こんにちは。後期研修医Tです。
以前、「無菌室のペンギン達」という記事を書いたのですが、
ある先生から「この前、水族館行ったけど、ペンギン、無菌室入ってなかったよ」と悲しげなご報告を頂きました。あれー、こりゃまたどうしたことか。
私の文のせいで「お父さんの嘘つき!」とか言われたのではないかと思うと大変申し訳ないです。

という訳でちょっと勉強したので今回はペンギンについて補足記事を書きたいと思います。

まずは世の中にペンギンが何種類いるかという話から。地球上にペンギンは全部で18種類いるのですが、なんと南極に住んでいるのはたったの2種類らしいです。

その2種類はコウテイペンギンとアデリーペンギンで、いわゆる「ザ・南極!」て見た目をしているのはコウテイペンギンです。

ここで衝撃の事実なのですが、日本でコウテイペンギンを見られるのは名古屋と和歌山のたった2カ所しかありません(アデリーペンギンは横浜にもいるみたい)。

えー、じゃあ私が近くの動物園で見て「南極感じるわー」とか思ってたのは一体何ペンギンだったの?という話になりますが、実はその南極っぽい奴らは、温暖な気候にいるキングペンギン(コウテイペンギンと見た目そっくり)らしいのです!紛らわしいよ!

おそらく九州の水族館でウロウロしているのはキングペンギンなので外に出ても大丈夫なのかなあと思います。前回記事の「水族館のペンギンは無菌室に住んでいるんだよ☆」て話は名古屋と和歌山でしかできない話だったのですね。ガッテンガッテン。

ところが話はそれだけで終わりません。

ここで今回読んだ文献です。どーん。
A review of aspergillosis in penguins
by Melissa Orzechowski Xavier
なんかいまいち出典のはっきりしない論文(ブラジルのペンギン研究者が書いてる)なんですが、これによると、なんかもう南極とか関係なくペンギン類(飼われてるやつ)はアスペルギルスに弱いらしいですね。てかむしろ海鳥全般がアスペルギルスに弱いっぽい。

例えば昔よくあったタンカー事故。オイルまみれになった海鳥たちの死因の多くがアスペルギルスだったそうです。意外ですね。

自然に住んでいるペンギンがアスペルギルスで死ぬことはほとんどないようですが、やっぱり飼われたり、ストレスがあったり傷ついたりするとどうしてもアスペルギルスに弱くなってしまうそうです。(理由としては呼吸器の構造そのものにあるようです・・・)

南極以外のペンギンであっても、飼うとなると抗真菌薬の予防内服や、血液スクリーニング、定期的な住居の消毒が必要らしいので、ペンギンを飼うのはなかなか大変そうだなーと思った文献でした。
***
以上で補足記事と致します。前回はペンギンの種類までは言及せずに書いていたので申し訳なかったです。何卒これでご勘弁下さいませ。

参考文献:藤原幸一「ペンギンガイドブック」

(注)悲しいかな、この和歌山と名古屋の水族館に私は行ったことがないのです。これらの水族館でコウテイペンギンが外に出てウロウロしてたら、記事を大幅に書き換えなきゃいけなくなってしまうので、是非行ったことのある方教えていただけたらなーと思います。「南極の気候を再現できる施設」と他のHPにも書いてあるので、たぶん大丈夫ですが・・・私もいつか行きたいです。
(余談)ちなみにキングペンギンは体長85-95cm、コウテイペンギンは体長100-130cmてところに大きな違いがあるようです。コウテイペンギン大きすぎるだろ・・・