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こんにちは。スタッフTです。

今回ご紹介する論文はこちらです。

 

Early predictors of MR4.5 attainment and eligibility for TKI discontinuation in CML treated with second-generation TKIs

Ono T et al, Blood Adv 2026, doi: 10.1182/bloodadvances.2026019701

 

慢性骨髄性白血病(CML)に対してチロシンキナーゼインヒビター(TKI)を使用する際、やはり目指すのはMR4.5というBCR::ABLがほとんど検出されない状態(IS < 0.0032%)です。また、可能であればTKIのストップまで持っていきたいというのも多くの臨床医が望むところだと思われます。

この論文は、日本で行われたJALSG CML212(未治療CMLにニロチニブかダサチニブをランダム化して投与した前向き試験)の臨床試験データを元に、MR4.5やTKIストップに持っていける条件(TDE:TKIを始めて3年以上たち、2年以上MR4.5を維持できている)に持っていけるかどうかをを早期に予測できる因子は何か解析した報告です。

【結果】
・初発CMLにニロチニブを投与した218人とダサチニブを投与した213人を解析した。
・フォローアップ中央値は3年で、MR4.5に至る累積発生率は46.6%、TDE基準に当てはまったのは36.3%だった。
・多変量モデルでは、投与から3ヶ月のHT(bcr-abl量が半分になるまでの時間を計算したもの)と、6ヶ月時点でのISが、MR4.5に至るかどうかの独立した予測因子として挙げられた。特に6ヶ月時点でのISが0.01%未満の場合、36ヶ月時点でMR4.5は56.8%で得られた。その一方で6ヶ月時点のISが1%を超えるとMMR4.5を達成できた人はいなかった。
・一方、TDEに至るかどうかの予測因子としては、6ヶ月時点でのISのみが挙げられた。こちらも6ヶ月時点のISが0.01%を切るとTDEが目指せたが、0.1%を超えるとTDEは厳しかった。

【結論]
この試験の初発CMLで第二世代TKIを投与された患者においては、TKIを始めて半年後にMR(IS 0.01%以下)に至っているかどうかがMR4.5に至るかどうか、TDEに至るかどうかの早期予測因子として挙げられた。
 

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治療早期の薬剤反応性が大事という論文でした。同様の論文は他にもいくつか出ていますが、本邦で行われた試験であることや、2ndTKIに絞った試験であることが臨床的に参考にしやすいポイントのように思えます。


この論文ではTDEの条件に入るかどうかが評価されており、実際TKIをやめてMMRを維持できるかどうかを直接には評価していません。現在このJALSG CML212のTDEに入った患者さんで、TKIをSTOPできるかどうかの試験が走っていますので、この結果も待ちたいところです。

 

おまけ

 

 

飯塚病院近くの海鮮丼の写真です。

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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はBlood Cancer Journalからで、ありそうであまりなかった、多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞療法前後のPET/CT所見と臨床的特徴との相関を解析した論文です。

 

Lesion-level PET/CT analysis to identify predictors of progression after BCMA CAR T-cell therapy in multiple myeloma

Dreyfuss AD et al, Blood Cancer J 2026, doi: 10.1038/s41408-026-01607-7

 

【要旨】

B-cell maturation antigen(BCMA)指向性のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)において高い奏効率と持続する寛解をもたらす一方で、ほとんどの患者は再発する。CAR-T療法後の疾患進行を予測する因子は十分に分かっていない。髄外病変(EMD)および傍髄外病変(PMD)は予後不良因子として知られているが、既報はEMD/PMDのある・なしを予後因子として扱っており、個々の病変がどのように治療に反応したかを考慮していない。本研究ではRRMMに対してciltacabtagene autoleucel(cilta-cel)で治療を受けた患者において、FDG PET/CTを用いて患者および病変レベルでの縦断的な代謝イメージング解析を行った。

Memorial Sloan Kettering Cancer Centerにおいて、2018年から2024年の間にトリプルクラスに曝露したRRMMで、cilta-celによる治療を受けた102人の連続した患者を後方視的にレビューした。アフェレーシス前、リンパ球除去療法(LDC)前(LDC前の直近の撮影)、輸注後day 30(±7日)、最初の原疾患進行(POD)の4時点で、一連のFDG PET/CTが解析された。

患者は多数の前治療歴(前治療ライン数中央値5)があり、38%の患者がアフェレーシス時点でEMD/PMDを有していた。ブリッジング治療が81%で行われた。アフェレーシス前で80人(78%)、LDC前で98人(96%)、day 30で100人(98%)、原疾患進行時で102人(100%)のPET/CTが使用可能だった。

追跡期間中央値19カ月時点で、102人中40人で原疾患進行を認めた。これらのうち、再発が画像所見を伴うものが90%(36/40)で、生化学と画像所見によるものが63%、画像所見のみによるものが28%だった。生化学所見のみによるものは10%だけであった。画像所見による再発のうち、78%が以前から存在していた部位を含み、36%は既存病変部位のみで再発していた。病変分布はベースラインから再発時で著明に変化し、EMD/PMDが38%から72%に増加した。

コホート全体でのPFS中央値は22カ月、OS中央値は51カ月だった。LDC前の病変数と分布がアウトカムに相関し、LDC前の病変数が増加するに従いPFSが悪化した。病変数が4カ所以上の患者群はOSも不良だった(p = 0.018)。病変分布はさらにアウトカムを層別化し、LDC前にEM/PMがある患者と、骨病変のみの患者またはPET陽性病変がない患者では24カ月PFSが5.5%と66%(p < 0.001)、24カ月OSが47%と88%だった(p < 0.001)。この違いはアフェレーシス前よりも大きかった。

多変量解析では、機能的高リスク疾患、前治療ライン数5以上と並んで、LDC前のPMDおよびEMDが独立したPFS不良因子であった。PMDとEMDはOSの独立した予後不良因子でもあった。ベースライン時、EMとPM病変は骨病変より代謝的に活動性が高かった。最初のPODで進行を認めたLDC前の病変は、解剖学的カテゴリーによって割合が大きく異なり、EMが41%、PMが31%、骨が11%だった。day 30時点でCRの病変はほとんど進行を認めず(2.1%)、対してPRの病変は27%、SDの病変は40%が進行を認めた。day 30でのCRは、患者レベルでのPFSが良好だったが、OSの有意差はなかった。day 30での反応が不良なEM/PM病変は、骨病変と比較して高率に進行した。

BCMA CAR-T療法後のRRMM再発は均一ではなく、明らかな進行前からPET/CTで同定可能なEM/PM病変に集中するなど、解剖学的に区画化されていた。LDC前の画像上の腫瘍量とEM/PM病変の存在に、day 30での持続する代謝活性を組み合わせることにより、高リスク患者と高リスク病変を同定でき、細胞療法の効果持続期間を改善するためのリスクに応じた戦略が支持される。

 

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MMの日常診療で、どの程度PET/CTを組み込むかは、地域や施設によっても違いはあるかと思います。ガイドライン上はPET/CTでの評価も推奨されてはいますが、医療保険の関係もあるので、どのモダリティで評価するかは悩ましいところです。

 

今回の論文は、単施設の後方視的研究なので、確定的とまでは言えませんが、CAR-T療法でのリンパ球除去化学療法前の髄外・傍髄外病変が、多発性骨髄腫の独立した予後不良因子となる可能性が示唆されました。また、day 30での治療反応もその後の病変進行に関連し、特に髄外・傍髄外病変で反応が不十分な場合は進行リスクが高い可能性が示されました。髄外病変を有するような超ハイリスク症例で、CAR-T療法を含む積極的治療を検討する患者群においては、方針決定においてPET/CTでの評価が有用かもしれません。日本の日常診療で実装するのは困難なことも多いかもしれませんが、興味深い結果です。

 

おまけ

 

 

写真のネタ切れが続いていますので、以前載せた秋月の武家屋敷の写真を別アングルからお届けします。

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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はBJHからで、FLT3変異を有するAMLに対するギルテリチニブと同種移植の治療シークエンスを検証したリアルワールドデータ解析をご紹介いたします。

 

Treatment sequence with gilteritinib and allogeneic haematopoietic stem cell transplantation in relapsed/refractory FMS-like tyrosine kinase 3 (FLT3)-mutated acute myeloid leukaemia patients: A multicentre real-world study

Kunadt D et al, Br J Haematol 2026, doi: 10.1111/bjh.70735

 

【要旨】

FMS-like tyrosine kinase 3(FLT3)変異を有する再発難治急性骨髄性白血病(r/r AML)患者は、一般的に予後不良で治療選択肢も限られている。第二世代のFLT3阻害薬であるギルテリチニブは、標準的な再発治療と比較して良好な疾患コントロールをもたらし、2つのランダム化比較試験の結果をもとに承認された。我々は、同種造血幹細胞移植(alloHSCT)を含むギルテリチニブ治療を受けた、リアルワールドのr/r AML患者コホートにおけるギルテリチニブの有効性と安全性を解析した。

25カ所の治療センターで、FLT3-ITD変異 and/or FLT3-TKD変異を有し、ギルテリチニブが投与された全ての連続したr/r AML患者のデータが収集された。奏功と生存は、記述統計および相関統計を用いて解析された。

合計156人が解析され、55.1%がalloHSCT後の再発、46.2%がFLT3阻害薬での治療歴を有していた。完全寛解/血球数回復不完全な完全寛解(CR/CRi)率は45.3%で、全生存(OS)期間中央値は10.0カ月だった。ギルテリチニブ単剤群の1年OSは34%であり、一方で地固め目的のalloHSCTを受けた患者の1年OSは、移植後のギルテリチニブ維持療法実施の有無により76-92%であった。移植後にギルテリチニブ維持療法を受けた群では、移植前のCR/CRi率は85.7%であった。

今回のリアルワールドデータから、ギルテリチニブはFLT3変異を有するr/r AML患者に対する有効な単剤治療であり、移植へのブリッジングと、移植後の維持療法として使用することで最良のアウトカムが得られることが確認された。

 

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FLT3変異は初発・再発AMLで時に見られる遺伝子変異で、特にFLT3-ITD変異は予後不良と相関します。従来の救援化学療法による成績は不良で、ギルテリチニブなどのFLT3阻害薬が期待されているのですが、残念ながらFLT3阻害薬単剤では一般に長期間の奏功は得られないことが多く、同種移植へのブリッジングや移植後の維持療法など、適切なタイミングでの効果的な使用が望まれます。しかし、大規模なリアルワールドデータはまだ少ない状況です。

今回の試験は、ドイツを中心とした多施設で、再発難治AMLに対して、同種移植を含めた様々な治療シークエンスでギルテリチニブが使用された患者群(n = 156)を後方視的に解析しています。FLT3-ITD変異が80.8%、TKD変異が14.1%、両方が5.1%でした。年齢中央値は58.5歳で、高齢者も含まれていますが、比較的若年で全身状態の良好な移植適応患者が多いコホートです。

再発・難治AMLに対する一連の治療シークエンスにおいて、ギルテリチニブは単剤使用が7割強、移植前ブリッジングが2割強、1割ほどで移植後維持療法として使用されていました。ギルテリチニブでの最大奏効におけるCR/CRi率は45.3%と、背景疾患から考えるとまずまず良好な奏効を示したものの、4割弱で再発・疾患進行のため中断されていました。他のFLT3阻害薬での治療歴による奏効率の違いは認められませんでした。

様々な交絡因子があるので解釈には注意が必要ですが、同種移植を含む治療シークエンスを受けた患者群と比較し、ギルテリチニブ単剤で治療され、その後の同種移植を受けなかった患者群はOS不良でした。統計学的な比較はなされていませんが、維持療法を行わなかった患者群よりも、移植後にギルテリチニブを再開した患者群の方が、数値上良好なOSを示しました。ソラフェニブによる維持療法もOSは良好でした。

ギルテリチニブは優れた薬剤ではありますが、既報の通り長期間効果が持続するとは言えず、移植適応患者においては、最大限の効果を得るため同種移植と組み合わせて治癒を狙う戦略が重要であることを再認識しました。一方、当院のような地域病院での患者群では移植非適応の方も多く、その場合はQOLを重視した外来治療薬という立ち位置も大きな役割だと思います。さらなるエビデンス蓄積が望まれます。

 

おまけ

 

 

深刻な写真不足のため、特に見どころのない奈多海岸の夕暮れを載せておきます!