【お知らせ】
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こんにちは。スタッフTです。今回ご紹介する論文はこちらです。

A randomized trial of GVHD prophylaxis in haploidentical PBSC transplantation: ATG, PTCy, and low-dose combination therapy
Yang J et al, Blood 2026, doi: 10.1182/blood.2025032569
 

ハプロの造血幹細胞移植のGVHD予防には大きく分けてATG法、PTCy法があります。ただ、どちらが良いのか一定の結論が出ていませんでした。この論文は、ATG法、PTCy法、ATG/PTCy併用法の3つを前向きに比較した、中国からのオープンラベル第Ⅲ相試験の報告です。

方法:ハプロ移植を受ける14歳から70歳のAML / MDS患者を、2:1:1の比でランダムにATG/Cy併用法、ATG法、PTCy法に分けた。一次評価項目は移植後100日目までのgrade 2から4の急性GVHD(aGVHD)の累積発症率(CI)と、1年後の 無GVHD/無再発生存率とした。

結果:407人の患者が参加し、185人がATG/PTCy法、113人がATG法、109人がPTCy法によるGVHD予防を受けた。
100日目までのaGVHDの発症は3群ともに有意差がなかった(P=0.210)。
慢性GVHD(cGVHD)の累積発症に関しても3群ともに同等だったが、2年の中程度-重症cGVHDに関しては、ATG/PTCy法で発症が少ない傾向にあった(ATG/PTCy法 17.4%、ATG法 17.3%、PTCy法 28.3%)。ただし、統計的な有意差は出なかった(P=0.095)。
生存アウトカムに関しても3群は同等の結果だった。
特筆すべき結果としては、ATG/PTCy群が他の群と比較して好中球と血小板の回復が良かった(p<0.001)。

結論:3つのGVHD予防法はgrade 2-4のaGVHD予防および生存に関して同等の効果を持つ。

 

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飯塚病院では同種移植を行なっていないので、あくまでぼんやりとした印象ではあるのですが、ハプロ移植の発達はここ10年くらいのエポックメイキングな出来事と感じています。

 

これまでATG法、PTCy法、ATG/PTCy併用法のどれを用いるかについては、施設や地域によって考え方が異なっていたと思います。この試験では、ATG/PTCy併用が一部有利な面はあるものの、主要評価項目である急性GVHD予防や生存アウトカムについては、3群で大きな差は認められなかったとのことでした。

 

アジア人のみのデータであることや、若い患者さんが多いことなどリミテーションはあるものの、ハプロ末梢血幹細胞移植におけるGVHD予防法を前向き無作為化試験で比較した意義は大きいと思います。移植実施施設にとって、自施設で慣れた方法や運用を踏まえながら、GVHD予防法を考える際の参考になる結果ではないかと思いました。

 

おまけ

 

 

飯塚病院近くで頂いた、イカとズッキーニをグリルしたやつです。ズッキーニは確か自分が中学生くらいのときに突如食卓に現れるようになったのですが、「人生の途中で現れたおいしくておしゃれな野菜」として、自分の中でエリンギと双璧をなしています。

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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はBloodから、稀ですが覚えておきたいHairy cell leukemia(HCL)とHCL variantのコンセンサスガイドラインup dateが出ていたので、ご紹介いたします。

 

Updated consensus guidelines for the diagnosis and management of patients with HCL and HCL variant

Zent CS and Tiacci E et al, Blood 2026, doi: 10.1182/blood.2025032757

 

【要旨】

へアリー細胞白血病(HCL)とHCLバリアント(HCLv)は、臨床病理学的特徴に一部オーバーラップを認めるものの、遺伝学的背景、予後、治療戦略において明確に異なる、まれな慢性脾臓B細胞性リンパ腫/白血病である。HCLは95%を超える患者でBRAF V600E活性化変異を有し、プリンアナログによる化学療法に極めて良好に反応し、BRAF阻害薬を基盤とした標的治療も有効である。一方、HCLvはBRAF V600E変異を欠き、プリンアナログにリツキシマブを併用した治療が必要であるが、一般に奏効の持続性に乏しい。

本論文では、血液内科医およびこれらの稀な疾患のエキスパートからなる国際チームがHairy Cell Leukemia Foundationのもとに集まり、既存のガイドライン(2017年公表)をアップデートした。HCLおよびHCLvに関する最新の診断法と治療戦略がまとめられるとともに、さらなる治療成績向上を目指した新規標的療法の展望も提示されている。

 

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HCLやHCLvは非常に稀な成熟B細胞性腫瘍で、脾腫や骨髄・末梢血浸潤を契機に診断されることが多いです。実際に患者さんを診断することは少ないのですが、血液内科への紹介患者で多い、血球異常や脾腫の鑑別を行う上では知識を押さえておく必要があります。

 

骨髄と脾腫を来しやすいリンパ腫と言えば、他にはSplenic marginal zone lymphoma、Diffuse splenic red pulp lymphoma、B-PLL、mantle cell lymphomaなどがあります。SMZLやMCLは比較的見るのでそれほど困らないのですが、HCLとHCLvの表面マーカーの違い、HCL/HCLv・SDRPL・MZLの脾臓内での浸潤部位の違いなどの細かいところは、私も覚えては忘れを繰り返してしまいやすいところで(年齢のせい?)、今回再度知識の総整理をするのに大変役立ちました。脾臓のリンパ腫は脾臓以外に生検可能部位が乏しいこともあり、臨床的には摘脾に踏み切るべきかどうかの判断と、病理医との連携が非常に重要です。実際摘脾をしないと分からないことも多いのですが、患者さんへの侵襲も大きいので、いかに適切な検査で診断へ結びつけるかが腕の見せ所だと思います。

 

治療については、クラドリビン±リツキシマブの第Ⅱ相試験や、BRAF阻害剤・MEK阻害剤が近年の大きな進歩として挙げられます。ブログでも過去に取り上げていますので、ご紹介します。

 

 

 

BRAF阻害剤・MEK阻害剤は保険適用外なので、一般診療では使用しにくく、現状日本ではプリンアナログとリツキシマブが治療薬の中心になるかと思いますが、その他BTK阻害剤などの新規薬剤についても良くまとまっていました。知識のアップデートにおすすめ出来る論文だと思いますので、是非ご一読ください。

 

おまけ

 

 

奈多海岸で夕日を見ることが出来ました。本当にすぐそこに福岡の街の喧騒があるとは思えない場所で、豊かな自然が残されている素晴らしいところでした。

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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はJCOから、マントル細胞リンパ腫における次世代BCL2阻害剤であるSonrotoclaxの第Ⅰ/Ⅱ相試験をご紹介いたします。

 

MalignancyPhase I/II Study of Sonrotoclax (BGB-11417) Monotherapy in Patients With Mantle Cell Lymphoma Previously Treated With Anti-CD20 Therapy and a Bruton Tyrosine Kinase Inhibitor

Eyre TA et al, J Clin Oncol 2026, doi: 10.1200/JCO-26-00550

 

【目的】

マントル細胞リンパ腫(MCL)は稀で、典型的にはアグレッシブなB細胞性非ホジキンリンパ腫であり、短期間の寛解後に再発を繰り返すことが特徴である。sonrotoclax(BGB-11417)は次世代BCL2阻害薬であり、ベネトクラクスよりも高い選択性と効力を有し、半減期が短く、体内蓄積が少ない。ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬治療歴のある再発難治性(R/R)MCL患者を対象に、sonrotoclax単剤療法が評価された。

 

【方法】

BGB-11417-201試験は、現在進行中のグローバルな非盲検第Ⅰ/Ⅱ相試験である。sonrotoclaxは1日1回経口投与され、腫瘍崩壊症候群(TLS)を軽減するため、4週間かけて160 mgまたは320 mgまで漸増された。主要評価項目は、独立評価委員会によるLugano分類に基づく全奏効率(ORR-IRC)であった。副次評価項目には、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性が含まれた。

 

【結果】

全体で125人が組み入れられ、sonrotoclaxは1日1回、標的用量160 mg(n = 10)または320 mg(n = 115)で投与された。ほとんどの患者は進行期であり(stage IV:78.3%)、濃厚な前治療歴を有していた(前治療ライン数中央値:3)。有効性評価可能集団(n = 103)において、ORR-IRCは52.4%(95% CI 42.4-62.4)であり、ヒストリカルコホートと比較して有意に高かった(30%;P < 0.0001)。完全寛解率は15.5%であった。奏効はTP53変異を有する患者群(59.1%)を含む高リスクサブグループでも一貫して認められた。追跡期間中央値14.2カ月時点で、DOR-IRC中央値は15.8カ月、PFS-IRC中央値は6.5カ月であり、OS中央値は未到達であった。

 

最も頻度の高い全Grade/Grade 3以上の治療関連有害事象は、好中球減少症(35.7%/19.1%)、血小板減少症(24.3%/9.6%)、貧血(24.3%/7.8%)であった。TLSは7.0%の患者で認められたが、全例で後遺症なく軽快した。

 

【結論】

sonrotoclaxは、高リスクサブグループを含む濃厚な前治療歴を有するR/R MCL患者において、迅速かつ持続的な奏効と管理可能な安全性を示した。R/R MCLに対する経口治療薬として、さらなる評価を支持する結果である。

 

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マントル細胞リンパ腫は治癒困難なB細胞性リンパ腫の一病型で、近年の進歩としては、イブルチニブ併用レジメン、CAR-T細胞療法、ピルトブルチニブなどの非共有結合型BTK阻害薬が挙げられます。ブログ記事も多数ありましたので、主なもののリンクを貼っておきます。ベネトクラクスに代表されるBCL-2阻害薬も、有望な治療戦略の一つとして検討されてきました。

 

 

 

 

このように治療選択肢は近年増えてきたのですが、依然として治癒させることは困難で、再発難治例の治療にはいつも悩まされます。今回のsonrotoclaxは次世代BCL-2阻害薬で、既存のベネトクラクスよりも選択性が高く、薬効も強いとのことで、抗CD20抗体およびBTK阻害薬による治療後の再発難治性マントル細胞リンパ腫患者を対象に第Ⅰ/Ⅱ相試験が行われました。

 

結果としては、進行期、pleomorphicやblastoidなどのアグレッシブな病型、TP53変異、濃厚な前治療歴などを有する割合の高い、比較的厳しい患者も含まれたコホートにおいて、全奏効率52.4%とヒストリカルコントロールより高い結果でした。まだまだ満足できる成績とは言えませんが、患者背景を考えると、単剤でこの奏効率は十分注目に値すると感じました。安全性については、BCL-2阻害薬というと、ベネトクラクスでよく見られる遷延する血球減少や、それに伴う感染症、腫瘍崩壊症候群が気になるところです。少数例の試験で、既存治療との直接比較ではありませんが、許容可能な範囲と言ってよいと思います。

 

今後は、より早期ラインでの使用や、BTK阻害薬などとの併用療法も期待されます。第Ⅲ相試験も進行中のようですので、早く日本でも使えるようになってほしいです。

 

おまけ

 

 

朝の記事に引き続いて、奈多海岸の砂浜です!