富山オーバードホールへ
9月4日(水)、みのおエフエムでレギュラー担当させていただいている「デイライトタッキー」が終わるや否や、JR新大阪駅に向かいました。
特急サンダーバードと北陸新幹線かがやきを乗り継いで、富山へ。
午後6時開演の宝塚月組全国ツアー『琥珀色の雨にぬれて』『Grande TALARAZUKA110!』観劇のためです。
新たに月組トップスターとなるちなつさんこと鳳月杏さんは入団19年目。
月組から花組、そしてまた月組へと組み替えを経て、さまざまな役を体験し、すでに貫禄すら漂わせた状態でトップスターに登り詰めたちなつさん。
本拠地宝塚大劇場でのお披露目を前に、全国ツアーがあり、その演目が『琥珀色の雨にぬれて』だというから、これは見ねばと思いました。
『琥珀色の雨にぬれて』は、宝塚歌劇団の宝でいらっしゃった演出家 柴田侑宏先生の作品。
私は髙汐巴さんがトップ時代の花組での初演の宝塚大劇場初日を見ております。
プロローグから圧巻のタンゴで始まる大人のお芝居に、大学生だった私はしびれまして、何度もリピートして見た思い入れの強い作品なのです。
その後、何度も再演されて来ましたが、今年は初演から40年の節目、しかも ちなつさんのトッププレお披露目、二番手男役はマイティこと水美舞斗さんが務めると聞けばは、見ないではいられない気分になりました。
ところが、最も近場の梅田劇術劇場でのチケットが取れず。
その後の全国ツアーの日程と睨めっこしたら、富山公演が唯一実現可能だったのです。
でも、去年なら、正午に番組が終わった後、開演に間に合うように富山に移動することが無理だと思い諦めたと思います。
今年(2024年)3月に北大阪急行が延伸し、みのおエフエムから5分とかからないところに箕面船場阪大前駅ができたおかげで、新大阪に直結。開演に間に合うような移動が可能となりました。今回ほど北大阪急行延伸を親身に喜んだことはありません。
午後4時半には富山駅に降り立ち、駅から徒歩5分以内にあるホテルにチェックイン。
一息ついてから、オーバードホールへと向かうことができました。
私が泊まったホテルとオーバードホールは富山駅を挟んでほぼ対面する位置にありました。
駅の北口を出たら、駅前ロータリーの向こうにホールがあるのです。
すごく立派なホールがこんなに駅近にあるなんて、素晴らしいですね。
ホール入り口では、なんと先日退団したばかりの元月組トップ娘役 海乃美月さんとすれ違いました。
そういえば、海乃さんは富山出身でしたね。
観劇前から得した気分。
ところで、私のチケットはS席と表記されているのだけれど、なんと3階!
3階でS席なんて、どんなアコギな劇場なんだ、と思いましたが、座席表を見てみるとこういう状況でした。
このホールは奥に長いんですね。
1階後方席を「2階」としてあり(同じフロアですけど)、実質2階が「3階」、全部で5階までありました。
階数表記は若干不可解ですが、客席もホールも素晴らしい劇場でしたよ。
前置きが長くなりました。それでは感想を。
ここからは、基本的に芸名には敬称略で失礼します。
私は1984年の花組初演と2002年の花組再演しか見ていませんが、初演でかなり通い詰めたおかげでしょう、誰がどんな声音でセリフを喋り、歌っていたのか、現実に演じている月組の皆さんの副音声のように、過去の音声や映像が脳裏に浮かんできます。歌は心の中で一緒に歌っていましたよ。
まずはプロローグ。
初演の初日、「ジェラシー」を踊る紳士淑女が途切れることなく現れ、度肝を抜かれたのを思い出します。
今回は全国ツアーですから人数に限りがある中、さまざまなフォーメーションが繰り広げられるのがよく見え、3階席も悪くないなと思いました。
このプロローグ、私の記憶では、初演のみ、ルイのソロダンスがあったように記憶しています。
宝塚の歴史に残る名ダンサーだったなーちゃん(大浦みずき)が、センター最前列でポーズを決めると、曲調がマイナーからメジャーに変わるんです。
あの時のルイのポーズよ!カッコよかったなぁ。
すみません。オールドファンの回想でした。
全てにおいて「初演が最高」なんてことは言えません。ただ、当時、宝塚歌劇は座付きの演出家が、各組のスターを念頭に置いた「あてがき」をしていました。髙汐巴のクロード、若葉ひろみのシャロン、大浦みずきのルイ、といった調子です。生徒の個性に合った役、もしくはまだ目覚めていない生徒の良さを引き出す役を描いてくれていたのです。
初演が良いのは当たり前のことなのですね。
だけど舞台は時代によっても演者の違いによっても変わっていくもので、思わぬ良さが生まれたりもします。だったら再演がいいのか?いやいや、そもそも対立させるものではないのだと思います。
その場、その時に見た人が「この作品いいなぁ」と思えばそれでよし、なんですよね。
私が今回感じたのは、なんと磐石な公演だろうということ。
作品の魅力に、出演者の魅力がかぶさって、素晴らしいものに仕上がっていると感じました。
個別の感想
⚫︎クロード:鳳月杏
いよいよトップスターとなった ちなつさん。
これまでワルイ役、癖のある役を歴任してきたのに、意外や意外、純朴なクロードもイケていました。
なんだろうか、さまざまな役の経験が自信を生んで「どんな役でもカモーン!!」って感じなのかな。
私にとってはそれ以前にスタイルも好みです。スーツやロングコートが似合いすぎ!
肩幅といい、足の長さといい、たまりませんね。
ちなつさんの大きさゆえ、寄り添う長身の天紫(もと男役)が たおやか女子に見えて、トップコンビのビジュアルは最高です。
ちなつさんのクロードはただ世間知らずな純朴な男性というよりは、戦争体験を経て、思慮深くなった貴族の御曹司、という感じでした。
でも、もし、トップスター=主役という縛りがないなら、ジゴロの影のパトロン ノアーユ子爵を演じる ちなつさんも見てみたい気がしました。
楽しみにしています。
⚫︎シャロン:天紫珠李
意外なまでに、初演の若葉ひろみに似ていました。ヒトちゃん(若葉ひろみ)より一回り大きいけれど、ドレスの着こなし、首の長さ、囁くようなセリフが。私がいだくシャロン像にピッタリでした。
歌が弱いけど、眉を顰めるほどではありません。
新月組トップコンビの大人の芝居に期待大です。
⚫︎ルイ:水美舞斗
専科より客演。
久しぶりに舞台でマイティを見た気がします。
なーちゃん(元花組トップスター故 大浦みずき)ファンの私の中では、『琥珀色の雨にぬれて』のルイは永遠に 初演のなーちゃんなのだけど、それは私の胸の中に収めて、新しい気持ちでルイを見ました。
マイティのルイはしっかりしています。しっかりし過ぎている気もするくらい立派なルイでした。ひとことで言えば「余裕」ですね。ま、これは ちなつさんにも言えることで、この公演はトップと二番手が磐石なのです。安心して見ていられる。
とは言え、盤石と「ジゴロ」の相性はどうなのか?
もっと青臭くて不安定そうな方がジゴロらしいんじゃないのか、と思わないでもない。
でも久しぶりに見るマイティの男ぶりに惚れ惚れしていたら、こういう成熟したジゴロ・ルイもありだなと思うしかないのでした。
スーツの着こなし、目の動き、物思う表情、全てが良い!
ここのところ外部出演で宝塚歌劇の男役の実力をアピールしてくれていたけれど、やっぱり宝塚歌劇の舞台に立っている姿こそ最高・最強でしょう。
⚫︎フランソワーズ:白河りり
クロードのフィアンセ。幼い頃からクロードのことが好きで、その人と結婚する未来しか描いていなかったのに、クロードがシャロンと出会ったばっかりに、運命が変わってしまう女性です。
白河りりのフランソワーズは潔癖そう。お顔立ちの目元に不幸の影があって、もう物語冒頭から、この女性はこの後悲しい目に遭うな、と予感させるのでした。
実は私はニコニコ笑顔いっぱい健康美の娘役さんは好みではないのです。
なんだか不幸せそう、あるいは不健康そうに見える娘役さんが好き。
歴代で言うと、姿晴香、下級生の頃の洲悠花、星奈優里、咲妃みゆ が私の好みの娘役さんです。
(咲妃さんだけ、ちょっと系統が違う気もする)
そういう陰のある娘役さんを見ると「おーい!そこの男役!この娘を幸せにしてやってくれ!!」と呼びかけたくなるのです。
今後、注目させていただきますワ。
⚫︎エヴァ:白雪さち花
月組副組長の白雪さん。もしかしたらこの公演で一番活躍している方かもしれません。芝居でもショーでも、歌の場面が多いし、いいところを持って行っている感じがします。
エヴァはパリのジゴロを束ねるマダム。実は陰のパトロンがいるのだけれど、本人の希望でそれは隠されており、表向きはエヴァがジゴロの元締めです。
初演でエヴァを演じた美野真奈は一度聞いたら忘れられない独特な声質で、しかも女性としてまだ現役な感じに見えました。ひょっとしたらジゴロの誰かと恋愛してもおかしくないような感じに見えたのです。
白雪さんのエヴァは、ジゴロたちのおっかさん的な存在に見えました。
「いいこと、ジゴロは🎵」の歌も、息子たちに注意するオカンみたい。こういうエヴァもあるのか、と思いました。
⚫︎ノアーユ子爵:夢奈瑠音
自称、単なる花屋、実際はジゴロたちのパトロン。
ずっと「下級生」だと思っていた夢奈さんがすっかり成熟していました。
初演の際、私から見てノアーユ子爵はとても大人のオトコ。その人となりを本当には理解できない部分がありました。今の私はノアーユ子爵より多分年上。誰かを支援する気持ちもわかるようになりました。再演は、チャンスがあれば見るべきだなと感じましたわ。演じる人だけでなく、自分も変わっているから作品の見え方が変わるんですねぇ。
⚫︎ミッシェル:礼華はる
親友クロードと妹フランソワーズの結婚を喜んでいたのに、クロードがシャロンに翻弄され、複雑なはずのお兄ちゃん。
一旦、妹を裏切った奴とは仕事で協力していくなどできない、と、クロードを脅かしておいて、実は許していることを明かすシーン。
最後に「ガッカリしたなァ」というセリフがあって、少々驚きました。このセリフ、前はなかったのでは?
私としてはこれまで、ミッシェルはクロードとシャロンに起こったことを単なる気の迷い、もしくは遊び女に騙されただけ、というように軽く受け止めていて、だからあっさり許すんだな、という解釈だったんです。クロードは親友に軽くいなされて、彼の妹である妻を裏切った罪悪感と共に、自分とシャロンはそういう関係ではなく真剣だったのにわかってもらえないのか、というモヤモヤを抱いているように感じていました。
ところが、「ガッカリしたなあ」のひとことがあると、軽い調子で喋っていたミッシェルが、実は妹にこんな仕打ちをするなんて、ひどいじゃないかと思っていたのね、やっぱりお兄ちゃんよね、と思えました。ぼんやりしていたミッシェル役のリアリティが増した感じがしました。
全国ツアーの、メンバーだけで重厚な雰囲気をかもし出していて、本公演が楽しみ。
ショーでは梨花ますみ組長が活躍していました。
英かおと、涼宮欄奈が目に飛び込んでくる感じ。
アヴァンギャルドの場面で、やたら挑発的な目の色で挑んでくる娘役さんがいるナと思ったのは きよら羽龍。
エトワールの一乃凜が可憐だった。
お芝居で渋いおじさまだった専科の凛城きらはお芝居を引き締めていました。
彼女は、ちなつさんと同期なんですね。
ショーで、互いに健闘を讃えあうような場面があり、ジーンとしました。
それにしても『Grande TAKARAZUKA110!』は何度も客席降りがあり、会場は沸いていました。
1階席、いいなぁ、羨ましい。
全国ツアーは終演後、緞帳が開いてトップさんのご挨拶があるんです。
ちなつさんは、冒頭で富山弁で何か言って会場を沸かせていましたが、何を言ったのか聞き取れず。
その後来てくださったお客様への感謝とともに、富山公演が1日しかないことを残念がり「次に来たときは路面電車に乗って観光旅行をしてみたい」と語りました。
月組の全国ツアーは富山公演がちょうど折り返し点で、この後、仙台(宮城県)、八戸(青森県)、岩手(岩手県)、札幌(北海道)と続きます。
つつがなく終了しますように。
そして人数が少ない中でも大満足だった新生月組、ここに風間柚乃ら月組生が加わる本公演がとても楽しみです。
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