飯塚病院血液内科のブログ

日々の活動を紹介していきます。だいたい金曜日更新。
ときどき火曜日に更新あります。


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こんにちは。卒業生Tです。

今回は、高齢者の白血病の話をしたいと思います。
白血病の治療って、結構強い化学療法を入れていきます。若年者なら多少のリスクは負っても完治を目指して頑張りましょうね!となるのですが、高齢者になると、化学療法に耐えられず、いたずらにQOLを下げる結果になったりするので、治療が難しくなってきます。そのため、高齢者の白血病は、化学療法をせずに、きつさだけをとる緩和ケアのみを行うこともしばしばあります。

ただ、超高齢(例えば95歳とか)だったらその判断も簡単なのですが、微妙なお年頃(例えば75歳とか)だったら、どのくらいまで治療を減量するのか、もしくは緩和ケアを行うのか悩ましい思いをすることになります。というわけで今回の論文です。
Induction chemotherapy versus palliative treatment for acute myeloid leukemia in a consecutive cohort of elderly patients

Milica Colovic et al. Ann Hematol (2012) 91: 1363-1370. 

1施設での65歳以上(median 69歳)の白血病(APLを除くAML)210例について後方視的に解析した論文です。115人が一時的しのぎ的な抗がん剤治療or輸血/抗生剤の支持療法のみ(ほぼ緩和ケアに近いので、以後語弊はありますが、緩和ケア群とします)を行い、87人が寛解導入療法を受けました。

後ろ向き研究なので、緩和ケア群と寛解導入療法群ではバックグラウンドが違うのですが、緩和ケア群はやや年齢が高く、何よりPS3以上の人が多い状態でした

一時しのぎ的な抗がん剤治療の内容はlow dose AraCでしたが、寛解導入療法はDNR/AraCで、M4-5群についてはAraC/DNR/VP-16でした。

で、結果です。
緩和ケア群の115人のうち5人、寛解導入療法群の87人のうち45人が寛解に入りました。

ただ、4年後を見ると、全210人中194人(96%)が亡くなっていていました
全体のうち、生存期間の高いファクターとしては単変量解析で見ると、75歳未満であること、PSが良いこと、LDHが600U/L未満であること、診断時の白血球が低いこと、HCT-CIが低いこと、肝脾腫がないこと、先行する血液疾患がないこと、予後良好染色体群であることでした。

多変量解析で見ると緩和ケア群で予後が良い条件は、PSとHCT-CIが良いことでした。寛解導入療法での予後の良い条件は治療でCRに入ること、PSが良いことでした。ふたつ合わせて解析すると、PSが良いことととLDHが低いこと、寛解導入療法で寛解に入ることが結果に出てきました。

以上のことから、筆者らは、PSとHCT-CIが2以下であることが寛解導入療法を行うのに適格な高齢者といえるのではないかという結論を出しています。

後ろ向き研究なので、これがすべてという論文ではありませんが、パッと見の全身状態が良いのが強い化学療法の必要条件であるというのは多くの血液内科医が納得できる結果なのではないかと思います。

悩ましいところですが、患者さんにとってなるべくベターな治療ができるよう考えていきたいものですね。

追記:ちなみに読んでいてちょっと興味深いなと思ったのが、染色体異常についての考察です。寛解導入療法群と緩和ケア群では寛解導入療法のほうが全体の生存期間はよいのですが、その差は予後中間群で一番大きく、予後不良群では全く差が出なかったというのです。予後不良群では粘るだけきついだけかもしれないということでしょうか?(結果が出るのに1-2週間かかる検査なので、治療決定には使えないんですけど)
本邦でのガイドラインでも、「PS0-2で標準療法治療可能かつ染色体予後良好-中間群では強力化学療法を推奨」となっており、こういった研究結果を受けてのものと思われます。


補足
PS=全身状態の指標のことです。PS2は歩行可能で身の回りのことはすべて自分でできる程度です。
HCT-CI=骨髄移植前の全身状態の指標のことです。PSに臓器機能評価が追加された感じ。
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こんにちは。血液内科を3ヶ月ローテートしていた後期研修医のYです。

本ブログでも取り上げられていましたが(この記事)、血液内科といえば、きつい・拘束時間が長い・急変が多いと三拍子そろったまさに3Kというイメージが強く、なんとローテートすると血液腫瘍分野への興味を増やすどころか、もしかしたら低下させるのかもしれないという結論まで出てしまったという報告があります。

自分の場合は、これまで悪性疾患の化学療法に関わった機会がなく、今回初めての無菌室、化学療法を経験させていただきました。ローテートしてどうなるのだろう・・・と少し不安でしたが・・・。感想としては非常に充実した3ヶ月でした!そして凄く毎日が楽しかったです!!

特に化学療法を施行して劇的に病状がよくなられる患者さんをみると非常に医師としての喜びを感じることができました。この喜びは他科ではなかなか味わえない喜びかもしれません。上級医の先生はもちろん、病棟のスタッフの方々も非常に優しくとても働きやすい環境でローテートすることができました。

ローテートしてみて、確かにきつい・拘束時間は長い(といっても外来はしてないのでスタッフの先生方と比較すると微量なものですが)、というのは実感しました。また、急変も多くて大変な仕事だと感じました。しかし、それを上回る、患者さんが治癒されてよくなった時の達成感を経験できました。

また血液内科は化学療法は長期に渡ることが多いので、患者さんを長く担当することで、患者さんをより詳しく知ることができました。この3ヶ月を通じて、きつい・拘束時間が長い・急変が多い3Kを経験しましたが、それを上回る、やりがい・より良好な医師患者関係・喜び(3Y?)を経験することができました。また医学的なことでいうと、手技(特にCV確保と骨髄穿刺・生検)も数多く経験できたので、手技が好きな方も楽しめると思います。

あっという間の3ヶ月で、まだまだ勉強不足が目立ちましたが、飯塚病院の血液内科の先生方、病棟スタッフの雰囲気は大変よくて仕事がしやすく充実した3ヶ月でした。個人的な話になりますが、来年も血液内科をローテートすることになりそうなのでまたどうぞよろしくお願い致します!

初期・後期の研修医の先生方でローテート先に少しでも血液内科に興味のある先生は是非ローテートしてみてください!
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こんにちは。血液内科スタッフKです。

明日から、医師国家試験がスタートしますね。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか?今週末は寒くなるそうなので、風邪などひかないように気を付けていただきたいです。

そういう私は、昨日から風邪をひいてしまい、鼻水をすすりながらこの記事を書いています(2月8日執筆)。

さて恒例の出題予想なわけですが、今年は多発性骨髄腫に注目してみたいと思います。血液内科の対象疾患の中では毎年必ず数問は出題されるメジャーなものの一つです。

ここ数年、多発性骨髄腫は毎年のように新薬が発売され、標準治療が目まぐるしく変化しています。ここ三年だけで、ポマリドミド(商品名ポマリスト®)、パノビノスタット(商品名ファリーダック®)、カルフィルゾミブ(商品名カイプロリス®)、エロツズマブ(商品名エンプリシティ®)が国内で承認されました。もうすぐ承認される薬も複数あります。

そして新薬登場の裏で、多発性骨髄腫の標準治療として君臨しつづけ、近年でもサリドマイドとの併用(MPT療法)やボルテゾミブとの併用(MPB療法)などで形を変えて生き残ってきたMP療法が、長年の役目を終えて、ついに治療ガイドラインから姿を消す(推奨初回治療としてですが)という、血液内科医としては地味に感慨深い出来事もありました。

さて、出題予想に移ります。

私が調べた範囲ですが、MP療法以降のいわゆる「多発性骨髄腫の新薬」として国家試験に出題されたことがあるのはプロテアソーム阻害剤(日本で現在使用可能なものはボルテゾミブ)のみのようです。

ボルテゾミブの次に歴史のある新薬であるレナリドミドですが、実はすでに医師国家試験では骨髄異形成症候群(5q-症候群)で出題履歴があります(マニア過ぎでは?)。なので、出題される可能性は普通にあるレベルなのですが、メジャーな適応である多発性骨髄腫での出題は何故かまだありません。そして、2015年12月にレナリドミドが多発性骨髄腫の初回治療として国内追加承認を受けたというのも、最近の血液内科のトピックの一つです。

・・・というわけで、今年は多発性骨髄腫の初回(かどうかは分かりませんが)治療にレナリドミドが来る!と予想させていただきます。

明日から三日間、ベストを尽くして頑張ってくださいね!
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