こんにちは。後期研修医Tです。最近よく頭を悩ませているのが血小板減少です。
血小板減少って「処置ができない!!」なんてこともあったりして結構困っちゃうんですよね。そんなとき頭をよぎるのが血小板輸血・・・。
輸血無効な病態もあるのでまずは原因探しなんですけど、「・・・てかそもそも、血小板っていくらキープしてたらいいんだろ」て思うことがあるわけです。
そんな訳で今回は「血小板輸血、どのくらいでした方がいいの!?」てことを書いてみようと思います。
まずはガイドラインを見てみましょう。現在出ているのは
アメリカのガイドライン(Schiffer CA st al. Platelet transfusion for patients with cancer; clinical practice guidelines of the American Society of Clinical Oncology. JCO. 2001;19(5):1519-1538)とイギリスのガイドライン(British Committee for Standards in Haematology BTTF. Guidelines for the use of platelet transfusions. Br J Haematol. 2003; 122(1):10-23)です。
どっちもちょっと古いのですが、とりあえずこれがスタンダードです。
英語読みたくない!て思う人は厚生労働省が出している「血液製剤の使用指針」をみてみましょう。
こちらを見ると(あくまで目安ですと断ってはありますが)
血小板2万-5万→出血してて止血困難だったら血小板輸血する。
血小板1万-2万→血小板輸血を考慮してよい。
血小板1万未満→血小板輸血したほうがよい。
ってなってます。(慢性に経過している場合はもっと低くても様子みます)
外科手術などの侵襲がある場合は
7-10万以上ほしい→頭蓋内の手術など止血困難な場所の手術
5万以上ほしい→腰椎穿刺、硬膜外麻酔、経気管支生検、肝生検、出血してるDIC、一般的な外科手術
1万以上ほしい→骨髄穿刺(生検は別)、抜歯など、圧迫止血できる処置
てなってます。個人的には血小板1万台のときに抜歯はしたくないなー、て思わなくもないですが、とりあえず押さえられるところは1万、押さえにくいところは5万、頭は10万と覚えておくとよいですね。
実際は個人個人の状態とか先生の判断で変わってくるとは思いますが、目安として知っておくと便利な数字だと思います。
最後に1つ論文を紹介したいと思います。(抄読会で以前読んでザワザワとなったやつです)
A No-Prophylaxis Platelet-Transfusion Strategy for Hematologic Cancers (Simon J et al. NEJ May 9, 2013. vol.368. No.19)
化学療法を受ける血液がんの患者さん600人をランダマイズして、予防的に血小板を入れる群(1万キープ)と入れない群に分けて比べてみた。という研究です。結論としては予防的な血小板輸血は出血してる期間を短めて、また出血するまでの期間を長くするというものでした(追記)。
「そりゃそーだろ!」て突っ込みの入りそうな結果ですが、それだけ輸血についてはよくわかっておらず、経験に基づいているというのが現状なのかもしれません。2013年にやっとこんな論文が出てきたくらいですからね!
なんだか長くなりましたが、とりあえず今日の記事はここまでです。
読んでいただきありがとうございました!
追記:研修医の先生に間違いを指摘していただき、修正しました。ありがとうございます!
追記その2:2017年3月に厚生省の「血液製剤の使用指針」が改定されました。詳しくは厚生省のサイトを見ていただきたいのですが、輸血のトリガーがやや厳しくなっている印象です。
血小板減少って「処置ができない!!」なんてこともあったりして結構困っちゃうんですよね。そんなとき頭をよぎるのが血小板輸血・・・。
輸血無効な病態もあるのでまずは原因探しなんですけど、「・・・てかそもそも、血小板っていくらキープしてたらいいんだろ」て思うことがあるわけです。
そんな訳で今回は「血小板輸血、どのくらいでした方がいいの!?」てことを書いてみようと思います。
まずはガイドラインを見てみましょう。現在出ているのは
アメリカのガイドライン(Schiffer CA st al. Platelet transfusion for patients with cancer; clinical practice guidelines of the American Society of Clinical Oncology. JCO. 2001;19(5):1519-1538)とイギリスのガイドライン(British Committee for Standards in Haematology BTTF. Guidelines for the use of platelet transfusions. Br J Haematol. 2003; 122(1):10-23)です。
どっちもちょっと古いのですが、とりあえずこれがスタンダードです。
英語読みたくない!て思う人は厚生労働省が出している「血液製剤の使用指針」をみてみましょう。
こちらを見ると(あくまで目安ですと断ってはありますが)
血小板2万-5万→出血してて止血困難だったら血小板輸血する。
血小板1万-2万→血小板輸血を考慮してよい。
血小板1万未満→血小板輸血したほうがよい。
ってなってます。(慢性に経過している場合はもっと低くても様子みます)
外科手術などの侵襲がある場合は
7-10万以上ほしい→頭蓋内の手術など止血困難な場所の手術
5万以上ほしい→腰椎穿刺、硬膜外麻酔、経気管支生検、肝生検、出血してるDIC、一般的な外科手術
1万以上ほしい→骨髄穿刺(生検は別)、抜歯など、圧迫止血できる処置
てなってます。個人的には血小板1万台のときに抜歯はしたくないなー、て思わなくもないですが、とりあえず押さえられるところは1万、押さえにくいところは5万、頭は10万と覚えておくとよいですね。
実際は個人個人の状態とか先生の判断で変わってくるとは思いますが、目安として知っておくと便利な数字だと思います。
最後に1つ論文を紹介したいと思います。(抄読会で以前読んでザワザワとなったやつです)
A No-Prophylaxis Platelet-Transfusion Strategy for Hematologic Cancers (Simon J et al. NEJ May 9, 2013. vol.368. No.19)
化学療法を受ける血液がんの患者さん600人をランダマイズして、予防的に血小板を入れる群(1万キープ)と入れない群に分けて比べてみた。という研究です。結論としては予防的な血小板輸血は出血してる期間を短めて、また出血するまでの期間を長くするというものでした(追記)。
「そりゃそーだろ!」て突っ込みの入りそうな結果ですが、それだけ輸血についてはよくわかっておらず、経験に基づいているというのが現状なのかもしれません。2013年にやっとこんな論文が出てきたくらいですからね!
なんだか長くなりましたが、とりあえず今日の記事はここまでです。
読んでいただきありがとうございました!
追記:研修医の先生に間違いを指摘していただき、修正しました。ありがとうございます!
追記その2:2017年3月に厚生省の「血液製剤の使用指針」が改定されました。詳しくは厚生省のサイトを見ていただきたいのですが、輸血のトリガーがやや厳しくなっている印象です。