現在、うちの出窓には虫用ネットを置いていて

その中には

・ナミアゲハのサナギ✕1

・アオスジアゲハのサナギ✕2

・アオスジアゲハの幼虫✕13

がいる



今朝もアオスジアゲハが1頭羽化して、先ほど青空へと飛び立ったところ


今朝羽化したサナギの抜け殻(笑)

3年前、アゲハチョウを卵や幼虫から育てることを始め
今年は4期目
ナミアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ
トータルで100頭を超える蝶が、うちの出窓から飛び立っている


 アゲハとの出会い


元々、虫は好きで
高校の頃は、部活動で外プールでの練習中にはプールに飛び込んだ小さな虫も、すくい上げて 外へ返すということをやっていた
(当時の公立高校の水泳部なんて、スイミングクラブとは違い そういうユルさだった)

でも、なぜだかアゲハチョウの幼虫に関しては
「その姿を見るのもイヤ!」
なくらい苦手だった

おそらくこれは子供の頃からのトラウマが起因している
当時、母が庭に植えていたパセリに、ごっそりとついたキアゲハの幼虫の群れが
それはそれはカオスだったのだ

母の
「殺生しちゃダメ」
「虫は虫で、自然を生きているんだから」
の言葉により、そのカオスな風景は日常的にそこにあって
緑と黒のシマシマにオレンジの点々…
という、ある意味サイコパスな風貌のヤツらの群れは、私の中にトラウマとして残ったのである🐛

それに並行して、ヘビに擬態している(つもり)という 大きな目玉模様を身に付けた他のアゲハの幼虫も大嫌いになり

彼らの食草となる、柑橘の木や葉をも 避けて歩きたくなるほどの人生を続けてきたのだ


が、しかし

3年前の梅雨入り前の日
ベランダに置いたレモンの鉢に、ナミアゲハが卵を産み付けたのだ

私の知らない間に😭 

気付いた時には既に成長していて、あの禍々しい目玉模様をつけた ぷりっぷりなアオムシがそこに鎮座していたのである

一瞬、脳ミソが真っ白になる… 
身体も凍りつく…
さて、こいつをどうすべきか…

鉢に近づくこともできない
かと言って、殺生なんてとんでもない

とりあえず、鉢をやっとの思いで部屋に入れ(鳥に食べられないように)
極力目に見えないように放置…ということにしているうちに
健気に生きて、バリバリと葉を喰むその姿が、不思議と可愛く思えるようになってしまったのである


 小さな命がくれる感動

その目玉野郎の姿を見ることには慣れた

でも、触ることなんてとんでもない!


そんなスタンスで育てていったが

習性とか生態とか その育て方なんて知るはずもないので、色々とググって調べては悪戦苦闘する中でサナギになり

ある日、仕事から帰ると 部屋の中で羽化したナミアゲハがパタパタと飛ぶ姿に遭遇する


これがその、記念すべき1号機🦋

もう、この時の感動ったら!!
ちょっと言葉では言い表すことができなかった

そこから、アゲハ育成にハマったのは言うまでもない

ベランダのレモンの鉢を増やし
外を歩きながらも、卵や幼虫の姿を探す

営業の担当先のお客様の庭でその姿を見つけた時には
「この子を私にください!」
と談判し、変わり者と思われたり笑われたりしながら連れ帰る(笑) 

※今ではお客様から
「今、アオムシを◯匹見つけたわよ」
と、直接連絡が入る爆笑
もちろん、引き取りに伺う爆笑

そんなこんなの、今期4期目
オンライン仲間からは
「アゲハさん」
「アゲハエステート管理人」
と、呼ばれるまでになった私である


 苦労もあるからこそ

育てる中で、苦労もたくさんある


朝起きて、そして外出する前

帰宅して、寝る前

1日4回の『点呼』は、欠かせない


皆揃って、無事に育っているか?

状況により、隔離する子を見極めたり

食草がなくならないように、常に気遣う


秋以降に育つ幼虫は サナギになったあとで越冬するので、冬の間の環境も考えねばならない


羽化しても天気によって飛ばせることができない時は、ハチミツ水を作って与えねば…とか

それも、最初はかなり苦労した



中には育たず、成長不全や寄生など 途中で命を落とす子も少ないながらもいる

(切なくて、申し訳なくて泣けてくる)


でも、そういう過程を経て

彼らは力強く生きて成長して、蝶になって羽ばたいていく


窓から飛んでいく時は、こちらを振り返るわけでもなく

嬉々として飛んでいってしまうので、嬉しいながらも 寂しくもなるのだけど

「しっかりと命を繋ぐんだよ!」

「元気でね!」

いつも、そんな気持ちで飛び立たせるのである




 既に、親の気分

ここまで来ると、もうアゲハらの親になったような気分にもなる

 

虫のくせに、それぞれの性格を垣間見せてくることもある


餌になる食草も、青々とした柔らかそうな葉を見つけると 

「きっと、ヤツらは喜ぶだろうな」

「美味しい葉っぱ、あげるからね!」 

とか思うし


サナギの抜け殻や脱皮殻も、捨てられない

小さな箱に、カサカサになった殻が溜まっているが、捨てられない


彼らが一生懸命生きて育った証と思うから尚更


いつか、まとめて庭ののレモンの木の下に撒こうかな?

とも思うけれど、他の人から見ればこの殻は不気味だろうな


そう思い、友人に

「アゲハの抜け殻、捨てられないんだよね」

と話したのであるが、その時の友人の返答がまさに目からウロコだったのである


「人間だってさ、親がへその緒を大事に保管するじゃん」

「アゲハからすれば、へその緒みたいなものじゃん」


おおぉぉぉ〜!

そうだよ、そうだよ!

まさにそうだよね!!


そんな救いの言葉から、飛び立つ蝶の数だけ、今後も抜け殻を大切に保存していこうと決意する私がいるのである(笑)


アゲハがいる部屋は、蚊取り用のあれこれの薬剤は使えないし

アロマオイルを焚くこともしない


でも、彼らの命には代えられない


本当に、親の気分爆笑



 アゲハが教えてくれたこと

育てながら、毎日命の不思議さや感動をもらっている


彼らにあるのは『本能』なのだろうけれど

その小さな命を懸命に生きている


幼虫が葉を喰む、プチプチパチパチというかすかな音に癒され

儚げな羽のようで、それを震わす力の強さも感じる


卵から生まれて、羽化するまで 脱皮を含めて通常5回殻を脱ぐ

小さなその体で『変体』していくことは、相当なエネルギーを使うはずである


うちの出窓で育つ子たちは外敵がいないので、9割以上が羽化するが

自然界では、卵から羽化できるのは0.1%にも満たないという 



自然界には外敵や困難も多く、うちでハチミツ水を吸いながら生きるのも楽なはずなのに

彼らは自然の中に、迷うことなく羽ばたいていく


本当に強い、奇跡の子ばかり🦋




アゲハを育てて3年

この時期は公私ともに、色々と苦しい時間であった


全てを投げ出したくなる時、何がしたいのかわからない時、思い通りにいかずイラつく時

全てに疑心暗鬼になり、自分を含めて全てが信頼できなくなったりと

正直 自分を消したい時もあった


そんな時、ふと目に止まったのが彼らの姿


力をもらった

癒やされた

慰められた

穏やかになれた


アオムシのくせに、サナギのくせに、蝶のくせに

オマエら、すげーよ!!



この時期、外で蝶を見かけ他時には 

「あぁ、奇跡の子が飛んでいるんだな」  と、思ってほしい


今日も、出窓の『アゲハ部屋』から聞こえてくる 葉を喰むかすかな音を聞き
「しっかり、生きてるんだな」
と感じ

あれほど嫌いだったアオムシを手に乗せて這わせては愛でる(笑)

うん、今日も 明日も
がんばろう!!