ボーリング・フォー・コロンバイン


2002年 アメリカ映画

監督 マイケル・ムーア

脚本 マイケル・ムーア

出演 マイケル・ムーア



1999年にアメリカ・コロラド州のコロンバイン高校で起きた銃乱射事件をきっかけに、アメリカ社会に根深く残る「銃と暴力の文化」を鋭く問いかけた作品



⚫︎あらすじ


マイケル・ムーア自身が銀行で口座を開くと銃がもらえるという異様なシーンから始まり、アメリカの日常生活に銃がどれほど浸透しているか皮肉を交えて描く


コロンバイン高校の事件では、生徒2人が銃を乱射し、12人の生徒と1人の教師が死亡した


ムーアは事件の原因を単に「銃規制の甘さ」や「暴力的な映画・ゲーム」に求めず、恐怖をあおるメディア報道、貧困や格差、そして国家としての暴力性(戦争や死刑制度)にまで踏み込む


隣国カナダを訪れ、同じ銃を持つ文化があるにもかかわらず、なぜ銃犯罪が極めて少ないのかを比較し、アメリカ社会の「恐怖に支配された精神構造」を浮き彫りにする


また、銃乱射で重傷を負った高校生を連れて、銃販売店のスポンサー企業Kマートに抗議する場面では、最終的に企業側が弾薬販売の中止を約束する


マイケル・ムーアはユーモアと風刺を交えながら、「なぜアメリカ人はこんなにも銃を持ち、撃つのか」という問いを投げかける


銃社会アメリカの矛盾と恐怖の構造を浮き彫りにした問題提起のドキュメンタリーであり、観る者に「暴力の根源はどこにあるのか」を考えさせる





⚫︎感想


銀行で口座を開設するだけで銃がもらえるアメリカ。そして床屋で髪を切りながら銃弾が買えるアメリカ。人々は「自分の身は自分で守る」と言う。


コロンバインで容疑者になった男に、なぜ容疑者に?と聞くと「アナーキスト・クックブックを持っていた」と答えた。その本には、あらゆる犯罪のやり方が書いてあり、通貨偽造、爆弾製造、マリファナ栽培法などが書いてある本だった。彼はそれでナパーム弾を製造したという。


コロラド州リトルトンには世界最大の武器メーカーロッキード社がある。ロッキードの社員はコロンバインで起きた事件は、世界中で起きていることの縮図だと発言している。(あなた方の製造した武器でね…)そしてロッキード社は、人々の怒りを抑えるための講座に寄付もしていると説明する。


その後、映画は白黒映像になり、アメリカが世界中にしてきた歴史が流れる…


1953米はイランモザデク政権を転覆

1954米はグアテマラ民主政権を転覆

1963南ベトナムの大統領暗殺を支援

1973チリのクーデターを支援

1977エルサドバドル軍指導者を支援

1980ビンラディンに30億ドル供与

1981ニカラグアのコントラを支援

1982フセインに数10億ドルを供与

1983イランに武器を秘密供与

…    …    

このあとも次々とアメリカが世界にやったことが描かれていく。そして2001年の9.11同時多発テロの映像へと続いている。


このテロにより3000人が亡くなったとあるが、それまでにアメリカが殺戮した人数に比べて少なく感じてしまうという構成になっていた。


1999年、米によるコソボ爆撃が行われた。そこには病院や小学校も入っていた。その報道の1時間後コロンバイン銃撃事件が起きた。犯人の日記には、航空機を乗っ取りNYに突っ込むとも書いてあったそうだ。


アメリカ人たちは、悲惨な事件をロック歌手のマリリン・マンソンのせいにしていた。マンソンは言う「あの事件には副産物が2つある。娯楽における暴力と銃規制の問題だ。これは大統領選挙の争点になるだろう。しかも人々は忘れている、大統領のスキャンダルや他国を爆撃していることを。そしてTVで恐怖と消費のキャンペーンを流すんだ。米国経済の基盤はそれだと思う」と至極真っ当なことを話すマンソン。



アメリカ人がなぜ銃を持つかというアニメが流れる。イギリスから逃げてきた人たちは、大陸に居たアメリカ原住民たちに恐れ、自分たちがアフリカから連れてきた黒人奴隷たちの反撃に恐れ、銃で自らを守る社会になっていったと。そして、すべての罪を黒人にきせる白人たち。



しかし、隣国のカナダでは家に鍵をかけないのだ、なぜ?カナダ人はいう、だってカナダは安全だからさ。


取材を続けたマイケル・ムーアはコロンバイン銃撃事件で生き残った男子生徒とKマートに行き弾丸を売らないように訴えた。最初はよくわかりませんと答えていたKマート側だったが、ムーアたちが報道を連れて再度行くと、弾丸の販売を中止した。


そしてムーアは全米ライフル協会の会長チャールトン・ヘストン宅を訪れる。しかしヘストンは、私は知らないと答えるだけだった。


⚫︎マイケル・ムーア

1954年4月23日〜


アメリカのジャーナリストで、ドキュメンタリー映画の監督です。太った身体でどこまでもアポ無し取材をすることで知られています。

デビュー作はGMの工場閉鎖によるリストラを描いた「ロジャー&ミー」、9.11の同時多発テロの裏側を描いた「華氏911」などがあります。



⚫︎マリリン・マンソン

1969年1月5日〜


アメリカのロックバンド。リードボーカルのマリリン・マンソンはセックスシンボルのマリリン・モンローと、殺人犯でカルト宗教の指導者チャールズ・マンソンを掛け合わせた名前です。彼の周りには常軌を逸した人が多くいたと言います。その人たちから逃れる唯一の方法がロックでした。



⚫︎チャールトン・ヘストン


1923年10月4日〜2008年4月5日


アメリカ生まれの俳優で、「ベンハー」ではアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。

人種差別反対の姿勢を公にしていて、アフリカ系アメリカ人公民権運動の旗振り役の1人として、キング牧師等とともに活動しました。

1998年からは全米ライフル協会の会長に就任していました。2002年にマイケル・ムーアからインタビューを受けた翌年に辞任しています。