昨日は宝塚大劇場 星組公演を見に行きました。
私は基本的に、宝塚歌劇の公式ファンクラブ(?)である宝塚友の会でチケットを入手しております。
宝塚友の会では、第1次、第2次の抽選、その後残ったチケットを先着順で予約するシステム。
最近私は、宝塚大劇場公演の抽選は外れ、東京宝塚劇場の抽選に当たることが多いです。
星組はどうなるだろうと思いながら抽選に臨みましたが、1次も2次もハズレ。
どうしたものか、また東京まで見に行くのか?
悩みましたが、スタシアポイントのチケット交換になんとか成功。
A席ではありましたが、宝塚大劇場で見られるだけでもありがたいと思うべし。
ということで、行ってまいりました。
『記憶にございません! ートップ・シークレットー』
三谷幸喜監督の映画を宝塚歌劇で?!
最初聞いた時にはびっくりしました。
かなりのコメディ作品だけど宝塚歌劇にマッチするのかしら?
演出が石田昌也先生であることには納得。そりゃぁそうでしょう。
石田先生にはピッタリだと思います。いえ、三谷幸喜さんのおかしみを宝塚歌劇で再現するとしたら石田先生以上に適任はないはず。
以前は、面白いのはいいけれど、ちょっぴりお下品だった石田センセ。
最近は、お下品な部分が薄められ、程よいギャグセンスに落ち着いておられます。
だから今が三谷幸喜作品を宝塚に注入するチャンスだったのかもしれませんね。
私は2019年のちょうど今頃の時期に、映画館で三谷幸喜監督の映画『記憶にございません!』を見ました。
自分の書いたブログを振り返ってみると「最高傑作」だと申しております。
茶々吉24時(2019年9月17日)
あらすじはすでにご存知かもしれませんが…
内閣支持率は驚異の2.6パーセント。史上最低の内閣総理大臣 黒田圭介。
傲岸不遜、金金金、有権者は票集めの対象でしかなく、全く国民を顧みないオトコ。
家庭においては妻や子供にも愛想をつかされている。
政治記者や国民から、自身に都合の悪い質問をされると、いつもこう言って切り抜ける。
「記憶にございません! 記憶にご・ざ・い・ま・せ・ん! 記憶にねーんだよ💢」
なんというサイテーな総理でしょうか。
ある日、自党員の選挙応援演説のさなかに、怒った国民が石を投げ、みごと総理の額に命中。
それが原因で総理は記憶を失ってしまうのだった。
意識が戻った黒田圭介は、まるで別人のようになっていた。
腰が低い。物腰が丁寧。
秘書官たちは戸惑いを隠せない。
とりあえず、総理が記憶を失っていることはトップシークレット。
妻や子供にも伝えないと決めたのだった……
(『記憶にございません!』の出だしを私なりにご紹介しました)
では個別に感想を。基本的に芸名には敬称略で失礼致します。
⚫︎黒田圭介:礼真琴
宝塚110年の歴史において、額に絆創膏を貼って公演ポスターに収まった唯一無二のトップスターです。
昭和の時代、現代日本が舞台の原作を宝塚歌劇に移行する場合、外国物に仕立てるのが常道でした。
石坂洋次郎さんの『陽のあたる坂道』を『丘の上のジョニー』に変えたように。
それは宝塚歌劇に生活感を持たせない、という配慮だったと思います。夢の舞台なのだから、と。
ところが時代は令和となった今、リアルな現代日本を舞台にすることも可能になったのですね。
とはいえ、そこになんらかの「美」がなくては宝塚とはいえません。
礼真琴さんは、トップスターに就任して5年になるのでしたっけ。
様々な国と時代の役を演じ、役者としての引き出しは十二分に蓄えられており、夢夢しいお膳立てがなくても、大丈夫な状態でこの作品と向き合っています。
なんの過不足もなく、ただただ、作品の面白さを楽しませてくれました。
ご本人も、余裕を持って演じている感じがして、とても楽しそう。
コスチュームものではないため、ずっとスーツ姿でしたが、装飾に頼る必要もない感じがしました。
頼もしい。
余談ですが、X(旧Twitter)を見ていると、開演早々歌われる「献金マンボ」の歌詞を「裏金マンボ」だと思い違いをしていらっしゃる人が結構多くて、笑ってしまいました。
また「有権者の皆さん」と呼びかける型破りな開演アナウンスも楽しい。あれはどなたのアイデアなのでしょう。
昔、シアタードラマシティに三谷幸喜さん脚本演出の舞台を見に行った時のこと(主演が小林薫さんと樋口可南子さんだった)。お客様に対する諸注意を述べる開演前のアナウンスが絶妙でした。
「携帯電話やアラーム時計をお持ちのお客様。上演中に鳴ると他のお客様のご迷惑になるだけでなく、あなた自身がいたたまれない気持ちになります。今の間に携帯電話の電源をお切りください」
みんな笑いながら再度携帯電話の電源をチェックしていました。その時のことを思い出す開演アナウンスでした。
⚫︎井坂:暁千星
首相秘書官の井坂役は、映画ではディーン・フジオカさんが演じていました。
ディーン・フジオカさんは見目麗しいハンサムガイですが、お世辞にも演技が上手いとは言えません。なんでこんなにダイコンなんだと、いつも思います。だけど!私はディーン・フジオカさんが好きなんですよ。美しいし!!映画では、演技が平板なことが逆にポーカーフェイスの首相秘書官にピッタリでハマり役でした。
なんでもできるアリちゃん(暁千星)にとっては、井坂役は逆にしんどかったのではないでしょうか。
映画にはないシーンとして、井坂が首相の妻である黒田聡子とタンゴを踊るシーンが素敵でした。
曲は「奥様お手をどうぞ」。歌い踊れる首相秘書官って意味不明ですが、宝塚的には100点満点な場面でした。つい先日見たばかりの『琥珀色の雨にぬれて』とも通じる曲だけに、ファンとしては嬉しい場面でしたよ。
⚫︎黒田聡子:舞空瞳
私は映画『記憶にございません!』が星組で上演されると知った時、てっきり舞空さんは映画で小池栄子さんが演じた秘書官役だと思っていたのですよ。そうではなくて総理夫人の黒田聡子役だと知って、驚きました。映画では石田ゆり子さんが演じた役です。
ちょっとぼーっとした印象の黒田聡子。舞空さんはなんでもできる器用な娘役さんだとお見受けしているだけに、意外でした。水色の訪問着姿が綺麗でしたわ。
この公演で卒業されるんですね。
2019年まで花組にいらした舞空さん。私は、舞空さんが花組生としては最後の舞台だった『CASANOVA』の千秋楽をライブビューイングで拝見しました。その際、この公演をもって星組へと組替えになる舞空さんが紹介されたのですが、その際、舞空さんがものすごく嬉しそうだったことが特別に印象に残っています。後から考えると、星組次期トップ娘役に決まっての組み替えだったのだな、だからあんなに嬉しそうだったんだなーと懐かしく思い出します。
聡子が、夫の黒田圭介が記憶を失っていると知った時に「あれもこれも忘れてしまったの?」というシーンで、トップスター礼真琴と歩んできた作品を織り交ぜたセリフを書いてくれた石田昌也先生の愛情を感じました。
⚫︎古郡祐:極美慎
映画では佐藤浩市さんが演じていた役です。
政界のゴシップを仕入れ、脅してお金を巻き上げるヤツ。
まず思ったのは、極美さんがずいぶんしっかりしたなーということ。
私はかつて、応援しているタカラジェンヌが星組にいたため、星組の下級生には人一倍注目していた時期がありました。その頃 極美くんは初舞台を踏んだばかり。劇団にはかなり期待されているようで、新人公演でいいお役がついたりしておりましたが、なかなか実力が追いついていないように見えて、大丈夫かいな、と思っていたのです。(偉そうな上から目線、すみません)
ところがこの作品を見て、立派になったなーと感慨ひとしお。特に不安材料だった歌が、めちゃくちゃ上手いとまでは言わないまでも、かなり上手くなっていたのです。元々ビジュアルは良いのですから、怖いものがなくなった状態かもしれませんね。
⚫︎鶴丸大悟:輝月ゆうま
映画では草刈正雄さんが演じていた役です。
誰が総理になるのかさえこの人が決める影のドン、官房長官の鶴丸役。
ワタクシ、ここ数年、輝月さんの出ていらっしゃるお芝居を見るたびに、その役の愛人になっても良いと思うくらい、輝月さんにハマっております。
今回も、もみあげにチラチラ見える白髪までもが色っぽく見える。こういう殿方が現実にいらっしゃらないものか。もしかしたら最近の北大路欣也さんが一番近いかもね。
貫禄といい、セリフの通り具合といい、輝月さん演じる鶴丸官房長官は、もしかしたら二番手役の井坂総理秘書官よりも目立つ美味しい役。それを全く気負いもなく、自然に演じる輝月さんのすごさよ!
ところで鶴丸官房長官の末路って、映画でもこんな感じでしたっけ?
⚫︎山西あかね:小桜ほのか
映画では吉田羊さんが演じていた、野党第二党の女性党首役。実は総理とは男女の仲、という設定です。
2016年星組『桜花に舞え』新人公演で小桜さんがヒロインを演じたことを昨日のことのように思い出します。今や、なんの不安もないベテランになりましたね。歌も上手いし、なんでもできる。その器用さが宝塚歌劇の娘役として不利に働くこともあるかも、と要らぬ心配をしてしまうのでした。
⚫︎番場のぞみ:詩ちづる
映画では小池栄子さんが演じていた役です。ある意味、首相夫人より目立つ役でした。
その役を詩ちづるさんが演じると知った時は嬉しかった。
はい。私は詩ちづるさんが好きなのです。舞台以前に、ヒガシマルのCM写真で拝見して、素化粧の詩ちづるさんが超絶好み、「かわいー!!」と。
ところがですね、番場のぞみとして登場した詩さんを見てびっくり。「え?!これがあの詩ちづるさん?」と。どうしたことか、お化粧がメイクアップ⤴️ではなくメイクダウン⤵️に見える。
素化粧とのギャップに驚くことしきりで、演技に気持ちが行かない。(個人の感想です)
ショーでのメイクも同じこと。上から目線で申し訳ないけれど、もっとメイクに工夫された方がいいのではないかと思います。こんなに可愛いのに、なぜこうなる?! 素人の意見で言うと、問題はアイメイクかなぁ。「どんぐりまなこ」に見える。ここがシュッとしたらしっとりとした大人の女性も演じられる娘役さんになりそう。
ディスっているわけじゃないのです。好きだからもっと舞台で綺麗に見えてほしいの。
⚫︎鰐淵影虎:碧海さりお
総理の妻 聡子の兄。映画ではROLLYさんが演じていました。
宝塚歌劇の男役さんのヒゲ・メガネが大好きな私。
さりおさんのメガネ&スーツに萌えました。
⚫︎黒田篤彦:稀惺かずと
首相の息子役。あら、稀惺さん綺麗なお顔。
上にも書いた通り、男役さんのヒゲ&メガネ好きとしては見るからに好みでした。
ただ稀惺さんは綺麗なのだけど、強烈なインパクトがありません。今後、からを破る役に巡り会えますように。
⚫︎南条実:輝咲玲央
⚫︎小野田治:ひろ香祐
総理に石を投げる南条と、総理の友人小野田役は、外見的にすみれコードの限界に挑む役で、笑いました。
お二人とも、楽しげに演じておられました。
宝塚歌劇におけるタブー・すみれコードがかなり緩んだのを感じました、
政治になんの期待もできない、こんな日本に誰がした、と歌う場面は、『エリザベート』の「ミルク」の場面や『1789 バスティーユの恋人たち』のよう。
宝塚歌劇らしさを盛り込みつつ、おかしく楽しい。
素敵な作品でした。
石田昌也先生、お見事!
プログラムによると、これまで三谷幸喜さんは宝塚歌劇を一度もご覧になったことがなかったのですって。これを機に、宝塚歌劇でも活かせる作品を生み出していただきたいワ。
幕間休憩
お隣に座っておられる方から「もしかして……」とお声をかけていただきました。
なんとこのブログの読者様だったのです。
広島在住で、私の宝塚観劇記などを読んでくださっているのだとか。
嬉しいです、ありがとうございます!
なんでも、開演前、通路を歩いている私をご覧になった時から気が付いておられたのだそうで。
なぜ私だと分かったのかしらん?
お声をかけていただくまでに、不審な行動をしてはいなかっただろうかと、自分自身を顧みました。(多分大丈夫なはず)
終演後もご挨拶を交わしてお別れしました。
こんなブログを読んでくださっていることに感謝ですし、なんと客席で隣り合わせに座るなんて偶然にも驚きつつご縁を感じました。
お声がけありがとうございました!!
『Tiara Azul ーDestinoー』
カルナバル・ファンタジアと銘打たれているように、緞帳が上がってから降りるまで、息つく暇もない、華やかな構成。カルナバルらしいフロート、キラキラや原色の衣装、すごい勢いです。
この作品でデビューされた竹田悠一郎先生の熱量にたじたじでした。
三番手の極美慎くんの歌がかなり上手くなっているのが確認できて心強い限り。
フィナーレ、大階段に揃う黒っぽい衣装の男役陣に鳥肌が立ちました。かっこいい!!
お芝居が現代日本を描いたリアルなものだったぶん、ド派手に弾けるショーでバランスが良かったと思います。
ところで主題歌のイントロを聴いて、THE ALFEEの『星空のディスタンス』を連想する私は昭和人。
他にもそう思われた方はいらっしゃいませんか?
何度でもリピートしたくなる星組公演でした。
余談 星組パンフレット「公演アンケート」
主なメンバーに「あなたを熱狂の渦に包み、思わず歌い踊りたくなる『宝塚の名曲総選挙』を開催します。”清き一票”をお願いします。
との問いへの答えにワクワクしました。
『ル・ポァゾン 愛の媚薬』の主題歌 4票
『ノバ・ボサ・ノバ』より「ソル・エ・マル」 3票
「この愛よ永遠に(TAKARAZUKA FOREVER)」 2票
「サザン・クロス・レビュー」 2票
「CONGA!!」 2票
わかるわー!!
1票しか入っていないけど、アリちゃん(暁千星)が「Apasionado!!」を挙げてくれている!
タカラジェンヌと共感できるなんて嬉しい。
私としては票を入れるなら『ル・ポァゾン』だけど、最近、何かというと口について出てくるのは
パタゴニアの氷のピアスをつけ〜🎵
パブロ・ピカソのサイン入ったスカーフ巻いて〜🎵
の「サザンクロス・レビュー」なのでした。
長々ダラダラ失礼しました。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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