引継専用機械ヒキツギー | 乾燥日記

引継専用機械ヒキツギー

あーだめだ。
全然引き継ぎが終わらないよー。

「そんな時は奥さん、コレ!
引継専用機械ヒキツギー!」

わわ、なんですか、あなた?

「細かいことはいーから!
ヒキツギでお困りでしょ?
だったらこれ!ヒキツギー!」

なんなんですか?これは?

「つまりね、ヒキツギのために書類を整理したり、
やり方をフローチャートにしたりして、全然終わらないんでしょ?」

そ、そうだけど。

「そんな無駄なことする必要ないんです!
 ヒキツギーをONにして、あとは普通に働くだけ。
 そうしたら、あなたの脳から、ヒキツギ相手の脳に直接電波が届いて
 すべて説明しなくても伝わります。ラッキー!」

それ、欲しい!いくらですか?

「なんとモニターキャンペーン中なので無料です!」

いますぐ貸してください!

「はい、どうぞ。」

よし、これで無事ヒキツギができる・・・。






「おい、手に入れたか。」
「ああ、ばっちりだ。あの国の機密情報は全てあいつの頭の中に入っているからな。
この時をずっと待っていた。」
「ヒキツギ専門機械とは考えたな。」
「これで、あの国は俺たちのものだ。」

「そううまくいくかな?」

「はぐれ者のジョニー!なんだ!俺たちのやり方に文句つけようってのか?!」

「まあそうカッカするな。俺は親切心で言ってるんだぜ。」

「どういうことだ。」

「あいつは幾人もの人間を騙して今まで生き残って来たんだ。
 そう簡単にヒキツギマシーンなんかに騙されると思うか?」

「う、そんなことはない!現にこの受信機で、刻一刻とあいつの頭の秘密が・・」

「隊長!お、おかしいです!ウィルスが組織内に入り込んでいる模様です!!」

「なんだって!!!」

「ほらいわんこっちゃない。」

「黙れ!   おのれ!やつを追え!!!」

「ダメです!GPS起動しません!!」

「やつは、最初から、引き継ぐ気などなかったのか・・」

「最も早い引継は、引き継がない事だからな。」

「くそったれ。」