こんにちは。後期研修医Tです。この前東京であった移植の勉強会に行ってきたのですが、そのときちょろっと出てきたペンギンの話が面白かったのでご紹介しようと思います。

皆さんは、動物園や水族館にいるペンギンが実は無菌室にいる、てことをご存じでしょうか?
ペンギンが本来住んでいる場所といえば南極大陸ですが、南極大陸って寒いからアスペルギルスってカビがいないんですね
なので、どうやらペンギンはアスペルギルスに対する免疫が弱いらしく、飼われるようになった最初は、アスペルギルス肺炎でバッタバッタと倒れていったというのです。

そこで出てきたのが無菌室です。
無菌室で寝泊まりし、抗真菌薬を予防内服するようになってやっとペンギン達は安心して施設で生きていけるようになったそうです。よかったなあ。(1)

実は人間も同様で、血液内科では免疫力が落ちている患者さんは無菌室に入っていただいています(この記事この記事参照)。
無菌室というとなんでもガードしているように思われていますが、実はこのアスペルギルス対策が一番の目的だったりします。
今日引っ張り出してきたのは移植患者さんにおける感染症防御のガイドラインです。じゃん。
Guidelines for preventing opportunistic infections among hematopoietic stem cell transplant recipients.
普通にネットで見れるので便利なガイドラインなんですけど、(2000年なので古いっちゃ古いんですけど)、これにも無菌室の話は、アスペルギルス感染症についてだけ出てくるんですよね。

他の菌(細菌とかウイルスとか)はあんまり無菌室関係ないんだなー、てのを実感します。

という訳で、今度動物園でペンギンを見ることがあったら、是非無菌室の話を思い出していただけたらなと思います。家族や友人に話せばドヤ顔できること間違いなしですよ☆(2)

以上、勉強会のご報告でした。

(1)この辺、無菌室に入ってない南極産以外のペンギンの情報も混じってるかもしれません。
(2)ちなみに南極産のペンギンを日本では3カ所でしか見ることができません。詳しくは追加記事を参照下さい。