッフ3名も同席。アメリカ留学経験者、メキシコ留学経験者、中国留学経験者など多彩かつ多才なスタッフで、これだけ楽しい若いスタッフがこれから全力を発揮して仕事を進めれば、この校舎はこれからどんどん成長できそうだと確信した。余りに楽しかったので「シメは、吉野家で牛丼」と提案したところ、ノリのいい若者たちで、すぐに賛成してもらえたし、これだけ飲んで食べた後で「特盛とタマゴ」を注文した猛者がいたのには感動。「絶対この校舎は伸びる」と感動を深めた。

 

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(鹿児島・天文館、午後11時)


 目が覚めると、朝7時。酔いも醒め、部屋の窓から正面に大きな桜島を眺めて、大いにいい気分である。ただし、さすがに「焼酎をロックで10杯」の後遺症それほど甘くはない。身体のどこか奥深く、どこだかわからないがずっと奥の方に昨夜の余韻が少しだけ残っていて、「ホテルの中に温泉がついているよん」という甘い囁きをあえて拒絶する。風呂より、もう1時間の睡眠を求める気分の方がはるかに強くて、結局2度目に目が覚めてみると、もう10時を過ぎていた。


 2月1日は同じ九州の佐賀で講演会だから、11時の九州新幹線で移動しなければならない。九州新幹線は開業してからもうだいぶ経過するが、駅はまだピカピカ、電車を待っている客も少ないし、駅の中も閑散としている。新八代と鹿児島中央の間のたった40分間の開業で、新八代から博多まで「リレーつばめ」にいちいち乗り換えなければならないようでは、この閑散ぶりもさすがに仕方がないかもしれない。


 開業当時にはマスコミがこぞって「九州新幹線批判」のキャンペーンをしたことを記憶している人は、多くはないだろう。新幹線の高架下に住む住民が、新幹線通過時の激しい騒音についてメディアに訴え(というかむしろメディア側からそういうネタを探しに出かけたのだろうが)、「こんな中途半端な新幹線を作るために、住民が犠牲になっていいものでしょうか?」とか、リポーターが真剣そうにカメラに向かって問いかけていたものだ。それが今ではウソのようで、今さら九州新幹線の騒音問題をとりあげるマスコミは皆無だし、あの時のリポーターでマスコミの世界に生き残っている人さえ少ないのかもしれない。どれほどメディアが冷酷で冷淡なものか、その具体例にしかならないエピソードである。

 

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(鹿児島中央駅に停車中の九州新幹線「つばめ」)


 気がつけば、今日は日曜日。鹿児島は快晴で暖かく、この暢気な駅の雰囲気も悪くはない。新幹線は1時間に2本ずつの運行。まさにローカル線の趣きのあるのどかさである。線路の先、鹿児島着の新幹線が走ってくる方向を見渡すと、もう陽炎が立っている。こんなにのんびりしたのどかな日に、首都圏では中学受験の開始である。何だか可哀想でならないが、幼い諸君にも、とにかく全力を出し切ってもらいたい。


 「乗り鉄」とまで呼ばれたわけだから、おお、もう面倒だ、「どうせ乗り鉄ですよ」と開き直って、「乗り鉄」ぶりを発揮して電車の写真を撮りまくることにする。撮りまくるとは言っても、2~3枚だけだが、実際に写真を撮ってみると「乗り鉄仲間」も少なくない。隣の席に座ったどう見ても50代半ばのオジサンも、嬉しそうに九州新幹線の写真を撮っている。しかも、彼の乗り鉄ぶりには私のようなニワカ乗り鉄とは別格の年期が入っていて、撮っている写真の数も半端ではない。素人の私には全然わからないが、カメラも携帯電話にくっついたカメラなんかではなくて、デカい一眼レフか何か。おお、やっぱり私は乗り鉄なんかではない、助かった、ホンモノの乗り鉄というのはこういう人を言うのだ。そう思うと何だかすごくホッとして、胸を撫で下ろすような気持ちで読書に励むのだった。

 

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(九州新幹線の豪華な車内。グリーン車はないが、これでも「普通車」である)

 ただし、「読書に励む」と言えば聞こえはいいが、実際にはイライラしてムカついていた時間がほとんどである。以前何度も書いたが(Thu080626Sun080706参照)、電車というものは、日本中どこへ行っても車内アナウンスがうるさ過ぎて、なかなか電車の車内で読書に没頭することなんかできない。飛行機もひどいと思う(Thu080710参照)が、九州の電車は特にひどい。まず「定型」の収録放送が延々と続く。日本語での放送が5分ぐらい続いて、おお終わった終わったと思ってホッとしていると、次に英語放送。これが1分。おお、終わった終わった、でまたホッとしていると韓国語放送1分。続いて中国語放送1分。世界中の言語で全部やるつもりか、と思わず空に吠えたくなるほどである。


 この中国語放送が「謝謝」で終わって、「おお、こちらこそ謝謝です」と胸を撫で下ろしていると、今度は収録されたものではなくて、マイクを握った車掌さんのナマ放送が始まる。「ええー、みなさんー、今日もおー、九州新幹線をご利用いただきましてえー、ありがとうございますうー」から、実にノンベンダラリと始まって、最後に運転士と車掌の名前の紹介があり、「終点までお供いたします、何かありましたら遠慮なくお声をおかけください」で締めくくられるまでに、各駅の到着時間(たった40分なんだからそんなことをいちいち言わなくていいのだ)だの「この新幹線には車内販売はございません、自動販売機のご利用を」だの(たった40分なんだからそんなことをいちいち言わなくていいのだ、というか、そんなことをいちいち放送しているなら、いっそのこと車内販売を導入した方がいい)、駅のホームと電車の間にスキマがございますだの(スキマがなかったら、摩擦熱でたいへんだろう)「お降りの際はお子様と手をおつなぎください」だの(子育てのスタイルまで車掌に言われなくてもいいだろう)、それがわずか40分の旅の間、停車駅ごとに合計4回、全部が繰り返されるのだ。私は記憶力のオニだから、もうすっかり暗記してしまった。全40分の行程中、放送が入っていた時間と静寂を与えてもらった時間のどちらが多いか、今度すべて録音して分析してみたいぐらいだが、調べるまでもない、明らかに車掌はカラオケ気分なのである。今回の九州旅行は、ここまで非常に気分が良かったのだが、この40分ですっかりうんざりさせられてしまった。