乾燥日記 -2ページ目

365日連続花見

毎日花見がしたい。

大富豪が言い出したことに
執事達は奔走した。

北から南に一本の道を通す。
立ち退きのためのお金は惜しまなかった。

そして、一本ずつ、一本ずつ、桜の木を植えていった。


春がまた来る。


桜が南から順に咲いてゆく。


その「桜の道」を追いかけて、大富豪は毎日移動した。


赤道付近から北極に向けて、桃色の一本道が伸びていく。


最後には、樹氷の中でさく桜に、見とれて、大富豪は動かなくなった。

参勤交代

「おおごくろう」
「遠路はるばるやってまいりました」
「自分で言うな」
「しかし殿、100光年かかりましたぞ」
「まあお前寿命長いからいいじゃん」
「次はもっと近い星がいいです」
「まあそういうなよ、ここEDOまで来てくれるのは嬉しいんだよ」
「EDOは遠いでござる。KYOの都がいいでござる」
「馬鹿野郎。あんなのすぐ滅びるよ?」
「でもやっぱり憧れのKYOTOブランドが・・」
「よーじやの油取り紙くらいしか買うものないじゃねーか。」
「TERAとか、TERAとか、あとTERAとかあるし。」
「TERAばっかじゃねーか。」

震えるほどフルマラソン

マラソン中に寒気がしたと思ったら、
地面が割れ始めた。
氷河期が終わろうとしている。

陸地がどんどんなくなって行く。
走りながら、地面の割れ目に吸い込まれないように走る。

でも、結局吸い込まれてしまう。

氷河は縦にも長く、大きく、厚く、
そして、暗かった。

日の光が届かない、
美しさを感じることが出来ない、
無愛想で、無機質な氷の塊。

その中へ中へと落ちていく。

落下速度は、
空気抵抗と釣り合い、
ある一定速度に収束する。

その限界速度の中、
無重力のような浮遊感に包まれて、
今までの人生が走馬灯のように脳裏に浮かんでは消えていく。

身体中に衝撃。
次いで、抵抗や加速度の復活。
呼吸が困難になり、
パニックに陥る。
上下左右の感覚の喪失。

何時の間にか、水面に叩きつけられ、
海水の中にスクリュー状に突入していたことに気がつくまで、
長い時間を要した。

まだ、死んではいない。

必死になって氷河の壁に囲まれた海中を泳ぐ。
時折海面を黒く染める影は、
サメだろうか。
もっと恐ろしいものだろうか。

ふいに氷河の壁が途切れ、
日の光が差し、
岸辺が目に映った。

大地。

今はただ、命が助かったことに安堵しながら、
ゆっくりと、確実に泳ぎ、岸を目指す。
海面の黒い影が、こちらに興味を持たないように、
目立たないように、
ゆっくりと、ゆっくりと。

化け物に自分の下半身が食いちぎられる想像が頭をもたげる。
背筋がぞくっと寒くなる。
思念を振り切るように、ストロークを大きくして、泳ぎ続けた。

びくびくしながらも、
なんとか岸に辿り着くと、
そこにはゼッケンをつけたユニフォームと自転車が待っていた。



ゴールまであと100キロ以上はある。

ひとつ、大きなため息をつき、
腹に力をいれて、サドルにまたがった。





あしたきてくれるかな

それでは、来週のTSゲストの会議です。
はい、意見のある方。
あと裏取り状況の確認もお願いします。

はい、あの小倉優子からテリー伊藤の流れは自然だと思います。

うん、いいんじゃない?
裏取れてるの?

はい月、火または木、金、どちらでもOKです。

なるほど。
どちらかに繋がるゲストが欲しいね。

SDNの芹菜裏取れてます。
テリーさんとも競演してますし。

何曜?

水曜です。

よし、じゃあ月火水は
小倉、テリー、芹菜で行こう。
木金、もう一度洗ってみてくれ!

ういっす!

じゃあまた明日。

芹菜と仲いいっぽいやつって誰だろなー。

あらすじ篇

JRとメトロの運動会というストーリーがあって
おたがいいがみあっていて、
スイカとPASMOの交換とかもうまくいかなくて
ブーイングの嵐っていう
ショートショートを書いたが、
クソアメーバの不具合なのか、本文が消えてしまったので、
上記をもって、あらすじとさせていただく。
ぐふっ。

琵琶湖メガフロート

琵琶湖の所有権について。

実は、琵琶湖は、誰のものでもない。
概念的な話ではなく、法的にそうなのだ。

昔、揉めたことがあった。
琵琶湖岸に位置する自治体が、領有権を主張したら、
水源である山々の管理者もまた、我も我もと琵琶湖の領有権を主張した。

琵琶湖の水は、周囲の山々を流れる小川から集まった後、京都へ続く琵琶湖疎水などの出口を通り、最終的には淀川から大阪湾へ流れ出る。

関係者は多く、状況は混乱を極める。
出た結論は、「誰のものともしない」だった。

誰のものでもないなら
そこに住もうが、仕事をしようが
税を納める相手がいない。

そう考えた投資家が始めた構想が、
琵琶湖メガフロートであった。

湖上の大都市、メガフロートの建設計画による
経済効果は凄まじく、
滋賀県の地価は跳ね上がった。

そして、滋賀県出身の男は
結婚したい出身県ナンバーワンに輝くのであった。




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「…で?」
「だから、俺と付き合うと、後々そういうことになるから!ね?だからいいでしょ!」
「……。」



広告代理店ワークフローチャート

オリエンを受けますか?

受ける ➡ Aへ
受けない➡ Bへ


A スタッフを選んでください

賞が欲しくてたまらないクリエイティブ ➡ Cへ
早く帰りたくてたまらないクリエイティブ ➡ Dへ
忙しすぎてつかまらないクリエイティブ ➡ Eへ


B ゲームオーバー


C 得意先と大揉め。ゲームオーバー。


D 結局自分で全部やってしまい、体を壊す。 ゲームオーバー。


E プレゼンのスタイルはどうしますか?

紙 ➡ Fへ
パワーポイント ➡ Gへ
パネル ➡ Hへ


F 得意先が先へ先へとめくってしまい、ゲームオーバー。


G ピントが合わず、接続が途中で切れ、字が小さくて見えず、ゲームオーバー。


H 見事プレゼンに大勝利!おめでとう!あなたのスキルにマッチングする企業はこちらです。


ネオ東京以外

ネオ東京。

海上都市であり、富裕層の集積経済特区であるネオ東京では
この世の栄華が尽くされていたが、
それ以外では貧しさに明日も見えない状況であった。

そこで、ネオ東京を攻め落とし、
再分配を施すことになった。
一揆である。

一揆である。
一揆である。
一揆である。

む、キーボードの調子がおかしい。
ナゼダ。

アレ?

WARNING

okasiina?


「どうやら、ここまでのようだ。」
「ネオ東京を少しでもおとしめるような文言は
 小説であっても監視されている。」
「この文章はオンライン上ではなく、紙媒体に記している。」
「あ、足音が近づいてくる。公安だ。」
「この文章を見つけたものは、オンライン上に公開してほし
 

仮男(仮)

仮に、なんでも仮の人間がいたと仮定する。

彼は仮の男、仮男だ。

仮男は、仮定する。

今日は雨だ。

だから、傘を持っていこう。

あくまで仮定だが、仮男の仮定はだいたい当たるので、

誰も仮男のことを、仮だとは思っていない。

だから、敬意を混めて、仮男(仮)と読んでいる。

かりおかっこかり

だ。


ところで、

彼は結婚している。

相手の名前は

りかこ かつ かおり 

つまり、りかこであり、かおりでもある。

そして、彼は

かりお かっこ かり

なのである。

賢明な読者は気づいていると思うし、

賢明でない大半の読者は、なんのこっちゃ?

と思っているだろうが

かりおかっこかり

かおりかつりかこ

はアナグラムになっている。

それがなんだと言われたら

なんでもないと言うしかないし

あなたの人生なんて

暇つぶしみたいなものだから

別にいいでしょう?

いや、失礼。

暇つぶし(仮)みたいなものでしょう?

それでは

おやすみなさい(仮)

引継専用機械ヒキツギー

あーだめだ。
全然引き継ぎが終わらないよー。

「そんな時は奥さん、コレ!
引継専用機械ヒキツギー!」

わわ、なんですか、あなた?

「細かいことはいーから!
ヒキツギでお困りでしょ?
だったらこれ!ヒキツギー!」

なんなんですか?これは?

「つまりね、ヒキツギのために書類を整理したり、
やり方をフローチャートにしたりして、全然終わらないんでしょ?」

そ、そうだけど。

「そんな無駄なことする必要ないんです!
 ヒキツギーをONにして、あとは普通に働くだけ。
 そうしたら、あなたの脳から、ヒキツギ相手の脳に直接電波が届いて
 すべて説明しなくても伝わります。ラッキー!」

それ、欲しい!いくらですか?

「なんとモニターキャンペーン中なので無料です!」

いますぐ貸してください!

「はい、どうぞ。」

よし、これで無事ヒキツギができる・・・。






「おい、手に入れたか。」
「ああ、ばっちりだ。あの国の機密情報は全てあいつの頭の中に入っているからな。
この時をずっと待っていた。」
「ヒキツギ専門機械とは考えたな。」
「これで、あの国は俺たちのものだ。」

「そううまくいくかな?」

「はぐれ者のジョニー!なんだ!俺たちのやり方に文句つけようってのか?!」

「まあそうカッカするな。俺は親切心で言ってるんだぜ。」

「どういうことだ。」

「あいつは幾人もの人間を騙して今まで生き残って来たんだ。
 そう簡単にヒキツギマシーンなんかに騙されると思うか?」

「う、そんなことはない!現にこの受信機で、刻一刻とあいつの頭の秘密が・・」

「隊長!お、おかしいです!ウィルスが組織内に入り込んでいる模様です!!」

「なんだって!!!」

「ほらいわんこっちゃない。」

「黙れ!   おのれ!やつを追え!!!」

「ダメです!GPS起動しません!!」

「やつは、最初から、引き継ぐ気などなかったのか・・」

「最も早い引継は、引き継がない事だからな。」

「くそったれ。」