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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はNew England Journal of Medicineからで、CAR-T細胞療法後に発症したT細胞リンパ腫の報告をご紹介いたします。

 

Aggressive Lymphoma after CD19 CAR T-Cell Therapy

Kobbe G et al, N Engl J Med 2024, doi: 10.1056/NEJMoa2402730

 

【要旨】

致死的でクローナルな自律的に増殖するCD4およびCD8陰性のキメラ抗原受容体(CAR)陽性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)が、再発性原発性中枢神経リンパ腫患者の治療としてtisagenlecleucelが投与された1カ月後に発症した。PTCLはクローナルなT細胞受容体の再構成があり、これはCAR-T細胞製剤作成のためと、7カ月前の自家末梢血幹細胞移植のために行われたアフェレーシス産物で既に検出可能なものであった。CD34陽性幹細胞と、その子孫における体細胞DNMT3AおよびTET2変異が、PTCL、CAR-T細胞作成および自家移植のために得られたアフェレーシス検体で検出された。PTCLは付加的なTET2変異も有しており、これはCAR-T細胞のアフェレーシス産物と、最終的なCAR-T細胞製剤に、非常に低い頻度で既に検出可能であった。これはクローナルな造血がリンパ腫発症に関与した根拠となる。

 

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CAR-T細胞療法後のリンパ腫が最近いろいろなジャーナルで報告されていますが、この報告もその一つになります。CAR-T細胞療法後の悪性リンパ腫発症のメカニズムは不明な点が多く、今回の症例ではCAR-T細胞療法前に微量ながらクローナルなT細胞が存在し、それがCAR-T療法後に何らかの機序で腫瘍化につながったのでは、ということが詳細な実験結果によって示されており、非常に勉強になりました。

 

おまけ

 

 

秋っぽい野菜で無水煮込みを作りました!根菜類が美味しい季節になりましたね。